サウジアラビア(4)呪いは祝福に／幻の街カイバー

2024/05/02 - 2024/05/12

凡ミスに不運が重なり、楽しみにしていたマダインサーレハに一歩も入れなかった事で時間がぽっかり。アブドラハマンもちょっと責任を感じた様子で「もう一か所、見てく？」と急きょ予定になかったカイバー（カイバル）へ寄り道を。大きな集落すべてが廃墟化しており、何か不穏な空気が…案の定、えらい目に。アルウラを発ちメディナ空港へ辿り着くまでにハプニングが続きます。

エリア その他の都市(サウジアラビア)

• 旅行の満足度: 3.0
• 観光: 2.5
• 交通: 3.5

• 同行者: 友人
• 旅行の手配内容: 個別手配

「気にしないで。また出直せ、とアッラーが言ってるに違いない」なんて笑いながらも、内心「今ごろ本当はサウジ版ペトラ巡りしてたんだよなぁ」と凹んでいたのが顔に出たいたのか、砂嵐をかき分けるアブドラハマンからメディナ直帰ではなく寄り道しようと提案が。

メディナに向かって一本道を南下中に、ルートは西へ直角に。行き交う車もなくなり、沿道では草をはむ白いラクダとか。

車窓はゴツゴツとした黒い岩だらけになり、火山の気配です。

突然物々しいゲート。カイバー（カイバル）と記されていました。

どうやら初訪問のアブドラハマン。ここまでも古い家屋を見ると"LOOK LOOK !"と大興奮だったのが、最高潮に。

特に標識もない廃墟群の前で徐に路上駐車です。

カラーコーンのバリケードを乗り越え、人っ子一人いないおかしな空間に踏み入ります。

ここは入らない方がいいんじゃないかなぁ、と声をかけるも、英語が通じていないか、はたまたインシャアッラーの気分なのか、スマホで実況動画を撮りながらどんどん進む人。

泥レンガが積み上げられた家並みからは、まだかつての暮らしの気配が感じられました。

無人の集落の中心には後に設置されたと思しき電力施設やゴミ箱も。いろいろ謎めいています。

実はこの一角よりもっと手前には現在のカイバーの市街地がありました。昔ここで暮らした人々は何らかの理由でごそっと移ったのか。

慎ましく散策を進める自分と対照的に、空き家を隈なく訪ね、室内の扉を開ける度嬉々として撮影大会を敢行する相棒。

今にも家人が出て来そうな雰囲気ながら、誰も居ないんです。

溶岩めいた岩肌の天辺には要塞のような建物も見えましたが、さすがのアブドラハマンもそこまで登りたいとは言い出さず。

彼の説明とネット情報によれば、噴火だか火災だか洪水だか、度重なる災害に遭ってきた模様。

ナツメヤシの幹が黒焦げに見えたのはそのせいか。

放っておいたらいつまでも無許可の家庭訪問を続けそうなので、もう帰ろうと促します。

そして出口で振り返れば案の定「入っちゃダメだよ」って。どこかの監視カメラで見られていたようで、警備員の車も登場。アブドラハマンが注意されていましたが、それ以上のお咎めはなし。一帯では研究や修復の作業が進められているようで、その内堂々と訪れる事が出来そうでした。

メディナに近付けば、小高い丘の上に「MBSの家」と。よくよく聞けば、どうやら国内に何か所もある皇太子（ムハンマド・ビン・サルマン皇太子、略してMBS）の邸宅みたい（※「毎日放送」に非ず）。

メディナ初日にチラ見したクバーモスクへ再び（但し、時間があるので降りてみたいという願いは却下され、３０秒の停車のみ）。アブドラハマンは数日前パパになったばかりで一刻も早く帰宅したかったご様子でやむなし。

クバーモスク 寺院・教会

この旅最大のピンチがここで。車内で出たゴミを窓から投げ捨てろと言うので、走行しながら鉄板製の箱へ見事スローイン！しかし暫く走って自分のスマホが無い事に気付き…絶対さっきの袋に紛れ込んでる！と鬼バック。

振り返ればおり悪くゴミ収集車が次々に中身を回収中で「もはやこれまで…」と諦めていたら、猛スピードで追いつき「ここ？！」。ありました。ゴミ袋を抱きしめ歓喜のハグをするオジサン二人をサウジ人たちが怪訝な表情で見ていました。

メディナに戻ったら、アラビア語で綴られたクルアーン（コーラン）を買おうと決めていました。と、話していたのを理解してくれていたのか、なんとアブドラハマンが先回りして「はい、プレゼント」。ついでに「アッラーがiPhoneを返してくれたんだよ」と。

メディナの空の玄関口、プリンスモハメドビンアブデゥラジズ空港に送り届けてもらい、アブドラハマンともお別れです。英語とアラビア語で一体どうやって意思疎通してきたのか今でもよく分かりませんが、すっかり意気投合して名残惜しく。

マディーナ・プリンスモハメド・ビン・アブデゥラジズ空港 (MED) 空港

ここも預言者のモスクを思わせる意匠です。巡礼シーズンに使われるハッジ専用ターミナルも備えているそう。

当然の如く空港の真ん前には立派なモスク完備。

搭乗までかなり時間があるので人心地。鉄板の床に打ち付けたせいでご機嫌斜め（数日、文字入力が出来ず）のスマホと悪戦苦闘、でもアッラーに感謝しつつ。

次は首都リヤドです。国内線ターミナルにもプライオリティパスで使えるラウンジが。実はカードの読み込みが上手く行かず困り果て「他にお店ある？」と尋ねたら「無い」。搭乗まで２時間以上あるのに参ったなぁ、と落胆してたら、受付スタッフ女子がウィンクして、中に入れてくれました。アッラーよ、いつもありがとうございます。