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ドイツの世界遺産ツォルフェライン炭鉱跡、アーヘン大聖堂に続いて、ケルンで1泊した後、ケルン中央駅からREで約15分の距離にあるブリュールのアウグストゥスブルク城と付属のファルケンルスト城を訪れた。ドイツで14ヶ所目の世界遺産になる。<br /><br />ドイツの世界遺産はこれまでドレスデンのエルベ渓谷が抹消されて33ヵ所あるものと思ってきたが、先日調べてみるとバイロイトの祝祭劇場など新たに3ヶ所が加わって36ヶ所になっていた。札所巡りのつもりで始めたドイツ世界遺産巡りのゴールはかなり遠のいた訳である。いや、その分楽しみも続く、と考えるべきか、、、。<br /><br />小生は「晴れ男」を自称してきたが、先月のポーランド、今回のドイツ旅行はいずれも雨にたたられた。特にアウグストゥスブルク城とファルケンルスト城の間には約2kmの距離があり、瑞々しい新緑の中を軽快に闊歩するつもりだった。ところがこれが可能なのは晴れた日のことで、時折強く振る雨の中では周囲の緑を楽しむ余裕などない。またこの小道には雨宿りをする場所すらないのだ。小さな折りたたみ傘を斜め前方に傾けて、パスポートとカメラだけは濡らさないように抱きかかえながら、ほとんど行き交う人もない芝生道を文字通りズブ濡れになりながら歩いた。もしここを訪れたことがある方なら、いかに悲惨な散歩であったか想像いただけることと思う。<br /><br />さて、ドイツのほとんどの宮殿は写真の撮影が許されていない。いつも「この宮殿を撮影するためにわざわざ日本からやって来た。お願いだから撮影させて欲しい、または目をつぶって欲しい」と、知っている限りのドイツ語で、それも接続法第2式婉曲話法などを駆使?して丁寧に頼んでみるのだが、お堅いドイツではまず許されたことはない。やむなく売店等にある大判のガイドブックの写真を撮影させてもらう、という最後の手段でカメラに収めるしか方法はない。<br /><br />アウグストゥスブルク城はドイツ語の案内がつくが、日本語、英語などの録音を聞きながら回ることもできる。18世紀初頭に選帝侯を兼ねていたケルン大司教のヴィッテルスバッハ家のクレメンス・アウグスト・フォン・バイエルンによって建造された。設計者はヨハン・コンラート・シュラウンで、ブリュールにもともとあった中世の城を改築して建造、後にフランソワ・ド・キュヴィイエによって、現存するロココ様式の壮麗な宮殿が出来あがった。また豪華な階段室は、バルタザール・ノイマンの手によるものである。<br /><br />バロック様式のシュロス庭園を手がけたのはドミニク・ジラールである。彼は宮殿や別邸の南の区画にある入念な花園も彼が手がけていたが、そちらは19世紀にペーター・ヨセフ・レンネが手を入れ、風景式庭園に変えた。雨の中、色とりどりの花が咲き乱れていた。そしてアウグストゥスブルク城に付属するファルケンルスト城までは、約2kmの距離を歩くことになる。鷹狩り用の宮殿として1730年ころに建造されたもので、設計者はキュヴィイエである。このロココ様式の別邸は、ケルン大司教の東洋趣味が反映されて、中国風の装飾が施されている。<br /><br />雨はますます激しくなってきて、さすがに同じ道を歩いて駅に戻る気力は失せてしまった。たまたま同じ境遇にあったオランダに移住したと言う中国人と相乗りして、8ユーロのタクシー代を折半してブリュール駅に戻った。この後はボンに向かい、数十年ぶりにベートーヴェンの生家に立ち寄ることにした。<br />

ドイツの世界遺産No.14:ブリュールのアウグストゥスブルク城とファルケンルスト城(改訂版)

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2012/07/15 - 2012/07/16

323位(同エリア1176件中)

4

30

ハンク

ハンクさん

ドイツの世界遺産ツォルフェライン炭鉱跡、アーヘン大聖堂に続いて、ケルンで1泊した後、ケルン中央駅からREで約15分の距離にあるブリュールのアウグストゥスブルク城と付属のファルケンルスト城を訪れた。ドイツで14ヶ所目の世界遺産になる。

ドイツの世界遺産はこれまでドレスデンのエルベ渓谷が抹消されて33ヵ所あるものと思ってきたが、先日調べてみるとバイロイトの祝祭劇場など新たに3ヶ所が加わって36ヶ所になっていた。札所巡りのつもりで始めたドイツ世界遺産巡りのゴールはかなり遠のいた訳である。いや、その分楽しみも続く、と考えるべきか、、、。

