憧れの4WDの聖地モアブで、絶叫の断崖絶壁トレイルを走破 (Moab 4WD driving on cliffhanger)

2022/04/07 - 2022/04/08

2022年4月、2年ぶりの海外旅行ではアメリカ・メキシコへ出かけます。アメリカ滞在中の12日間のドライブ旅では、ルート66・グランドサークル・オフロード走行・アメリカ本土最高峰等が旅の目的です。秘境旅行が好きな私にとって有名観光地はあまり興味がありませんでした。しかし定番の観光地にて冒険旅行を感じる秘境のスポットを探しにグランドサークルを初めて訪れてみます。

次の目的地モアブ(キャニオンランズ国立公園)は、アメリカのアドベンチャースポーツで有名な地域です。私にとっては4WDの聖地のイメージで、モアブでオフロード走行するのは憧れでした。コロナ禍で旅行できない2年間、次のアメリカ旅行で最初に行きたい場所にモアブを計画していました。モアブ周辺には無数のオフロードトレイルがあり、Easter Jeep Safariという大きなイベントが4月に開催され、全米から四駆好きが集まります。できればこれに参加したかったですが。。それでも4WDの聖地モアブでスリリングな断崖絶壁トレイルをドライブして、他にモアブに無数にあるアーチを探すトレッキングも楽しむ事ができました。

関連旅行記：
初めての4WDでオーストラリアの砂漠を冒険の旅
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オーストラリア高山地帯トレッキングと断崖絶壁ドライブ
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デスロードをマウンテンバイクでダウンヒル!
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エリア キャニオンランズ国立公園周辺(アメリカ)

• 旅行の満足度: 5.0

前日の夕方は、モニュメントバレーからモアブへ行く途中に、ご覧の峠を登りオフロードをドライブします。モアブに着く前の試運転です(舗装されたメイン道路を選べばこの区間は避けられます)。

アメリカ6日目の早朝は、ミューリーポイント Muley Pointから東のモニュメントバレーのサンライズを眺めます。夜はあえてここで車中泊します。アメリカではBLMと呼ばれる政府管理の土地にて合法的にキャンプや車中泊できます(dispersed campsiteと呼びます)。BLMではほとんどが無料キャンプできますがトイレはありません。無料キャンプ場探しは https://freecampsites.net が役に立ちます。こんな素晴らしいところで無料でキャンプできるのは最高ですが、標高6600Ftは4月でも朝の気温は35Fと想定外の寒さです。

ミューリーポイント 国立公園

この日に最初に向かったのは、ナチュラルブリッジ国定公園にある3つのブリッジ(アーチ)のうちのひとつオワチョモ ブリッジ Owachomo Bridge。

オワチョモ ブリッジ 自然･景勝地

下から見た姿。オワチョモ ブリッジは全長55m・厚さ2mで、まるで人工的に作られた橋の様な完璧な設計です。折れそうな細いアーチは、アーチーズ国立公園のランドスケープアーチに匹敵するアメリカで最も細いブリッジのひとつ。

ブリッジの上まで険しい崖ですが、ご覧の岩場を体全体を使って登ります。

ブリッジの上はこんな感じで平坦です。すぐ近くまで寄ります。まるで高度な文明を持った古代人が作ったハイウェイの様です。

オワチョモ ブリッジの上に乗って撮影すれば最高の記念になるでしょうが、この橋を渡るべからずの小さな警告が登山口にあったので、それに従いブリッジは渡りません。

ブランディング Blandingの町に降りてきます。4月は桜並木が見られます。この町にある恐竜博物館は残念ながらシーズンオフで休館中。

4月はまだ山頂に雪が残っています。この辺りはユタ州とコロラド州の州境に近く、雪が積もる山の周辺には緑地でそれ以外は砂漠が広がります。

モアブの町に着く前に見えた巨大な風穴ウィルソン アーチ Wilson Arch。

ウィルソン アーチ 自然･景勝地

巨大な岩山に囲まれているモアブの町に到着。4WDの聖地と呼ばれる事から、道沿いには4WDやATVバギーのレンタルショップが並びます。このアメリカ旅行を計画した時、まず最初に思いついたのは4WDでモアブのオフロードをドライブすることです。それくらい私にとっては優先順位は高い地域です。

ホテル モアブ ダウンタウン ホテル

モアブでは本格四駆レンタカーがあります。ご覧のジープ・ラングラー Jeep Wranglerのレンタルは1日で諸費用含めUS$400ドル弱。保険はCDWのみ、自損事故で車にキズつけたら実費で弁償です。
https://www.moabadventurecenter.com/moab-jeep-rentals

