2017/05/28 - 2017/06/15
15位(同エリア1921件中)
ねんきん老人さん
- ねんきん老人さんTOP
- 旅行記97冊
- クチコミ14件
- Q&A回答2件
- 384,336アクセス
- フォロワー239人
四国霊場八十八か所を回れば、少しは妻の供養になるかも知れない。 ただそれだけで始めた遍路ですが、阿波二十三か寺を回り終えても、妻の救いになったどころか、妻が可哀想だという思いはますます強くなり、神仏の為す不条理に対する恨みは増すばかりでした。
一応は敬神崇仏を装って、妻の安寧を乱さぬように心がけてはいたものの、腹の中には八十八か寺すべての仏様に対する敵意を抱えたまま、土佐十六か寺に車を進めて行きました。
- 旅行の満足度
- 3.0
- 交通
- 3.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
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【 室戸岬 】(この写真は前回の旅行で撮ったものです)
死んだ者に話しかけたって聞こえるわけがない。 そう思いながらも、一人で寂しい思いをしているであろう妻が可哀想で、胸の中で一言二言話しかけていました。
それが旅を続けるうちに、気がつけば声に出している自分があり、傍から見たら気のふれたジイサンが何だかブツブツ言ってるように見えたことだと思います。
聞こえても聞こえなくても、「一人じゃないよ」と、それだけは伝わってほしい・・・その一念でした。
「室戸岬だよ」
前に、ここからハマヒルガオの写真をつけてメールしたことがありました。 今度一緒に来ようと書いたのですが・・・。
「弘法大師が若いときにね、ここで空と海しか見ずに修行をして、それで『空海』って名乗るようになったんだってよ」室戸岬 自然・景勝地
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【 第二十四番最御崎寺・山門(仁王門) 】
二十三番薬王寺からは80km近い道を走って室戸岬まで来ました。 歩きのお遍路さんを追い越すのは気が咎めるのですが、お金も体力も不足している私には車遍路しか方法がありません。
ここからは土佐国内十六か寺を回ります。
「このお寺、最御崎寺っていうんだけど、ほつみさきじって読める人いるのかね?」
「見てごらん、この仁王門。 仁王様が4体もあるよ」 -
【 最御崎寺・一言お願い地蔵 】
「一言だけお願いすれば、何でも叶えてくれるんだってさ。 そんなこと、いくら仏様だって、できるわけないよなあ」
「もし本当に願い事を叶えてくれるんだったら、俺はこの場で俺とお母さんの命を取り換えてもらうよ」
「どうして神社やお寺はできもしないのに、あれもこれも叶うようなことを書き並べるのかねえ。 誇大広告で問題にならないのかなあ」 -
【 第二十五番津照寺(しんしょうじ) 】
漁港に車を停めて、家々の間を歩いて行くと、路地の奥に階段が見えてきます。
「おっと~、こりゃまたどっこい! えらい階段だね。 俺? 大丈夫だよ。 へっちゃらこっちゃら、屁の河童だよ」 -
【 津照寺・階段の途中で振り返れば 】
「お母さん、ここで転んだらどうなるかねえ?」
ちなみにこの階段、255段だそうです。 -
【 第二十六番金剛頂寺 】
寺号に「頂」という字がつくだけあって、急勾配の狭い道をかなり上らなければなりません。 ガードレールもない1車線道路で苦労しますが、そういうお寺はたいてい駐車料金を取ります。
街中でアスファルトを敷き詰めた立派な駐車場、つまり維持費がかかりそうなお寺はたいていが無料です。
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【 金剛頂寺・一粒万倍の釜 】
「お母さん、弘法大師がこの釜に1粒の米を入れて炊いたら、万倍になったんだって」
「こんなデカい釜に1粒入れたのかねえ? 1万粒になったって、3合もないんだよ。 それをこんな釜で炊いたら、全部おこげになっちゃうんじゃない?」
(大師が入れた米は3合3勺だという話もありますが、それだと万倍ではドラム缶30本分にもなり、逆にこの釜からはほとんど溢れてしまうことになります) -
【 第二十七番神峯寺(こうのみねじ) 】
寺の「峯」という字から抱いた悪い予感は的中し、アクセス道路はこれまでで一番の難所でした。急な登り坂は大袈裟に言うと、仰向けになって運転している感じです。(確かに大袈裟です。でも路面がボンネットに隠れて見えないという箇所はいくつもありました)
3kmほどで、標高450mの神峯寺に着きます。
「ほら、神社とお寺がくっついてるよ。 昔の神仏習合の名残だね。 学校で習ったろ?」
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【 神峯寺・階段の先にまた階段 】
「まあ、お寺っちゅうのは階段ばっかりだね」
「四国遍路って簡単に言うけど、階段を上れるだけの体力がなかったらできないね」
最低でも半月のまとまった時間がとれて、交通費プラスいくらかのお金が用意できて、休みながらでも階段を上る体力が残っていて・・・私の場合、どれもギリギリですが、こうして来られたというのは有難いことだと思います。 -
【 神峯寺・アマリリス 】
石段の脇にアマリリスが咲いていました。
結婚して小さな借家に住んだとき、妻が最初に植えたのがアマリリスでした。
「お母さん、アマリリスだよ。 思い出すねえ」 -
【 神峯寺・本堂 】
駐車料金は志納ということですが、「志納金」として
軽自動車 200円
5人乗り普通車 300円
10人乗りまでの普通車 500円
10人乗り以上の車 1000円
と大きく書かれています。
志納というにしては、ずいぶん露骨ですね。 10人乗りの車は500円でしょうか? 1000円でしょうか? -
【 土佐ロイヤルホテル 】
お気に入りのチェーンホテルです。 でも・・・
夕食では、
「お母さん、たいそうなご馳走だけど、一人じゃ間がもてないよ」
朝のバイキングでは、
「中〇人が料理の周りに群がっちゃって、ちゃんと並んでるこっちはいつまで経ったって先へ進めやしない」
夜中には中〇人が廊下で騒いでいて眠れません。
このチェーンホテル、いつから中〇人御用達になっちゃったんでしょう?
「車ん中でコンビニの焼きそばでも食べた方がよっぽど良かったなあ」 -
【 第二十八番大日寺・山門 】
遍路4日目は香南市の大日寺からです。
ところで、私のにわか遍路は昔買ってそのままになっていた入門書の飛ばし読みとインターネットから仕込んだ浅い知識で準備したのですが、どこを読んでも必ず出てくる「必需品」に金剛杖があります。
杖は弘法大師の分身とされ、その杖を携行することによって、遍路中は常にお大師様が一緒におられる(同行)ことになるのだそうです。
で、私はというと、持って行きませんでした。 まず、必ずどこかに忘れるという「自信」があったからです。
そしてもう一つの理由は、私はこの遍路を妻と一緒にするつもりでしたので、杖を持つと「三人」になってしまうからです。 -
【 大日寺・スロープ 】
ここは階段の横にスロープが作ってあります。
お遍路さんの多くは高齢者ですから、階段はお遍路泣かせです。
こうしてお寺が高齢者や体の不自由な人に対する気遣いを持っているというのは、有難いことです。
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【 大日寺・大師堂 】
多くのお寺に見られる宝形屋根に飾り気のない四壁という典型的な大師堂のスタイルです。
建築に目を奪われない分、純粋にお大師様を拝むことができるような気がします。 -
【 第二十九番土佐国分寺 】
これはまた豪壮な大師堂です。 入母屋・・・唐破風・・・欄間彫刻・・・
大日寺のシンプルな大師堂とは対照的です。
「お母さん、俺は大日寺の方がいいなあ」 -
【 第三十番善楽寺・本堂(右)と大師堂(左) 】
隣接の土佐神社が大きくて駐車場も広いので、うっかりしているとそちらに停めてしまうことになりかねません。(私のことです)
「御朱印はお参りのあとに。お遍路のマナーです」という注意書きが貼ってあります。
お参りそっちのけでスタンプラリーにうつつを抜かしている人が多いということだと思います。 -
【 善楽寺・梅見地蔵 】
首から上の問題を解決してくれるお地蔵さんだそうです。 脳・目・耳・鼻・・・、試験も合格するんだとか。 ずいぶん都合のいいお地蔵さんですね。
「首から上ってことは・・・俺の白髪もなんとかしてくれんのかなあ?」
それにしても、「開創1200年記念枕カバー有ります」ってのは、ちょっと情けない商売ではないでしょうか。 供物台がブロックというのもなんだか・・・。 -
【 善楽寺・フェルト製のお地蔵様 】
