韓国フェリー旅・その2.南海高速/アリオンチェジュ (鹿洞→済州) 乗船記

2023/05/16 - 2023/05/16

第245部-1122冊目　No2
(2024年2月14日配信)

皆様、こんにちは。
オーヤシクタンでございます。

コロナで自粛していた海外旅行を再開させようと、韓国へ行くことにしました。
出発前に予約したのはソウル往復航空券と1泊目の安宿だけ。
世界遺産の済州島に行くにも関わらず、観光名所は一切寄らず、韓国のフェリーにひたすら乗るだけでありまして‥
一応行程は組んでいるものの、現地のフェリーについては予約をせず(厳密にはできなかった)ので、なんとかなるだろうと行き当たりばったりな4泊5日の韓国フェリー旅です。

本編は、元は関西-奄美沖縄航路に就航していたマルエーフェリー/琉球エキスプレスが韓国南海高速へ売船され、アリオンチェジュ号となったフェリーで高興/鹿洞→済州島3時間40分の船旅を楽しみます。

表紙画像‥南海高速/アリオンチェジュ号。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2023年5月15日～19日 4泊5日。

5月16日(火) 第2日目-2　濃霧のちはれ
①南海高速:アリオンチェジュ.済州行
高興.12:00→済州.15:40

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
㈱南海高速‥32,500ｳｫﾝ (3,310円)
アリオンチェジュ‥15,500ｳｫﾝ (1,579円)

エリア 済州島 チェジュ(韓国)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 船
• 旅行の手配内容: 個別手配

8:00
ここは、韓国南部の全羅南道高興郡、鹿洞です。
フェリーに乗ろうと、鹿洞新港旅客船ターミナルにやって来ました。

さて、韓国全羅南道高興郡鹿洞ってどこでしょう？
はい、仁川国際空港から南へ約480km！
韓国南部の端っこにある、小さな港町なんです。

=旅客船航路図=
鹿洞新港からは、巨文島・済州島航路の旅客船が発着しています。

巨文島航路に就航するカーフェリー、平和フェリー11号。
韓国の短距離航路は、この形のフェリーが主流なのです。

=南海高速/アリオン済州=
日本の宮城県石巻にある造船所/ヤマニシで2003年に建造された貨客フェリー。
南海高速/アリオンチェジュとして、2017年から韓国/鹿洞-済州航路(所要3時間40分)に就航しました。

=アリオンチェジュ=
船種‥フェリー
総トン数‥6,266ｔ
全長‥145.6m
全幅‥22.0m
所有/運用‥㈱南海高速
船籍‥韓国.済州
建造所‥ヤマニシ
就航‥2003年(日本/マルエーフェリー)
　　　2017年(韓国/南海高速)

①南海高速:アリオンチェジュ.済州行
高興/鹿洞.12:00→済州.15:40 (3時間遅延)

実はこの船‥

阪神-奄美-沖縄航路に就航していた、マルエーフェリー/琉球エキスプレス(6,266t)なのです。

阪神と奄美/沖縄を結ぶ定期航路就航船として2003年から活躍してきましたが、船舶の老朽化と同航路の旅客事業撤退に伴い2017年10月に引退。
韓国に売船され、アリオンチェジュと改名されました。

外国人が乗船券を購入する場合、パスポートの提示を求められます。
予約しないで来ましたが、拙い韓国語で乗船券買えました。
クレジットカード使えましたよ。

・乗船券(鹿洞→済州) 3等32,500ｳｫﾝ(3,310円)

8:45
沖縄奄美群島に就航する船舶は、港湾事情を察して船体にへばりつく階段とギャングウェイ(旅客乗降タラップ)があったのが特徴でした。
ギャングウェイは撤去されましたが、船体にへばりつく階段は健在です。

