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  京都出張の合間、少し時間が空いたので大学時代に住んでいたアパートに寄って見ることにした。観光巡りばかりでなく、たまには大学時代を懐古する旅も面白い。<br /><br />京阪出町柳駅より徒歩10分、左京区元田中飛鳥井町。その名も<br />「マンションASUKA」。<br /><br />  僕が住んでいた時から10年以上経つが、そのマンションは健在だった。ただ、もともとボロかった外見は、更にレベルが増していた。マンションというのは名ばかりで、実際は学生向けのアパート。6畳一間のワンルームで家賃4万2千円。今思えば、悪徳不動産に騙された物件だった。        <br /><br /><br />  「京都大学に面した素晴らしい環境ですよ」と言われたが、目の前には京大馬術部があり、窓が開けられないほど馬糞のニオイがしみるほど充満していた。「治安がいい」と言われたが、引越し初日にアパートの前で新品の自転車が盗まれた。「日当たり良好」と言われたが、高々と育った植木の影でまったく日は当たらなかった。さすがに文句を言うと、「毒薬で枯らしていいですよ。大家には内緒にしときますから。」と悪徳らしい対応をしてくれた。<br /><br /><br />  そんな劣悪な環境のマンションだったが、ここに住んでいた2年間は忘れることができない。なぜなら狭いワンルームの中で僕1人ではなく、6人ほどの仲間と一緒に住んでいたからだ。<br /><br />  初めての土地(しかも関西)、初めての一人暮らしで、僕はどう友達をつくっていいか判らなかった。『友人から頼まれること全てを受け入れること。』それが友達をつくる一番の近道だと、バカな思い込みをしてしまっていた。<br /><br />  僕の大学時代の友人はなぜか実家通いの奴が多かった。知り合っては、みんなを家に呼んでいたため、仲間の溜まり場となるのに1ヶ月もかからなかった。当初は色んな人が訪れていたが、いつしか固定メンバーとなった。?大阪南港に住むJ男。?岡山出身のS嬢。?Sの同郷で友達のY嬢。?京都宇治に住むT男。?軟式野球部のY男。この5人は、頻繁に僕の家に来た。いや、いつの間にか居着いていたという表現が正しいだろう。<br /><br />  彼らが僕の家を利用していたのには各々理由がある。?J男と?S嬢は付き合っていた。大阪に住み、家の遠いJ男はS嬢と会うため、僕の家をデート場にしていたのだ。S嬢の親友?Y嬢は、?T男と付き合うことになった。T男も家が遠かったので、ダブルカップルが僕の家に居候することになった。野球部の?Y男は、朝練に参加するため、僕の家に平日はずっと泊まっていた。<br />  <br />  なにしろ6畳ワンルームに6人住んでいるのだから、とにかく狭い。僕のプライベートはほとんどなかった。ベットはカップルたちに占領され、家主の僕は玄関前で寝ていた。衣服、冷蔵庫などの電化製品はみんなの共有財産になってしまっていた。とにかく息苦しくて、たまに僕が違う友人の家に外泊してたりもした。でも、みんなでワイワイ食べる食事やファミコン対戦にビデオ鑑賞、まくら投げ、毎日が修学旅行みたいで本当に楽しかった。<br /><br />  しかし、友人たちの行動は日増しにエスカレートしていった。<br /><br />  部屋の中で花火をしたり、暴れて窓を割ったり、隣近所と喧嘩したり。極めつけの事件は、掃除をしていたとき、僕のベットでY嬢の手紙を発見したときだ。<br /><br />「今日、T男君と初めてHしちゃった。」                                 <br />  おいおい、僕のベットで初体験したのかよ!しかも僕が大学にいっている間に!どうりでパイプベットはベコベコになっているわけだ。僕宛に電話がかかってきても、友人が出ちゃうし。誰かに家を占拠されたんではないか?と実家の親はかなり心配していたなぁ。その後も、Y嬢に新しい男が出来て三角関係になったり(その新しいカレシも泊まりに来た)、僕がアパートの目の前でバイク事故したり、S嬢が警察に捕まって家庭裁判所行きになったり、近所の路上でオカマ宴会したら補導されたり。「マンションASUKA」を舞台に数々のドラマが展開された。本当に一冊の本になるぐらいエピソード満載だった。<br /><br /><br />  最後は家主の僕が耐え切れなくなって、3年目に引越してしまうんだけど。そんな10年前の記憶が、「マンションASUKA」の前で、走馬灯のように駆け巡った。<br /><br />  アパートの建物は老朽化し、いつしか取り壊されてしまうだろう。でも、頭の片隅には「マンションASUKA」と愉快な仲間達の記憶はずっと存在している。いつまでも忘れることができない青春の思い出として。<br />