「お母さん、富岡製糸場で見た繭玉を思い出すねえ。 あれからまだ半年だよ。 神様も仏様もひどいよなあ」
「皆、仏様を信じてこんな所に願い事いっぱい書いてるけどさあ、その仏様は後ろ向いて舌出してんじゃねえか?」 -
【 第三十一番竹林寺・仁王門先の階段 】
竹林寺は4か所に階段があり、どこも手摺りがないのですが、なぜか険しい感じがしません。 幅の広さによる目の錯覚でしょうか。
行く手に壁のように見える階段も、視界いっぱいに広がってはいますが、立ちはだかっている感じではなく、逆にどっからでもいらっしゃいという感じで、包容力さえ感じます。
辺りの木々と調和して心地よい雰囲気を醸し出していますし、一人でお参りしている若い女性にも、なにか物語に出てくるような純粋さを感じます。
「お母さん、あの帽子がいいねえ」 -
【 竹林寺・善財童子の像 】
自分以外のすべての人間を師と仰いで教えを受け、ついに悟りの世界に至った素直な子だそうです。
「お母さん、俺にはできねえなあ・・・。 あんな奴、こんな奴を師と仰ぐなんて・・・」
ちなみに、善財童子が教えを受けた人の数が53で、それが東海道五十三次の宿場数のもとになったのだそうです。 へえ~! -
【 竹林寺・五智如来像 】
密教でいう五つの知恵に五人の如来をあてはめたものだそうです。 まあ、私は大日如来と阿弥陀如来しか知りませんが。
そもそも密教というのは元々のお釈迦様の教えを中国語や日本語に訳さないで学ぼうということらしいので、なおさら私のような凡俗には難しいのです。 弘法大師のような衆生の救済に生涯をかけた方が、どうして衆生には理解のできない「サンスクリット語の真言」にこだわったのか、私には分かりません。
「とにかくこの竹林寺は雰囲気もいいし、いろいろ勉強にもなって、いいお寺だよね」 -
【 第三十二番禅師峰寺(ぜんじぶじ)・仁王門 】
仁王門から直接階段が始まります。
本堂は当然その上ですが、納経所は仁王門の手前を右に行ったところにあります。
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【 禅師峰寺・納経のマナー注意 】
階段を見て、お参りを省略しようという不心得者がいるのでしょう。 こんな注意書きがありました。
「お母さん、これこれ、まったくだよ。 あの〇〇KANKOのおばさん、この看板見たかなあ?」
まあ、見たとしてもわれ関せずで、まっしぐらに納経所に走っていったことでしょう。
ところで、その○○KANKOのグループですが、やはり他のお遍路さんたちも気づいていたようで、お遍路さん同士の雑談の中でも話題になっていました。どうやら三十六番までで終わりのようで、そこからまっすぐ北上して今治から帰るということだそうです。
「お母さん、やっぱり皆うんざりしてたんだよ」 -
【 禅師峰寺・不動明王像 】
その納経所に行く途中に小さな池があり、不動明王の像が建っていました。
「お母さん、お不動様だよ。 だけどちっとも怖くないね。 △△さんちのお婆ちゃんに似てない?」 -
【 禅師峰寺・本堂 】
いたる所で夫婦連れのお遍路さんを見かけます。 観光地や温泉ではなくお寺を巡るというからには何らかの理由があるのでしょうが、傍から見る限りでは羨ましい限りです。
私も一応、妻と一緒に来ているつもりではありますが、やっぱり生きて二人でいるのとは違います。 -
【 禅師峰寺・境内で 】
注意と言われてもねえ・・・。 -
【 桂浜・坂本龍馬像 】
高知に来ると、あっちも龍馬こっちも龍馬で、正直うんざりしている私ですが、四国に来たことがない妻には、やっぱりこの像を見せないと。
「お母さん、これが坂本龍馬の像だよ。 でもさあ、よく見てごらん、佐藤B作に似てない?」 -
【 桂浜 】
「桂浜だよ。 ほら、テレビの台風中継でよく出てくる所。 見覚えがあるだろ?」 -
【 第三十三番雪蹊寺(せっけいじ)・本堂と大師堂 】
ここの大師堂も堂々たる構えで、屋根も入母屋です。
「あっ、お母さん、禅師峰寺にいたご夫婦、またいるよ」
私も自分では妻と一緒のつもりでいますが、向こうから見たら一人にしか見えないという現実には抗えません。 -
【 雪蹊寺・一願地蔵 】
「お母さん、また一願地蔵だよ。 でも、できないこと頼んだってしょうがない。 俺は死んだら子供たちにお母さんと同じ墓に入れてもらう。 それだけで十分だよ」 -
【 第三十四番種間寺(たねまじ)・弘法大師レリーフ 】
「お母さん、このお大師様、流し目でこっち見てるよ」
「手に持ってるの、何だか知ってる? 金剛杵(こんごうしょ)っていうんだってさ。 俺も初めて知ったんだよ。 そもそもは武器なんだけど、あれで煩悩を打ち払うんだって」
「それにしても、手の平を前に向けて、ずいぶん不自然な持ち方してるねえ」 -
【 第三十五番清滝寺(きよたきじ) 】
納経所に、写真を撮るな、静かに待てというような貼り紙がありました。当然の常識ですから反論はありませんが、なにかお遍路さんをうとましく思っているような感じでシラけます。
御朱印を押す人の態度も、いかにも面倒臭いという様子で感じが悪かったので、「参道ナントカ金300円」と書いてあったのを払いませんでした。 -
【 清滝寺からの景色 】
パラグライダーが飛んでいました。
死んだ人はパラグライダーのように上空から我々を見下ろすことができるのでしょうか?
いや、そんなことはないと思います。 たぶん意識すらないのでしょうが、もし霊魂というものがあって我々を見ていてくれるとしても、その視界は生きていたときの延長でしかなく、空から見ているということはないだろうと思います。
それで十分ですし、妻が私のそばにいて、私と同じ景色を見ていてくれれば、それが私にとっては一番です。
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【 第三十六番青龍寺(しょうりゅうじ) 】
あの横綱朝青龍が明徳義塾高校で相撲をやっていたとき、このお寺の石段を毎日駆け登って足腰を鍛えていたのだそうです。 それで「朝青龍」という四股名をつけたのですね。 その明徳義塾からここまで来るのに5~6km、いやもうちょっとあるでしょうから、それだけでも大変なもので、なにかと顰蹙を買うことの多い人だったとはいえ、やはり横綱になるというような人は常人の想像を超える努力をしているのだと思います。
「あっ、あの奥さんだ。 旦那さんがいないねえ。 まさか、別れちゃったんじゃないよなあ? いやいや、冗談、冗談。 めんごめんご」 -
【 青龍寺・本堂への石段 】
「お母さん、これこれ! この石段だよ。
これを駆け登ったら、足腰鍛えるどころか、足腰がダメになっちゃうよなあ」 -
【 青龍寺・本堂 】
青龍寺の堂宇の配置は空海が密教を学んだ唐の青龍寺と同じになっているそうです。
「お母さん、唐の青龍寺って一緒に行ったよね。 でもあのときは堂宇の配置なんて考えなかったからねえ。 俺も全然覚えてないよ」 -
【 道の駅・かわうその里すさき 】
ちょっと早かったのですが、次の岩本寺までは60kmもあるので、納経所が閉まるまでには着けません。
今晩は須崎市にある道の駅で車中泊です。道の駅 かわうその里すさき 道の駅
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【 台湾からの自転車遍路? 】
自転車に「歩き遍路」と書いた旗を立てた変なおじさんがいたので声をかけてみました。
「自転車で回ってるんですか?」
「・・?・・、ニホンゴ、ダメ。タイワン」
「ああ、台湾から。じゃあ、英語は?」
「エーゴ?」
「Do you speak English ?」
「English ? OK !」
という流れで始まった会話ですが、たぶん私の英語がまずくてどうもスムーズにいきません。
するとおじさん、やにわにスマートフォンを取り出し、通訳アプリを使って台湾語で話し始めました。たちまち変な日本語に変換されて、なんとか会話成立。
洪志福さんといい、自転車にテントを積んで四国を一周しているようで、遍路とは関係ありませんでした。
夜中に私の車をノックして、お茶を飲まないかということで、写真のようなお茶会が始まり、写真をくれというのでLINEで転送したところ、20日ほどして羽田空港からメールがきました。「台湾を訪問する歓迎」と、やっぱり通訳アプリによるらしい変な日本語で。 -
【 第三十七番岩本寺(いわもとじ)・本堂 】
開創当時の本堂は天正年間の兵火で焼失し、その後再建されたものの明治の廃仏棄釈で廃寺となり、また再興されるなど変遷をたどり、1978年に本堂が新築されたそうです。
八十八か寺のうち、私の調べた範囲では四十三か寺が火災によって堂宇を失っていますが、そのうち三十一か寺の火災は戦によるものです。
中でも長宗我部元親の軍による放火が圧倒的に多いのですが、度量の広いことで知られた元親と、民衆の信奉する寺を焼き払う暴挙とはどうつながるのでしょうか?
