2006/08/01 - 2006/08/20
11738位(同エリア16398件中)
スキピオさん
【カルーゼルの凱旋門】
この門の中にコンコルド広場のオベリスクもシャンゼリゼ通りの端に立つ大凱旋門も一直線に入る(拡大して下さい)。もっとカメラの目がよければ隣町デファンスのグランド・アルシュも見えるはずだが・・・これこそル−ヴル宮殿から延びる西に向かうパリの都市軸だ。
「カルーゼル」とは馬のパレードをする馬場のこと、ここは「カル−ゼル広場」と呼ばれている。この凱旋門はナポレオンの1805年の戦勝を祝って作られた(1808年完成)。門の上の女神像は王政復古を象徴する女神で勝利の女神を従え、四頭立ての二輪戦車を走らせている。
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かつて、カル−ゼルの凱旋門の西側、ル−ヴル宮殿の西の両翼を結んだ形で、テュイルリ−宮殿があった。だからカル−ゼルの凱旋門も中庭に立っていたので表紙のようなパ−スペクティヴは宮殿が焼失した(1871年のパリ・コミューンによる)後になる。
何度も言及して申し訳ないが、映画『王妃マルゴ』で無気味な毒盛り女として描かれている、3兄弟とマルゴの母親、カトリ−ヌ・メディシスは、夫のアンリ2世がサン・ポ−ル教会傍のサン・タントワ−ヌ通りで不慮の死をとげた後、近くにあったトゥールネル館から宮廷をル−ヴルに移した。その時に私的な宮殿も作らせた。これがテュイルリ−宮殿だ。ここに都市軸の西への第一歩が記された。
ところが現在の「凱旋大通り」として、エトワ−ルの凱旋門までの整然としたパ−スペクティヴを手に入れるためには、宮殿の焼失が必要条件だったとは、皮肉だ。
【マイヨ−ルの作品】
今は、宮殿の跡地あたりで、不思議な官能美をかもし出すマイヨ−ルの彫刻が我々を出迎えてくれる。 -
【マイヨールの作品】
アリスチード・マイヨール(1861〜1944)は、画家として出発するが、視力を弱くして、彫刻家に転身。20世紀初頭に『地中海』で、頭角を表わす。 -
【ミノタウロスを退治するテセウス】
クレタ島のミノス王の妻パシファエは雄牛に対する抗し難い欲望から、それと交わる。そこから生まれたのがミノタウロスだ。王はこれを恥じて天才ダイダロスに命じ、迷宮を作らせ、怪物をそこに閉じ込める。
ミノタウロスは迷宮で少年・少女を喰らっていたが、それを聞いたアテネの王子、テセウスは、ミノタウロスを退治することを決意する。だが、たとえ怪物を退治してもどうやって迷宮から脱出できるか?
テセウスに一目惚れした王女アリアドネーは彼に糸を手渡す。見事怪物を退治し、糸を手繰って出て来たテセウスは、そのままアリアドネーを伴いクレタ島を出奔する。
だが二人の恋は悲劇に終わる。こともあろうにテセウスは彼女の姉、パイドラと結婚し、傷心のアリアドネーは、バッカスの妻となる。
ちなみに、テセウスの妻となったパイドラはテセウスの連れ子、ヒッポリュトスに道ならぬ恋心を抱き・・・話は急転直下大悲劇となる(ラシ−ヌの劇『フェードル』)。 -
【テュイルリ−庭園、バサン・ロンド(丸池)】
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【テュイルリ−庭園、美女をさらうケンタウロス】
半人・半馬のケンタウロスは多くの女性をさらったので、この女性は誰だったのか。メモを取り忘れてしまった。 -
【テュイルリ−庭園の観覧車】
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【テュイルリ−庭園・シャルル・ペローの彫像】
シャルル・ペロー(1628〜1703)はルイ14世時代の偉大な詩人。特に彼の童話集ほど人口に膾炙しているものはない。「赤頭巾」「眠りの森の美女」「シンデレラ」「青髭」「長靴を履いた猫」「親指小僧」・・・どれほど世界中の子供達をわくわくさせ、喜ばせたことか。
ペロ−像のまわりを囲む子供達が限りなく可愛い。 -
【テュイルリ−庭園、ポール・ベルモンドの作品】
ポール・ベルモンドはジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』で衝撃的なデビューを果たし、フランスの代表的な名優となったジャン=ポール・ベルモンドの父親。
オペラ座の入口を飾るカルポ−作『ダンス』は、複製でこれを製作したのもベルモンドだった。本物はオルセ−美術館にある。 -
【テュイルリ−庭園、デュビュッフェの作品『ベル・コスチューム』】
ル・ア−ヴル生れのジャン・デュビュッフェ(1901〜85)の作品は、いつでも楽しい。これは「ミノタウロス」と思われる。 -
【テュイルリ−庭園、ロダンの彫刻】
「ジュー・ド・ポーム」の近くにロダンの作品が何気なく置かれている。
オルセ−美術館のできる前まで、このジュー・ドポームは印象派の殿堂だった。現在は現代芸術の展覧会場となっている。
ちなみに、ジュー・ド・ポームとは、手の平で打つテニスのこと。ラケットが生まれる前、人はもっぱら手でテニスをしていたのだ。もちろん、15、30・・・という数え方もフランス式らしい。そう、テニスはフランス生れだったのだ。 -