4月のイースター前に Easter Jeep Safariという大きなイベントがあり、全米からJeepオーナーが集まります。この地図に示すモアブ周辺にある沢山のオフロードトレイルを4WDでドライブできる大きなチャンスではありますが。。旅行出発前に何とか参加できないか色々考えましたが、モアブで本格四駆レンタカーを借りてこれに参加するのは難しいと思い断念します。安全や価格などが自分のリスク許容範囲を超えていました。ちなみに私の車の日産パスファインダーにはローレンジギアがなく参加要件を満たせません。
https://www.rr4w.com/Trails-Home.cfm

モアブ周辺には、4WD以外にもマウンテンバイクやトレッキング用のトレイルも沢山あります。アウトドア好きなら1週間過ごしてもきっと飽きない場所だと思います。以下のウェブサイトが詳しいです。
https://guestguidepublications.com/moab-utah/

キャニオンランズ国立公園 Canyonlands National Parkへ向かいます。このアイランドインザスカイのビジターセンターで、私の車(本格的な四駆でない日産パスファインダー)でも走破できるトレイルを訊いてみます。初心者向けと紹介されたのは、シェーファートレイル。シェーファートレイルは断崖絶壁の恐怖のトレイルである事は有名です。

アイランド イン ザ スカイ 山・渓谷

これがシェーファートレイルの地図です。左側から出発すると出発直後にジグザグの断崖絶壁のトレイルを降りて、その後は比較的平坦なトレイルです。レンジャーに路面状況を詳しく訊くと、意外にも断崖絶壁の区間の路面は良いので心配は要らない、その代わり対向車に気をつけてとの答え。中盤の路面は悪いので車の最低車高は最低8inchを推奨すると。私の日産パスファインダーなら問題ないだろうとの事。ちなみにモアブ市内のビジターセンターでも同じ質問をしてほぼ同じ回答でした。

これがシェーファートレイル Shafer Trailを崖の上から見渡した様子。道はすぐ下側から遥か下まで続いています。はっきりしたトレイルで路面は整備はされている感じです。

これが核心部分の断崖絶壁の箇所を上から眺めた様子。かなり危なそうなトレイルですが昼間の交通量は自転車を含んで結構あります。

別の角度から見た断崖絶壁のトレイル、ここから見るとシェーファートレイルが如何に断崖絶壁であるかが分かると思います。この時間帯は交通量があり断崖絶壁ですれ違いは避けられなさそうです。左上には3台がすれ違いしています。

拡大してみます。上から来る濃い色の2台の車が壁側に停まって、下から来る崖側の白い車がすれ違うのを待っています。上から見ると一番狭くて崖にも近い最悪な場所で、なぜ2台がここで停まって待っているのか。もし自分が白い車の運転手なら絶叫していたでしょう。こんな状況には絶対なりたくないです。只今午後2時で、少し待って交通量が減るだろう夕方まで出発を延期します。

キャニオンランズ国立公園の観光スポットを普通に観光します。キャニオンランズ内にはメサアーチ Mesa Archがあります。予想より小さいですが一番有名なアーチなので、人が沢山いて記念写真待ちに長い行列があります。

メサアーチ 自然･景勝地

キャニオンランズ国立公園のグランドビューポイントにて、アイランドインザスカイの最南端まで往復2マイルほどトレッキングします。崖沿いのトレイルは安全のフェンスは無いですが、子供連れのアメリカ人家族も多く見かけます。日本人の感覚では小さな子連れでこのトレイルを歩くのは危険と思うでしょうが、アメリカ人の子供は崖上では大人しく無理はしません。親の教育が良いのか本能的なのか分かりませんが感心します。

グランドビューポイント 自然･景勝地

ここが最南端です。最南端を囲う様に下の方にホワイトリムトレイルが見えますが交通量は皆無。地球の歩き方にはホワイトリムトレイルを4WD走行に推奨していますが、難易度や孤立度は高い感じがします。

午後4時過ぎ、シェーファートレイル Shafer Trailに突入します。ここから先はいよいよ冒険が始まります。

これが私の冒険のパートナー日産パスファインダー Nissan Pathfinderです。全長5m越、全幅2m近くとランドクルーザーとほぼ同じ大きさの4WDです。今回のオフロード走行で最も重要なのは車の地上高で、パスファインダーは地上高30cmほどあります。しかし車の前面下に黒いバンパーがあり、ここだけ20cmの最低地上高で走行に非常に邪魔です。これがあるため地上高の高い車に見えません。

なお一般の人にもわかりやすい様に、このパスファインダーを4WDと呼びますが、この車にローレンジギアもデフロックもなく本格的な四駆ではありません。また厳密にはオフロード走行とは公道ではない道なき道を走る事ですが、ここでは未舗装の公道を走る事を指します。