では、乗船しましょう。
4階の高さへ階段をあがります。

出航10分前‥
出航の儀(単に眺めるだけ)に参列しようと、甲板に出ました。

出航の儀(単に眺めるだけ)に参列する筆者。(笑)
異国でもこの儀式を欠かすことはできない。

9:05
あれっ？
出航時刻を過ぎていますが、地上職員の姿がなく出航する様子がまったくありません。
濃霧で出航できないみたい。

11:00
出航予定時刻から2時間が経過。
まだ鹿洞新港に着岸中。

おっ！
右舷側は霧が晴れてきましたよ。

そろそろ出航するのかな？
～と思ったのですが‥

左舷側はご覧の通り‥
視界ゼロです。

いつになったら出航するのだろう？

11:30
地上職員の方々が出てきました。
そろそろかな？

あっ！
タラップが外されました。

知らぬ間にホーサーがビットから外されまして‥

ホーサー‥係留用ロープ
ビット‥係留用鉄杭

11:40
ゴゴゴゴォー

2時間40分遅れで出航しました。

鹿洞の対岸、小鹿島(ソロクド)。

実はこの小鹿島、悲しい歴史を秘めた島でありまして‥
日本が統治していた1916年、日本の朝鮮総督府によってハンセン病患者の隔離施設/小鹿島慈恵医院が設立され、患者への差別的隔離政策が行われ、ハンセン病の島としての歴史を抱いています。

後進で離岸成功。
パチパチパチ‥

鹿洞→済州/3時間40分の航海が始まりました。

画像出典・OpenStreetMap

11:55
2011年12月に開通。
居金島と小鹿島をつなぐ延長1,116ｍの斜張橋/居金大橋。

おぉー
こりゃ圧巻！

居金大橋よ。
さらばじゃ。

船内を見てみましょう。

乗船すると4階です。
エントランスホールにはソファとテーブルが置かれています。
琉球エキスプレス時代はテーブル前に高級感ある椅子が置かれていましたが、今は椅子が撤去され立食いスペースとなりました。
床の素材はそのままですね。

軽食コーナーと売店。
琉球エキスプレス時代は供食施設がなく、冷凍食品の自販機対応でしたが、自販機は撤去。
軽食コーナーが新設されました。

売店で販売されているお菓子類。
値段表記がありませんね。
かっぱえびせんの韓国版、セウカンと言うスナック菓子は2,500ｳｫﾝでした。

軽食コーナーのメニューは、?ご覧の通り。

A.シクサリュ(食事類)
1・コムタン‥9,000ｳｫﾝ ←(牛肉内蔵スープ)
2・チャドゥルユッケジャン‥10,000ｳｫﾝ ←(牛バラ辛スープ)
3・チャドゥルポッソッテンジャン‥10,000ｳｫﾝ ←(牛バラ韓国味噌汁)
4・キムチチゲ‥9,000ｳｫﾝ
5・カレーパプ‥9,000ｳｫﾝ ←(カレーライス)
6・チャジャンパプ‥9,000ｳｫﾝ ←(黒味噌ソースの飯料理)
7・ラミョン‥5,000ｳｫﾝ ←(ラーメン)
8・ヘムルラミョン‥5,500ｳｫﾝ ←(海鮮ラーメン)
9・チャムチフェトッパブ‥13,000ｳｫﾝ ←(まぐろ刺身丼)
10・コマクビピンパッ‥13,000ｳｫﾝ ←(灰貝のビビンバ)

B.アンジュリュ(つまみ類)
11・チョッパル‥20,000ｳｫﾝ ←(豚足煮込み)
12・オリフンジェ‥20,000ｳｫﾝ ←(鴨肉の燻製)
13・ピョニュク‥25,000ｳｫﾝ ←(茹で豚)

C.ジュル(酒類)
14・ソジュ‥4,000ｳｫﾝ ←(韓国焼酎)
15・メクチュ‥4,000ｳｫﾝ ←(ビール)
16・マッコリ‥4,000ｳｫﾝ
17・ポックプンチャ‥12,000ｳｫﾝ ←(野イチゴ酒)