【テュイルリ−庭園、ロダンの『接吻』】
このロダンの傑作は「オランジュリ−」の前にある。モネの『睡蓮』のある、あのオランジュリーだ。オランジュリーとは「オレンジ栽培温室」のことで、ジュ−・ド・ポ−ムと同様、宮殿には必ずと言っていいほどある。
ちなみに、この『接吻』の女性のモデルはカミ−ユ・クロ−デルと言われている(他のも彼女だ)。彼女はロダンの弟子にしてモデル、そして恋人でもあった。また、すぐれた彫刻家で、オルセ−美術館やロダン美術館に彼女の傑作を見ることができる。この道ならぬ恋は、師が妻のもとに戻り、弟子は失意のうちに精神病院で何十年という余生をおくることになる、悲劇で終わる。
これを描いた映画『カミーユ・クローデル』は必見。 -
【テュイルリ−庭園からオベリスク、凱旋門】
この池は、八角形をしていることから「バサン・オクトゴル(八角形の池)」と呼ばれる。このまわりの彫刻群も傑作だらけだ。 -
【ル・ノートル像】
コンコルド広場から入るとすぐに左側にあるル・ノ−トル(1613〜1700)は十七世紀最大の造園家だった。壁面にも書かれている通り、ヴェルサイユ、サン・クルーなど、名だたる庭園を手掛けた。もちろん、このテュイルリーも彼の作品だ。 -
【テュイルリ−庭園からコンコルド広場】
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【コンコルド広場、噴水】
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【コンコルド広場からテュイルリ−、ル−ヴル宮殿】
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【シャン・ゼリゼ大通り】
もしかすると世界で最も有名な通りかも・・・
他のところでも書いたが、「シャン・ゼリゼ」とは、死後、英雄や偉人の行く冥界の一部のことだ。もちろんスキピオは、大スキピオも小スキピオもシャン・ゼリゼにいるに違いない。 -
【シャン・ゼリゼ大通りのクレマンソー】
シャン・ゼリゼ大通りは二つの面を持つ。コンコルド広場からロン・ポワンまでの緑地と一体化した庭園としてのシャンゼリゼと、ロン・ポワンからエトワ−ル広場(大凱旋門)までの店舗や映画館の立ち並ぶ商業地としてのシャン・ゼリゼだ。
その境目の大交差点、ロン・ポワンの手前の「クレマンソ−広場」に「虎」の異名をとった大政治家クレマンソーの像が立っている(ド・ゴ−ル像もあるが別に掲載)。プチ・パレとグラン・パレの入口だし、アレキサンドル3世橋に至る「ウィンストン・チャ−チル大通り」だ。
[ぜひ「アレクサンドル3世橋」に足をお運び下さい。そこには「スキピオのプロフィ−ル写真」の彫刻があります。橋の先は「アンヴァリッド」がその威容を誇る、最も美しいパ−スペクティヴとなります] -
【エトワールの凱旋門・シャルル・ドゴ−ル広場】
シャン・ゼリゼ大通りの真ん中は絶好の撮影ポイント。いつもカメラマンたちででにぎわう。 -
【凱旋門から遠くデファンスを望む】
「グラン・タルメ(大軍隊)大通り」の先に新都心デファンスが見える。
ちなみに「グラン・タルメ」とは、ナポレオンの大陸軍のことだ。 -
【凱旋門下の無名戦士の墓】
第一次世界大戦で、祖国のために亡くなったひとりの無名の兵士が、永遠の炎に守られて眠っている。「ひとりの無名兵士」というところが気負いがなくてすばらしい。これならどこの国家元首が来ても花束を捧げるのに何の問題も起らないわけだ。
[フランスは政治・教育などすべて無宗教でなければなりません。もちろん、各地にある戦争犠牲者の碑も無宗教です] -
【グランド・アルシュ】
都市軸の西の果ては、現在のところデファンスの「グランド・アルシュ」だ。革命二百周年を記念して作られた。
凱旋門のように真ん中が吹き抜けになっているので、都市軸がさらに西に延びることを予想させる。 -
【デファンスの「タキス水盤」からエトワールの凱旋門を望む】
都市軸の西から東を見る。
思えば、パリは大聖堂の配置から始まり(西から入り、東に向かって祈る)、都市そのものも西(オクシデント)と東(オリエント)を意識して、息づいている。オリエントとは、「日の出」を意味し、オクシデントは「日沈み」だと聞いたことがある。
そう言えば、日本にも島根県の出雲大社の西に「日沈みの神社」がある。日の出は伊勢志摩らしい。とすれば、西と東へのこだわりは、ユ−ラシア大陸の西の果てに位置するフランスも、東の果てにある日本も、同質なのかも知れない。
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この旅行記へのコメント (5)
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- wiz さん 2007/01/25 23:54:29
- 【テュイルリ−庭園、ポール・ベルモンドの作品】
- スキピオさん、こんばんは!