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【 岩本寺・弘法大師像 】
弘法大師についての私の知識は、上っ面の上っ面、どこにでも書いてある表面的なことだけです。
機を見るに敏で、けっこう抜け目なく立ち回って唐留学の切符を手に入れ、帰るとたちまち朝廷に重用され、まるで朝廷の御用僧のようにも見えるその仕事ぶりなど、必ずしも良い印象ばかりではありません。
また各地に伝わる大師の事績や八十八か寺それぞれに於ける伝承は、聞いているだけで眉が唾でべとべとになるほどです。
しかし、一方では言葉に窮するほどの厳しさを自身に課していて、ただ馬齢を重ねている私としては、正面から向き合うのも憚られるほどのまぶしさを感じるのも事実です。
「お母さん、お大師様だよ。 やっぱり同行していただいた方がよかったかねえ?」 -
【 津波避難塔 】
国道321号線、大岐の浜の近くに津波避難塔がありました。
南海トラフ地震が発生した場合、この辺りには34mの津波が押し寄せると予想されているそうで、高知県内の想定死者数は4万人を超えるということです。
自然災害がほとんどない千葉県に住んでいると、高知県の台風・豪雨の厳しさは想像を超えるのですが、それに加えて津波が現実の問題として迫っているというのですから、呑気な千葉県人であることがなんだか申し訳ないような気にさえなります。 -
【 第三十八番金剛福寺 】
岩本寺からは90数km走って、ようやく足摺岬にある金剛福寺に着きます。
3万6千坪の境内には巨岩を配した広い池もあり、ひょっとしたら極楽もこんな所かと思うような立派なお寺です。
それなのに、私はこれまで何度も足摺岬に来ていながら、このお寺の存在すら知りませんでした。 言い訳をするならば、山門前の土産屋の呼び込みが尋常ではなく、ときには車にぶつかるのではないかと思うくらい近寄ってくるので、通り抜けることばかり考えていて道路の反対側を見る余裕がなかったのだと思います。(あまり説得力のない言い訳ですね) -
【 金剛福寺・本堂と池 】
広い池に姿を映す本堂です。 多宝塔と愛染堂を従えるように建つ堂々たる構えには圧倒されます。
その池がまた贅沢の極みで、畔に配された庭石は、それ1個で私の家などは優に3軒も建つことでしょう。
「お母さんの行く極楽は・・・こういう所かも知れないよ。 向こうの池には蓮も咲いているそうだから、もっときれいだと思うよ。 でも、先に行っちゃあダメだよ。 俺と一緒だよ」 -
【 足摺岬・中浜万次郎像 】
「お母さん、ジョン万次郎だよ、ジョン万だよ!」
誰もが子供時代に読んだ偉人伝の中でも格段に人気の高かったジョン万次郎。妻との会話の中にも何度も出てきた人物です。
彼が作った英語の辞書に、水のことを「ワラ」とカタカナで書いてあったという話、彼が母親への土産として持ち帰ったミシンを「マシン」と言っていたことなどは英語学習の大きなヒントになると、妻に熱く語ったものでした。
その万次郎の像ですから、妻が生きて一緒に来ていたら、私の講釈が長くて閉口したことでしょう。 -
【 足摺岬灯台 】
私が初めて足摺岬灯台に来たのは40年以上前ですが、そのころは灯台付近は自殺の名所になっていました。
「お母さん、俺は自殺なんか絶対しないから、心配しないでいいよ。 しっかり生きていくって約束はできないけど、とにかく自分で死んだりはしないから、いつになるか分からないけど、ちゃんと待ってるんだよ」足摺岬展望台 名所・史跡
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【 お遍路さん休憩所 】
土佐清水市の国道321号線沿いにある「お遍路さん休憩所」です。 6年前にここで寝ました。 夕食は例によってカップラーメンと500mlの缶ビール2本です。
思えば、家では2本目に手を出すと妻に「あんまり飲まない方がいいですよ」と必ず言われたものでした。
それが、妻がいない今では2本目を飲む気には全くならず、この遍路旅でも350mlの缶1本で十分でした。 飲み過ぎだと言われながら飲むところに快感があったのでしょうか? -
【 竜串海岸 】
私は二度目ですが、初めて来たとき、次の旅行はまず妻をここに連れてくることだと思いました。 それなのに、その後は思いつきで別の場所にばかり行き、次は竜串、次は竜串と思っているうちに、妻は死んでしまいました。
妻が私より先に死ぬなどということは考えたこともなく、「次」や「そのうち」がアテにならないことに思いが至らなかった私の油断で、また一つ妻に可哀想なことをしてしまいました。 -
【 竜串海岸 】
いつもだったら妻を立たせて撮る記念写真なのに・・・。 こんなことしたって、妻はちっとも嬉しくないだろうと思いながら・・・。
写真の横に置いた石は、今、庭の一角に置いてあります。 そこには妻が植えたミヤコワスレが毎年必ず涼しげな花を咲かせています。 -
【 第三十九番延光寺・山門 】
この手摺りに両手でつかまり、一歩々々、階段をよじ登るようにしているお婆さんがいました。白装束でしたから、お遍路さんだと思います。
その真剣な表情に、声をかけるのも憚られ、手を貸すこともせずに見送ってしまった私は激しい後悔に苛まれましたが、あのお婆さんはどこから来て、どこまで行くのでしょう? 連れもいませんでしたし、車を運転するようにも見えませんでしたから、歩いて次のお寺まで行くのでしょうか?
次のお寺、観自在寺までは30kmあります。 -
【 延光寺・本堂と大師堂 】
このお寺、もとは「亀鶴山宝光寺」といったのを、延喜11年に竜宮に棲んでいた赤亀が銅の梵鐘を背負って寺に現れたので、「赤亀山延光寺」と改めたということです。
海から延光寺までは直線距離でも7kmほどあり、重い梵鐘を背負った亀が歩いてこられるとは思えないのですが、お坊さんたちは本当にそれを信じているのでしょうか?
私が寺社に詣でるとき、イマイチ真面目になり切れないのは、もっともらしくご利益を書き並べている嘘っぽさと、あり得ない不思議な縁起を語る僧侶宮司たちの本心を疑ってしまうからです。
そんなご大層な作り話をしなくたって、寺社への敬意が薄らぐものではないと思うのですが。 -
【 ガクアジサイ 】
境内のガクアジサイがほんのちょっと、咲き始めていました。
我が家の狭い庭には、妻がどこかで貰ってきたガクアジサイがあります。 植えたときは膝ぐらいしかなかったのですが、今では私が手を伸ばしても届かない高さになり、それはそれはきれいな青い花を咲かせてくれます。
「お母さん、うちのアジサイももう咲き始めたかねえ?」
これで阿波二十三か寺と土佐十六か寺を回りました。阿波を「発心の道場」、土佐を「修行の道場」と呼ぶそうですが、私の心は雑念だらけで、発心も修行も実感がないまま、このあと伊予(愛媛県)の二十六か寺に向かいます。
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この旅行記へのコメント (33)
-
- mistralさん 2023/11/05 09:32:02
- 同行二人
- ねんきん老人さん
おはようございます。
いつもmistralの旅行記にご投票いただきまして有難うございます。
同行二人とタイトルにありました旅行記に目がとまり、拝読致しました。。。
その後も奥さまとの旅を続けておられますねんきん老人さんの旅の、
まさに原点となられた出来事の半年後の旅の記録でした。
ねんきん老人さんの喪失感、絶望感、奥さまに対する愛情で旅行記は溢れていて
絶句の想いでした。
同行二人とは弘法大師ではなく奥さまとの二人旅だったことがすぐに伝わってきました。
悲しみに溢れた想いを抱かれて、奥さまの遺影をお車の助手席に置かれて
奥さまとの対話を交わされながら巡礼道を巡られたんですね。
拝読して、まさにその折も、おそらく今でも、奥さまの(たましいの)存在が
感じられたことでした。
喪失の悲しみが薄らぐことは決してないと聞きます。
むしろ年々、想いは深まっていくことでしょう。
それでも、奥さまは今でもねんきん老人さんの日々のご様子をおそばで
見守ってくださっているように想います。
懐かしい地への旅、ねんきん老人さんが奥さまを連れていってあげたいと
思われていた地への旅、
どこでも奥さまは喜ばれておそばにいらっしゃることでしょう。
いつまでもご健康でそんな旅ができますように、お身体に気をつけられて
おすごしになられますように。
mistral
- ねんきん老人さん からの返信 2023/11/05 13:28:14
- 妻も喜んでいると思います。
- mistral さん、こんにちは。 古い駄文にお目を止めて下さって、その上書き込みまで、ありがとうございました。 望外の喜びですが、mistral さんのお言葉を拝読して、喜びが倍化しました。 それは、妻の存在が見知らぬmistral さんに認められたということを妻が喜んでいるだろうと思えたからです。
世間では、男がいつまでも死んだ配偶者のことを考えていると「めめしい」とか「切り替えが悪い」とか言います。 ですから私も町内会や飲み仲間との会話では妻のことを何も言いませんし、「奥さんが亡くなってから、前よりも元気になったんじゃねえか?」などと言われると、「そりゃそうだよ。なんたって花の独身だからな」というような返事をしています。
ですが、そんな日でも帰宅時には玄関を開けると大声で「お母さん、ただいま~」と言いますし、声には出しませんが外出先でのことを報告します。
ですので、今回mistral さんに、妻がいつでもどこでも私のそばにいるだろうと仰っていただいて、「やっぱりそうだよなあ」と意を強くしました。
私は十万億土の彼方にあるという極楽まで妻が一人で旅をするという話に同意できず、その旅は私が死んでから一緒に行くものだと思っています。 妻は一人で先に行ったりはしない、今もそばにいて私と旅に出る日を待っているのだと思います。
