2023/10/15 - 2023/10/16
31位(同エリア958件中)
旅猫さん
旅の二日目は、盛岡である。盛岡は、何度も訪れている街だが、2年前の冬にも訪れている。その時、休みなどで立ち寄れなかった場所や、時間の都合で歩けなかった界隈を今回は訪れることにした。
(2023.11.01 投稿)
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 新幹線 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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宿を出ると、目の前に、新しい青森駅が朝日に照らされて聳えていた。まだ完成していないが、駅舎の上はホテルになるのかもしれない。今日は盛岡を歩くので、まずは新青森駅へ向かい、7時43分発の『はやぶさ10号』に乗り、盛岡駅へと向かった。
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盛岡駅には、ちょうど一時間で着いた。駅前のバスターミナルに出ると、今にも雨が降りそうな気配である。青森での青空が嘘のようだ。とりあえず、市内循環バス『でんでんむし』に乗り、上の橋バス停を目指した。
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上の橋は、バス停からすぐであった。この橋は、盛岡城発展の礎として、慶長14年に架けられたものだそうだ。現在の橋は当時のものではないが、擬宝珠は、築造当時のもので、南部利直の名が刻まれている。
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橋を渡り、中の橋の方へと歩いて行く。いつもは人通りのほとんど無い道だが、この日は何故だか人が多い。催し物をやっているようだ。クラムボンの並びに、解体中の建物があったが、移転した旧菊の司酒造である。2年前に訪れた時は現役だったので、少々寂しい。解体せずに、何かに利用する方法は無かったのだろうか。
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紺屋町の番屋まで来ると、喫茶が営業していた。2年前に訪れた時は無かったので、最近出来たようだ。朝が総菜パンひとつだけだったので、ここに立ち寄ってみることにした。
※『番屋カフェ』は、令和4年3月に開業しました。紺屋町番屋カフェ グルメ・レストラン
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中へ入ると、ちょうど一席空いていた。ケーキセットがお勧めだと言うので、ガトーショコラをいただくことにする。ブレンド珈琲は二種類あり、深い味わいだと言う『oka』を選択。珈琲は、豆を挽いてからじっくりといれてくれる。珈琲もケーキも好みの味わいで、とても美味しかった。
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番屋のある交差点をさらに南へと歩くと、古い町家が軒を連ねる一角がある。以前も訪れ気に入っている界隈だ。
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その中に、竹細工などの荒物を扱う『茣蓙九・森九商店』がある。江戸時代から続く商家である。初めて中に入ったが、懐かしい品物がたくさんあり、目移りしてしまう。危うく、菅笠を買いそうになってしまった。
ござ九 森九商店 専門店
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藁で編んだ雪沓もあり、どれも購入したくなる。
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奥ヘ行くと、中庭があった。その周囲には海鼠壁の建物や蔵などがあり、その蔵では、『草絵盛岡小品展』と言う展覧会が催されていた。どの作品も素敵で、家に飾りたくなるようなものばかりであった。
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店の斜向かいには、南部鉄器の『釜定』があるのだが、休みのようであった。店の前に置かれた石の上には、色々なものが置かれていた。
釜定 (本店) 専門店
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そのすぐ先に、石造りの立派な建物があった。昭和2年(1927)に盛岡貯蓄銀行の本店として建てられたものだそうだ。このような建物は、戦前、各地の銀行で建てられたので、今でも結構目に付く。当時は、神殿風が流行ったのだろう。西洋を模して造られる建物は多いが、今の方が安っぽいのが大きな違いだ。
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大通りに出ると、その角には赤レンガ造りの建物がある。盛岡では著名な旧盛岡銀行本館だ。外から眺めていると、突然大粒の雨が降り出した。前回しっかりと見学したのだが、雨宿りも兼ねて、入ることにした。せっかくなので、無料で観ることが出来る部分だけを見学した。
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雨が止まないので、仕方が無く、そのまま散策を続ける。さらに南へと歩くと、明治11年(1878)に建てられた旧第九十銀行の建物が見えて来る。中には、盛岡で青春時代を過ごした石川啄木と宮沢賢治に関する資料が展示されていた。
