2023/07/21 - 2023/07/30
822位(同エリア993件中)
Domiさん
遂に念願の知床トレッキングである。
エゾヒグマの生息地にお邪魔する人間家族であった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- ANAグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
大人気アクティビティである知床トレッキング。
ガイドさんが何人もいて、次々にツアーが出ていく。
夫氏が予約したツアーのガイドさんは、この道20年以上の大ベテラン。
名物ガイドさんだそうで、予約もやっと取れたのだとか。
そのガイドさんにツアー前のレクチャーを受ける。
「皆さんがエゾヒグマの生息地にお邪魔するんですから、そのつもりでいてください。」
…うん、まあ、そうだよね、こっちがお邪魔虫なんだよね…。
レクチャーで言われたのが、このエリアに現在生息していてナワバリが決まっているクマは、さほど危なくないとのこと。向こうも人間がクマに手を出さないことがわかっているので、クマ側としても特に何もしてこないとか。
問題になるのは、もともとこのエリアに生息してない「はぐれクマ」が迷い込んできた時だとのこと。
こういうクマがツアーエリアに入ってきた場合はツアーが中止されることがあるとのことであった。
「元々この辺りに住んでいるクマは、こちらも大体活動エリアがわかってますし、性格もお互いわかってますから、よっぽどのことがない限り大丈夫なんです。」
なるほどなあ。そんなもんなんだなあ。 -
さて、いよいよ出発である。
本日に限っていえば、問題はクマよりむしろ暑さじゃないかと思われるぐらいだ。
靴の汚れをブラシで擦って落としてからトレッキングコースに入る。
何せ世界遺産である。他所の植物の種なんかを持ち込んだりしては大変だ。まして九州の植生などを持ち込んだ日には。気をつけないと。
そして、水以外の持ち込みも禁止されている。行動食もダメ。
エゾヒグマに万が一でも人間の食べ物の味を覚えられては困るからだ。
人間の食べ物の味を覚えたクマは、最後は人里に現れて駆除される可能性が高くなる。
お互いのためにもとことん気をつけなければいけないのである。 -
原生林の中に入ると、木陰のせいか意外と暑さは心配するほどではなかった。
これなら息子も頑張れそうだ。
ガイドさんが原生林の植生の説明や、生き物の説明などをしながら進んでくれるため、とても勉強になる。
白樺の幹についている傷がクマの爪痕なのか、エゾシカのツノの痕なのかの見分け方まで教えてくれた。
ガイドさんはみんな無線を持ち歩いている。そしてイヤホンでコントロールセンターからのエゾヒグマ目撃情報を聞きながら歩いている。
「別のツアーがXX地点で目撃したそうですよ!急いで行けば我々も見られるかもしれないですね!」
…あれ?ガイドさんって、エゾヒグマと遭遇しないように出没情報を聞いてるんじゃないの…? -
湖に着くと、少し休憩時間がある。
観察したり、写真を撮ったり、水を飲んだりして小休憩する。
「クマが見られるといいんですけどね!」
と、ガイドさんが元気よく喋っている。どうやら、このガイドさんは我々にエゾヒグマを見せたいらしい。サービス精神に溢れているようだがそこまでのサービスはいらない気もする。
他のガイドさんたちは時々吠えるような声を出してクマに存在を示しているが、我々のガイドさんは全くしない。
「人間の笑い声が一番クマに出会わないんですよ、声を出しているガイドさんはよほど怖いんでしょうね。」
と笑いながら仰るが、こっちはもっと怖い。
ベテランガイドさんというのは、ベテラン過ぎて定住クマとはツーカーの仲のようであった。 -
今回のガイドツアーは知床五湖→四湖→三湖→二湖→一湖と周る。
ツアーの人数がそれなりにいるので、比較的狭いトレッキングトレイルを追い越したり追い抜いたりして進んでいく。
特に息子は歩くペースが一定しないのでどうにも進みにくいのだが、周りのツアーメンバーが道を譲ってくれたり見やすいスペースを開けてくださったりしてくれるので、とても助かった。
湖に着くたびに開ける景色はやはり綺麗で、このトレッキングツアーが大人気な理由がよくわかるのである。 -
しかし、本当に熊の痕跡が至る所にある。
爪痕、食べ痕、糞。
エゾヒグマ生息エリアのど真ん中を突っ切っているんだなあと実感する。
ベテランガイドさんは妙に嬉しそうにキョロキョロしながら歩いている。
この方達にしてみればエゾヒグマ生息地が仕事場な訳で。エゾヒグマと遭遇するエリアで毎日仕事をしている訳で。ましてそのガイドさん達の中でも最もベテランのガイドさん。
この域になるともはや達人というか、エゾヒグマとの間に絆的なものが結ばれているようであった。冷静に考えると結構怖い。 -
エゾヒグマ遭遇リスクがあるにせよ、北海道の原生自然環境、しかも世界遺産をトレッキングというのはやはり滅多にできない面白い体験で、暑くて疲れるにしても頑張って歩く意義はあるなあと思ったのであった。
…暑かったけどね、とっても暑かったけどね、今年の夏はしょうがなかったけどね。
さて、ツアーは終了し、ガイドさんやグループメンバーと別れた後は、木道に登ってみる。
知床五湖はツアーで歩かなくても、実はビジターセンターから木道に登って歩いて見ることもできる。木道は地面から離して作られている上、下に電気柵もされているためエゾヒグマと邂逅する危険はほぼない。レクチャーを受けなくて、ガイドさんがいなくても木道から自然遺産を眺められる。 -
当初はこの木道散歩による知床観光のつもりだったのだが、折角行くのならやっぱりガイドツアーがいいよねと予定変更した経緯もあった。
実は夫氏は昔北海道をツーリングしていた時、知床五湖を歩いて周ったことがあったそうだ。当時はあまり熊害などなく、もちろんガイドツアーじゃないと入れないなどということもなく(まだ世界遺産でもなかったような)ふらっとトレッキングすることができた時代だったとのことだった。
「今みたいにエゾヒグマに遭うかもとか気にしたこともなかった。」
と、当時を語る。
当時は今より人も多く、エゾヒグマの駆除もされていた時代だったようで、よほどのところに踏み込んだりしない限りそんな危険はなかったようだ。
そんな牧歌的な時代もあったんだなあ。今みたいに常に熊鈴つけて歩かなくても北海道の大自然を満喫できていた時代が。
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