それでもときどき心配になって、「先に行っちゃダメだよ。俺と一緒に行くんだよ」と声に出してしまいます。
そんなときにmistral さんが、今も妻は私のそばにいると言ってくださったのですから、安心と嬉しさは測り知れません。
旅行記にまで妻とのことを書いたりするのは世間受けしないということは分かっています。 ですが、なんといっても妻は私のような男を夫に選んでくれたのですし、その後45年間も私のような男で我慢してくれたのですから、私にとっては女神以上の存在ですので、ついつい妻のことを書いてしまいます。
それを責めることなく逆に私を励ましてくださるmistral さんの広いお心に、ほっと休まった心地がします。
本当にありがとうございました。
ねんきん老人
- mistralさん からの返信 2023/11/05 14:20:55
- Re: 同行二人
- ねんきん老人さん
コメントいただきありがとうございます。
以前からずっと、奥さまはおそばで見守っておられると
思っておりました。
「私は十万億土の彼方にあるという極楽まで妻が一人で旅をするという話に同意できず、その旅は私が死んでから一緒に行くものだと思っています。 妻は一人で先に行ったりはしない、今もそばにいて私と旅に出る日を待っているのだと思います。」
巡礼道だけでなく、その後のお車での遠征旅やら、そして
十万億土の彼方にあるという極楽までもご一緒に旅される方、
この世界広しといえどねんきん老人さんぐらいなのでは
ないでしょうか。
その折にはきっと格別の笑みを浮かべられての旅立ちに
なるのでしょうね。
いささか不謹慎なコメントではありますが。
ですのでその日が訪れるまでは、この世での生を充実して
お過ごしになりますように。
それがひいては奥さまのお喜びにつながるような気がします。
失礼な発言をお許しくださいませ。
mistral
- ねんきん老人さん からの返信 2023/11/05 16:37:09
- いつか行く旅、楽しみです。
- mistral さん、重ねてのコメント、ありがとうございました。 おかげ様で勇気百倍です。
極楽浄土への旅は、「死出の旅」とか「たった一人で行く果てしのない旅」などと暗いイメージをもって語られることが多いのですが、それならばなおさらのこと、妻を一人で行かせてなるものかと思っておりました。
極楽浄土までは十万億土。 いろいろな計算があるようですが、大雑把な数字としては光の速さで行っても100京年かかるそうで、人間の足ではその何倍になるか、計算が不可能です。
そして最後の最後、あと百歩かそこいらの所に最大の難所が待っているそうですね。 道の片側には水の河、反対側には火の河が広がり、落ちたら怒りや欲望の渦に呑み込まれてしまうとか。 しかもその道は片足の幅ほどしかないということですから、言ってみれば平均台のような橋の上を数十メートル歩くという感じでしょうか。
向こう岸では阿弥陀如来が、手前の岸ではお釈迦様が、それぞれ渡る者を励ましてくださると聞きますが、そんな橋を怖がり屋の妻が一人で渡れる筈はありませんので、そのためにも死後の旅を妻一人でさせるわけにはいかないのです。 私が手をつないでやらなければ、妻はせっかく十万億土の旅をしても極楽浄土へは行けないということになります。
ですから、私は繰り返し妻に「まだ行くなよ、行くときは俺と一緒だよ」と言い続けているのです。
とかく暗く語られがちなその旅を、今回mistral さんに「格別の笑みを浮かべての旅立ち」と仰っていただき、勇気百倍の思いです。 今もそばで待っているに違いない妻もきっと安心したことでしょう。
重ねがさねの misural さんの励ましに、その究極の旅が楽しみに思えてきました。 急ぐわけではなく、できるだけこの世に長くいるつもりですが、いつか必ず、妻と一緒に歩き出す日がくると思うと、楽しみですらあります。
そのときの妻の笑顔が想像できて、深くにも涙が流れてしまいました。
本当に、本当に、ありがとうございました。
ねんきん老人
- ねんきん老人さん からの返信 2023/11/05 16:41:12
- 誤字でした。
- 「不覚にも」というところなのに、「深くにも」と誤変換してしまいました。 これこそ不覚でした。 お恥ずかしい限りです。 ごめんなさい。
-
- エンドレスジャーニーさん 2018/01/11 11:23:23
- ぐっときた
- 当方にも遠からぬ内にやってくる別れ。
それに思いをいたすこの頃、この旅行記にはぐっとくるものがありました。
貴兄の慰めになるかはわかりませんが、推薦書をひとつ。
城山三郎 著 「そうか、もう君はいないのか」
http://www.shinchosha.co.jp/book/113334/
音楽から推薦曲:
半崎美子 「空の青」 「明日へ向かう人」
詩も曲も胸に迫るものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=7UBkNYAPcpk
どうかご自愛下さい。
- ねんきん老人さん からの返信 2018/01/13 20:14:31
- 改めて妻に感謝しました。
- エンドレスジャーニー様、優れた本と曲をご紹介くださり、ありがとうございました。
「そうか、もう君はいないのか」という本の存在すら知りませんでしたが、書き込みをいただいてすぐ書店に走り、一気に読み終わりました。
そしてもう一度、今度はゆっくり、じっくり再読しました。
随所で、そうそう、お母さんもそうだった、と思いながら読み、何度か涙をこぼしましたが、旅の途中で珍しく疲れを見せ、その直後の健診で癌を告げられ、私自身が現実を理解できぬうちに死んでしまった妻と重なる部分が多く、辛い読書となりました。
私は妻の生前、人様の前ではいつも「うちの飯炊き女です」というように言っており、女房に優しい言葉をかけるなどということは男の名折れだと思っていたのですが、最後の数か月は自分でも信じられないくらい妻に優しい気持ちになり、わずかな飯粒を口に運んでやるときも、食べやすいように、こぼさないようにと心がけていました。
露骨に優しくすると妻が自分の最期を察してしまうかもしれないと思い、ときにはわざときついことを言ったりもしましたが、それすらも今は後悔しています。もっともっと優しくしてやりたかった・・・その思いは消えません。
城山さんの本を読んで、妻の言葉の一つひとつが、自分の死期を感じていた故であったことを思い知りました。それだけ妻が可哀想だという思いが私を責めています。
エンドレスジャーニーさんは、この本が私のなぐさめになるかは分からないとおっしゃいました。確かに慰めにはなりませんでした。でも、もともと私は慰めはいらないのです。
親類縁者、友人知己が私を慰めようと月並みな言葉をかけてくれますが、そのたびに「この悲しみをいつまでも持ち続けていくのは俺の望むところだ。放っておいてくれ!」と思っています。
この本を読んで私は、そうか、城山さんも子供のように悲しみ続けたんだと思って、大きな共感を覚えました。
そういう意味で、たしかに「慰め」にはなりませんでしたが、これ以上はないほどの「励まし」にはなりました。 よい本を教えてくださって、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
ねんきん老人
- エンドレスジャーニーさん からの返信 2018/01/13 22:37:27
- Re: ぐっときた
- 小生も本書を繰り返し読みました。けれどこれを家内に見つけられる
のが気恥ずかしくて、目立たない場所に半ば隠しておきました。
ある時、久しぶりに本書を探したところ美しい花柄のブックカバーが
かかっておりました。 私にはブックカバーの趣味はありません。
彼女は本やカバーの事は一切口にしません。 私もまた。
してみると本書は私から彼女へのラブレターの役を担ってくれた、
そしてカバーは彼女のからの素敵な返事のように思えたのでした。
口に出さなくたって気持は通じます。 貴兄のお気持ちは奥さまに
充分伝わっていたでしょう。 それではまた。
- ねんきん老人さん からの返信 2018/01/16 16:43:42
- 羨望の極みです。
- エンドレスジャーニー様、書き込みありがとうございました。
本に黙ってカバーをかけておかれた奥様のさりげない表現、それを見たのに何も言わないご主人。小説か映画の一シーンのようなご夫婦のありように、城山さんご夫婦の日常が重なって想像されました。
私たち夫婦にはそういう洒落たやりとりはなく、お互いに相手の鈍感さを嘆きながらの45年間だったと思います。
どうか奥様を大切になさってください。私のように後悔しない為にも。(縁起でもないとご立腹かと思いますが、私は妻の身体の異変に気づかず手遅れになってしまいましたので、同じ過ちはどなたにも犯してもらいたくないのです。ご容赦ください)
ねんきん老人
-
- 梅の忍者さん 2017/11/07 15:52:10
- つらい旅ですね
- 奥さんを亡くされての旅、つらい感じが伝わってきます。
当方も12年前に妻を亡くし、その5年後にアメリカ大陸を横断したのですが
ねんきん老人さんみたいな気持ちで旅していました。
車の中では大声でわめいたり、涙したり
食事、テント等ではわびしかったり
何で家内が先に行ったのか。不条理でなりませんでした。
ねんきん老人さんは幸いに旅をされます。
これは一人になった者に対する癒しにもなると思っています。
旅先で奥さんに対する思いを思いっきり発散してください。
- ねんきん老人さん からの返信 2017/11/07 18:15:44
- 自分の小ささに恥じ入るばかりです。
- アメリカ大陸横断とは、あのルート66の旅のことでしょうか?
