2025/10/04 - 2025/10/04
3位(同エリア114件中)
旅猫さん
着信したメルマガに、福島県の浜通りに誕生したワイナリーを訪れるツアーが掲載されていた。そのワイナリーは、『とみおかワイナリー』と言う。調べてみると、見学もできるし、レストランもある。訪れてみようと富岡駅までの列車の時間を調べてみると、とても本数が少ない。上野駅からの特急は、三本しかないのだ。しかも、見学時間と上手く合わない。そこで、そのツアーに参加することにした。これまで、多くの旅をして来たが、ツアーに参加するのは初めてである。料金は、個人で行くより少々高いが、ツアーならではの特典もあるので、一度参加してみることにしたのだ。
(2025.10.23投稿)
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 社員・団体旅行
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- JR特急 徒歩
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
- 利用旅行会社
- びゅうトラベルサービス
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行程表と切符が届いたのは10日ほど前であった。切符は、駅で発見されるものとは大きさや表示が違う。添乗員は随行しないため、上野駅から自分で乗車する。乗り込んだのは、8時ちょうど発の仙台行の特急『ひたち3号』である。一応ツアーなので、指定された8号車の乗客の多くは、同じツアー客であろう。
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二年半ぶりの常磐線の旅である。そして、三時間足らずで、最寄りの富岡駅に着いた。福島第二原発の事故により、かつて16,000人を数えた人口も、事故後は無人となった。現在、2,600人ほどまで増えたそうだが、多くは移住者だそうだ。観光地でもないので、30人ほどのツアー客が駅前に集うだけでも、かなり珍しい光景だろう。置かれていた長椅子には、被災前の旧駅舎が描かれていた。
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現地係員の説明を聴いた後、旗に従って歩いて行く。定期観光バスに乗ると、たまに観る光景だが、どうも慣れない。ワイナリーは、駅からすぐであった。駅から最も近いワイナリーと言える。ここで、ワイナリーの方が出迎えてくれた。
駅から最も近いワイナリー by 旅猫さんとみおかワイナリー 名所・史跡
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まずは、入口にあるゲートと言う見晴らし台のような施設に登った。そこからは、広い葡萄畑が望めた。植えられているのは、メルロやシャルドネだそうだ。今後、甲州種も植えるそうである。
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葡萄畑の奥には、ワイナリーの施設が見えている。このワイナリーが立つ場所は、かつて富岡町の住宅街となっていたが、津波ですべて流され、今は人が住むことは禁じられているそうだ。その土地が荒れることに危機感を覚えた地元企業の方が、このワイナリーを造ったそうである。
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そのゲートの上で、乾杯のワインが振る舞われた。『2024 スパークリング』である。
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そのワインは、仏浜ヴィンヤードWESTのシャルドネ 68%、アルバリーニョ 26%を主体に低温発酵させ、瓶内二次発酵を行った濁りスパークリングワインだそうだ。飲んでみると、これがなかなか良い。少し、期待感が出て来た。
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畑の脇を通り、ワイナリーの施設に向かう。すると、ワイナリーではあまり見かけない蔵が立っている。その蔵は、ここにかつてあったワイナリーのオーナーの家に立っていたものだそうだ。津波で唯一流されなかったそうである。『希望の蔵』と呼ばれているそうだ。
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その裏手を流れる川の中州には、五本の欅もある。それらの欅も、津波で生き残ったものだそうだ。河川改修により伐採される運命だったものを、オーナーの奮闘により、中州に残したそうである。
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蔵の中も見学することが出来た。二階には、流されずに残った古い道具が保管されていた。