小生は「晴れ男」を自称してきたが、先月のポーランド、今回のドイツ旅行はいずれも雨にたたられた。特にアウグストゥスブルク城とファルケンルスト城の間には約2kmの距離があり、瑞々しい新緑の中を軽快に闊歩するつもりだった。ところがこれが可能なのは晴れた日のことで、時折強く振る雨の中では周囲の緑を楽しむ余裕などない。またこの小道には雨宿りをする場所すらないのだ。小さな折りたたみ傘を斜め前方に傾けて、パスポートとカメラだけは濡らさないように抱きかかえながら、ほとんど行き交う人もない芝生道を文字通りズブ濡れになりながら歩いた。もしここを訪れたことがある方なら、いかに悲惨な散歩であったか想像いただけることと思う。

さて、ドイツのほとんどの宮殿は写真の撮影が許されていない。いつも「この宮殿を撮影するためにわざわざ日本からやって来た。お願いだから撮影させて欲しい、または目をつぶって欲しい」と、知っている限りのドイツ語で、それも接続法第2式婉曲話法などを駆使?して丁寧に頼んでみるのだが、お堅いドイツではまず許されたことはない。やむなく売店等にある大判のガイドブックの写真を撮影させてもらう、という最後の手段でカメラに収めるしか方法はない。

アウグストゥスブルク城はドイツ語の案内がつくが、日本語、英語などの録音を聞きながら回ることもできる。18世紀初頭に選帝侯を兼ねていたケルン大司教のヴィッテルスバッハ家のクレメンス・アウグスト・フォン・バイエルンによって建造された。設計者はヨハン・コンラート・シュラウンで、ブリュールにもともとあった中世の城を改築して建造、後にフランソワ・ド・キュヴィイエによって、現存するロココ様式の壮麗な宮殿が出来あがった。また豪華な階段室は、バルタザール・ノイマンの手によるものである。

バロック様式のシュロス庭園を手がけたのはドミニク・ジラールである。彼は宮殿や別邸の南の区画にある入念な花園も彼が手がけていたが、そちらは19世紀にペーター・ヨセフ・レンネが手を入れ、風景式庭園に変えた。雨の中、色とりどりの花が咲き乱れていた。そしてアウグストゥスブルク城に付属するファルケンルスト城までは、約2kmの距離を歩くことになる。鷹狩り用の宮殿として1730年ころに建造されたもので、設計者はキュヴィイエである。このロココ様式の別邸は、ケルン大司教の東洋趣味が反映されて、中国風の装飾が施されている。

雨はますます激しくなってきて、さすがに同じ道を歩いて駅に戻る気力は失せてしまった。たまたま同じ境遇にあったオランダに移住したと言う中国人と相乗りして、8ユーロのタクシー代を折半してブリュール駅に戻った。この後はボンに向かい、数十年ぶりにベートーヴェンの生家に立ち寄ることにした。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
4.0
交通
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
10万円 - 15万円
交通手段
鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
ルフトハンザドイツ航空
旅行の手配内容
個別手配
  • ブリュール駅のファサード、アウグストゥスブルク城の入り口はすぐ正面にある