もりおか啄木 賢治青春館 美術館・博物館
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降り続く雨の中を、しばらく歩くと、住宅街の裏手に、蔦に覆われた建物があった。旧石井県令私邸である。石井県令は、第二代県令で、この建物は私邸として建てられたもので、盛岡市で最も古い洋風建築だそうだ。
旧石井県令邸 名所・史跡
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その近くに、南昌荘がある。『みちのくの鉱山王』と呼ばれた実業家瀬川安五郎により明治18年(1885)に建てられたものだそうだ。中に入れば、30畳の板の間が現れる。この建物最大の見所である。
南昌荘 美術館・博物館
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窓からは、庭園が望める。その窓際に置かれた椅子なども、なかなか趣があり良い感じである。
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そこで、抹茶をいただけると言うのでお願いした。木造建築と樹々の茂る庭を眺めながら、静かでゆったりとした時間を過ごしたかったのだが、着物を着た若い男女と、その仲間たちが撮影会をしていて煩わしい。最近、和の風情がある場所などで、和装コスプレなどの撮影をするのが流行っているが、夢中にになり過ぎ、周囲に迷惑を掛けている。公共の場では、慎みが必要である。
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南昌荘を後にし、中の橋の方へと戻る。帰りは、川縁の道を辿ることにする。すると、途中に、小さな公園があった。そこは、かの新渡戸稲造の生誕地であった。奥には、彼の銅像が置かれていた。
新渡戸稲造生誕の地 名所・史跡
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中津川に架かる下の橋を渡ると、そこには賢治清水と言うものがった。その近くには、盛岡農林高等学校時代、実際に宮沢賢治が使っていた井戸が保存されていた。
賢治清水 公園・植物園
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中の橋まで戻って来たが、まだ雨は降り続いている。そこで、雨宿りをすることにした。入ったのは、川縁に佇む喫茶店である。店内は、落ち着いた雰囲気で、なかなか洒落た感じであった。
ふかくさ グルメ・レストラン
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席に座ると、木板に書かれたお品書きを渡された。ビニールケースに入った味気の無いものと比べると、とても温もりがある。ここでも、ケーキセットをいただくことにする。今朝、珈琲を飲んでいたので、ここではアイスコーヒーとした。
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店内に席は4つしか無く、一番奥に、若い女性が一人で座っていた。灯りも仄かで、雰囲気が良い。文庫本を開きながら、のんびり過ごすのが似合う。しばらくすると、老夫婦が入って来て、窓際の席に座った。散歩の途中でふらりと立ち寄ったようだ。
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盛岡バスセンターからバスに乗り、駅の方へと戻る。降りたのは、開運橋バス停である。開運橋は、盛岡駅と盛岡市街を結ぶ重要な橋である。流れる川は、東北の大河、北上川である。その川沿いに散策を続ける。
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材木町通りに入ると、すぐの場所に宮沢賢治の像が置かれていた。この通りは、別名『いーはとーぶアベニュー』と呼ばれている。宮沢賢治ゆかりの場所がいくつもあったそうだ。
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そのひとつが、光原社である。宮沢賢治が存命中に発表した唯一の童話集である『注文の多い料理店』を出版した会社である。その店の裏手には、それを示す石碑などが置かれていた。
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所縁の道だけあり、所々に記念碑が設けられている。中には、賢治が作曲した『星めぐりの歌』に着想したと言うチェロが据えられた『音座』と言うものもあった。それらを観ていると、ふいに後ろから声を掛けられた。後ろ姿の写真を撮ってくださいと言う。その後も話し掛けられたが、不思議な感じの女性であった。
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材木町を抜けると、左手に夕顔瀬橋が現れる。その橋の上からは、北上川に面した材木町が見える。その護岸には、古い石組が連なっている。その石組は、江戸時代から明治にかけ、材木町の商人たちが自前で造ったものだそうだ。護岸工事で失われずに残されているのは嬉しい。