無事パリから戻りました・・・。
ところで、テュイルリ−庭園に
ジャン=ポール・ベルモンドお父上の作品なんてあったんですね!
ゴダール/『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』・・・
↑・・・好きですよ〜〜。。。
スキピオさんの「都市軸を歩く(東)」編で書かれていた
【クール・カレから見えるフランス学士院】、
今回、メトロをルーヴル・リヴォリで降りて
夜のルーヴル鑑賞するときに偶然ここを通り、この夜景を見て・・
お気に入りスポットのひとつになってしまいました!
サン・ドニ編も楽しみにしております。。。
- スキピオさん からの返信 2007/01/26 11:37:28
- RE: お帰りなさい。
- voodoo さんお帰りなさい。仕事柄、この時期にフランスに行ったことがありません。うらやましい限りです。また、新たな情報と旅行記を楽しみにしています。
そうですか、ゴダ−ル、お好きですか。フランス映画好きの方がおられると、なんだか嬉しくなります。パリ旅行記関係ですから、当たり前かも知れませんが。
ちなみに、20年も前の映画ですが(『ピエロ』はもっと古い)、そしてゴダ−ルのタッチとは全く違いますが、今クロ−ド・ルル−シュの『遠い日の家族』にはまっています。ラフマニノフの音楽がいい。ごめんなさい。つい映画好きのものですから。
またよろしく・・・
- wiz さん からの返信 2007/01/26 19:57:26
- RE: ヌ〜ヴェルヴァ〜グ
- スキピオさん、こんばんは!
そ〜いえばこんな話をしていたら
スキピオさんに映画ネタでも作品(旅行記)作ってほしい〜
某ガイドブックにも載っている
「勝手にしやがれ」のラストシーンの通りも時間があれば行きたかった!
「太陽がいっぱい」「地下室のメロディ」
−アラン・ドロン^^;も、かなり好き^^!
おすぎとピーコが好きそうな映画(笑)好きです。
P.S.イタリアだけどヴィスコンティ「ヴェニスに死す」もかなり好き・・・。
(↑好み分かれますよね・・・。。。)
- スキピオさん からの返信 2007/01/26 20:55:54
- RE: ヴィスコンティもいいですね。
- そうですか、『ヴェニスに死す』もお好きですか。いいですねえ。それでは『イノセント』『狂王ル−トヴィッヒ』も、何よりもアラン・ドロン主演の『山猫』もお好きでしょうね。
『太陽がいっぱい』がお好きでしたら、『死刑台のエレベーター』(ルイ・マル監督)『突然炎のごとく』(トリュフォ−監督)・・・このくらいにしましょう。
本当にいい映画がたくさんありますね。映画のシーンを訪ね歩けたら面白いでしょうね。エリック・ロメールやパトリス・ルコントの映画は実写がほとんどですから、しようと思えばできるかも知れませんね。voodoo さんこそおできになれるかも・・・
- wiz さん からの返信 2007/01/26 21:40:37
- RE: Patrice Leconte
- 「山猫」−そうそうたしかヴィデオに撮ってあります!
久々に見たくなりました〜あの豪華絢爛さは気合入ってますよね!
そうそう、パトリス・ルコントもかなり好きですよー!
「髪結いの亭主」「仕立て屋の恋」はもちろん
「タンデム」がけっこうお気に入り。
↑こんな風に田舎道をドライブしてみたいなぁ〜と思います♪
P.S.長々と失礼いたしました・・・m(_ _)m
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