2023/10/01 - 2023/10/05
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bunkichiさん
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ド素人ながらあれこれ建築を見てまわることが好きで、プラハ、ウィーン、ロンドンの建物を中心にウロウロさまよった旅行記です。
前旅行記では、プラハ、ヴルタバ川東岸エリアのアールヌーヴォー建築を中心にウロウロしていたのですが、今回は更に深みにはまってしまいます。
アールヌーヴォーのみならず、キュビズム、ポストモダン.....と。
まさにプラハの街は建築博物館でした。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 タクシー 徒歩
- 航空会社
- ブリティッシュエアウェイズ ANA
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
前旅行記では、アールヌーヴォー建築を求め、プラハ中央駅までたどり着きましたが、これでプラハを去るわけにはいきません。
なぜなら、チェコ・アールヌーヴォー建築において欠かせない人気建築家、"オスカー・ポリーフカ”の建築を見てないからです。
ポリーフカは古典主義はじめ、各様式を操る適応能力が高く、変革を好まない保守層にも理解され、多くの公共建築を残してます。
先ずは、「ウ・ノバークの家」(1904年)から訪ねてみました。 -
「ウ・ノバークの家」はヴォディチコヴァ通りにあります。
Googleマップには、”J.Novák Casino”と表示されるので、ここは今はカジノなのでしょうか?
外壁には春の祭典をモチーフにしたモザイクタイル画が貼られ、目を引きます。 -
アールヌーヴォーの特徴である自然界の彫像が至る所に飾られてます。
この写真のカエルは可愛い彫像ですが、ベランダの”支え金具”には、可哀相なことにカエルが突き刺さってます。 -
植物モチーフのエントランス
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「プラハ保険会社」(1907)
国民劇場にほど近い、ナーロドニー通りにあります。
この建築もポリーフカの装飾への強いこだわりを感じ取れます。 -
屋上の彫像
軒下、”PRAHA”文字周りの豪華な装飾
中央の窓の金色のフクロウ彫像 -
2階、民話をテーマにした陶板壁画
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出窓(ボウウインドウ)の天使と花の彫像装飾
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美しい装飾のエントランス.....等々
豪華絢爛なアールヌーヴォー装飾が溢れています。 -
「トピチュ出版社」(1907)
「プラハ保険会社」のすぐ隣にあり、同時期に建築されました。 -
ここも花や民話をモチーフにした彫像でファサードを飾ってますが、隣と比較するとヤヤ地味?です。
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一般に、この建築は古典主義の名残を残し、(隣との)様式の対比を意図したのではないかと云われてます。
建築両サイドの形がネコキャラぽいのが印象に残りました。 -
この建築は”様式のブレンドと過剰な装飾”と云われてるポリーフカの代表作、「プラハ市民会館」(1905~11)です。
15世紀に建てられた王宮の門、「火薬塔」の隣にデーンと鎮座してました。
w(°o°)w おおっ!!市民会館 建造物
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バロックともアールヌーヴォーとも決められない様式の外観は、当時の建築家、芸術家、一般市民をも含め物議を醸したそうです。
威厳を保つべき会館に、このデザインはどうなのよ?? 歴史的町並みの景観が壊れる!と建築中から酷評さたそうです。
しかし、絵画、彫刻、モザイクタイル、照明器具、ステンドグラス、飾り金物に至るまでチェコの芸術家を総動員して、工事着工から6年の歳月をかけて完成します。 -
上部半円アーチ内の(民話の一場面を描いた)モザイク画
「プラハの神格化」/K・シュピラル作 -
メインエントランスの繊細ガラス細工装飾/R・シャロン、J・マラトヤ作
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公式サイトから予約した市民会館のガイドツアー(所要時間 約50分)に参加して、館内見学をしました。
料金は大人:290チェココルナ 子供・学生・60歳以上:240チェココルナです。(写真を撮る場合は別途55チェココルナ必要)
外国語不得意の私ですが、日本語の説明書も貸してもらえますので助かりました。(見学後回収)
公式サイト:市民会館(チェコ語・英語)
https://www.obecnidum.cz/ -
館内は、エレベーターも階段もアールヌーヴォー装飾が散りばめられています。
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とりわけ圧倒的な場所は、会館中央に位置する1,200名を収容できる客先のある「スメタナ・ホール」でした。
プラハの春国際音楽祭でスメタナの命日である5月12日に、代表作『わが祖国』のオープニング演奏を行う会場でもあります。 -
ステージ上には、巨大なパイプオルガンが鎮座しておりました。
(^◇^ ;) ほぇ~ -
中央天井には大きなステンドグラスの窓!