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材木町から長田町へ入る。裏道伝いに歩いて行くと、赤瓦を載せた立派な屋敷門が見えて来る。景観保全のために残している武田邸である。内部が見学出来るそうだが、基本的に土曜日だけであり、この日は残念ながら休みであった。
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武田邸を通り過ぎ、石川啄木が新婚生活を送ったと言う家を目指す。大通りに出ると、斜向かいに赤い屋根が特徴的なパン屋が見えた。盛岡市では名の知れた『福田パン』であった。まだ昼を食べていなかったので、そこでパンを購入することにした。
福田パン 長田町本店 グルメ・レストラン
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店内は、地元の方で賑わっていた。普通のパン屋と違い、ここでは基本的にコッペパンだけのようだ。客は、何をパンに挟むかを決め、出来たパンを受け取る仕組みである。具は40種類ほどもあり、組み合わせも自由である。悩んだが、照り焼きチキンサンドにした。パンは柔らかく美味しかったが、具は少なめであった。値段もそこそこするので、お得感はあまりなかったが、素朴さと選ぶ楽しみがあり悪くはない。
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一向に降り止まない雨の中、『啄木新婚の家』に辿り着いた。その家は、木造平屋建ての風情のある建物である。周囲はマンションなどが立つ住宅街で、そこだけ時間が止まったかのような感じであった。
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元は武家屋敷として建てられたものだそうだ。啄木一家は、この屋敷のふた間ほどを借家として借りていたそうである。とは言え、僅か三週間で転居したそうだ。しかしながら、市内に残る唯一の啄木関連の遺構と言うことで貴重なものとなっている。ここには、啄木夫妻と両親、妹の五人で暮らしたそうだが、これは狭いと感じた。
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時間はまだ早かったが、強い雨が降っているので、散策を切り上げて宿へ向かうことにする。駅の方へ向かって歩いていると、ビルの間に煉瓦塀が残されているのを見つけた。平民宰相と呼ばれた原敬が建てた別邸介寿荘があった場所だそうだ。塀自体が当時のものかは分からないが、その奥にあった圓通神社は、別邸跡から発掘された遺構を復元したものだそうだ。
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開運橋を渡ると、宿はすぐである。今宵の宿は、盛岡での定宿になりつつある『ダイワロイネットホテル盛岡駅前』である。まだ15時を回ったところなので、しばらく部屋で寛ぐ。そして、16時半前に宿を出て、少し早目の夕食とした。
ダイワロイネットホテル盛岡駅前 宿・ホテル
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向かったのは、ベアレンビールの直営『ビアベースベアレン盛岡駅前』。カウンター席に陣取り、まずは、岩手県産の採れたてホップを使った『フレッシュホップラガー』をいただいた。軽やかな飲み口で、ホップの香りも効いてなかなかの味わいであった。
ビア ベース ベアレン 盛岡駅前 グルメ・レストラン
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つまみは、『カマンベールチーズの自家製スモーク』をいただく。しかし、少々思っていたのと違った姿と味であった。
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そこで、口直しに『菜彩鶏チキンナゲット』を注文した。岩手には、『あべどり』や『奥州いわいどり』など、都内でもよく見かける銘柄鶏があるが、この鶏は初めてであった。とは言え、ナゲットでは、肉質や旨味は分からない。
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追加の麦酒は、定番の『トラッドゴールドピルスナー』とした。きりっとした味わいで、喉越しの良い味わいである。今回は、あまり長居はせず、二杯で切り上げることにした。
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いつしか雨も上がっていたので、北上川沿いを少し散策することにする。そこには、最近出来たのか、コンテナのような簡易的な店がたくさん並んでいる。よくある屋台村のお洒落な感じであろう。しかし、客は疎らであり、かなりの店が閉まっていた。
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翌朝は、昨日と打って変わり、青空が広がっていた。この日は、前回も訪れた鉈屋町を再訪する。駅前から、8時10分発の矢作営業所行に乗ったのだが、何と経由地が違うバスに乗ってしまった。同じ時間に、同じ行き先のバスが同時に出るとは考えてもみなかったのだ。次のバス停ですぐに降りたが、一区間が5分も停まらず、かなり違う場所に来てしまった。そこから北上川沿いに歩いて行くと、岩手山が綺麗に見える場所があった。
