望蜀西安成都旅3:漢高祖長陵／劉邦の墓に登る

2024/05/18 - 2024/05/25

ANAマイルが3月に大量失効するので行先を検討した結果、中学生の頃に三国志に出会ってからいつか行きたいと思っていた成都と、「項羽と劉邦」を読んで以来憧れていた関中の中心地である古都西安に出かけることにした。その旅行記の抜粋。完全版は下記URLに記載。
https://aamns2021.livedoor.blog/archives/cat_234951.html

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西安の北を流れる渭水を越えた平原地帯に漢帝国を興した劉邦の墓が残っているというので是非見てみたいと思い出掛ける。

墓近くに公共交通がないので、地下鉄で最寄りのターミナル西安北駅に出て、そこからタクシーに乗って目指す作戦に。なおDIDIを使わなかったのは、目的地が辺鄙な場所で帰りのDIDIをつかまえるのに苦労することが予想されたためで、タクシーで行き見物中の10～15分ほど待ってもらって、帰りも同じタクシーで戻ってきた。

西安北駅のタクシー乗り場で「いい運転手に当たれ・・・」と祈った所、チベット系の気のいい運転手さんでホッとする。早速「漢高祖長陵に行きたい。そこで見学するので10分停車して待っていてほしい。見学が終わったらまた西安北駅に戻ってきてほしい。」と百度翻訳アプリを見せ、誤って地下鉄の長陵駅に行ってしまわないように、家人のスマホで長陵の位置がわかる百度地図を見せる。

「ちゃんりう？ちゃんりう？（長陵？長陵？）」と何度も聞いてくるのでうんうんと頷くと、運転手も地図アプリを開いて場所を検索。その場所に行き当たったので「対、対、対！（そうそうそう）」と答えるとなにやらわーわー言うのでアプリに聞かせると「ナビに従って走ります」というので無事出発。

渭水を渡り西に大きく迂回するルートを取ったので予想よりは時間がかかりおよそ30分で到着。当初話していた通り「10分ほどお待ちください」と翻訳アプリを見せると「OK、OK」と待機していてくれた。

エリア 西安(中国)

ネットの情報では盗掘防止のフェンスが出来てしまって登れないとなっていたが、到着した陵の北東側はフェンスがなく頂上に向けて小道が伸びていた。

これはチャンスとずんずん登っていく。

1分ほどで小高い丘、漢高祖長陵頂上に到着。左手には妻の呂后の陵が見える。

四方はまだ原野が広がっている雰囲気が残っているが、北郊の都市開発の波が押し寄せてきているのでこの雰囲気が味わえるのは今が最後となるかもしれない。

遠くに臨む小さな丘は漢の三傑の一人、丞相蕭何の墓と言われている場所か。（空港近くに曹参と並んでいる墓地もあるが、正確な位置はわかっていないらしい。）

漢という大帝国を一平民から身を起こして打ち立て、今の中国の祖型を生み出した英雄の墓としては草が縹渺と生えるばかりの簡素さで、秦の始皇帝の豪壮さに比べると「本当にこれが・・・」と思ってしまう。しかし草莽から身を起こし草莽に還っていった男の墓であることを思えば却ってふさわしく、どことなく彼一流の粋さえ感じさせるもので、その人柄の風韻に触れた気にもなり感動が胸に迫る。

頂上の赤土にひざまずいて手を当てて「安定した漢帝国を作り上げてくれたお陰で日本にも様々な文化が渡来し、開明の世が起こりました。その余禄にあずかっているものとして感謝を捧げます」と心で呟く。

中国人の間では漢帝国を最大版図にした武帝が評価されていて、劉邦の人気は低いらしく、この日は若者2名と麓で漢服を着た女子1名を見た限りだった。その閑散さが逆に心に沁みていい訪問となった。彼への思慕を高めてくれた司馬遼太郎にも感謝を捧げたい。

墓の麓には白い花を満開に咲かせる灌木があり、供花の任を立派に務めていた。

見学後西安北駅まで戻る。運転手は「兵馬俑はどう？」「黄帝陵は知ってる？」とセールスしてくるが、「不知道（知らないですね）」と答えるとしつこくは迫ってこなかった。30分ほどで西安北駅に戻る。「いい運転手さんに出会えて嬉しかったです」とアプリで見せると、嬉しそうな笑顔を見せて握手を求めてきた。1時間半で125元（およそ2500円）と遠回りした分いくらか高いが、それとて30元程度だしチップと思えば安い。とにかく気のいい方だったので快適な訪問になりありがたかった。

到着したのは高速鉄道用の入口で、地下鉄入口は・・・と調べたらぐるっと回り込んで3キロ歩けと百度地図が言う。そんなはずないだろと入口の端まで行ったら、階段があってそこを下ると地下鉄駅に出ることが出来て一安心。思っていたより印象深い訪問となり満足した。

【金刀銅鍋?肉】
夜は回民街があるくらいだから羊肉が美味しいだろうし、野菜もとれるからしゃぶしゃぶがいいなと思い、ホテルからそう遠くないこちらにした。

機械でスライスした羊肉と手切りの生羊肉、椎茸にほうれん草、白菜、それに食べてみたかった羊肉の串焼きも注文。たれはサラダバーの様に様々な香味野菜と調味料が並んでいてそれを自分の好みで調合するシステム。お陰で辛さを恐れる必要がなかった。

期待通りの美味しさで、たれを自分好みに変化させること4度、ようやくピタリと決まった時にはどんどん肉が進んで「冰的（ピンダ）＝冷たいの」で頼んだビールもすいすい胃の腑へ。日本人はやはり醤油が身体に染みこんでいるようで、魚醤をたれに足したらぐっと美味しくなった。〆に素麵風の乾麺を頼んだら、たれを吸ってとても美味しく大団円。お代は221元（約4500円）とお手頃価格だし、ロボットの配膳も楽しめていい夕食となった。