2017/05/22 - 2017/05/22
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motogenさん
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さて次はどこに行こうか・・・と、アリヤンさんの旅行記を読み返した。
「ヒーワンからの眺めは、また、格別!」
という記事があった。
ヒーワンは「歩き方」や「観光地図」にも載っていない、観光客からは見放された場所らしい。
片道6km。
これはいい!
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- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
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-
マップで調べると、ビューポイントへ行く北の道を、途中で左折すれば行けるらしい。
-
ステッキを持ち、ナップを背負い、張り切って出発した。
崖の上に教会を見つける。
バナウェイの教会は小屋のように粗末だ。
しかし権威ある大聖堂より好きだ。
ここでも日曜日には音楽会が開かれるのだろう。 -
廃バス(?)の上で遊ぶ子どもたちも、都会の小奇麗な子どもより好きだ。
このバスにはBATADの文字がある。 -
渓谷にしがみつき、今には落下しそうな住居も好きだ。
-
好きなものを見つけながら、テクテクと歩いていくと、、、
左折する道があった。 -
その道を登っていくと、、、
樹木の枝に黒い物体が潜んでいる。
サル?
忍者?
じっと見つめれば、頭に布きれを巻いたいたずら小僧だった。 -
輝く空と、シルエットに浮かぶ山並みが美しい。
その山々の向こう側に、ミルクのような白い雲が、もやもやと動きながら沈殿している。 -
向こう側には、激しい雨が降っているのではなかろうか。
雲があふれて山を越え、こちら側に移動してこないうちに、今日の目的を達成しよう。 -
歩く人のいない山道で、散歩している男に出会った。
ヒーワンはこの先2kmだと教えてくれる。
「一人暮らしだから、帰りに家に寄って、コーヒーを飲んでいかないか・・」
と誘ってくれた。
帰り道が楽しみになった。 -
歩く人はいないけど、ジプニーはよく通る。
車内からあふれて屋根に上がっている人、後部にしがみつく人を乗せて、坂道を登っていく。 -
「SOLANO」の札を付けたジプニーが下っていく。
ジプニーフの大半はSOLANO行きだけど、SOLANOってどこだろう? -
次は「BANAUE-BAYOMBONG」と書かれたジプニーだ。
BAYOMBONGは、この先にある町なんだろう。
ジプニーペの往来を見ると、この道路は重要な交通網の一部だ。 -
バスまでが通過していく。
-
樹木の隙間から、谷の向こう側に一列に並ぶ集落が見えた。
もしかしたら、あれがヒーワンか?
しかしそれは間違いで、バナウェイのビューポイント付近の道路だった。 -
2kmと言われたが、ヒーワンはまだまだ遠かった。
山の中に、小型の馬がつながれていた。
ひもが絡んで動ける範囲が狭くなっている。
可愛そうに・・・
人はいないのかと周囲を探すと、 -
山の上に集落があった。
これぞ、ヒーワンに違いない。 -
汗をぬぐいながら歩くと、ヒーワン村への右折する道が見えてきた。
-
右折すると、どこから現れたのか、目の前を人が歩いていて、、
-
その人について行くと、集落が現れた。
-
「日本人かね?」
人の良さそうな男性が声をかけてくれた。
「昔、この辺りにも日本の兵隊が来て、戦争で死ん村の人もいる・・・」
と話しだした。
ギクリとする。
「日本人が、迷惑をかけてしまって・・・」
「それは昔のことだ。今はフィリピンと日本は仲良しだ・・・」
この人には、戦争は遠い過去の、昔話の出来事になっているようで安心した。 -
「家には日本の物がたくさんある。ホンダ・・ソニー・・ミツビシ・・」
「村の若者には、日本に働きに行っている者もいる・・・ 」
話してみれば、日本びいきのおじさんだった。 -
たくさんの犬が走り寄ってきた。