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結局、30分余り歩き、予約していた『あさ開』の見学時間にぎりぎり間に合った。9時の回は、5人だけであった。案内されたのは、昭和末期に建てられた『昭和旭蔵』。大きな建物で、手仕込みと機械造りの両方の施設が入っていた。やはり、良い酒は手仕込みで、量産品は機械で自動に造られているのだ。
(株)あさ開 名所・史跡
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見学の最後は、お待ちかねの試飲である。まずは、生で熟成させた後、飲み頃に一度火入れして出す『熟麗シリーズ』であった。食米である『銀河のしずく』を使った酒で、個人的には好みではない味である。
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次に呑んだ『純米吟醸大辛口 超水神』は、大辛口とは言うものの、米の旨味が結構強く、とても良い酒であった。続いて、蔵元限定販売の『純米大吟醸生原酒』も、普通に美味しい。購入すると、その場で瓶詰めしてくれるそうであり、人気があるそうだ。
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最後は、『純米原酒 秋あがり』であった。原種らしい力強さがあり、割と気に入った。見学の際、若い蔵人が立ちあげたと言う新しい商品も試飲できると聞いていたので、頼んでみる。すると、四種類も出してくれた。焼酎用の黒麹を使っているそうだが、かなり個性的で好みでは無かった。
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さらに、今年度の金賞を取った言う『純米大吟醸生原酒 結の香仕込み』と、お勧めだと言う『純米大吟醸 極上 旭扇』をいただく。前者は、岩手県産最高級酒米『結の香』を使った一品で、雑味の無い非常に綺麗な味わいであった。後者は、『あさ開』の誇る最高級品で、かの山田錦を40%まで磨き、地元の名水『大慈清水』で仕込んだ一品。文句のない味わいであった。これらは高いので、購入したのは、試飲で気に入った『超水神』と、『水神 純米大辛口生原酒』である。
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『あさ開』を後にし、街歩きを始める。とりあえず、すぐ近くの十六羅漢像を観に行く。そこは公園となっていたが、大きな十六羅漢像と五智如来像がロの字型に置かれている。江戸時代には、宗龍寺と言う寺があったそうだが、廃寺となったそうだ。石造群は、飢饉で亡くなった人を供養するため、13年の年月を掛けて造られたものだそうである。それにしても、大きな石造であった。
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そのすぐ近くに、団子屋があった。ふらりと立ち寄り、一本購入。みたらし団子であり、とても柔らかくて美味しかった。
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歩いて行くと、前回立ち寄った大慈寺の前に出た。せっかくなので、原敬の墓所を参拝。静かで良い寺だが、石段脇に選挙用の派手な看板が置かれていたのが、かなり景観を悪くしていた。
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大慈寺の向いには、長い塀が続いている。趣のある木造の建物も見える。そこは、かつて『川鉄』と言う川魚料理を出す料亭があったそうだ。一応休業と言うことになっているそうだが、どうなのだろう。どちらにせよ、しっかりと管理をして、後世に残して欲しい佇まいである。
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その裏手に、前回見つけた『川鉄』の一部を利用した喫茶がある。楽しみにしていたのだが、ドアを開けると、すぐに断られてしまった。客は一人しかいなかったのだが、これから常連客が来ることになっているとのことである。残念だが、それならば仕方が無い。
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『大慈清水』にも立ち寄ってみる。変わらず清らかな水が湧いている。とても美味しそうなので、飲んでみることにした。柔らかな軟水であった。
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『大慈清水』の並びにある『もりおか町屋物語館』にも立ち寄る。前回、二階を見学していなかったので、観ておこうと思ったのだ。上がってみると、そこには昭和の暮らしが再現されていた。
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その裏手にある『大正蔵』も見学した後、表に出ると。『一盃森』と言う小さな食事処が目に付いた。気になったので、早目のお昼をそこで食べることにした。
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品書きには、焼魚定食を含めて5種類だけである。その中から、ミニうどんと稲荷寿司2個が付いた『十文字いなりセット』を注文。そのうどんも稲荷寿司も、とても美味しかった。
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居心地も良いので、お酒も頼む。銘柄が『あさ開』のみと言うのが良い。大と小があったので、大をお願いした。二合足らずだそうだ。