w(°o°)w おおっ!! -
後ろを振り向いても豪華絢爛な装飾です。
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後方客席
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側面(左サイド)
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イチオシ
美しいの一言に尽きます。
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スメタナ・ホールを出た後、バロック、アールヌーヴォー様式混在のカフェを皮切りにチェコの著名な政治家、作家の名を戴くホール、サロンを案内されました。
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モラヴィア・スロヴァキア様式の天井装飾
(スロヴァーツコ・サロン) -
天井もモザイクの噴水も美しい!
(ポジェナ・ニュムツォヴァーの小サロン) -
アールヌーヴォー様式の金属製カタツムリのミニ噴水のついた水槽
(噴水部分拡大)
(スロヴァーツコ・サロン) -
手細工の装飾時計、真鍮製のシャンデリア
(スラトコフスキー・ホール) -
豪華な孔雀柄刺繍のタッセル
(市長ホール) -
アールヌーヴォー様式のインテリアに加えて、各ホールには、著名なチェコ画家の壁画、天井画が描かれています。
『慈悲の歌、戦争の歌、弔いの歌の三連の壁画』ランティシェク・ジェニシェク作
(クレーグル・ホール) -
上:『少女と飛翔する少女』ヤン・プレイスレル作
(パラッキー・ホール)
下:『チェコの春』マックス・シュヴァビンスキー作
チェコの著名な政治家、作家、芸術家、作曲家(スメタナ、ドボルザーク)等の人物が一緒に描かれています。
(リーグル・ホール) -
この市民会館で最も印象的な絵画は、市長ホールの中央に描かれている、アルフォンス・ミュシャが手がけた天井画、「スラブの団結」でしょう。
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円形の天井画からチェコの歴史上の人物に擬人化された市民の美徳、【勇者、忠誠、力強さ、番人、厳格、独立、正義、叡智】を表現した8本のペンデントが伸びています。
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左:プシェミスロヴェツの女王エリシカ=叡智
中:ヤン・ジシカ=勇者
右:ヤン・アモス・コメンスキー=忠誠 -
当時、ポスターや挿絵でパリで高い評価を得ていたミュシャですが、1910年に帰国後、このホールの装飾にかかわる作品・デザイン制作の依頼をチェコへの愛国心から、なんと無償で引き受けたそうです。
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このステンドグラスもミュシャの作品のひとつです。
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せっかくなので「ミュシャ美術館」に寄ってみました。
料金は大人:350チェココルナ 子供・学生・65歳以上:280チェココルナです。
日本語の展示ガイド:50チェココルナ
公式サイト:プラハ・ミュシャ美術館
https://www.mucha.cz/jp/ミュシャ美術館(ムハ美術館) 博物館・美術館・ギャラリー
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館内は思っていたよりも、こぢんまりしていました。
しかし、パリ時代のポスターからチェコ時代の油絵まで展示されてます。 -
写真も自由に撮れるので、ミュシャ好きの私には有り難い美術館でした。
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1910年代になると、プラハの街もポリーフカの装飾至上的アールヌーヴォー建築からアール・デコ、モダニズム建築へと徐々に移行します。
この時代の痕跡をヴァーツラフ広場周辺の建築で見ることができます。
そのひとつの複合建築、「ルツェルナ」です。
M・フレッハ、ヴァーツラフ・ハヴェル設計(1916年)カヴァルナ ルツェルナ 地元の料理
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「ルツェルナ」とは、ランタンの意味で、屋上に模倣した塔があります。
外観は、アールヌーヴォーというよりアール・デコかもしれません。
屋内に入りませんでしたが、後で調べたら、”ひっくり返った馬の彫刻”等の面白い装飾が有ることが分かり、入らなかった事を後悔してます。 -
チェコ独自の建築様式として、20世紀初頭の十数年とはいえ、ピカソやブラックで知られる幾何学的なデザインを建築に適用した”キュービズム建築”があります。
そのキュービズム建築の第一作がこの「黒い聖母の家」です。
J・ゴチャール設計(1911年)黒い聖母の家 建造物
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建築名の由来の”黒いマリア像”がカクカク感の壁面に飾られてました。
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階段入口から見上げてみました。
けっこう面白い光景ですが、正しくは上層階から下の階段を見下げた方が良い(ギザギザ感の)絵が撮れます。
でも、歩き回って疲労困憊!