京都ワンルーム青春記@出町柳

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2005/03/05 - 2006/03/05

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フーテンの若さん

フーテンの若さんさん

京都出張の合間、少し時間が空いたので大学時代に住んでいたアパートに寄って見ることにした。観光巡りばかりでなく、たまには大学時代を懐古する旅も面白い。

京阪出町柳駅より徒歩10分、左京区元田中飛鳥井町。その名も
「マンションASUKA」。

僕が住んでいた時から10年以上経つが、そのマンションは健在だった。ただ、もともとボロかった外見は、更にレベルが増していた。マンションというのは名ばかりで、実際は学生向けのアパート。6畳一間のワンルームで家賃4万2千円。今思えば、悪徳不動産に騙された物件だった。        


「京都大学に面した素晴らしい環境ですよ」と言われたが、目の前には京大馬術部があり、窓が開けられないほど馬糞のニオイがしみるほど充満していた。「治安がいい」と言われたが、引越し初日にアパートの前で新品の自転車が盗まれた。「日当たり良好」と言われたが、高々と育った植木の影でまったく日は当たらなかった。さすがに文句を言うと、「毒薬で枯らしていいですよ。大家には内緒にしときますから。」と悪徳らしい対応をしてくれた。


そんな劣悪な環境のマンションだったが、ここに住んでいた2年間は忘れることができない。なぜなら狭いワンルームの中で僕1人ではなく、6人ほどの仲間と一緒に住んでいたからだ。

初めての土地(しかも関西)、初めての一人暮らしで、僕はどう友達をつくっていいか判らなかった。『友人から頼まれること全てを受け入れること。』それが友達をつくる一番の近道だと、バカな思い込みをしてしまっていた。

僕の大学時代の友人はなぜか実家通いの奴が多かった。知り合っては、みんなを家に呼んでいたため、仲間の溜まり場となるのに1ヶ月もかからなかった。当初は色んな人が訪れていたが、いつしか固定メンバーとなった。?大阪南港に住むJ男。?岡山出身のS嬢。?Sの同郷で友達のY嬢。?京都宇治に住むT男。?軟式野球部のY男。この5人は、頻繁に僕の家に来た。いや、いつの間にか居着いていたという表現が正しいだろう。

彼らが僕の家を利用していたのには各々理由がある。?J男と?S嬢は付き合っていた。大阪に住み、家の遠いJ男はS嬢と会うため、僕の家をデート場にしていたのだ。S嬢の親友?Y嬢は、?T男と付き合うことになった。T男も家が遠かったので、ダブルカップルが僕の家に居候することになった。野球部の?Y男は、朝練に参加するため、僕の家に平日はずっと泊まっていた。

なにしろ6畳ワンルームに6人住んでいるのだから、とにかく狭い。僕のプライベートはほとんどなかった。ベットはカップルたちに占領され、家主の僕は玄関前で寝ていた。衣服、冷蔵庫などの電化製品はみんなの共有財産になってしまっていた。とにかく息苦しくて、たまに僕が違う友人の家に外泊してたりもした。でも、みんなでワイワイ食べる食事やファミコン対戦にビデオ鑑賞、まくら投げ、毎日が修学旅行みたいで本当に楽しかった。

しかし、友人たちの行動は日増しにエスカレートしていった。

部屋の中で花火をしたり、暴れて窓を割ったり、隣近所と喧嘩したり。極めつけの事件は、掃除をしていたとき、僕のベットでY嬢の手紙を発見したときだ。

「今日、T男君と初めてHしちゃった。」                                 
おいおい、僕のベットで初体験したのかよ!しかも僕が大学にいっている間に!どうりでパイプベットはベコベコになっているわけだ。僕宛に電話がかかってきても、友人が出ちゃうし。誰かに家を占拠されたんではないか?と実家の親はかなり心配していたなぁ。その後も、Y嬢に新しい男が出来て三角関係になったり(その新しいカレシも泊まりに来た)、僕がアパートの目の前でバイク事故したり、S嬢が警察に捕まって家庭裁判所行きになったり、近所の路上でオカマ宴会したら補導されたり。「マンションASUKA」を舞台に数々のドラマが展開された。本当に一冊の本になるぐらいエピソード満載だった。


最後は家主の僕が耐え切れなくなって、3年目に引越してしまうんだけど。そんな10年前の記憶が、「マンションASUKA」の前で、走馬灯のように駆け巡った。

アパートの建物は老朽化し、いつしか取り壊されてしまうだろう。でも、頭の片隅には「マンションASUKA」と愉快な仲間達の記憶はずっと存在している。いつまでも忘れることができない青春の思い出として。

  • 出町柳の鴨川周辺。とても開放的になれます。

    出町柳の鴨川周辺。とても開放的になれます。

  • 一乗寺にあるラーメン天々有。残念ながら夜だけの営業

    一乗寺にあるラーメン天々有。残念ながら夜だけの営業

  • 元田中駅近くの中華屋。定食がオススメ。京大生でいつも賑わっています

    元田中駅近くの中華屋。定食がオススメ。京大生でいつも賑わっています

  • 僕が住んでいたマンションASUKA

    僕が住んでいたマンションASUKA

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