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追加で、手作り餃子と、この店の名物らしい『たい焼き』の小も注文する。餃子は、最近あまり出会うことが無くなった、ニラがたっぷりの一品であった。おかわりをしたかったが、麦酒が呑みたくなるので我慢する。そして、最後に食べた『たい焼き』も、たっぷりの餡ともちっとした皮が絶妙であった。
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思わぬところで美味しい食事が出来た。幸せな気分で外に出、そろそろ駅へと戻ることにする。止んでいた雨も、また断続的に振り出していた。
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風情のある街並みを歩いていると、秋明菊が咲いていた。
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その先に、『大慈清水御休み処』と言う場所があった。前回歩いた時には無かったので、立ち寄ってみる。明治期に建てられた町家だそうだ。ちょうど何かの催しをやっていて落ち着かないので、すぐに出てしまった。
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最後に、米内光政の墓所がある円光寺を参拝。その境内に、眼病にご利益があると言う生目観音があったので、賽銭を奮発して祈願した。
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その観音堂の前に、首塚があった。南部藩主の側室となった女性に纏わるものらしい。
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南大通二丁目バス停からバスに乗り、盛岡駅へと戻る。まだ列車の時間までしばらくあるので、地下街を歩いてみる。すると、その一角に、地下街には場違いな感じの立ち飲み屋があった。面白そうなので、そこで時間を潰すことにした。
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店の方が女性だったので、入り易かったのだ。店内は、地下街とは思えないほど風情がある。客は、私を含めて、女性二人と男性四人。すべて一人呑みである。お酒は先ほど呑んだので、ここはホッピーの黒とした。つまみはハムカツを注文。
立呑 えびすけ グルメ・レストラン
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壁に、店のストラップについての貼り紙があった。それを購入すると、毎回串焼きが一本無料になると言う。また来るかわからないが、購入した。そして、正肉を一本いただいたが、炭火で焼いていて驚いた。この店は、500円を超える料理は無く、どれも昔ながらの居酒屋らしいものだ。昼間からやっているのも嬉しい。また立ち寄りたい店であった。
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もう少し呑んでいたかったが、列車の時間が迫って来たので、切り上げることにする。帰りは、13時50分発の『こまち24号』に乗車。二日目は雨に祟られたものの、結構楽しめた。盛岡で、美味しい店と旨い立ち飲みを見つけたのは収穫であった。近いうちに、またふらりと盛岡を歩いてみたいものである。
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この旅行記へのコメント (8)
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- hot chocolateさん 2023/11/14 08:20:16
- 盛岡逍遥
- 旅猫さま
おはようございます。
盛岡は未踏の地なのですが、是非とも訪れたいところです。
明治、大正、昭和のレトロな建物や昔ながらの日本家屋など、
魅力的な街ですね。
>危うく、菅笠を買いそうになってしまった。
菅笠ではないですが、夫はタイで竹で編んだ笠を5個も買ってしまいました・・・(笑)
でも、被っているところは見たことがありません。
実業家瀬川安五郎によって建てられた南昌荘の30畳の板の間が見事ですね。
ピカピカに磨かれた広い空間で、ゆったりとお茶を頂けるなんて、
贅沢の極みです。
hot choco
- 旅猫さん からの返信 2023/11/14 08:42:45
- RE: 盛岡逍遥
- hot chocoさん、こんにちは。
書き込みありがとうございます。
盛岡は未踏でしたか!
街自体は岩手県の県都なので、近代的な町並みとなっています。
とは言え、一部には、まだ懐かしい町並みや建物が残っています。
個人的には好きな街です。
竹で編んだ笠って、何だか惹かれるものがあります。
つい買ってしまったと言うのは分かりますが、5つとは(^^;
ぜひ、被って街を歩いてほしいものです(笑)
南昌荘のあの板の間は見事でした。
昔の資産家と言うのは、感性が豊かで、今のお金持ちとは一線を画すると思います。
おかげで、我々は、素晴らしい建物や庭を観られるわけですね。
生憎の雨でしたが、あの板の間で抹茶を呑みながら過ごすのは贅沢でした。
旅猫
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- 164-165さん 2023/11/03 07:06:26
- 盛岡へようこそ!