とても上がる気力も体力もありませんでした。・(ノд<)・゚ -
それでも2階に上がり、カフェ、グランド・カフェ・オリエント(Grand Café Orient)で休憩しました。
照明が多面体のキュービズムのデザインでした。 -
マサリク堤防エリアよりやや(ヴルタバ川)上流沿いに、”キュウビズム建築"が多く残っています。
「ヴィシェフラドの三世代住宅」(1913年)
J・ホホールが設計した最初の”キュービズム建築”です。
地図上は三世代住宅と表示されてますが、別にお爺ちゃん、孫が住んでる三世代住宅ではなく、映画製作会社やら企業のオフィスに利用されています。ヴィシェフラトの三世代住宅 建造物
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キュウビズム絵画のような多角形の門扉や窓枠
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(中央位置の住宅)
下から見上げたエントランス -
最初の設計には、まだ彫像がファサードに飾られています。
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「コヴァチョヴィチ邸」
こちらは、次にJ・ホホールが設計したものです。(1913年)
彫像の飾りはやめたようです。 -
第一次世界大戦後、キュービズム建築は”ロンド・キュビズム”と呼ばれる深い幾何学的装飾(昔のロシア装飾)が特徴の建築スタイルに移行します。
その代表的な建築、「アドリア宮殿」にも行ってみました。
P・ヤナーク、ザスチェリウニオーネ設計(1923-25年) -
なんとも言えないゴッツい!威圧感たっぷり建築です。
今でこそ見直されて、文化遺産となっているそうですが、この重ぐるしさは受け入れらず、その後は続かなかったそうです。 -
エントランスには、どこかのCMで見たことがあるポーズの彫像がお出迎えをしていました。
よっ!・・・・・・ -
幾何学模様の床モザイクタイルが印象的でした。
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屋内ロビーは現在、改修中のようで床に資材が投げ出されていました。
奥に見える時計回りの装飾だけでもステキなので、また機会があれば、ぜひ改修後を見たいものです。 -
さて、プラハのアールヌーヴォ建築を中心にウロウロしましたが、まだまだこんなものではありません。
さらにウロウロすれば、いろいろ面白い建築に出会います。
たとえば、はじめは発砲スチロールで包まれているのかと思ったアバンギャルド建築?
「新国民劇場」(1983年)です。
スタニスラフ・リベンスキーの 設計による4,000枚以上の吹きガラスで形作されているそうです。 -
隣接の「国民劇場」は、コテコテの”ネオ・ルネサンス様式”の建築ですから、ずいぶん思い切った建築をしたものだと驚かされました。
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ポストモダン建築にも出会いました。
「ダンシング・ハウス」
フランク・オーウェン・ゲーリー ウラジミール・ミルニッチ設計(1996年)
まさにプラハの街は、”建築の博物館”でした。
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