1961/11/15 - 1961/11/15
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ソフィさん
1961年11月15日(水)
そもそも私は、「土木」という職業は、よりよい世の中を創るために、国の将来を支配する、きわめて重要な仕事と思っている。
ただ日本では「土木」という訳語が、ダムや道路など、ものづくり的な片寄った印象を与え、活動範囲を狭めているように思う。
英語の「シビル・エンジニア」という言葉と「土木」とは、相当語感が離れているように思う。
ついでに申せば、「エンジニア」を「技師」と訳するもの、しっくりしていない。
「エンジニア」は、これからの世の中がどのように発展すべきか、そのために何を必要としているか、それに応えるには何をすればいいか、から出発しなければならない。
それに比べて「技師」は、どのように造るかから出発している印象を与えている。
「土木」の本来の目的は、社会の目指すべき将来像をイメージし、その実現に向けて行動することであるべきなのだ。
社会の将来像を考えるに当っては、世の中の最大多数の人々は本来何を求めているのだろうか、それがこれからどのように変化するのかということを、推測しなければならない。
推測は、土木構造物の寿命から考えて、50年先を見通すことが必要である。
要するに、未来社会の理想像を、頭に描かなければならないのだ。
「土木工学」と呼ばれるものだから、つい理科系を思い浮かべるが、文科と理科の中間に位置するものである。
土木を学ぶものは、社会、経済、法律、哲学に至るまで、幅広い理解が必要なのだ。
その点私は、フランスの土木の最高学府のカリキュラムに、非常な興味を持っている。
このあたりは、日本ではどの学問分野からも埋め切れておらず、盲点になっている。
ものづくりは、そのための単なる一手段に他ならない。
今日案内してくれるシュッツさんは、ソレタンシュ社の主任技師である。
朝8時、パリのポルト・ディタリーで、待ち合わせている。
お互いに会ったことがないので、少々の不安がある。
会社では「あなたは日本人だから、すぐ判りますよ」と言っているが、本当に私を見つけてくれるのだろうか。
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