- 旅猫さん おはようございます。
盛岡へお越しいただき有難うございます。しかも、盛岡に5年以上住んだことがある私が行ったことがない場所へも行かれて、こちらが感心してしまいました。
天候の悪さもものともせず回られて驚いても居りました。
盛岡の良さを紹介していただき有難うございます。
【164-165】
- 旅猫さん からの返信 2023/11/06 10:41:20
- RE: 盛岡へようこそ!
- 164-165さん、こんにちは。
書き込みありがとうございます。
お返事が遅くなりすみません。
164-165さんは、盛岡に住んでいたことがあるのですね。
盛岡は好きで、何度も訪れています。
最近は、鉈屋町界隈がお気に入りです。
生憎の雨でしたが、楽しめました。
旅猫
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- ポテのお散歩さん 2023/11/02 22:17:17
- 歴史ある建造物
- 旅猫さん こんばんは。
500冊目の旅行記は盛岡でしたね。
東北には歴史ある建物も多いですが、洋館も保存状態良く残っていますね。
そして雰囲気の良いカフェも多いし、意外と洋食のお店も多く感じます。
それがまた、レトロなだけでなく お味も美味しいそうなのです(^^)
都心にあるような垢ぬけた味付けかどうか、食べた事が無いので
わからないのですが、日本人が何度食べても飽きない味なのでは?と
想像しています。
南昌荘 の建物も立派ですね。
ここはいつか行ってみたいです。
コーヒーの美味しい喫茶店も多そうで、いつか弘前のアップルパイ巡りや
盛岡のカフェ巡りもしてみたいです(*^-^*)
ポテ
- 旅猫さん からの返信 2023/11/06 10:37:28
- RE: 歴史ある建造物
- ポテさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。
出掛けていたので、お返事が遅くなりました。
公開しているのは500冊ですが、作成済みは652冊です。
古い旅行記を作り直しているのですが、秋は旅の季節なので捗りません(^^;
東北は、ある意味寂れているので、そのまま残されていることが多いです。
建て替えする前に利用されなくなった感じです。
盛岡駅の近くに、かなり古い洋食屋さんがありました。
休みだったので入れませんでしたが、美味しそうな感じです。
それこそ、何度食べても飽きない味だと思います。
南昌荘は立派でした。
特に、庭に面した大広間は見事でした。
盛岡は、風情のある喫茶が多い街です。
個人的には、一番新しい『番屋カフェ』が、珈琲やケーキの味が良かったです。
旅猫
-
- pedaruさん 2023/11/02 06:28:00
- 盛岡オリジナル旅
- 旅猫さん おはようございます。
旅猫さんの旅行記を読んでいると嬉しくなります、幸せな気分になります。
解説もじっくり読ませていただきました。
旅行記にはいろんなパターンがあり、おのおの特徴のあるものを皆さんお書きになっていますが、旅猫さんのものも独特の味があります。(お酒や料理が出てくるからではありません(笑))。
感心するのは食に対する向き合い方が真面目で、旨いものは旨い、そうでない者も一刀両断、まずいと切り捨てます(笑)。読んでいて痛快です。
お酒にも造詣が深く、旅猫さんがこれはいい酒だ、と言えば、誰でも従わざるを得ない
神通力を持っております。
一緒に歩いている気分で、読ませていただきました。
盛岡在住のトラベラーさんに紹介しておきます。(ご存じかもしれませんが)
pedaru
- 旅猫さん からの返信 2023/11/06 09:59:06
- RE: 盛岡オリジナル旅
- pedaruさん、こんにちは。
書き込みありがとうございます。
出掛けていたので、お返事が遅くなりました。
私のつたない旅行記を読んで、少しでも良い気持ちになっていただき嬉しいです。
旅行記も千差万別ですからね。
私も、最初の頃はかなり面白おかしく書いていました(^^;
それが、若山牧水らの旅記を読んで以来、書きっぷりが変わりました。
食は、それこそ好き嫌いがはっきりするので、ある意味、個性が出るかもしれないですね。
同じ味でも、まったく違う感想を持つでしょうから。
なので、食については他の人の参考にはなりません。
やはり、自分で食べてみないと。
私の感想に釣られて食べに行って、外されたらと思うと汗が出ますし(笑)
> 盛岡在住のトラベラーさんに紹介しておきます。(ご存じかもしれませんが)
さすがに、地元の方には敵いません。
旅猫
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