2021/04/01 - 2021/04/01
18位(同エリア149件中)
かっちんさん
「八頭若桜谷(やずわかさだに)」は、鳥取県東部の八頭郡八頭町と若桜町の通称です。
山に囲まれた町に集落があり、昭和の初めに開通した「国鉄若桜線」が現在第三セクターの「若桜鉄道」となり、当時の駅舎などが今も使われています。
これから春の花が咲き誇る里山風景の「若桜鉄道(わかさてつどう)」と、古レールを使った上屋と木造駅舎が残る「丹比駅(たんぴえき)」を訪れます。
乗車した車両は観光列車「若桜号」と「昭和号」、普通列車として運用されています。
若桜鉄道が開業した昭和62年の気動車を、数年前に水戸岡鋭治氏のデザインにより改造し、お洒落で豪華な雰囲気を満喫できます。
若桜鉄道には国の登録有形文化財が23施設(駅舎、ホーム、橋梁、転車台、他)もあり、魅力あるローカル鉄道です。
若桜線の歴史は以下の通り。
昭和5年(1930)鳥取県の郡家(こおげ)~若桜(わかさ)間19.2kmに「国鉄若桜線」が開業。
昭和62年(1987)国鉄分割民営化によりJR西日本を経て、10月14日に第三セクター「若桜鉄道」に引き継がれました。
明治22年頃には山陰線のルート候補のひとつとして宮津~出石~若桜~鳥取が検討されたこともありました。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・出雲大社のHP「いなばのしろうさぎ」
・コトバンク「郡家」;地名由来
・若桜鉄道のHP:若桜号、登録有形文化財ご紹介
・一般社団法人SENRO.「八頭若桜谷」
・九州艤装のHP
・はやぶさこまちさんのブログ「若桜鉄道の水戸岡デザイン車両たち」
・やずナビ「天満山公園」
・鉄道ホビタス「若桜鉄道 電気機関車登場」
・ニッポン旅マガジン「若桜鉄道・第二八東川橋梁」
・とっとり旅「すばらしき鳥取ノスタルジー 鳥鐡旅 - 若桜鉄道編 -」:車両
・Michihiro Arashi、古レールのページ「古レールの刻印の内容」
・ブリッヂ・トレック(橋梁旅行)さん 4トラベル旅行記「古レールの刻印を巡る旅」
・エレペディア「がいし引き工事とは」
・朝日マリオン.コム、ひとえきがたり「丹比(たんぴ)駅」
・八頭町「マンホール蓋のデザイン紹介」
・ウィキペディア「あめつち」「郡家駅」「若桜鉄道」「若桜鉄道若桜線」「水戸岡鋭治」「丹比駅」
・wikiwand「停止位置目標」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「痛いよ~痛いよ~ 助けてぇ~」(鳥取駅南口前の「因幡の白兎像」)
今日は鳥取駅から出発します。
兎の像は、日本神話「因幡の白兎」の中で、大国主命が白兎を助けようとしている場面です。
ワニ(サメ)をだまして海面に並べ、その背中の上を渡ってきた兎ですが、最後に嘘がバレて皮をむかれてしまいます。
そこに因幡の国の八上比売(やかみひめ)という美しい姫に求婚するために通りがかった八十神たち。
「海に浸かって乾かすといい」というので、教えに従ってみると余計ひどくなります。
しばらくして大国主命が現れ、「真水で体を洗い、蒲の花の上に寝転ぶといい」と教えられ、そうすると毛が生えて元に戻ります。
大国主命は随分遅れて因幡の国に着いたのですが、八上比売と結婚できたのは八十神たちではなく大国主命でした。 -
駅員さんの立つ改札口(鳥取駅)
山陰地方の東の玄関である「鳥取駅」。
自動改札機は導入されておらず、懐かしい有人改札口。鉄道用語では「ラッチ」と言います。
フネの中にいる駅員さんがきっぷを確認します。 -
観光列車「天地(あめつち)」(鳥取駅ホームの案内)
2018年に開催された「山陰デスティネーションキャンペーン」に合わせて運行開始した「あめつち」。
列車愛称の「あめつち」は、山陰地方が舞台の神話が多く収録されている「古事記」の書き出し「天地(あめつち)の初発(はじめ)のとき」に由来します。