断崖絶壁はすぐに現れます。こんな感じでフェンスもない崖ぎりぎりのトレイルを車で走ります。少しでも道を外れたら下まで真っ逆さまです。

道幅も狭く対向車が来たらすれ違うのは困難な狭いトレイルです。ただ運転席からは崖は見えず、意外にも断崖絶壁の上を運転している感じはせず怖さはありません。これはボリビアのデスロードでも同じで、見た目よりは怖くないです。

しかし車外にでて写真を撮ると、こんな感じの絶壁がすぐ隣にある事が分かります。崖を落ちたら100m以上は落下して命はないでしょう。

本当ならゆっくり停まってじっくり写真を撮りたいですが、他の車が来ない隙を見て短時間で撮影を済ませています。写真を撮っていて対向車が来たり崖上から落石に当たるのは避けたいですから。

こんな感じのフェンスなしのブラインドカーブが続きますが、上から降りるのであれば遠くまで見渡せるので、下から対向車が来ていればかなり遠くから認識できます。

断崖絶壁の中盤です、ジグザグカーブが続きます。急カーブでは切り返しが必要です。運転席から足元の地面を直接見る事ができないので崖に落ちない様に慎重に切り返します。

午後4時の出発だったので交通量は少なく、結局対向車は1台のみでした。かなり遠くから見えていたので、僅かな幅の広い箇所で待機して簡単にすれ違う事ができます。

標高5800Ftから1300Ft(約400m)の高低差の崖を車で無事に降ります。断崖絶壁の距離は4マイルほど。下からは見えませんがこの断崖絶壁に車が走れるトレイルがあるとは驚きです。

断崖絶壁が終わり一安心ですが、ここから先は路面が悪いトレイルが続きます。レンジャーによると中盤の路面が悪く気を付ける様にと、注意を受けています。

標高4000Ftのコロラド川へ到達。

隣にあるデッドホースポイント州立公園を下から見上げます。

デッド ホース ポイント 州立公園 山・渓谷

中盤のトレイルは簡単ではありません。これは丸い大き目の石に覆われた長い坂道を登って頂上付近で車がスタックしてしまった写真です。1つのタイヤが空転してしまうと全てのタイヤのグリップを失います(車にデフロックはないです)。幸いにも後退はできたので坂の下まで降りて、今度はアクセルを踏み車に勢いをつけて何とか登れます。勢いをつけると石が空に舞って車体を傷つけたり、ハンドル操作が効かなくなるリスクはありますが。

坂道の下りにも、段差があったり鋭い石が落ちていたりします。ゆっくり確認しながら走ります。

ポタッシュ鉱山 Potash Miningに着いた頃は、日が暮れる寸前です。約2時間で20マイルのシェーファートレイルのオフロードを完走します。少しでも遅れていたら日が暮れていたでしょう。

モアブではシェーファートレイルは初心者向き Easyで最も簡単な区分ですが、実際走った感想はとても簡単とは言えません。登山で言うと、トレッキングとクライミングの定義は大きく違います。クライミングでは初心者向けでもトレッキングでは上級者向けとなるのと同じです。他のトレイルではローレンジギアが必須であるのと相対的に比較すると、シェーファートレイルは初心者向きと言えるのでしょう。

アメリカ7日目の早朝は、アーチーズ国立公園へ向かいます。アーチーズ国立公園は2022年は4/3から10/3まで予約制になっています。実は前日にもここを訪れたのですが、予約が必要な事を知らずに入れませんでした。その時にレンジャーに早朝6時前か夕方5時後なら予約なしでも入れると教わったので、翌朝には朝6時前に着いたつもりでしたが、またも入場拒否されます。その理由は、アリゾナ州とユタ州に1時間の時差がある事に気がつかず、ユタ州の朝7時前に到着していた為でした。アーチーズ国立公園が予約制になっている事、アリゾナ州とユタ州に時差がある事には要注意です。

アーチーズ国立公園 国立公園

この日はアーチーズ国立公園を訪問予定が、急遽予定を変更します。アーチーズ国立公園はモアブ周辺の最も有名な観光名所ですが、他にも見どころは沢山あります。昨日の夕方に通ったモアブ西側のコロラド川沿いのポタッシュロード Potash Rdに再度訪れます。ここはコロラド川の絶壁の下に舗装道が続いています。この絶壁には4つの魅力が詰まっているのです。