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その後、醸造施設を見学。今年の春に完成したばかりで、現在、初めての醸造が始まったばかりである。
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ちょうど発酵の始まったばかりのメルロの臭いを嗅がせていただいた。
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ひと通り見学した後、二階のレストランへ移動し、ワインと料理を味わうことになった。一階には、売店もあった。
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レストランは、細長い形をしていて、席は窓際に並べられている。簡素な造りだが、なかなか洒落ている。
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厨房のある側には、カウンター席もあり、一人客にも優しい。
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席には、すでに料理が並べられていた。席順は、駅で配られた紙に書かれていた番号で決まっていた。四人ずつの相席である。
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ワインは、二度目の乾杯用と、席に置かれている三枚の券で呑むことが出来るようだ。
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まずは、乾杯ワインである。詳しことは聞き逃したが、自社ワイナリーで初めて醸した甲州種を使ったスパークリングワインのようだ。5月のお披露目の際に振る舞われたものだそうで、この日のために冷蔵しておいたものらしい。これも、とても美味しかった。
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置かれていたのは、前菜であった。福島県産の食材を使ったもので、どれも美味しい。
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続いて、券を使ってワインを飲む。ワインは、テラス席でグラスに注がれる。ワインは、先のスパークリングの他、三種類あった。
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まず飲んだのは、『2024 ソーヴィニヨン・ブラン』である。仏浜ヴィンヤード WEST のソーヴィニヨン・ブラン 52%と、小浜ヴィンヤードのソーヴィニヨン・ブラン 48%をステンレス製タンクで低温発酵させものだそうだ。爽やかな香りのある、やや辛口のワインである。料理は、茄子のスープであった。
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二杯目は、仏浜ヴィンヤードWESTから収穫されたシャルドネ82%と、小浜ヴィンヤードから収穫されたシャルドネ18%から醸した『2024 シャルドネ』である。これは、ややおとなしい感じの味わいである。料理は、鯛のパイ包みであった。このパイ包みが、ふっくらサクサクでとても美味しかった。
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続いて、『2024 メルロ』をいただく。仏浜ヴィンヤード WEST から収穫されたメルロ 97%に、小浜ヴィンヤードのメルロ3%を混醸したもの。これまでのワインがそこそこ美味しかったので期待したが、残念ながら、この赤ワインは期待外れであった。今後、自社醸造所で醸されるものに期待しよう。
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締めには、自家製のティラミスが出て来た。これも美味しい。このレストランの料理は、どれも美味しかった。
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相席の人たちとお喋りをしていると、突然、列車が来ますとの声が聴こえた。ワイナリーは、常磐線沿いにあり、通過する際、運転士さんが警笛を鳴らしてくれるのだそうだ。
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ワインをすべて呑んでしまったので、ボトルの写真を撮らせてもらった。『2024 シャルドネ樽発酵』が気になったのだが、訊けば、もう無いとのことであった。
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ピザが人気だと言うので、四人で一枚頼もうと言うことになったのだが、売り切れであった。他の席の人たちが美味しそうに食べていたので残念である。仕方が無いので、私は麦酒を注文。メルロの搾りかすを乾燥させたものを風味付けに使った自家製麦酒だそうだ。これは、どっしりとした麦酒であった。