鳥取駅~出雲市間を土日月曜日を中心に1日1往復、景観を楽しみながら走ります。 -
智頭行きの普通列車(鳥取駅)
若桜鉄道へ行くには因美線の智頭(ちず)行きに乗り、途中の郡家(こおげ)で若桜鉄道に乗り換えます。
朱色の車両は、因美線の気動車キハ47。 -
「郡家駅」に到着
鳥取駅から16分で郡家駅2番ホームに到着します。
「郡家駅」は、JR因美線と若桜鉄道若桜線の共同使用駅で、JRが管轄しています。
写真の駅名標は1番ホームにあるもので、当駅名が「JR郡家」、左隣が若桜線「八頭高校前」、右隣がJR因美線鳥取方面の「東郡家」です。
1番ホームは、若桜線始発の列車と、若桜線から直通で鳥取方面へ向かう列車が停車するので、このような表示になっています。
さて、2番ホームは、JR因美線の上り下りと、鳥取始発の若桜行きが停車します。駅名標の隣駅が3方向、さてどのような表示なのか?見ておけばよかった・・・
なお、郡家(こおげ)の地名の由来は、集落が河岸段丘の上にあるので、かつて高下(こおげ、水が乏しい小高いのところの意)と呼ばれていたことから。 -
朝7:43始発の若桜行き列車(郡家駅)
2両編成で、高校生の通学時間なので混み合っています。
車両は「若桜号」。1年を通じていつも自然・気候・風土と調和し、溶け合うような、上品で美しいブリティッシュグリーン(若桜グリーン)の塗装色。
名前の由来となった「八頭若桜谷」は、四季折々の美しい景観に恵まれた日本の原風景を持ったところです。 -
若桜号の形名「WT-3004」(車内)
形式の「WT」は、若桜鉄道の走る沿線の町にちなみ、「W=若桜」、「T=鳥取」を意味しています。
昭和62年(1987)の若桜鉄道開業時、「新潟鐵工」で製造され、当時の形名は「WT2500形」。
その後、令和2年(2020)に「九州艤装」にて改造し、「WT-3004 若桜号」が誕生します。
「九州艤装」は車両の内装部品の設計・製作を得意とする会社です。
車内のデザインは、「DON DESIGN ASSOCIATES」(ドーンデザイン研究所)の水戸岡鋭治氏が担当しているので、素晴らしい内装です。 -
若桜鉄道の路線図(若桜号の車内)
鳥取~郡家間が「JR因美線」、郡家~若桜間が「若桜鉄道 若桜線」です。 -
利用したのは「1日フリー切符」(若桜鉄道)
若桜鉄道線内を1日何度でも乗降できるお得な「1日フリー切符」を車内で購入します。 -
「八頭高校前駅」に停車
郡家駅を出発し、すぐ隣が「八頭高校前駅」。平成8年(1996)に開業しました。
それまでの高校生たちは郡家駅から900mを歩いていたのですね。
混みあっていた高校生が降り、車内はローカル線の雰囲気になります。 -
イチオシ
若桜線の春を彩る「菜の花と桃の花」(八頭高校前~因幡船岡間)
まもなく八東川(はっとうがわ)に架かる「第一八東川橋梁」(国の登録有形文化財)を渡ります。
列車は緩やかなカーブに入るので減速し、春の景色が満喫できます。
後でここに鉄道写真を撮りに行きます。 -
ゆったりとくつろげるソファー(若桜号の車内)
ロングシートがホテルのソファーのようになっています。 -
「桜吹雪を走る若桜号」ポスター(若桜号車内の額)
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躍動感あふれる「雷神図」(若桜号車内の額)
美術館にいるような車内。
水戸岡さんのサインがあります。 -
ドアが開いたら「満開の桜」(因幡船岡駅に停車)
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「天満山公園」に咲き誇る桜(因幡船岡~隼間)
右側の車窓は小高い丘の「天満山公園」。
古くから桜の名所として親しまれ、1000本余りの桜が咲き誇っています。 -
正面の運転席(若桜号の車内)(因幡船岡~隼間)
ややっ、運賃表の「7 7 7 2 6 1」とは何だ?
