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雨にたたられてびしょ濡れのままブリュール駅にたどり着いた時には、午後2時を回っていた。この日は夕方8時過ぎのフランクフルト発ヴロツワフ行きのフライトを捕まえればいいので、時間には余裕がある。どこに立ち寄るか迷ったが、楽聖ベートーヴェンを生んだ町ボンはすぐ隣町である。ボンにはユネスコ世界遺産はないし、学生時代に一度訪れたことがある。しかし私の中に占めるベートーヴェンの存在の大きさを思うと、ここまで来て素通りすることは許されないという気がして、ボンへ向かう列車に乗り込んだ。<br /><br />ベートーヴェンというとどうしても堅苦しいイメージが先行してしまう。小中学校の音楽室には大抵音楽家の写真が掛けてあると思うが、ベートーヴェンの気難しい顔は近寄りがたいイメージを植えつけてしまうし、夜になると彼の顔は恐かった。彼の名を冠しても肯定的なイメージは少なく、実際モーツァルトやショパン空港はあってもベートーヴェン空港はない。(ケルン・ボン空港はかつてアデナウアー(初代西ドイツ首相)空港と呼ばれていた)<br /><br />ボンにあるベートーヴェンの生家を数十年ぶりに訪れた。ここにある彼の肖像画や胸像はどれも深い思索に浸る気難しい顔をしており、微笑むベートーヴェンなど存在しないのかもしれない。しかし彼の作品を聴く限りロマンあり、ユーモアもあり、特に子供たちには、もう少し彼の人間的で親しみやすい面を前面に出してもいいのではないかと思う。<br /><br />ベートーヴェンの交響曲はまぎれもなく人類の誇る世界遺産である。彼の交響曲第3、5、6、9番は、モーツァルトのレクイエム、ブルックナーの交響曲第5、7、8、9番、マーラーの第6、9番とともに私にとって生きる糧である。第5、9番に共通する「苦悩を通じての歓喜」は、日本人にとっても深い共感を持って浸透している。アマチュアの分際で私も4、8番を除く全交響曲を演奏したことがある。伝統を踏まえた1番に始まり、前例のない巨大な3番「英雄」、5番に凝縮された彼の人生感、6番「田園」に見られるユーモアと自然賛美、標題音楽への接近、そして9番「歓喜に寄す」で彼の芸術は頂点に到達する。<br /><br />ベートーヴェン生家の案内パンフレットには、当然のように日本語がある。このパンフレットによれば、彼は現在のベートーヴェン・ハウスの後方の小さな、傾きかけた黄色い家に1770年に生まれ、ウィーンに転居する1792年までここに住んだ。その後、フランスのライン地方占領などの理由でボンに戻ることはなかった。例によって撮影が許されていないため、写真を掲載することはできないが、彼の演奏していたピアノ、ヴィオラ、管楽器、自筆の手紙や楽譜など、そして20歳ころにすでに始まっていた難聴のため使用していた補聴器が展示されている。なお有名なベートーヴェン像は、ボン中央駅とベートーヴェンの生家の中間にあるミュンスター広場にあり、雨の中でも歩ける範囲にある。11世紀の創建のミュンスター教会はミュンスター広場の横に建つ。<br /><br />ボンの主要スポットを見届けた後、フランクフルトの空港に向かう。蛇足であるが、ケルンからフランクフルトに向かうICEに乗るとライン渓谷を経由しないが、ボン経由のICに乗るとライン渓谷の古城の数々や、ローレライの岩を車窓に眺めることができる。

ドイツの世界遺産番外編:楽聖ベートーヴェンを生んだ町 ボン(改訂版)

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2012/07/15 - 2012/07/16

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ハンク

ハンクさん

雨にたたられてびしょ濡れのままブリュール駅にたどり着いた時には、午後2時を回っていた。この日は夕方8時過ぎのフランクフルト発ヴロツワフ行きのフライトを捕まえればいいので、時間には余裕がある。どこに立ち寄るか迷ったが、楽聖ベートーヴェンを生んだ町ボンはすぐ隣町である。ボンにはユネスコ世界遺産はないし、学生時代に一度訪れたことがある。しかし私の中に占めるベートーヴェンの存在の大きさを思うと、ここまで来て素通りすることは許されないという気がして、ボンへ向かう列車に乗り込んだ。

ベートーヴェンというとどうしても堅苦しいイメージが先行してしまう。小中学校の音楽室には大抵音楽家の写真が掛けてあると思うが、ベートーヴェンの気難しい顔は近寄りがたいイメージを植えつけてしまうし、夜になると彼の顔は恐かった。彼の名を冠しても肯定的なイメージは少なく、実際モーツァルトやショパン空港はあってもベートーヴェン空港はない。(ケルン・ボン空港はかつてアデナウアー(初代西ドイツ首相)空港と呼ばれていた)

ボンにあるベートーヴェンの生家を数十年ぶりに訪れた。ここにある彼の肖像画や胸像はどれも深い思索に浸る気難しい顔をしており、微笑むベートーヴェンなど存在しないのかもしれない。しかし彼の作品を聴く限りロマンあり、ユーモアもあり、特に子供たちには、もう少し彼の人間的で親しみやすい面を前面に出してもいいのではないかと思う。

