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ロシアからポーランド滞在の週末を乗り継ぎのドイツで過ごし、世界遺産巡りをした。サンクトペテルブルクを早朝に出発、2時間の時差のおかげでフランクフルトに7:30に到着、例によって空港のDB駅でチケットを購入した。2日間ではジャーマンレールパスなどを購入するメリットはないが、今回窓口でBahnCardの購入を勧められた。これは25ユーロを払えばすべてのチケットが25%引きになるというもので、4ヶ月有効期間がある。2日間のフランクフルト→エッセン→アーヘン→ケルン→ボン→フランクフルトの行程でもトータル190ユーロが142.5ユーロになり47.5ユーロのメリットが出る。2~3日のドイツ国内旅行をされる方にはお勧めできる。<br /><br />さて、エッセン市内にあるユネスコ世界遺産の「世界で最も美しい」と言われたツォルフェライン炭鉱跡であるが、恐らくはドイツの世界遺産巡りに願掛けをした方か、技術者として訪れる方か、バウハウス建築様式を学んでいる方以外には訪れる価値を見出すことは難しいかもしれない。少々お堅いドイツ流の産業遺産であるからだ。フランクフルト空港駅からICEで2時間弱、エッセン駅からは地下にあるトラムの駅から約20分、ツォルフェライン駅の目の前に第12採掘工が見える。<br /><br />ルール地方がドイツの重工業の心臓部であることは小学校で習った。ルール地方の中心都市エッセン市ツォルフェラインでの炭鉱業は1847年に開始、ドイツ関税同盟(ツォルフェライン)にちなんで名づけられた。採炭は1851年から1986年まで行われ、ルール地方での石炭採掘の中心地であった。当時ツォルフェライン炭鉱とコークス工場はヨーロッパ最大のものであった。1932年に開かれたバウハウス様式の第12採掘坑は、建築上からも技術上からも傑作と評価されているという。<br /><br />ナチスドイツの時代になって、ヒットラーも軍需産業拠点として重要視し国家投資を盛んに行い、ここツォルフェラインを訪れた写真が展示されている。第二次世界大戦による被害は少なく、冷戦時代に入って、西ヨーロッパの重工業の中心として急速に復興した。しかしその後、鉄鋼業、石炭産業は徐々に衰退し、1986年に操業を停止した。操業停止後は州が跡地を購入、全体を産業遺産として2001年にユネスコの世界遺産に登録された。そしてノーマン・フォスターなど著名な建築家によりヨーロッパ産業遺産保存のモデルとして整備されている。<br /><br />場内は広大で、A)採掘坑⑫、B)採掘坑①②⑧、C)コークス工場、の3つのエリアに分かれており、最も重要な立坑⑫と既存工場を活用したルール博物館を訪れた。お堅い内容で、技術屋の私にもこのエリアを見て回るだけで、かなりの忍耐が必要である。もともと「炭鉱」と「美しさ」は全く相反する概念であるが、一部の建物では設計者の美的感覚に納得させられることが非常に新鮮であった。蛇足であるが、鉄道の引込み線が縦横に走っており、先月訪れたばかりのアウシュヴィッツ、ビルケナウ強制収容所を思い出してしまうのはいたし方がないことである。<br /><br />この後、急ぎエッセン駅に戻り、カール大帝の町アーヘンに向かう。炭鉱とは対極にある建築、アーヘン大聖堂を訪れるため、直行のレギオナル・バーンを捕まえなくてはいけない。

ドイツの世界遺産No.12:エッセンの「世界一美しい」ツォルフェライン炭鉱跡(改訂版)

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2012/07/14 - 2012/07/16

9位(同エリア54件中)

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ハンク

ハンクさん

ロシアからポーランド滞在の週末を乗り継ぎのドイツで過ごし、世界遺産巡りをした。サンクトペテルブルクを早朝に出発、2時間の時差のおかげでフランクフルトに7:30に到着、例によって空港のDB駅でチケットを購入した。2日間ではジャーマンレールパスなどを購入するメリットはないが、今回窓口でBahnCardの購入を勧められた。これは25ユーロを払えばすべてのチケットが25%引きになるというもので、4ヶ月有効期間がある。2日間のフランクフルト→エッセン→アーヘン→ケルン→ボン→フランクフルトの行程でもトータル190ユーロが142.5ユーロになり47.5ユーロのメリットが出る。2~3日のドイツ国内旅行をされる方にはお勧めできる。