私の子供のころにルート66という題名であったか不確かですが、アメリカのTV番組が放映されており、リーゼントヘアーの若者がかっこよくて夢中で見た覚えがあります。
そのルート66をご自分で旅されたということで、驚嘆と羨望を覚えながら梅の忍者さんの旅行記を拝読したのですが、うかつにも奥様を亡くされての旅であることは、今日まで知りませんでした。
たぶん旅行記の中にはそのことが書かれていなかったか、書かれていたとしてもさらっと数行で触れられていたのだと思います。(あとで読み返してみます)
それに比べると、私の駄文は、泣き言と愚痴のオンパレードで、梅の忍者さんのスケールの大きさとは大違い。 いい歳をして見っともないことであったと忸怩たる思いです。
車の中で大声を出したり泣いたり、テントの中でわびしい思いをされたり、その思いがひしひしと伝わってきます。
12年前ということは、奥様はお若いうちに亡くなられたのだと思いますが、いったい神仏は何を基準に人の寿命を決めているのだろうと、またしても恨みごとを言いたくなります。
私は、自分が悲しいとか寂しいとか、家事や買い物に苦労しているとか、そんなことはどうでもいいのです。 まだまだ残っていた筈の人生を断ち切られてしまった妻の可哀想さに比べれば、私のことなどなんということもありません。
今、私は妻を連れて(いるつもりで)旅に出ようかどうか、おおいに迷っています。
妻も旅行が好きでしたので、まだ行っていない所にどんどん連れていきたいという思いと、妻が行けずに終わってしまった所に、私ばかりがのうのうと行っては妻に済まないという気持ちとが整理できないのです。
遍路の旅行記にも何度も書きましたが、遺骨と写真を携えていても、実際には妻は何も分からないのではないかという思いが常に私を苦しめました。
「奥さんは一緒に行けて喜んでいるよ」という周囲の慰めにも、そんなことはないだろうという気持ちが先にたってしまい、素直に感謝できずにいます。
まったく梅の忍者さんの仰るとおり、妻が私よりずっと短い年月しか生きられなかったという「不条理」を受け入れることは今後もできないと思いますが、その不条理の中で自分がどうすべきかは、とことん考えていかなければいけないと思っています。
同じ不条理の中でアメリカ大陸横断という大きなことを成し遂げられた方からの書き込みを無駄にしないよう、考え続けていこうと思います。
本当にありがとうございました。
- 梅の忍者さん からの返信 2017/11/08 17:03:49
- RE: 自分の小ささに恥じ入るばかりです。
- > アメリカ大陸横断とは、あのルート66の旅のことでしょうか?
> 私の子供のころにルート66という題名であったか不確かですが、アメリカのTV番組が放映されており、リーゼントヘアーの若者がかっこよくて夢中で見た覚えがあります。
> そのルート66をご自分で旅されたということで、驚嘆と羨望を覚えながら梅の忍者さんの旅行記を拝読したのですが、うかつにも奥様を亡くされての旅であることは、今日まで知りませんでした。
> たぶん旅行記の中にはそのことが書かれていなかったか、書かれていたとしてもさらっと数行で触れられていたのだと思います。(あとで読み返してみます)
> それに比べると、私の駄文は、泣き言と愚痴のオンパレードで、梅の忍者さんのスケールの大きさとは大違い。 いい歳をして見っともないことであったと忸怩たる思いです。
> 車の中で大声を出したり泣いたり、テントの中でわびしい思いをされたり、その思いがひしひしと伝わってきます。
> 12年前ということは、奥様はお若いうちに亡くなられたのだと思いますが、いったい神仏は何を基準に人の寿命を決めているのだろうと、またしても恨みごとを言いたくなります。
> 私は、自分が悲しいとか寂しいとか、家事や買い物に苦労しているとか、そんなことはどうでもいいのです。 まだまだ残っていた筈の人生を断ち切られてしまった妻の可哀想さに比べれば、私のことなどなんということもありません。
> 今、私は妻を連れて(いるつもりで)旅に出ようかどうか、おおいに迷っています。
> 妻も旅行が好きでしたので、まだ行っていない所にどんどん連れていきたいという思いと、妻が行けずに終わってしまった所に、私ばかりがのうのうと行っては妻に済まないという気持ちとが整理できないのです。
> 遍路の旅行記にも何度も書きましたが、遺骨と写真を携えていても、実際には妻は何も分からないのではないかという思いが常に私を苦しめました。
> 「奥さんは一緒に行けて喜んでいるよ」という周囲の慰めにも、そんなことはないだろうという気持ちが先にたってしまい、素直に感謝できずにいます。
>
> まったく梅の忍者さんの仰るとおり、妻が私よりずっと短い年月しか生きられなかったという「不条理」を受け入れることは今後もできないと思いますが、その不条理の中で自分がどうすべきかは、とことん考えていかなければいけないと思っています。
> 同じ不条理の中でアメリカ大陸横断という大きなことを成し遂げられた方からの書き込みを無駄にしないよう、考え続けていこうと思います。
> 本当にありがとうございました。
小ささに恥じるなんてとんでもないですよ。
私だって家内が亡くなって定年までの5年間は家内と約束していた
USAのR66の事だけを考えて仕事をしていた?様なものです。
旅行時は家内の写真を助手席にくくり付けて走りました。
さらに2年後私が肺がんと宣告された時もスイスに二人でもう一度行きたいと
言っていた所に即刻行く事にしましたよ。
5日後肺がんでないと判明した時はホットすると同時に仕事はしない。
旅行をすると決意した次第です。
大きな旅行する時は家内の写真を持って行きます。
家内にも見せたいと思うからです。
- ねんきん老人さん からの返信 2017/11/08 17:44:40
- やっぱり旅に出ようかという気も・・・。
-
重ねてありがとうございます。
助手席に奥様の写真をくくりつけておられたとのこと、まったく同じで、遍路のときはもちろん、その後に行った恐山にも助手席に妻の写真を前向きに置いてありましたし、車中泊とか宿の部屋で夕食をとるときは、いつも妻の写真を向かい側に立てていました。
景色の良い所では写真を出してその景色に向けて、妻に話しかけていました。ただ、返事がないので、その度に涙が溢れてしまい、周囲の人に見られぬよう、そそくさと場所を変えたりもしていました。
妻が元気なときには、「今度」どこそこに行こうね、とか「そのうち」どこそこに連れて行くからね、とか散々言っていたのに、まさか妻が死ぬなどとは思いもしなかったために、実現しないままに終ってしまった所が沢山あります。
梅の忍者さんが奥様との約束を果たすためにアメリカやスイスにお出かけになったのとは大違いですが、私もささやかながら安芸の宮島とか福井の永平寺とか、妻の写真と一緒に行ってみようかなという気持ちが起こってきました。
行ってみようかなというより、行かなければいけないという気持ちです。
そういう気にさせてくださった書き込みに改めてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
ねんきん老人
-
- sanaboさん 2017/11/01 22:51:43
- お二人のお遍路
- ねんきん老人さん、こんばんは
奥様が旅立たれてから約半年が経過しましたね。
半年などという歳月は、最愛の人を見送られたねんきん老人さんにとっては、その悲しみが和らぐにはあまりにも短い時間に過ぎないことでしょう。
コミュニティのお仕事やお付き合いも今まで通り気丈になさっていらっしゃるご様子で、お気持ちをお察し申し上げます。
どうかご無理をなさらず、お気持ちを抑えすぎることのありませんように…。
お二人で出かけられたお遍路では、奥様に絶えず語りかけるねんきん老人さんのお気持ちに嬉しく思われたことでしょう。 お遍路さんの道中だけでなく、日々奥様はねんきん老人さんのそばにいらっしゃいますよ。 決して奥様はお寂しくはないはずです。 そしてねんきん老人さんのことを絶えずご心配されていらっしゃることでしょう、たくさんの感謝の気持ちとともに…。
寒さが増してきましたので、お風邪などひかれませんように
くれぐれもご自愛下さいませ。
sanabo
- ねんきん老人さん からの返信 2017/11/02 09:37:15
- 妻がそばにいる・・・、勇気づけられます。
- sanabo さん、おはようございます。
仰るとおり、半年というのはあっという間で、今でも周りに人がいないときは、自分でも呆れるぐらい涙がでます。
妻がそばにいると仰っていただいて、どれほど勇気づけられたことでしょう。 私は毎日、いくら話しかけても返事をせず、いくら美味しそうな果物を上げても食べてくれない妻に、もう一人で旅に出てしまったのかと思ったりしています。さぞかし心細いだろうなと思います。
そういうときは、早く妻のそばに行って、妻が寂しくないようにしてやりたいと、そればかり思います。
でも、妻がそばにいるなら、妻をがっかりさせないためにもしっかりしなければと思います。妻が好きだった旅行にも行って、妻を喜ばせたいとも思います。
そばにいるのかいないのか、毎日煩悶していますが、sanabo さんのお言葉で、そうかなという気持ちがまたしてきました。
ありがとうございました。 今日は半年ぶりに庭の草むしりをしてみようと思います。
ねんきん老人
- sanaboさん からの返信 2017/11/02 12:59:02