左から因幡船岡、八頭高校前、郡家、東郡家、津ノ井、鳥取からの運賃表示。
次の駅は隼なので、各々の運賃を調べてみると、170 270 270 420 460 510円。
と言うことで、3桁表示の真ん中(10円の位)の数字が表示されています。
3桁の数字は高速で順番に表示しているところをカメラがとらえた瞬間です。
謎が解けました・・・ -
まもなく隼駅
おやっ、ここは非電化なのにホーム手前に電気機関車「ED301」がいます。
これは北陸鉄道で活躍していた「ED301」。
2010年に若桜鉄道が北陸鉄道から除雪車を購入した際、「ED301」を無償で譲り受けたものです。 -
窓の外は「菜の花畑」(隼駅)
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お洒落な「窓のすだれ」(若桜号の車内)
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木の温もりのある車内(若桜号の車内)
ボックス席の間にテーブルが置かれ、本を読んだりお弁当を食べるのに便利です。
好きな色の座席が選べます。 -
八東川の土手に咲く桜並木(八東~徳丸間)
「第二 八東川橋梁」を渡り、振り返ったところ。 -
イチオシ
「丹比駅」に到着(先頭車両の若桜号)
終点若狭駅よりひとつ手前の「丹比駅(たんぴえき)」に降りたところです。 -
菜の花が列車のお見送り(丹比駅)
2両目の車両は、川の青、水の青から八頭若桜谷を彷彿させる「昭和号」でした。 -
誰もいないローカルなホーム(丹比駅)
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古レールの柱が並ぶ上家(丹比駅)
建物財産標によれば、昭和32年(1957)の設置。 -
駅名標「丹比駅」
昭和5年(1930)国鉄若桜線の隼駅~若桜駅間延伸時に開業した「丹比駅」。
「比をぴ」と読む全国の駅名を探してみると、北海道の比布・札比内、岩手県の安比高原、四国の金比羅前などがあります。 -
「ぴ」が3つも並ぶ駅名標(2021年3月8日訪問)
北海道宗谷本線にある「ぴっぷ(比布)駅」。
お隣はなんと「南比布」に「北比布」。残念ながら両駅とも、5日後の2021年3月13日に廃止になりました。
この「ぴ」が並ぶ駅名標は今となっては貴重です。
旅行記にしているのでご覧ください。
『宗谷本線各駅停車の旅(旭川・名寄間)2021~廃止駅直前のお別れ旅~(北海道)』
https://4travel.jp/travelogue/11684688 -
パレットの木材置き場(丹比駅の向かい)
駅の向かい側には、荷役・運搬用のパレットを製造する工場があります。
現在の線路との間には、貨物側線跡が残っています。 -
木枠の改札口(丹比駅)
改札口の床面には、駅員さんが立っていたフネ(囲い)らしき跡があります。 -
大型金庫と荷物測定の台秤(丹比駅)
駅務室で使われていた備品がホームに置いてあります。
現在の駅務室は美容室として活用されています。 -
駅舎とホームの上屋(丹比駅)
徳丸駅側からの眺め。 -
古レールの支柱(上屋を支えるレールを逆向きに表示)
レールの刻印から製造履歴がわかります。
「丸Sマーク 60 A 1928 ||||||||||||」
官営八幡製鉄所製 重さ(60ポンド) 断面形状A 製造年1928 製造月を示す縦棒(12月) を表しています。
断面形状Aは、ASCE(米国土木学会)の頭文字と言われています。 -
イチオシ
古レールの支柱(上屋を支えるレールを逆向きに表示)
「CARNEGIE 1911 ET |||||||||| 60」
アメリカのカーネギー社製 製造年1911 ET 製造月を示す縦棒(10月) 重さ(60ポンド)を表しています。
ETはカーネギースチールの前身の「エドガー・トムソン工場」製を示しているようです(レールの趣味的研究序説[中]より)。 -
古レールの支柱(上屋の柱)
右側のレールの刻印は
「丸Sマーク NO 60 A 1914 X||」