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しばらく話していると、他の人たちはレストランを出て行き、私たちのテーブルと、あと数人しかいなくなった。すると、係の人が、『シャルドネ樽発酵』がまだあると言う話をしている。そこで尋ねてみると、出してくれた。期待したほどではなかったが、悪くはなかった。我々が呑んでいるのを見て、最後まで残っていた一部の人もありつけたようだ。
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その後、現地担当者に、駅まで自分で戻ることを告げ、海の方へ出てみることにした。ワイナリーの脇を流れる川は、震災以前は細い流れだったそうだが、津波が遡って被害を出したため、今は改修されて広くなったそうだ。海側に架かる橋は、震災前からあり、川から14mほどあるそうだが、津波はそれを越えて来たそうだ。
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海まで出ると、漁港があった。富岡漁港である。何もない場所に、ただ港があるだけで、船も少ない。
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今は穏やかだが、震災の際には津波が押し寄せた。日本は海に囲まれているので、津波の恐怖はどこにでもある。
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港から駅の方へと向かう道から、発電所のようなものが見えた。初めは火力発電所かと思ったのだが、地図を見ると、あれが事故を起こした福島第二原発であった。これほど近いとは思わなかった。富岡町に、まだ帰宅困難地域があるのも納得である。
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のんびり歩いて駅へと戻って来た。そこに、観光案内所があるのだが閉まっている。不思議なことに、土休日が休みなのだそうだ。観光のための施設なので、土休日に閉めては意味が無いように思う。
富岡町観光案内所 名所・史跡
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駅舎の中には、放射線量率を表示するものがあった。やや高めの数値であるが、国内では、特に西日本が高いので、驚くような数値ではない。事故の影響でやや高いが、関西などと比べれば、低いほうである。
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ホームに出てみる。富岡駅は、津波の直撃を受けて大きな被害を受けたため、現在の駅は、100mほど北側に新しく設けられたものである。
富岡駅 駅
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しばらく待つと、15時46分発の特急『ひたち22号』がやって来た。7号車は、今回のツアー客ばかりである。往きとは違い、知り合いになった人も多いので、帰りは話をしながらである。つい、吊られて、車内販売で麦酒を買ってしまった。初めてのツアー参加であったが、なかなか楽しいひと時であった。
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この旅行記へのコメント (10)
-
- ポテのお散歩さん 2025/10/24 19:35:05
- ツアー参加で
- 旅猫さん こんばんは。
交通公共機関での、時間と場所が上手く調整出来ない時、
ツアーは便利ですね。
ツアーならではの特典も、個人では入れない所が入れたり
並ばずに入場出来たり、魅力的な事もあります♪
今回はワイナリーを訪ねるツアーで、皆さんワインがお好きなので
楽しかったようで何よりです(^^)
特に津波の爪痕が残る地域で頑張っておられるワイナリーなので
応援したいですね(*^-^*)
ポテ
- 旅猫さん からの返信 2025/10/24 22:30:09
- RE: ツアー参加で
- ポテさん、こんばんは。
いつもありがとうございます。
今回は、時間が合わず、ツアー初参加となりました!
予約するのも初めてだし、切符と行程表がいつ来るのか不安になるしと、初めての経験にドキドキしてしまいました(笑)
初醸造の濁り発泡ワインも飲めましたし、同じテーブルの方たちも良い人ばかりだったので、楽しい時間が過ごせました。
このワイナリーは、地元の方が、まだほとんどの住民が帰還していない富岡町の復興の希望として、元住んでいた場所に造ったものです。
潮風が葡萄畑に吹き付けるので、なかなか難しいようですが、頑張って欲しいものです。
旅猫
-
- お黙り!さん 2025/10/24 07:37:11
- 初めまして
- 「被災地に生まれた希望のワイナリーへ」を興味深く拝見させていただきました。
私はワインが好きで、ワイナリーへは比較的よく行くようにはしていますが。
お酒ですから、車の運転ができないのがネックとなり、ツアーを利用しています。