- RE: 妻がそばにいる・・・、勇気づけられます。
- ねんきん老人さん、こんにちは
ご返信、ありがとうございました。
> 妻がそばにいると仰っていただいて、どれほど勇気づけられたことでしょう。 私は毎日、いくら話しかけても返事をせず、いくら美味しそうな果物を上げても食べてくれない妻に、もう一人で旅に出てしまったのかと思ったりしています。さぞかし心細いだろうなと思います。
私は無宗教の無信心者ですが、(生前よほどの悪行を積み重ねた人でない限り)亡くなられた方は天国にいらっしゃると思っています。 もちろん、ねんきん老人さんの奥様も先に旅立たれたご両親様やお知り合いの方々と天国でお会いになり、今は心安らかでいらっしゃると信じております。
そして地上にいる方が名前を呼ぶと、瞬時に魂が天国から地上に舞い降りてくると聞いたことがあり、そのことも信じています。 ですから、毎日のように奥様のことを思われ話しかけられているねんきん老人さんのお隣には、いつも奥様の魂が付き添っていらっしゃると思うのです。 姿が見えないだけで、今でも奥様はねんきん老人さんとご一緒にいらっしゃるはずです。
> でも、妻がそばにいるなら、妻をがっかりさせないためにもしっかりしなければと思います。妻が好きだった旅行にも行って、妻を喜ばせたいとも思います。
そうですね。 奥様を安心させて差し上げることが、一番の供養になるのかもしれませんね。
> 今日は半年ぶりに庭の草むしりをしてみようと思います。
半年、お庭がそのままだったのですね。
お庭にお好きなお花を植えられ楽しまれてらした奥様は、ねんきん老人さんが草むしりをなさったらさぞお喜びになることでしょう。 何よりのご供養ですね。
そのように新たな一歩を踏み出すことが、悲しみや寂しさから立ち上がる一歩となりますよう、心より願っております。
sanabo
- ねんきん老人さん からの返信 2017/11/02 15:59:05
- 重ね重ね、ありがとうございます。
- sanabo さん、わざわざの折り返し書き込み、ありがとうございました。
私も無宗教ですが、仏教の教えには共感を覚えることが多くあります。 もっとも、その多くは釈迦そのものの教えではなく、釈迦入滅後、少しずつ加えられてきたものであり、もっともらしい作り事でしかない内容にシラけてしまうのも事実です。
ですから、薄っぺらな勉強の中で、自分の心に響く部分だけをよりどころにしているのですが、その中で、人は死ぬと西のかなた十万億土の距離にある浄土を目指してたった一人で旅をするのだという話は、誰かの作り話だとは思いながらも、そうかもしれないという思いを抱いています。
ですから、妻をそんな心細い旅に送り出す気にはとうていなれず、私が追い付くまで待たせて、一緒に行きたいのです。
妻がまだ出発せずに私のそばにいるなら、心細い思いはしていないだろうと思いますし、十万億土がどんなに遠くても、一緒に行ってやれれば寂しくないと思います。
私は、妻が先に死ぬなどとは夢にも思わなかった時期に、その旅について書いたことがあります。もし、お暇がありましたら、斜め読みでもしていただければ、私の馬鹿げた空想を笑っていただけると思います。
http://zatsunen4989.web.fc2.com/hitorigoto/055_kyuukyokunohitoritabi.html
sanabo さんのお言葉で思い立って庭の草むしりをしたところ、妻がいろいろ植えていた花壇が顔を出しました。
土を掘り返し、ホームセンターで葉牡丹を買ってきて植えました。 「こんなに買ってきて・・・!」という妻の声が聞こえそうですが、それはそれで嬉しいものです。
本当に、ありがとうございました。
ねんきん老人
- sanaboさん からの返信 2017/11/03 21:20:37
- RE: 重ね重ね、ありがとうございます。
- ねんきん老人さん、こんばんは
> http://zatsunen4989.web.fc2.com/hitorigoto/055_kyuukyokunohitoritabi.html
↑こちらのブログを拝読させていただき、ねんきん老人さんのお考えを多少なりとも理解出来たような気がいたします。 約100京光年もの彼方にあるという極楽浄土は、私の思う天国よりも遥か遠くにあるようですね。 人それぞれの信念や考えが異なるのは当然のことですが、奥様を思われるねんきん老人さんのお気持ちがひしひしと伝わってまいりました。
> 土を掘り返し、ホームセンターで葉牡丹を買ってきて植えました。 「こんなに買ってきて・・・!」という妻の声が聞こえそうですが、それはそれで嬉しいものです。
きっと奥様は喜ばれていらっしゃいますね。 春には春夏用のお花を植えてさしあげて下さいね^^
それでは、おやすみなさいませ☆
sanabo
-
- chieko2014さん 2017/10/27 22:56:05
- 何だか泣いてしまいました・・
お久しぶりです。
旅する時は奥様と同行二人だと気休めを言ってしまったと少し後悔もしていました。弘法さまにも、申し訳なかったと・・
遍路巡りは弘法さまよりも奥様と同行されたんですね( ;∀;)
その語り掛けが切なくて涙がポロポロと零れてしまいました・・
生前連れて来れなかったことを余りにも悔いてばかり。今、一緒にいたんですから悔いては駄目ですよと泣きながら私もねんきんさんに声を掛けてしまいました。
周りの人も元気を出してもらいたくて、ねんきんさんには辛い言葉をかけてしまうのでしょう。言葉をかけたく成程、傷付いているのですね。
察するに、ねんきんさんは立派なお友達や経歴もお持ちで現在も地域への貢献もしている人徳者の様子。
皆さんは支えてあげたいのですね。
とりとめのないことを並べてしまいました。
余り悲しまないで・・私のツレは「千の風になって」私を見守ってくれるそうです。奥様もきっと傍にいます。元気を出してください。
chieko2014
- ねんきん老人さん からの返信 2017/10/28 08:57:06
- 優しいお気持、心に沁みました。
- chieko2014さん、お早うございます。
優しいお気持の溢れた書き込みをしてくださり、ありがとうございました。
私は、周囲の人たちに気を使わせぬよう、必要以上に明るく振舞っていますし、コミュニティの仕事も飲み会もこれまでどおりこなしています。
そのくせ、「それだけ元気なら大丈夫だな」と言われたり、どこかで「あの人は連れをなくしたというのに、ケロッとしてるね」と噂されていることを聞いたりすると、「人の気も知らないで!」と腹を立てたりしています。
その反動で、家に帰ると仏壇の前が定位置になってしまい、何をする気も起こりません。
そんな毎日ですが、パソコンで妻の写真を整理したり、4トラベルで皆さんの旅行記を読んだり、自分の旅行記を書いたりしている時間は日毎に増えています。
旅行記を書いているときは、人が目の前にいませんので、演技をする必要もなく、つい弱い自分をそのまま出してしまう傾向があります。
むろん読んでくださる方々にしてみれば、他人の泣き言など読まされてはたまらないということは承知しているのですが・・・。
そんな旅行記なのに、「妻との同行」という自己満足にご理解ある言葉をかけていただき、恥ずかしい気持ちとありがたい気持ちでいっぱいになりました。
あと何編か、今回の旅行について書きたいと思っています。なるべく明るい記事にしたいとは思っておりますので、どうなるかは分かりませんが、懲りずにお付き合いいただければ嬉しい限りです。
「千の風になって」chieko2014さんを守ってくださるという優しいご主人との毎日を謳歌なさってください。
重ねて、ありがとうございました。
ねんきん老人
- akikoさん からの返信 2017/10/29 11:29:53
- Re: 何だか泣いてしまいました・・
- chieko2014さん、ねんきん老人さん、
横入りしてすみません。私もchieko2014さんと全く同じで、思いの込められた語りかけがとてもとても切なくて・・・胸がジーンとしながら読ませていただきました。
ねんきん老人さんは、生前にこうしてあげればよかった、といろいろ後悔されていますが、きっと生前も奥様に優しくされていたんだろうと感じました。
亡くなってからも、こんな風にご主人から思われている奥様はどんなに幸せでなのでしょう。きっと目には見えませんが、奥様はそばにいて、目を細めて喜んでおられることでしょう。
私もそろそろシニアになる年齢で、これからの生活を考えるにあたって、いつも当たり前のようにそばにいる夫をもっと思いやり、大切にしようと思いました。
また、弘法大師や阿波二十三か寺と土佐十六か寺について「ヘェ~ そうだったんだ」と教えてもらうことが数多くありました。奥様とのお話に感動させてもらうだけでなく、お遍路の旅行記としても素晴らしい旅行記だと思いました。
akiko
- ねんきん老人さん からの返信 2017/10/29 13:02:21
- 妻が今もそばにいるとのご教示、ありがとうございました。
- akikoさん、親身になっての書き込み、ありがとうございました。
妻が幸せだったと言っていただいて、救われた思いです。また、妻がそばにいて喜んでいるとのお言葉、こんなに嬉しいことはありません。
いくら話しかけても返事をしてくれない妻・・・もうどこかへ行ってしまったのか? 一人で淋しい思いをしているんではないか?