官営八幡製鉄所製 規格名(NO+重さ(60ポンド)) 断面形状A 製造月を示すXが10月に縦棒||をプラスして12月を表しています。 -
懐かしい「碍子引き配線」の天井(上屋)
昔使われていた電気配線の方法で、絶縁電線を碍子(がいし)に支持する「碍子引き配線」です。 -
「登録有形文化財」の銘板(丹比駅)
丹比駅では本屋(駅舎)及びプラットホーム(上屋)が該当。
他にも若桜鉄道の雪覆、落石覆、橋梁なども文化財に指定されています。 -
「建物財産標」の銘板(丹比駅)
昭和5年12月1日建築の本屋1号(駅舎)。
丹比駅が営業開始した日です。 -
イチオシ
切符売り場と手小荷物貨物取扱所(丹比駅)
駅務室を利用している美容室では、切符の販売を受託しています。
小窓からの販売は、月曜を除く午前8時半から午後6時まで。5分後にカーテンが開きます。
右側の手小荷物貨物取扱所は使われていません。
なので、この駅は無人駅ではなく、簡易委託駅です。 -
待合室の木製ベンチ(丹比駅)
座ったときに冷たくもなく、木の温もりが感じられます。 -
板張りの天井(待合室)
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見やすい時刻表(待合室)
昼間の列車本数が多く、鳥取までの直通列車もあり、便利なローカル線です。 -
運賃表(待合室)
初乗り運賃が日本一安い100円の若桜鉄道。
郡家~八頭高校前900mが100円です。2007年までは通学を考慮しやはり日本一安い60円でした。
現在、他にも北大阪急行、北九州モノレールに100円区間があります。 -
丹比駅の玄関
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駅舎の全景(丹比駅)
玄関の隣は美容室「Fえふ」が同居。
駅を綺麗に維持していくには最適な方法です。 -
山小屋のようなトイレ(丹比駅)
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旧八東町のデザインマンホール(丹比駅前)
旧八東町は、柿・梨・りんご・ぶどうなどのフルーツが栽培されるフルーツの産地であり、さまざまなフルーツの絵柄がデザインされています。
中心部には「八東ふる里の森」をイメージしたブナ林が描かれています。
旧八東町は、2005年に郡家町・船岡町と合併し、八頭町になりました。 -
駅前の見事な桜(丹比駅前)
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立派なお屋敷(丹比駅近く)
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丹比駅の位置(駅前の観光案内板)
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若桜方面の線路(丹比駅)
「X」印の標識は、列車停止位置目標ですが、なぜ2つあるの?
調べてみると、四角形の枠が客車列車用、菱形の枠が気動車用。
この標識より手前には、菱形枠内に「2」の標識があり、定期列車の気動車は1両または2両なので、この「2」の標識位置に停車します。
なるほど・・・ -
鳥取行きの列車(丹比駅)
若桜からやって来た昭和号に乗ります。
朝の通勤通学時間が過ぎたので1両編成です。 -
初冬のもみじ(昭和号車内の額)
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イチオシ
春の里山風景(徳丸~八東)
「第二 八東川橋梁」(国の登録有形文化財)を渡ります。
川の両岸には桜並木と煙突のある作業小屋、その先には田畑が広がります。 -
イチオシ
春うららなローカル駅(まもなく「八東駅」)
八東駅にはここにも古い駅舎(国の登録有形文化財)があり、旧貨物ホームも見られるので下車します。
若桜鉄道の旅はまだまだ続きます。
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