D.チャ・ウムニョ(茶・飲料)
18・ミックスコーヒー‥1,000ｳｫﾝ
19・アメリカンコーヒー‥3,000ｳｫﾝ ←(韓国麦芽発酵飲料)
20・アイスアメリカンコーヒー‥4,000ｳｫﾝ
21・コグマラテ‥5,000ｳｫﾝ ←(サツマイモのラテ)
22・ハンラポンジュス‥5,000ｳｫﾝ ←(済州みかんジュース)
23・タルギジュス‥5,000ｳｫﾝ ←(イチゴジュース)
24・マンゴジュス‥5,000ｳｫﾝ ←(マンゴージュース)
25・ネンユジャチャ‥5,000ｳｫﾝ ←(冷柚子茶)

ガラス窓をぶち抜いて設置された換気扇。
甲板にはチゲの匂いが漂っていますよ。

=トイレ=
以前と変わらず、ウォッシュレットはありませんね。

=救命胴衣着用法=
これは重要です。
よく見ておきましょう。

=ペットゾーン=
ペット様用の区画です。
日本と同様、韓国のフェリー会社もペット様用設備を充実させています。

=3等客室=
船旅の基本とも言える相部屋の和室です。
自由席なので、早いもの勝ちとなります。

琉球エキスプレス時代は2等室でした。

=2等客室=
琉球エキスプレス時代は1等和室だったお部屋です。

=2等寝台=
琉球エキスプレス時代、1等洋室だった客室。
2段ベットです。

=1等室=
アリオンチェジュの最上級船室。
ツインベッド・応接セットを備えたシティホテル並みの船室となります。

5階に上がってみましょう。

5階は後部に3等船室があるだけでした。

4階に戻って、外部甲板(左舷)です。

琉球エキスプレスを運航していたマルエーフェリーの旧社名時代、大島運輸のこだわりだった木製甲板が健在でした。‥
木のぬくもりが感じられていいですね。

右舷にはテーブルとベンチが設置され、潮風にあたりながらご歓談をお楽しみ頂けます。
琉球エキスプレス時代はなにもなく、床にゴロ寝する人がいたとか‥

救命イカダを下ろす滑車。
韓国セウォル号は、コレがペンキで塗りかためられて、緊急時に滑車が正常に作動しなかったとか。
この船は大丈夫そうだ。

以上で船内視察は終わります。

霧がすっかり晴れました。
凪で動揺なく快適な船旅です。

韓国南部は島が多く、まるで瀬戸内海みたい。

済州到着時刻が確定。
定刻12:40着が15:40着となりました。

ありゃりゃ。
またまた霧に包まれてしまいましたね。

お腹すきましたね。
船内の軽食コーナーで昼食にしましょう。

コムタンとは、牛肉や内臓を使ったさっぱり風味のスープです。
■コムタン定食‥9,000ｳｫﾝ (917円)
①コムタン
②白菜キムチ
③野菜ナムル
④オモク(練り物)
⑤人参キムチ
⑥米飯

ビールを飲もう。
かっぱえびせんの韓国版菓子、セウカンと頂きまーす。

■カスビール‥4,000ｳｫﾝ (408円)
■セウカン‥2,500ｳｫﾝ (255円)

韓国の海にゴンベ！(かんぱーい)

さて、船室でのんびり昼寝と言いたいのですが‥
今日は大口の学生団体様が乗船されておりまして、一般船客の船室はここだけ。
船内は混雑しています。

てな訳で‥
ここが筆者の居場所となりました。(笑)

再び霧が晴れました。
韓国本土は靄の中で見えないです。

15:24
おっ！
済州島が見えて来ましたよ。

済州島は韓国の最南端に位置し、同国で最大面積を持つ島です。
東シナ海・黄海・東海(日本海)の間にある火山島で、日本九州の長崎から180kｍほどしか離れていないのだとか。

