1961年10月25日（水）<br /><br />グリモーさんに招かれ、ヴァンデーにやって来ている。<br />フランスの田舎をゆっくり見る機会と、喜んでパリを離れた次第である。<br /><br />昨日に引き続き、一日中ひっきりなしに雨が降る。<br />これでは現場作業が無理なので、グリモーさんの案内で、少し離れたラ・ロッシェルに行く。<br /><br />ラ・ロッシェルは、人口7万人。<br />この辺りでは一番大きな、地域の中心都市だ。<br /><br />大西洋に面した古い港町で、11世紀に入江を守る城塞が築かれ、町がはじまった。<br /><br />その後長い期間、イギリスの支配下に置かれた時代もあり、フランスに戻ったのは15世紀の半ばである。<br /><br />新教徒ユグノーが多く、王室の迫害に耐えたが、1685年信仰の自由を保障した「ナントの勅令」が廃止されると、多くの新教徒がこの地を離れ、新大陸に逃れた。<br /><br />アメリカニューヨーク州「ニュー・ロッシェルNew Rochelle」は、この時期にラ・ロッシェルから入植した人々が開拓した街である。 <br /><br />塩やワインの出荷港として栄えたのち、15世紀カナダに入植者を送ってからは、アンチル諸島との香辛料、砂糖、カカオ、コーヒーなどの貿易で繁栄する。<br />あるいは、奴隷売買でも、巨万の富を築いた。<br /><br />旧港を中心とする界隈には、中世の面影が強く残っており、当時の繁栄を思い出させる、たたずまいがある。<br /><br />写真はイズミール（トルコ）の波止場<br />2006.3.10撮影

パリ便り【560】中世の面影が残るラ・ロッシェルを訪ねる

0いいね！

1961/10/25 - 1962/10/25

18位(同エリア8件中)

#美術館・博物館

ソフィさん

1961年10月25日（水）

グリモーさんに招かれ、ヴァンデーにやって来ている。
フランスの田舎をゆっくり見る機会と、喜んでパリを離れた次第である。

昨日に引き続き、一日中ひっきりなしに雨が降る。
これでは現場作業が無理なので、グリモーさんの案内で、少し離れたラ・ロッシェルに行く。

ラ・ロッシェルは、人口7万人。
この辺りでは一番大きな、地域の中心都市だ。

大西洋に面した古い港町で、11世紀に入江を守る城塞が築かれ、町がはじまった。

その後長い期間、イギリスの支配下に置かれた時代もあり、フランスに戻ったのは15世紀の半ばである。

新教徒ユグノーが多く、王室の迫害に耐えたが、1685年信仰の自由を保障した「ナントの勅令」が廃止されると、多くの新教徒がこの地を離れ、新大陸に逃れた。

アメリカニューヨーク州「ニュー・ロッシェルNew Rochelle」は、この時期にラ・ロッシェルから入植した人々が開拓した街である。

塩やワインの出荷港として栄えたのち、15世紀カナダに入植者を送ってからは、アンチル諸島との香辛料、砂糖、カカオ、コーヒーなどの貿易で繁栄する。
あるいは、奴隷売買でも、巨万の富を築いた。

旧港を中心とする界隈には、中世の面影が強く残っており、当時の繁栄を思い出させる、たたずまいがある。

写真はイズミール（トルコ）の波止場
2006.3.10撮影