さて、エッセン市内にあるユネスコ世界遺産の「世界で最も美しい」と言われたツォルフェライン炭鉱跡であるが、恐らくはドイツの世界遺産巡りに願掛けをした方か、技術者として訪れる方か、バウハウス建築様式を学んでいる方以外には訪れる価値を見出すことは難しいかもしれない。少々お堅いドイツ流の産業遺産であるからだ。フランクフルト空港駅からICEで2時間弱、エッセン駅からは地下にあるトラムの駅から約20分、ツォルフェライン駅の目の前に第12採掘工が見える。

ルール地方がドイツの重工業の心臓部であることは小学校で習った。ルール地方の中心都市エッセン市ツォルフェラインでの炭鉱業は1847年に開始、ドイツ関税同盟(ツォルフェライン)にちなんで名づけられた。採炭は1851年から1986年まで行われ、ルール地方での石炭採掘の中心地であった。当時ツォルフェライン炭鉱とコークス工場はヨーロッパ最大のものであった。1932年に開かれたバウハウス様式の第12採掘坑は、建築上からも技術上からも傑作と評価されているという。

ナチスドイツの時代になって、ヒットラーも軍需産業拠点として重要視し国家投資を盛んに行い、ここツォルフェラインを訪れた写真が展示されている。第二次世界大戦による被害は少なく、冷戦時代に入って、西ヨーロッパの重工業の中心として急速に復興した。しかしその後、鉄鋼業、石炭産業は徐々に衰退し、1986年に操業を停止した。操業停止後は州が跡地を購入、全体を産業遺産として2001年にユネスコの世界遺産に登録された。そしてノーマン・フォスターなど著名な建築家によりヨーロッパ産業遺産保存のモデルとして整備されている。

場内は広大で、A)採掘坑⑫、B)採掘坑①②⑧、C)コークス工場、の3つのエリアに分かれており、最も重要な立坑⑫と既存工場を活用したルール博物館を訪れた。お堅い内容で、技術屋の私にもこのエリアを見て回るだけで、かなりの忍耐が必要である。もともと「炭鉱」と「美しさ」は全く相反する概念であるが、一部の建物では設計者の美的感覚に納得させられることが非常に新鮮であった。蛇足であるが、鉄道の引込み線が縦横に走っており、先月訪れたばかりのアウシュヴィッツ、ビルケナウ強制収容所を思い出してしまうのはいたし方がないことである。

この後、急ぎエッセン駅に戻り、カール大帝の町アーヘンに向かう。炭鉱とは対極にある建築、アーヘン大聖堂を訪れるため、直行のレギオナル・バーンを捕まえなくてはいけない。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
ホテル
4.5
交通
4.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
10万円 - 15万円
交通手段
鉄道 徒歩 飛行機
航空会社
ルフトハンザドイツ航空
旅行の手配内容
個別手配
  • フランクフルト空港駅のICE、エッセン駅まで約2時間