ギョッとして足を止める。
「ウチの犬だ。みんな気がいいから、大丈夫だ。」
フィリピンでは珍しく、一匹一匹に名前もある。
「これがオレの家だから、帰りに寄って行ってくれ。美味いコーヒーをごちそうするよ・・」
又してもコーヒーに誘われてしまった。
ありがたし、ありがたし。 -
それを見ていた村人たちも、親しげに声をかけてくれる。
マカロニ・ウエスタンの悪人風の姿が魅力的で、写真を撮らせてもらう。
無法のガンマンみたいだが、おとなしい人だった。
見かけによらず、優しい人ばかりだ。 -
「村の奥に△△△がある・・・」
とみんなが言うので、その道を進んでみると、、、 -
石像や木彫りの民芸品を集めた小屋があった。
凄いものだ・・・・
回りをぐるくる回って観察を続けるが、、、 -
その奥には、さらに価値のありそうな草葺きの伝統家屋が建っている。
-
男がぼんやり腰掛けていたが、怪しい雰囲気があって怖そうだ。
そっと近寄っていくと、無表情な顔がぱっと明るくなり、
「見ていくかい?」
と、はしごを上って扉の鍵を開けてくれた。 -
軒下にはたくさんの動物の骸骨が飾られている。
ネコ科の肉食獣、げっ歯類、猿、イノシシ、牛、馬・・・・ -
頭蓋骨に興味があって、標本作りをしたことのある私には、宝の山に見える。
男が言うには、この村の先祖たちが狩りをした獲物だ。
この頭蓋骨の多さが、男の強さを表わしている。 -
家屋の正面に回ると、そこには人の頭蓋骨までもが飾られていた。
火葬され、スカスカになったものではない。
DNAまでもが残っているような、ズッシリした頭蓋骨だ。
黄ばんだり、虫歯になっている歯が、そのまま付いていて、生々しい。
この家の先祖だ。
先祖が悪魔や災いから、子孫を守っているということなのか? -
「はしごを登って、中を見てみろ・・」と言われる。
暗闇に目が慣れるに従って、度肝を抜かれた。 -
こけしやモアイに似た木の彫り物、ミイラのような物体、お面、壷、槍、木槌、、、、
アメリカの砂漠に降り立った、頭でっかちの宇宙人風の木像もある。
もう何が何だか分らない。 -
まるで「水木しげる」の世界だ。
水木しげるが戦争の中で、ニューギニアのジャングルで出会った原住民の世界だ。 -
狭い空間に、まか不思議な霊気が渦巻いている。
精霊なんてものは信じないが、もしや・・・などと思ってしまう雰囲気がある。 -
「奥まで入ってみろ・・」
「日本軍が置いていった物もあるぞ!」
外からそんな声が聞こえてきた。
錆びついた銃らしきものが見つかった。
鉄かぶとや手榴弾らしきものもあった。 -
ここは、いったい、何だ?
骨董品を集めてある、小さな博物館なのか・・・ -
しかし説明や解説は何もない。
整理もされていない。
ただ集めてあるだけのように見える。 -
外に出た。
先祖の骸骨を、じっと見つめる。
うちの父親や母親も、こうして家に飾って、いつも一緒にいてやれば良かったか・・・ -
一段上の山頂にも、伝統家屋の建物があった。
ここには人が暮らしている。
お母さんと女の子の姿があり、部屋の中には生活用具がつまっていた。 -
その先にビューポインとなる丘があった。
-
みごとな景色に、発する言葉もない。
この大きさ、立体感はとても写真には納まらない。
パノラマモードにして撮ってみる。
これがその画像の左半分で、 -
右半分がこれだ。
今回の旅の中で、間違いなく最高の景色だ。 -
西方には幅広い谷間が伸び、点々と集落が散らばっている。
この優雅な起伏は、どんな大地の活動で造れてきたのだろう?
人間の範疇にはない長い長い時の流れの中での出来事だ。
大地の隆起し、波を打ち、紫外線や空気に犯され、水や風に削られ、崩壊し・・・・
そんな大地の物語を空想していると、、 -
またたく間に時は過ぎ、腹の虫が鳴りだした。
弁当やおやつをたっぷり持って来ればよかった・・・と思った。
この景色を眺めていれば、一日中見ていても飽きこることはない。 -
アリヤンさんに感謝!
本当にここは、人知れぬ、天国のような土地です。
この景色に身を置いていれば、世俗の欲望や煩悩が、なんとちっぽけで、たわいのないものだ思うのです。
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