ベートーヴェンの交響曲はまぎれもなく人類の誇る世界遺産である。彼の交響曲第3、5、6、9番は、モーツァルトのレクイエム、ブルックナーの交響曲第5、7、8、9番、マーラーの第6、9番とともに私にとって生きる糧である。第5、9番に共通する「苦悩を通じての歓喜」は、日本人にとっても深い共感を持って浸透している。アマチュアの分際で私も4、8番を除く全交響曲を演奏したことがある。伝統を踏まえた1番に始まり、前例のない巨大な3番「英雄」、5番に凝縮された彼の人生感、6番「田園」に見られるユーモアと自然賛美、標題音楽への接近、そして9番「歓喜に寄す」で彼の芸術は頂点に到達する。

ベートーヴェン生家の案内パンフレットには、当然のように日本語がある。このパンフレットによれば、彼は現在のベートーヴェン・ハウスの後方の小さな、傾きかけた黄色い家に1770年に生まれ、ウィーンに転居する1792年までここに住んだ。その後、フランスのライン地方占領などの理由でボンに戻ることはなかった。例によって撮影が許されていないため、写真を掲載することはできないが、彼の演奏していたピアノ、ヴィオラ、管楽器、自筆の手紙や楽譜など、そして20歳ころにすでに始まっていた難聴のため使用していた補聴器が展示されている。なお有名なベートーヴェン像は、ボン中央駅とベートーヴェンの生家の中間にあるミュンスター広場にあり、雨の中でも歩ける範囲にある。11世紀の創建のミュンスター教会はミュンスター広場の横に建つ。

ボンの主要スポットを見届けた後、フランクフルトの空港に向かう。蛇足であるが、ケルンからフランクフルトに向かうICEに乗るとライン渓谷を経由しないが、ボン経由のICに乗るとライン渓谷の古城の数々や、ローレライの岩を車窓に眺めることができる。

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
交通
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
15万円 - 20万円
交通手段
鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
ルフトハンザドイツ航空
旅行の手配内容
個別手配
  • ケルン、ボン間のRE(レギオナル・エクスプレエス)

    ケルン、ボン間のRE(レギオナル・エクスプレエス)

  • ボンの中央駅のファサード

    ボンの中央駅のファサード

  • ベートーヴェン生家のあるボン・ガッセ

    ベートーヴェン生家のあるボン・ガッセ

  • ベートーヴェンの博物館の入り口、彼の生家はこの後方にある

    ベートーヴェンの博物館の入り口、彼の生家はこの後方にある

  • ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン生家<br />1770年12月17日生

    ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン生家
    1770年12月17日生

  • 実際にベートーヴェンが生まれた家

    実際にベートーヴェンが生まれた家

  • ベートーヴェン博物館の内部、売店のポスターを撮影

    ベートーヴェン博物館の内部、売店のポスターを撮影

  • 中庭にあるベートーヴェンの胸像の数々

    中庭にあるベートーヴェンの胸像の数々

  • 中庭にあるベートーヴェンの胸像1

    中庭にあるベートーヴェンの胸像1

  • 中庭にあるベートーヴェンの胸像2

    中庭にあるベートーヴェンの胸像2

  • 中庭にあるベートーヴェンの胸像3

    中庭にあるベートーヴェンの胸像3

  • 中庭にあるベートーヴェンの胸像4

    中庭にあるベートーヴェンの胸像4

  • 中庭にあるベートーヴェンの胸像5

    中庭にあるベートーヴェンの胸像5

  • 中庭にあるベートーヴェンの胸像6

    中庭にあるベートーヴェンの胸像6

  • ベートーヴェン生家と隣家

    ベートーヴェン生家と隣家

  • マルクト広場にある市庁舎

    マルクト広場にある市庁舎

  • マルクト広場の市庁舎とシュテルンホテル

    マルクト広場の市庁舎とシュテルンホテル

  • マルクト広場からミュンスター教会の眺め

    マルクト広場からミュンスター教会の眺め

  • ミュンスター広場のベートーヴェン像

    イチオシ

    ミュンスター広場のベートーヴェン像

  • ベートーヴェン像、五線譜とペンを持つ

    ベートーヴェン像、五線譜とペンを持つ

  • ミュンスター広場からミュンスター教会を眺める

    ミュンスター広場からミュンスター教会を眺める

  • ミュンスター教会のファサード

    ミュンスター教会のファサード

  • ミュンスター教会の内部

    ミュンスター教会の内部

  • ボン発フランクフルト行きICに乗るとローレライを眺めることができる

    ボン発フランクフルト行きICに乗るとローレライを眺めることができる

  • ボン発フランクフルト行きICに乗るとローレライを眺めることができる

    ボン発フランクフルト行きICに乗るとローレライを眺めることができる

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この旅行記へのコメント (1)

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  • tadさん 2012/08/15 13:49:21
    ここも撮影禁止?
    ここも内部は撮影禁止ですか?

    懐かしいですね。。。1974年12月に行ったきりですが。。。こことウィーンの墓地等、ゆかりの地をまわったものです。私の最初のヨーロッパの旅はベートーベン詣ででした。

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