そういう気持ちばかりが先だってしまい、可哀想だから早くそばに行ってやりたいとさえ思っている今ですが、妻がそばにいてくれるなら、たとえ返事がなくても声掛けを続けていこうという気になってきました。
見ず知らずの年寄りを励ましていただき、「俺の人生もまんざらではないな」と思います。
本当にありがとうございます。
ご主人を大切になさってください。
お気に障ったら謝りますが、私は妻の死で、「人はいつ、どうなるか分からない」という思いを強く持ちました。 妻は人一倍元気で、卓球サークルでも頑張っていましたし、病気らしい病気もしたことがありませんでしたが、ある日腹部に違和感を感じて病院に行ったら、その場で癌であることを告げられ、その11か月後に死にました。
妻が私より先に死ぬなどということは考えたこともなく、妻の喜ぶことはいつでもしてやれると思っていた私のうかつさのために、多くの楽しみを経験することなく死んでしまったわけです。
どうかご主人とも、「そのうち」ではなく、「今」を大切に、充実した毎日をお過ごしになってください。
余計なことを言ってしまいました。お許しください。
ねんきん老人
- chieko2014さん からの返信 2017/10/30 21:37:57
- RE: Re: 何だか泣いてしまいました・・
- > chieko2014さん、ねんきん老人さん、
>
> 横入りしてすみません。私もchieko2014さんと全く同じで、思いの込められた語りかけがとてもとても切なくて・・・胸がジーンとしながら読ませていただきました。
>
> ねんきん老人さんは、生前にこうしてあげればよかった、といろいろ後悔されていますが、きっと生前も奥様に優しくされていたんだろうと感じました。
>
> 亡くなってからも、こんな風にご主人から思われている奥様はどんなに幸せでなのでしょう。きっと目には見えませんが、奥様はそばにいて、目を細めて喜んでおられることでしょう。
>
> 私もそろそろシニアになる年齢で、これからの生活を考えるにあたって、いつも当たり前のようにそばにいる夫をもっと思いやり、大切にしようと思いました。
>
> また、弘法大師や阿波二十三か寺と土佐十六か寺について「ヘェ? そうだったんだ」と教えてもらうことが数多くありました。奥様とのお話に感動させてもらうだけでなく、お遍路の旅行記としても素晴らしい旅行記だと思いました。
>
> akiko
akikoさん、ねんきんさん、こんばんは。
横入り、大歓迎ですよね、ねんきんさん(^_-)-☆
皆さんがご心配されてますよ。
でも、涙の後、続きにお邪魔したらいつものシニカルなねんきんさん節に何だか安心。
少しずつでいいですから、奥様に思いを寄せながらご自分の幸せをお探しくださいませ。
akikoさんもそう思いますよね^^ chieko2014
- ねんきん老人さん からの返信 2017/10/31 09:21:37
- もちろん、嬉しい限りです。
- chieko2014さん、akikoさん、お早うございます。
chieko2014さんの仰るとおり、横入り大歓迎です。
akikoさんがchieko2014さんの書き込みを、他人事としてスルーせず、我が事として受け止めてくださった証拠で、私としても嬉しい限りですし、そうして共感の輪が広がっていくことはすばらしいことだと思います。
それが私ごときの拙稿に関してであることが申し訳ないのですが。
シニカルであることは私の欠点だとは分かっているのですが、あまり紳士的になっても、いつか妻に追いついたときに「変わった」と言われてしまうでしょうから、個人攻撃にならない程度の皮肉や茶化しは大目に見ていただけるのではと、勝手に考えています。
温かく、力強い励まし、本当にありがとうございます。
どうぞこれからも、よろしくお願いいたします。
ねんきん老人
-
- kiyoさん 2017/10/13 22:01:09
- 60代での死は早すぎますね
- ねんきん老人さま、こんばんわ。
先日は私の旅行記に言い値をしていただき、ありがとうございました。
奥様が64歳で…。お悔やみ申し上げます。
私の母は68歳で亡くなったのですが、
平均寿命が80以上の現代において、
あまりに早すぎると思わずにはいられませんでした。
家事や育児から開放され、これからもっと人生を楽しめる。
60代、70代はそんな年だと思うのですが、
人の運命と言うのは、本当に理不尽で残酷ですね。
それでも、ねんきん老人さんの奥様は
たとえ肉体がこの世からなくなってしまったとしても、
その魂は、ねんきん老人さんのそばに
いつも寄り添っていらっしゃるのではないかと思います。
私も母が亡くなった時は、後悔や自己嫌悪に苛まれましたが、
亡くなった方への一番の供養は、
その人のことをいつまでも忘れず、
楽しかったことを思い出してあげることだと聞きました。
これからも、ねんきん老人さんの旅行記を楽しみにしております。
きよ
- kiyoさん からの返信 2017/10/13 22:02:40
- Re: 60代での死は早すぎますね
- すみません。変換ミスしました。
「言い値」ではなく「いいね」です。
確認画面が出ずに、投稿してしまうような
システムに変わってしまっとは知りませんでした。
失礼いたしました。
きよ
- ねんきん老人さん からの返信 2017/10/15 10:19:55
- 忘れない。その一言が妻に届きますように。
- kiyoさん、お早うございます。 丁寧な書き込みをありがとうございました。
妻の供養になればと思って、恐山に行き、昨夜帰ってきました。
お母様が68歳でお亡くなりになった由、他人事とは思えません。私は地域の老人会に入っていますが、メンバーそれぞれがグランドゴルフやカラオケ、バス旅行等で大はしゃぎしているのを見ると、妻にもこういう楽しい時が待っていた筈なのにと恨めしい思いがします。
お母様もあと20年はそういう時を過せた筈なのに・・・。 ちなみにメンバーの最高齢者は94歳で、マイクを持って歌っていますし、体操にも参加しています。
妻の魂が私のそばにいると仰っていただいて、心強く思いました。なにしろ、いくら話しかけても返事をしてくれないので、もしかしたらもう一人で西方浄土への旅に出てしまったのではないかと、気が気ではないのです。毎朝、妻に「まだ行っちゃダメだよ。俺の準備が整ったら一緒に行くんだから、それまで待ってるんだよ」と声を掛けていますが、kiyoさんの仰るように、きっとそばにいて、聞いていますよね。
私は周りの人たちから、「趣味を持って気晴らしをしなさい」とか「あなたは民生委員だの町内会の役員だのといろいろやっているから、気が紛れていいわよね」とか「早く忘れて楽しく生きなさい」とかさんざん言われ、あやうく大声で言い返しそうになったことが何回もあります。
忘れるって、何を忘れるんだ! 誰を忘れるんだ! 世界中の人が忘れたって、俺だけはひとときも忘れない。気晴らしなんていらない。悲しみも苦しみも寂しさもずっと抱き続けていくんだ。
そう思っていました。そんなときにkiyoさんから、一番の供養は忘れないことだと仰っていただいて、やっぱり分かってくれる人もいるんだと、心底嬉しい気持ちになりました。
本当にありがとうございました。
追)変換ミスの件、私もしょっちゅうで、4トラで確認のシステムがなくなったのには困っています。
書いているときは気持ちが先にたっていますので、一語一語確認などしていられませんから。
現にこの返信もエラーメッセージが出ましたので、再送します。前に同じことをしたら、同じ文が二通届いてしまったことがあるので、心配ですが。
- 風 魔さん からの返信 2017/10/19 21:15:43
- Re: 60代での死は早すぎますね
- ねんきん老人さん
こんばんは
旅行記の中で奥様の写真とともに、旅先を廻る場面を拝見しましたが、私の兄も相思相愛のなかでしたので、旅先に相方の写真を出して一緒に来たことを声かけしていました。
また、私も一人暮らしになって間もなく本来は自分が面倒を見てもらう立場なのに、「民生委員」や自治会役員を引き受け、多少は社会に貢献ていることを実感しました。
この辺は、貴殿とまったく同じような境遇を歩んでいますね!