    ブリュール駅のファサード、アウグストゥスブルク城の入り口はすぐ正面にある

  • アウグストゥスブルク城の入り口

    アウグストゥスブルク城の入り口

  • アウグストゥスブルク城の入り口

    アウグストゥスブルク城の入り口

  • アウグストゥスブルク城の入り口

    アウグストゥスブルク城の入り口

  • アウグストゥスブルク城のファサード

    アウグストゥスブルク城のファサード

  • アウグストゥスブルク城の入り口の近景

    アウグストゥスブルク城の入り口の近景

  • アウグストゥスブルク城の売店、ここ以外の撮影は許されていない

    アウグストゥスブルク城の売店、ここ以外の撮影は許されていない

  • アウグストゥスブルク城の内部、ガイドブックの写真を撮影

    アウグストゥスブルク城の内部、ガイドブックの写真を撮影

  • アウグストゥスブルク城の天井画、ガイドブックの写真を撮影

    アウグストゥスブルク城の天井画、ガイドブックの写真を撮影

  • アウグストゥスブルク城の内部、ガイドブックの写真を撮影

    アウグストゥスブルク城の内部、ガイドブックの写真を撮影

  • バルタザール・ノイマンの手による豪華な階段室のガイドブックの写真

    バルタザール・ノイマンの手による豪華な階段室のガイドブックの写真

  • バルタザール・ノイマンの手による豪華な階段室のガイドブックの写真

    バルタザール・ノイマンの手による豪華な階段室のガイドブックの写真

  • ドミニク・ジラールの手によるバロック様式のシュロス庭園

    ドミニク・ジラールの手によるバロック様式のシュロス庭園

  • アウグストゥスブルク城の背面

    アウグストゥスブルク城の背面

  • アウグストゥスブルク城の背面と庭園

    アウグストゥスブルク城の背面と庭園

  • アウグストゥスブルク城の背面と庭園の花

    アウグストゥスブルク城の背面と庭園の花

  • アウグストゥスブルク城の背面と庭園の花

    アウグストゥスブルク城の背面と庭園の花

  • ドミニク・ジラールの手によるバロック様式のシュロス庭園

    ドミニク・ジラールの手によるバロック様式のシュロス庭園

  • ファルケンルスト城に続く小道、約2kmを歩く

    ファルケンルスト城に続く小道、約2kmを歩く

  • ファルケンルスト城に続く小道、約2kmを歩く

    ファルケンルスト城に続く小道、約2kmを歩く

  • ファルケンルスト城の入り口

    ファルケンルスト城の入り口

  • ファルケンルスト城の入り口

    ファルケンルスト城の入り口

  • ファルケンルスト城のファサード

    ファルケンルスト城のファサード

  • 鷹狩り姿のケルン大司教

    鷹狩り姿のケルン大司教

  • ファルケンルスト城の内部の装飾品、ガイドブックの写真を撮影

    ファルケンルスト城の内部の装飾品、ガイドブックの写真を撮影

  • ファルケンルスト城の内部、ガイドブックの写真を撮影

    ファルケンルスト城の内部、ガイドブックの写真を撮影

  • ファルケンルスト城の天井画、ガイドブックの写真を撮影

    ファルケンルスト城の天井画、ガイドブックの写真を撮影

  • ファルケンルスト城の内部、ガイドブックの写真を撮影

    ファルケンルスト城の内部、ガイドブックの写真を撮影

  • ファルケンルスト城の航空写真、ガイドブックの写真を撮影

    ファルケンルスト城の航空写真、ガイドブックの写真を撮影

  • ファルケンルスト城の横のあずまや

    ファルケンルスト城の横のあずまや

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この旅行記へのコメント (4)

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  • tadさん 2016/10/27 01:02:28
    なぜ?再度、いいねが押せました。
    この旅行記、読んだ記憶が少しありましたが、もう一度、押すと、いいねが押せました。
    不思議です。前回書いた書き込みがあり、読み直したら、同じ感想を持ちました!普通は改訂版でもいいねは押せませんよね?

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2016/11/05 23:24:31
    RE: なぜ?再度、いいねが押せました。
    tadさん、こんばんは。いつも拙い旅行記をお読みいただき、また「いいね」をいただきまして有難うございます。

    確かに今回この投稿に新たに「いいね」をいただきました。コメントもいただいているのでお読みいただいたことは間違いありません。2回目の「いいね」ではないと思いますが、定かではありません。

    ところで小生、マレーシアに赴任することになりました。せっかくの機会ですので、一般市民の中に入り込んで、また周辺の国々も含めて「取材」してくるつもりです。そういえばtadさんのバトゥ洞窟の旅行記も事前に読ませていただき、大いに参考になりました。

    それではまた、お元気で!ハンク
  • tadさん 2012/07/27 12:16:29
    なぜ撮影禁止?
    御城や宮殿で撮影禁止というのは、あまり理解できませんね。ベルリンのシャルロッテンブルク城に3月に行きましたが、この程度で、入場料は高いし、撮影は禁止で見はりがいるしで、、、。興を殺がれました。

    ライプチヒのバッハ博物館などは、詐欺といいたくなるレベルでしたね。みるほどのものはないのに、入場料はばっちり取られ、しかも写真禁止とうるさく注意されました。もっとも、とりたいものはありませんでしたが。。。

    観光地としては、あまり。。。ワインやグルメもあまりびっくりするようなものはないし。。。音楽だけはよかったです。

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2012/08/14 21:45:32
    RE: なぜ撮影禁止?
    お久しぶりです。先々週ロシア、ポーランド出張から帰国し、日本のあまりの暑さにダウンしています。

    ドイツの宮殿などの撮影禁止については全く同感です。絵画、工芸品などにストロボをあてることが劣化の原因になることは理解できますが、建築物まで撮影禁止にしていることには私も機会あるたびに抗議してきています。ドイツの国民性でしょうか?その点ロシアなどはもう少しおおらかで、エカテリーナ宮殿の琥珀の間を除けば、多少お金を払えば撮影可能なので安心できます。

    tadさんの最近の高原などの旅行記は爽やかですね。小生も国内の温泉地などをゆっくり回ってみたいのですが、受験生を持つ親としてはもう少し先の楽しみにとっておきます。

    それではまた、、、ハンク。

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