    フランクフルト空港駅のICE、エッセン駅まで約2時間

  • エッセン中央駅からツォルフェライン駅までトラムで約20分

    エッセン中央駅からツォルフェライン駅までトラムで約20分

  • ツォルフェライン炭鉱の第12採掘坑、バウハウス建築の流れを受けた設計

    イチオシ

    ツォルフェライン炭鉱の第12採掘坑、バウハウス建築の流れを受けた設計

  • ツォルフェライン炭鉱の第12採掘坑の近景

    ツォルフェライン炭鉱の第12採掘坑の近景

  • ツォルフェライン炭鉱建屋を改造したデザイン博物館

    イチオシ

    ツォルフェライン炭鉱建屋を改造したデザイン博物館

  • ツォルフェライン炭鉱の保存された設備<br />

    ツォルフェライン炭鉱の保存された設備

  • ツォルフェライン炭鉱を見学するグループの一行

    ツォルフェライン炭鉱を見学するグループの一行

  • ツォルフェライン炭鉱の第12採掘坑の建屋は美的に配慮されている

    ツォルフェライン炭鉱の第12採掘坑の建屋は美的に配慮されている

  • ツォルフェライン炭鉱のコンベアも美的に配慮されている

    ツォルフェライン炭鉱のコンベアも美的に配慮されている

  • 既設建屋を改造したルール博物館の入り口

    既設建屋を改造したルール博物館の入り口

  • ルール博物館の入り口のエレベータ

    ルール博物館の入り口のエレベータ

  • ルール博物館の環境配慮に関する展示

    ルール博物館の環境配慮に関する展示

  • 黒い黄金、すなわち石炭、ツォルフェラインの石炭は密度が高く高品質の瀝青炭

    黒い黄金、すなわち石炭、ツォルフェラインの石炭は密度が高く高品質の瀝青炭

  • マンモスの化石の展示

    マンモスの化石の展示

  • 哺乳類の化石の展示

    哺乳類の化石の展示

  • マリエンタール修道院の聖体顕示台

    マリエンタール修道院の聖体顕示台

  • ルール博物館に保存された設備

    ルール博物館に保存された設備

  • 1750−1830年の歴史的展示

    1750−1830年の歴史的展示

  • ナチスドイツの関与を示す展示

    ナチスドイツの関与を示す展示

  • 軍需産業の重要拠点としてヒットラーもここを訪れた

    軍需産業の重要拠点としてヒットラーもここを訪れた

  • 工業都市エッセンの駅前には技術学校がある

    工業都市エッセンの駅前には技術学校がある

  • エッセン中央駅

    エッセン中央駅

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この旅行記へのコメント (4)

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  • さなぁさん 2012/07/22 23:46:40
    ドイツの世界遺産
    ドイツの世界遺産・エッセンなつかしく拝見させていただきました!
    良い季節で、お天気もいいと、とても美しいですね。しかし、この良さはハンクさんの言うように、ノイシュヴァンシュタイン城のように、万人受けではないかもしれないですね。
    Bahncardは2日程度でも元を取れるのには驚きました。DBはいろいろ調べると安く使えることが多くあるので、情報があればまた旅行記で教えてください!

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2012/07/29 23:28:51
    RE: ドイツの世界遺産
    さなぁさん、こんばんは

    まだサンクトペテルブルクに滞在中で、来週やっと帰国する予定です。日本の暑さのニュースをテレビで見ていますが、耐え難い暑さですか?

    ドイツにいらっしゃったそうですが、ツォルフェラインまで行かれているのですね。どちらにお住まいだったのですか?私にとって旅といえばドイツに始まりドイツに終わる、そんなところです。ヨーロッパ出張の合間に世界遺産をひとつずつ訪れていくつもりです。もちろんコンサートも。

    この週末は夜行列車でヤロスラーヴリを往復してきました。旅行記を書き続けることもなかなか大変ですが、ロシアのいいところ、よくないところも忘れないように記録しておきたいと思います。さなぁさんの見られたロシア、楽しみにしています。

    それではまた、お休みなさい。ハンク

    さなぁ

    さなぁさん からの返信 2012/08/03 22:15:44
    RE: RE: ドイツの世界遺産
    ハンクさん、こんにちは
    日本にお戻りですか?とても暑いでしょう。この暑さは東南アジアかと思ってしまいます・・・

    ドイツはツォルフェラインのあるエッセンにも近く、デュイスブルグという街の近くの田舎町にいました。
    またいつか旅行記で紹介できればと思っています。

    ちょっとずつ、ロシアも投稿していきます。。。

    それでは、また!

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2012/10/29 01:03:44
    RE: ドイツの世界遺産
    さなぁさん、お久しぶりです。

    10年振りにベルリンを訪問してベルリンフィルと国立歌劇場に行ってきました。よろしければご覧になってください。

    ドイツの世界遺産も5カ所巡ってきましたが、おいおい投稿していきたいと思っています。

    またさなぁさんの旅行記を楽しみにしています。

    ハンク

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