さらに旅行記から思い出したことは、サラリーマン現役時代の永年勤続記念旅行では、妻と一緒に「四国旅行」で高知~香川を廻り、四国八十八か所お遍路さんの一行程を体験しました。
高知城から「はりまや橋」は街中の赤い小さな橋なので、探しましたが地元の人に尋ねましたらすぐに見つかりました。
その後は坂本龍馬・生家~竹林寺~桂浜~大歩危・小歩危~金毘羅さん~栗林公園など、初めての訪問地はすべて目新しいものでした。
昨日は高校の同窓会さらに来週には毎年開催の勤務先OB会(以前には小和田哲男氏の戦国史の講話)など、同窓会がつづいております。
秋は懐旧の時と、前向きの時が流れてゆきます。
またの訪問を!
風 魔
- ねんきん老人さん からの返信 2017/10/20 10:54:59
- 何から何までそっくりで・・・!
- 風魔さん、お早うございます。
静岡県の清水にご在住というだけでお顔もお名前も存じ上げない方が、こうまで私と同じ体験をなさっているのかと、驚きを禁じ得ません。
ただ、私が風魔さんと大きく違い、我ながら情けないと思っていることがあります。
それは、私は同窓会や職場のOB会にまったく出ていないことです。
かつては同窓会にも出ていたのですが、それが同窓生の選挙の票集めだったり、料亭を営む同窓生の客集めだったりということが重なり、さらに出席者の肩書自慢合戦だったりして、だんだんいやになってしまったのです。
また職場についても、私は一応の役職についていましたので、顔を出すと職員が仕事の手を休めて応対するのがいやでした。内心では「この忙しいときに」と思っているかも知れず、先輩面をして仕事の邪魔をする自分が滑稽だったからです。
OB会に出ても、上座に座らされ、酌を受け、その分祝儀を弾まなければならず、胸襟を開いての楽しいひとときというわけにはなかなかいきません。
というわけで、私は今「過去の人間」を宣言し、個人的なつながり以外の人間関係を断っています。
自分では終活の一環とも思っていますが、風魔さんのように積極的な方がいらっしゃることを思うと、かつての行動的な自分が失われている分、妻にも胸を張れない思いはしています。
日本三大がっかり名所の一つ、はりまや橋。地元の人に尋ねたらすぐに見つかったとのお話、思わず笑ってしまいました。 私も観光バスのガイドの言葉に窓外を懸命に見回したものの、見つけられないまま通り過ぎてしまった経験がありますし、その後改めて行ったときに心底がっかりした記憶があります。
愉快なお話、ありがとうございました。
これからも多くの旅行記を楽しませていただきます。
ねんきん老人
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- nimameさん 2017/09/01 08:28:51
- 奥様と一緒の四国八十八か所。
- ねんきん老人さん・・おはようございます。
奥様と一緒に、四国八十八か所回られたんですね・
nimameのチャリ仲間のKさん、今80歳なので数年前ですが70歳は過ぎていたと思います・彼女も四国八十八か所マイクロバス?
10人ぐらいのグループで行った話、良く聞きましたが・・お寺はほとんどが階段で・・
中には行けない人の分もお参りしてくる・
そんな話聞いていましたが、聞くと見るとでは大違い・・のように、ねんきん老人さんの写真見て、ほんと凄い階段ですね・・
足腰丈夫でないと、本堂まで辿りつけませんね!
でも行く場所・行く場所で奥様に話かけて、お二人で歩いているんだわ・・と感じました。
何時もの奥様の笑顔の写真、これが何よりですね(^^)
nimame
- ねんきん老人さん からの返信 2017/09/01 11:28:30
- 本当に一緒だったのか・・・そう思いたいのですが・・・
- nimame さん、おはようございます。
情けない老人の泣き言にお付き合いくださり、その上、書き込みまでしてくださって、ありがとうございます。
妻と一緒に回ったと仰っていただいて、嬉しい気持ちでいっぱいです。
実は旅行中、妻に何を話しても返事がなく、当たり前だとは思いながらも、人は死ぬと何も分からなくなってしまうんだろうなと、妻が可哀想でなりませんでした。
それは今も同じなのですが、nimame さんが、私の駄文を読んで、妻と一緒に歩いていると感じてくださったとのことで、もしかしたら妻は、返事はできないけれど自分が私と一緒に旅していることを分かっていたかも知れないと、思えてきました。
今、妻にnimame さんが書き込みをしてくださったことを話しました。 もちろん周りに誰もいないからで、もし人が今の私の行動を見たら、ジイサン、とうとう狂ったか!と思うことでしょうね。
でも、そんな馬鹿な行動でも、妻に話しかけるのは私しかいませんので、これからもずっと話しかけていきたいと思います。
仰るとおり、遍路はある程度の体力がなければできません。ですからバスやタクシーでお寺の前まで来て、門の所からお参りするということでもいいと思います。大切なのはお参りする気持ちであって、手段ではありませんから。
お金だけは、最低交通費と食費ぐらいはないといけませんし、野宿や車中泊では眠れないという人は宿代も必要になります。
でも私は、体が弱くてもお金がなくても、気持ちさえあれば誰でもできるということが大切だと思います。八十八か所を回れなければ、たとえ1か所でも心を込めて行けばいいと思います。八十八か所をチャラチャラ回るより、努力して1か所を回る方が尊いと思います。
ですから、nimame さんのお友達のKさんがマイクロバスで回られたことは、とても良いことだと思います。
私が拙稿の中で書いた○○KANKO の人たちは、バスを使ったことが悪いのではなく、お寺での行動が不真面目だったので、ほかのお遍路さんたちから顰蹙を買っていたのです。
どうぞ Kさんのお話を沢山聞いて、いつか nimame さんも自転車で回られたらいかがでしょうか?
余計なことを言ってしまいました。
重ねてお礼を申し上げます。 ありがとうございました。
ねんきん老人
-
- MechaGodzillaⅢ&703さん 2017/08/31 16:12:09
- お悔やみ申し上げます。
- ねんきん老人さん こんにちは。
どうしてもメール差し上げたくて・・・。奥様64歳でしたか。ひとことで45年と言ってもその間二人だけのだれにもわからない世界がぎっしりと詰まっていて・・・ねんきん老人さんもさぞガッカリされていることでしょう。ひとりごとを言ってしまうのも仕方ありません。
家でじっとしていることなどできませんね。自問自答をされながら奥様の面影をさがしながらお遍路へ。涙が出てきました。
「神様、妻のどこが悪いのですか? 仏様、妻のどこが気に入らないのですか? なぜ妻にこんなむごい仕打ちをなさるのですか?」
わかりますよ。わたくしも同じ気持ちでした。ねんきん老人さんと同じようにそんなことを思いながら、かつて妻と訪れた旅行地・ホテルを片っ端から訪問して確認していきました。
いつまでもいつまでも奥様のことを思い続けて元気に生活されて下さい。失礼な言葉があったらご容赦ください。それではまたよろしくお願いいたします。
- ねんきん老人さん からの返信 2017/08/31 16:55:48
- 同じ思いをされていらっしゃったとは・・・。
- MechaGodzilla?&703 さん、まとまりのない拙稿を深くお読みくださって、ありがとうございます。
なんと、奥様を亡くされていたのですか・・・。
人間は、生きている間は自分の意思であれこれ決められるのに、生まれるときと死ぬときは自分の意思とは関係のない、もしかしたら神か仏かの意思で決められてしまうのですね。
私もMechaGodzilla さんと同じく、かつて妻と行った所をもう一度しっかり見たいという気持ちがあって、四国遍路の帰りは和歌山・奈良・愛知・静岡に寄り道しながら帰りました。
「お母さん、ここだったねえ」「お母さん、あのときと同じだねえ」と聞こえない妻に話しかけながら、辛い旅をしました。
妻に「今度連れて行くから」と約束していた場所も回りました。
「お母さん、見える?」と、そればかりを聞いていました。
かつて旅がこんなに悲しいものだなどとは考えもしませんでしたが、悲しくても辛くても、妻が行ったことのない所に妻を連れて行きたいと思っています。
MechaGodzilla さんが同じ思いでかつて奥様と行かれた場所やホテルを回られていたことを伺い、私も妻との思い出をたどる旅をもっとしたくなりました。
そのためには自分がしっかりしていなければいけないという気にもなりました。
今さら妻を喜ばせることができるかどうかは分かりませんが、何もしないでいてはなおさら妻も喜ばないと思いますので、頑張ってみたいと思います。
本当にありがとうございました。奥様も、御主人が奥様との思い出旅行をなさったことを喜んでいらっしゃることと思いますので、さらに奥様の行かれていない所への旅行も続けられるよう祈っております。
ねんきん老人
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