ツアーに参加するのは初めてである。料金は、個人で行くより少々高いが、ツアーならではの特典もあるので、一度参加してみることにしたのだ。・・・・ところで、お料理も美味しそうですし、おいくらくらいのツアーなんでしょうか?よろしければお教えください。日本でツアーに参加した事がないので。よろしくお願いいたします。マリー
- 旅猫さん からの返信 2025/10/24 09:10:58
- RE: 初めまして
- マリーさん、初めまして。
私もワイン好きですが、基本的にはお酒です。
かつて、ワイナリーでお手伝いをしていたり、兄が北海道でワインづくりをしていたりします。
ワイナリーも色々と訪問していますが、すべて個人での訪問です。
今回は、時間の都合でツアーを利用しました。
代金は、19,800円でした。
上野から富岡までは、えきねっと割引で往復12,000円ほど、食事が2,000円ほど、ワインが三杯付いていいましたが、量が少ないので2,000円ほどとすれば、個人で訪れると、16,000円ほどでしょうか。
なので、4,000円ほど高いかなと。
特典で、案内と乾杯ワインが付いているので、あと1,000円差し引いても良いかと思います。
まあ、他のツアーと比べると、割増感は少ないので、利用しました。
旅猫
- お黙り!さん からの返信 2025/10/25 07:28:09
- RE: RE: 初めまして
- ありがとうございます。
こちらのツアー、関東発しかないのでしょうかね。
現地ツアーがあれば利用してみたいと思いました。
現地を研究して、ワイナリーを攻めていきたいと思います(笑)マリー
- 旅猫さん からの返信 2025/10/27 21:20:31
- RE: RE: RE: 初めまして
- マリーさん、こんばんは。
私も初めてツアーに参加したので、良く分かりませんが、JR東日本が主催のようなので、関東発しかないようです。
鉄道利用が基本なので。
ワイナリーも増えてきていますので、ぜひ色々行ってみてください。
旅猫
-
- 群青さん 2025/10/23 17:34:28
- ツアーだからこそ・・・
- 旅猫さん こんばんは。
この旅行記、大変興味深く読ませていただきました。
僕も先に書かれているねもさんと同様に、旅猫さんがツアーに参加?って事にとても驚きました。(←スミマセン)
ただ内容を見ると、旅猫さんの嗅覚が反応した通り、ツアーに参加してこそ味わえる内容だったのだな!と感じました。
同じように興味をもってツアーに参加された方たちと、説明を受けた後でワイナリーで作られたワインを嗜みながら食事をしたり歓談したり・・・
群青
- 旅猫さん からの返信 2025/10/23 21:45:46
- RE: ツアーだからこそ・・・
- 群青さん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
一人旅が好きだと、まずツアーには参加しませんからね。
今回は、列車と見学時間が合わずに、仕方が無く参加しました。
でも、悪くはなかったですよ。
ワインもたくさん飲めましたし、時間もちょうど良かったし。
参加者もワイン好きばかりなので、話も合いましたし。
一人で参加している人も多かったです。
難点は、個人で行くより割高なことですね。
ツアーは、儲けないと駄目ですから、高いのは仕方が無いです。
なかなか楽しい初ツアー参加でした!
旅猫
-
- ねもさん 2025/10/23 12:25:35
- ツアー初参加
- 旅猫さん いやぁ驚きながら拝見。
これまでの旅行記から旅猫さんは、きっとツアー敬遠だろうと推測していましたが、何とついに初ツアー(*_*) 案外良かったようで何よりです。
土日休みの観光案内所ですが……
日本人感覚ならそのとおりでしょうし、私も20年以上前はそう思っていました。
2002年に北欧をふらふら歩いたときの経験です。もちろん超有名な観光地では、インフォメーションは土日もやっています。しかしマイナーな街では、土日休みだったり、営業時間が短いのは普通でした。あと、ホテルの朝食も週末は開始が遅め。
思うに、観光客より市民の日常生活優先という発想かと。日本の「おもてなし」はたしかにありがたいけど、ほどほどが良いのではと思った次第です。
- 旅猫さん からの返信 2025/10/23 21:41:47
- RE: ツアー初参加
- ねもさん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
自分でも、驚きの初ツアー参加でした(笑)
個人で行こうとしたのですが、列車の時間と見学時間が合わず、仕方が無くツアーに参加したのです。
でも、ワイナリー見学なので、好きな人ばかりと言うこともあり、悪くなかったです。
同じテーブルの人たちも、一人で参加していた方ばかりだったので、楽しく話が出来ました。
観光案内所と言うからには、基本的には土休日が一番人が来ると思うのですが。
地酒の飲み比べが出来るとあったので、残念でした。
旅猫
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