1つ目、この壁はロッククライミングの名所となっています。道沿いにご覧の様なロッククライマーを多く見かけます。

2つ目、この壁には古代人が描いた壁画が残っています。数千年前に描かれたと言われています。

3つ目、ATVでオフロードを爆走できます。ポイズンスパイダートレイル Poison Spider Trailはここから始まります。

4つ目、恐竜の足跡が残っていることです。この急斜面に恐竜の足跡が残っているのは不自然ですが、数十億年前はここは平坦だったのでしょうか。狭い場所に色々な魅力が凝縮されていて、アクティビティも満載です。

この石には可愛い鳥の様な模様が見えます。恐竜の鳥の化石？それとも古代人の壁画？絵の感じから最近に誰かが描いた落書きかも知れませんが、面白い発見です。

ポイズンスパイダートレイルはATV用と歩行者用に分かれています。これは歩行者用のトレイル、トレッキングに出発すると最初は梯子もある急斜面を登ります。

ATV用のトレイルでは、1m以上の段差を降りているジープ・ラングラーが見えます。中級者以上のトレイルです。モアブで見かける四駆はほぼ100%ジープ・ラングラーです、ランクルは1台も見かけません。

急坂を登ると平坦となり砂漠の様な砂の上を歩きます。エアーズロック(ウルル)の様な一枚岩の岩場の谷間にはサボテンが見られます。

目的地のロングボウアーチ Longbow Archに到着です。近くの岩場に完全に同化しており、左側から来たのにこの位置まで存在に気がつかず通り過ぎる所です。

ロングボウアーチの岩山には歩いて登れる様です。誰かが持ち込んだヘルメットが使われず放置されており、岩の頂上には持ち主の姿が見られます。私も登りたくなりますが、転落したら困るので辞めておきます。実際は写真より急勾配な感じです。

この岩山の反対側には全く別の不思議な岩山あり遠くには雪山も見えます。色々な景色が楽しめます。ロングボウアーチへは往復2時間弱のトレッキングです。

午前中2回目のトレッキングは、モーニンググローリーアーチを目指します。ここは1回目の砂漠と違って緑あふれるトレイルです。モアブ周辺では、少し場所を変えるだけで全く別の景色が見られます。

このトレイルは、雪山から流れる水によって緑があるのです。その小さな川を何回も渡りながら上流へと進みます。足が濡れても構わないTevaサンダルで歩きます。

岩山に4方囲まれる秘密スポットに到着。目的地はもうすぐです。

モーニンググローリーアーチ Morning Glory Archに到着。アーチーズ国立公園の有名アーチに比べると無名ですが、全長74.1mとアメリカで3番目に長いアーチなのです。アーチーズ国立公園へは行けませんでしたが、そこ以外にも個性的なアーチが見られます。こちらも駐車場から歩いて往復2時間強でした。

アーチにはアブセイリングする人たちが見えます。モアブには本当に沢山の冒険的なアクティビティがあります。四駆ドライブ、ロッククライミング、マウンテンバイクやラフティングなど。ただし安全に楽しむにはそれなりの経験が必要で、私はリスクを考えて控えめな行動を心がけました。それでもシェーファートレイルでの4WDドライブは冒険的で、モアブ四駆走行の長年の夢は叶いました。

この旅行記へのコメント （2）

• Emmyさん 2024/04/22 04:30:28

  モキダグウェイ！

  メキシカンハットを過ぎたあとから始まったこのUT-261。シーダーメサの断崖、私はずっと絶叫してました。幸運にも対向車には合いませんでしたが、生きた心地がしませんでしたよ。でも今となってはあの道が一番印象に残っています。
  
  キャニオンランズの本当の楽しみ方を初めて知った感じです。とても私にはできそうもありませんが、読んでいて楽しかったです。
  
  Emmy
  

  ノーーウォリーズさん からの返信 2024/04/22 23:01:10

  RE: モキダグウェイ！

  Emmyさん、コメントありがとうございます。
  そうですね、何も知らずにモキダグウェイに入ってしまうとこの道は大丈夫なのか不安になるでしょう。夫さんは準備していたのでは。道中は絶景です、グースネック州立公園に辿り着ければ、その甲斐があったのではないでしょうか。
  
  私がもしアメリカ在住で四駆でモアブに来れれば、冒険の楽しみはずっと広がると思いました。車や保険の関係で断念しましたが。オーストラリアの僻地の砂漠にも私の様に好きで旅行しているオージー沢山います。広大で未開な土地を開拓したオーストラリアの国民性で、アメリカ人も同じと感じました。しかし安全性と自己責任についてはアメリカはオーストラリアと違うと感じる部分も。キャニオンランズの一般観光地でも崖に柵はなく、断崖絶壁も車で走れます。子供や未経験者には危ないですよね。アメリカでは自分の安全は自ら判断して守る事が徹底しているのかなと。オーストラリアの人が集まる観光地なら柵を作って安全性に配慮するだろうと思いました。