ズームすると‥
島の中心に聳える韓国最高峰/漢拏山(標高1,950m)が一望！

済州港に入港。

あっ！
あの船は‥

ズームしてみましょう。
我が国日本を代表する豪華クルーズ客船、郵船クルーズ/飛鳥Ⅱですぞ。

博多発着済州島往復2泊3日のショートクルーズで寄港中。
気になる代金を調べてみると‥
一番安いKステート 128,500円。
最上級船室となるS.ロイヤルスイート 607.000円！

はあぁ～
筆者の経済力では無理だ。

済州港には韓国各地へのフェリーが着岸中。

済州-木浦航路に就航する、シーワールド高速フェリー/クイーンメリー2。
同航路を僚船/クイーンジェノバと共に所要4時間で運航中。

実はこの船‥

この船、大阪-新門司航路に就航していた、名門大洋フェリー/フェリーふくおかⅡ(9,731t)です。

三菱重工業下関造船所で建造され2002年10月18日に就航。
新造船/フェリーふくおかの就航に伴い2022年3月27日をもって引退。
韓国に売船されクイーンメリー2と改名されました。

済州-麗水航路に就航する、韓一高速/ゴールドステラ(※21,989t)。
韓国の大鮮造船で2020年に建造されたフェリーです。

※データーは国際総数トンとなり、日本における船舶の大きさを表すために用いられる指標と異なります。

着岸地点が近づいてきました。
済州港第2埠頭に着岸するようです。

右側に着岸中の高速船は‥

済州-珍島航路に就航する、シーワールド高速フェリー/サンタモニカ(3,498t)。
オーストラリア.インキャット社で2022年4月に竣工されたウェーブピアサー カタマラン(波浪貫通型双胴船)タイプの高速カーフェリーです。

同航路を直行便だと所要1時間30分で運航中。

回頭して後進で着岸態勢に入りました。

あぁ～
楽しい船旅が終わっちゃうよ～

ホーサーがビットにつながれました。

15:43
着岸完了。
パチパチパチ‥

定刻12:40着より3時間3分遅れで到着です。

あっ！
あの船は‥

ズームしてみましょう。
沖合に錨泊していた、韓一高速/ブルーパール(済州-兜島)が入港して来ましたよ。

実はこの船‥

日本の大阪-新門司航路に就航していた、名門大洋フェリー/フェリーきょうとⅡ(9,731t)なのです。

三菱重工業下関造船所で建造され2002年9月3日に就航。
新造船/フェリーきょうとの就航に伴い2022年1月14日をもって引退。
韓国に売船され、ブルーパールと改名されました。

※2024年1月現在、ブルーパールは韓国済州航路での運用を終え、フィリピンへ売船されたようです。

15:57
では、下船しましょう。

済州島に上陸！
世界遺産の島なのに、どこも見学せず‥

次は、済州18:30出航の釜山行きフェリー。
MSフェリー/ニュースター号に乗る計画です。

実はこの船、大阪-東予航路に就航していた四国開発フェリー/おれんじ8なのです。
夜行便なので宿代を浮かせようと目論んだのですが‥

出航案内を見ると‥
ニュースター/釜山行は、検査となっているではありませんか。

ええっ！
これって、もしかしたら欠航を意味するのではないかと思い‥

案内所へ。

案内所の職員は日本語がダメとのことなので、拙い韓国語で「釜山行に乗りたい」と伝えると「オプソヨ/ない」との返事。

ガビーン！

頂いた時刻表を見ると、時間の記載がなく、備考欄に一時運航中断/2022年12月16日から期間未定とあるではありませんか。

案内所では英語&中国語版の時刻表も頂けますよ。
日本語はないみたい。

実は出発前にMSフェリーの予約をしようとしたのだけど、予約サイトにたどり着けなかったのです。
あぁ、こう言うことだったのね。

ここで計画が大幅に崩れてしまうことになってしまった筆者。

さてどうしようか‥
本編はここまでです。

ご覧下さいまして、誠にありがとうございました。

-つづく-