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今から四十数年前,1970年代の末には既に,アメリカのポップアートを代表するアーティストとして次の5人の名前が挙げられていた。<br /><br />  Roy Lichtenstein (1923-1997)<br />  Andy Warhol (1928-1987)<br />  Claes Oldenburg (1929-2022)<br />  Tom Wesselmann (1931-2004)<br />  James Rosenquist (1933-2017)<br /><br />もちろん,当時はこの5人とも存命であったが,今年(2022年),最後の一人となったクレス・オルデンバーグが亡くなった。<br /><br />ポップアートは光沢のある煌びやかな原色で世界を覆い尽くそうとし,そのことに賭けた。ポップアートは反芸術とさえいわれ,大衆文化の勝利の予感に満ちていた。<br /><br />しかし,ロマン主義が何のブレイク・スルーももたらさないまま,頽廃の色を濃くしていったのと同じように,ポップアートは,それが覆い尽くせなかった『事故・病・死・狂気』といったものを自らの側に招き寄せることによって(なぜなら「死や狂気」も大衆の関心事の一つだから),その不条理さを告発する以外には何の術も持ち合わせていないことを露呈した。<br /><br />並んだ《キャンベル・スープ缶》は輝かしい大衆消費社会の象徴であると同時に,その墓標(もしくは《ツナ缶の惨事》のツナ缶)のようでもある。だからこそそれは,《十字架》あるいは《最後の晩餐》に化体することによって「解決」されるよりほか、なかったのである。<br /><br />ポップアートは,『死』に向き合い,対峙することができなかった。<br /><br />ウォーホルは逆説的にこう言っている。<br />I don&#39;t believe in it (death), because you&#39;re not around to know that it&#39;s happened. I can&#39;t say anything about it because I&#39;m not prepared for it.<br />(ぼくは死ぬということを信じていない,起こった時にはいないからわからないからだ。死ぬ準備なんかしていないから何も言えない。)<br /><br />---------------------------------------------<br /><br />アンディ・ウォーホル京都展は,ウォーホルの出身地・ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館 (The Andy Warhol Museum) 所蔵作品のみで構成されています。巡回はなく,2023年2月12日まで京都市京セラ美術館(新館・東山キューブ)だけで開催されます。写真撮影は携帯電話・スマホに限り可,フラッシュや三脚等の使用,動画の撮影はできません。<br /><br />[Kyoto City KYOCERA Museum of Art]<br />https://kyotocity-kyocera.museum<br />[ANDY WARHOL KYOTO]<br />https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20220917-20230212<br />[The Andy Warhol Museum (in Pittsburgh, PA)]<br />https://www.warhol.org/<br /><br />混雑を避け,大型の作品を人の写り込みなく撮影したい場合は,平日の9時45分(開館の15分前)には到着して列に並ぶようお奨めします。10時指定のチケットをオンラインで購入しておくといいです。平日なら当日の朝でも購入できることがほとんどだと思います。入場したら,大型の作品の撮影だけを先に済ませて,あとはゆっく鑑賞しましょう。<br /><br />ショップで売られているコラボレーション・グッズのうち,「村上開新堂 クッキー(3,024円)」は,ウォーホルの《ピエールおじさんに似ている猫》のデザインの缶入り。とても人気があり,一人1個限定で販売されていますが直ぐに売り切れます。運よく1個ゲットできましたので,お世話になっている方に差し上げました。大好評でした。<br /><br />以下では,「アンディ・ウォーホル・キョウト」の展示作品のうち,98作品をピックアップして紹介していきます。98と言っても,キャンベル缶などは1枚(1缶)で1作品のカウントです。製作年のあとの( )内の数字は作品の展示番号です。<br /><br />表紙写真は,《十字架(ランダム)》 1981-82年

ANDY WARHOL 大回顧展「アンディ・ウォーホル・キョウト」のブログ ~京都市京セラ美術館~

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2022/11/25 - 2022/11/25

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たっくん&ゆうすけ

たっくん&ゆうすけさん

今から四十数年前,1970年代の末には既に,アメリカのポップアートを代表するアーティストとして次の5人の名前が挙げられていた。

Roy Lichtenstein (1923-1997)
Andy Warhol (1928-1987)
Claes Oldenburg (1929-2022)
Tom Wesselmann (1931-2004)
James Rosenquist (1933-2017)

もちろん,当時はこの5人とも存命であったが,今年(2022年),最後の一人となったクレス・オルデンバーグが亡くなった。

ポップアートは光沢のある煌びやかな原色で世界を覆い尽くそうとし,そのことに賭けた。ポップアートは反芸術とさえいわれ,大衆文化の勝利の予感に満ちていた。

しかし,ロマン主義が何のブレイク・スルーももたらさないまま,頽廃の色を濃くしていったのと同じように,ポップアートは,それが覆い尽くせなかった『事故・病・死・狂気』といったものを自らの側に招き寄せることによって(なぜなら「死や狂気」も大衆の関心事の一つだから),その不条理さを告発する以外には何の術も持ち合わせていないことを露呈した。

並んだ《キャンベル・スープ缶》は輝かしい大衆消費社会の象徴であると同時に,その墓標(もしくは《ツナ缶の惨事》のツナ缶)のようでもある。だからこそそれは,《十字架》あるいは《最後の晩餐》に化体することによって「解決」されるよりほか、なかったのである。

ポップアートは,『死』に向き合い,対峙することができなかった。

ウォーホルは逆説的にこう言っている。
I don't believe in it (death), because you're not around to know that it's happened. I can't say anything about it because I'm not prepared for it.
(ぼくは死ぬということを信じていない,起こった時にはいないからわからないからだ。死ぬ準備なんかしていないから何も言えない。)

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アンディ・ウォーホル京都展は,ウォーホルの出身地・ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館 (The Andy Warhol Museum) 所蔵作品のみで構成されています。巡回はなく,2023年2月12日まで京都市京セラ美術館(新館・東山キューブ)だけで開催されます。写真撮影は携帯電話・スマホに限り可,フラッシュや三脚等の使用,動画の撮影はできません。

[Kyoto City KYOCERA Museum of Art]
https://kyotocity-kyocera.museum
[ANDY WARHOL KYOTO]
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20220917-20230212
[The Andy Warhol Museum (in Pittsburgh, PA)]
https://www.warhol.org/

混雑を避け,大型の作品を人の写り込みなく撮影したい場合は,平日の9時45分(開館の15分前)には到着して列に並ぶようお奨めします。10時指定のチケットをオンラインで購入しておくといいです。平日なら当日の朝でも購入できることがほとんどだと思います。入場したら,大型の作品の撮影だけを先に済ませて,あとはゆっく鑑賞しましょう。

ショップで売られているコラボレーション・グッズのうち,「村上開新堂 クッキー(3,024円)」は,ウォーホルの《ピエールおじさんに似ている猫》のデザインの缶入り。とても人気があり,一人1個限定で販売されていますが直ぐに売り切れます。運よく1個ゲットできましたので,お世話になっている方に差し上げました。大好評でした。

以下では,「アンディ・ウォーホル・キョウト」の展示作品のうち,98作品をピックアップして紹介していきます。98と言っても,キャンベル缶などは1枚(1缶)で1作品のカウントです。製作年のあとの( )内の数字は作品の展示番号です。

表紙写真は,《十字架(ランダム)》 1981-82年

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