武家の名門・京極家の城下町　丸亀

2022/06/03 - 2022/06/04

現在放送されている大河ドラマ「鎌倉殿の１３人」。
ドラマの中に出てくる北条、三浦、千葉、梶原、安達、比企、武田等の御家人たちは鎌倉時代における権力争い、南北朝時代の騒乱、そして戦国時代までにほとんど没落、滅亡してしまいましたが、康すおんさん演じている佐々木秀義に始まる京極家は徳川時代、明治維新まで「頼朝公以来の名門」として生き残りました。
また、盟友足利尊氏とともに鎌倉幕府を倒し、室町幕府を作った京極高氏は「バサラ大名・佐々木道誉」として、大河ドラマ「太平記」で陣内孝則さんがはまり役で一躍有名になりました。

江戸時代、その京極家の城下町が香川県丸亀市です。
丸亀城の天守閣は１６６０年築城の江戸時代から残る「現存１２天守」の１つ。
今回はその丸亀近辺をまわってきました。

エリア 丸亀・宇多津・多度津(香川)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.5
• ホテル: 5.0
• 交通: 3.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円 - 3万円
• 交通手段: JALグループ JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

金曜日、仕事が終わったと、羽田から高松までＪＡＬ便で出発。
わずか５５分の短いフライトです。
高松空港からはリムジンバスで丸亀まで１時間。

高松空港 空港

丸亀のアパホテルにお泊り。
１人旅ですが、なぜか部屋はツイン。
広々として快適でした。

アパホテル＜丸亀駅前大通＞ 宿・ホテル

さて、翌日。
まずは丸亀駅からＪＲ四国の普通列車で。
ＪＲ四国はＩＣカードが普及していません。
久しぶりにきっぷを買いました。

丸亀駅 駅

丸亀駅から３つ目。
土讃線の金蔵寺駅で降ります。
小さな駅舎だけの無人駅です。

金蔵寺駅 駅

金蔵寺駅から歩いて５分。
四国八十八箇所霊場の第七十六番札所の金倉寺へ。
「お遍路」をできるほど時間はありませんが、四国に来たときは折に触れて礼所に寄って、朱印をしてもらってます。
まあ、順番もめちゃくちゃだし、スタンプラリーみたいなものです（笑

この寺は四国八十八箇所霊場の礼所のお寺の中では広さや静けさがちょうどよく、個人的にはゆったりできるお寺でした。
ちなみに日露戦争の将軍として、また「乃木坂」の由来で有名な乃木希典陸軍大将も一時この寺で2年ほど引きこもりになったことがあるそうです。
乃木の遺品もあるそうですが、残念ながら非公開。

金倉寺 寺・神社・教会

金倉寺を「巡礼」したあと金蔵寺駅に戻り、１駅戻って多度津駅。
多度津駅は四国の主要幹線である予讃線と土讃線の分岐要衝駅であり、広い車両の車庫や鉄道工場などもある「鉄道の町」。

ＪＲ四国自慢の観光列車「四国まんなか千年ものがたり」もこの駅から出発します。

多度津駅 駅

食堂車をのぞいたところ、お客は3分の１くらい。
琴平大歩危方面に向かって出発していきました。
この先、琴平駅で乗客は多く乗ってくるのでしょう。

四国まんなか千年ものがたり 乗り物

多度津駅前にはかつては四国を走り回っていた８６２０型機関車が保存されています。
８６２０は「デゴイチ」ことＤ５１、「貴婦人」と呼ばれたＣ57などと並ぶ蒸気機関車の名車です。
最近では大ヒットした「鬼滅の刃」に出てくる「無限列車」のモデルにもなりました。

SLの碑 名所・史跡

多度津町は「鉄道の町」ですが、さらには日本における少林寺拳法発祥の地でもあります。
駅から10分ほど歩いたところに少林寺がそびえていました。
中に入って練習風景でも見られるかな、と思いましたが、コロナの関係で現在見学はできませんとの張り紙で門は閉まっていました。
残念。

金剛禅総本山少林寺の境内 寺・神社・教会

多度津駅から10分ほど歩いたところにある四国八十八箇所霊場の第七十七番札所の道隆寺。
この寺は規模は小さいお寺でした。
多くの観音様が並べられていました。

道隆寺 寺・神社・教会

道隆寺から歩いて15分ほどで、丸亀市に戻り中津万象園へ。

江戸時代の大名は本拠のお城の近くに庭園をつくりました。
金沢兼六園、岡山後楽園、熊本水前寺公園等です。
この中津万象園は丸亀城主だった京極高豊によって、1688年に作られました。

中津万象園 公園・植物園

まず庭園の中にある美術館へ。
普段はマネなどの印象派の絵画が展示されているそうですが、この日は企画展で「香川漆芸」と呼ばれる漆器の展示がされていました。
香川県が漆器の名産とは知りませんでした。

この作品は土星を漆器で作った作品です。

中津万象園 丸亀美術館 美術館・博物館

美術館のあと、庭園へ。

佐々木家～京極家は頼朝以来近江（現在の滋賀県）の守護大名でした。
この庭園は琵琶湖と近江八景になぞらえ名付けられた島々が浮かび、橋で巡る事ができます。
香川県と言えば栗林公園が有名ですが、この中津万象園もなかなかの庭園です。
さすがに大名が作った庭園です。

一番気に入った場所。
「月」と名付けられた島にある魚楽亭という休み処から見た茶室と観潮楼という建物。
実際にここが一番、この庭園の中で風景がいいところのようです。

讃岐塩屋駅 駅

丸亀駅に戻ってきました。
駅前でレンタサイクルを借りて、丸亀市内をまわります。

丸亀市観光案内所 (JR丸亀駅構内) 名所・史跡

丸亀駅から自転車で数分、丸亀港にある太助灯篭。
江戸時代、丸亀港は金比羅参りの人たちが本州等から上陸する場所でした。
その目印として作られたものです。

太助灯籠 名所・史跡

丸亀城は市役所などが集まる市の中心部にあります。
市役所前の公園から見た丸亀城です。

丸亀市民ひろば 公園・植物園

丸亀城の大手門。
水濠に面した外側の門は高麗門、二の門と呼ばれます。

亀山公園 公園・植物園

簡素な二の門をくぐると、今度は立派な一の門。
1670年ごろ完成した古い門です。

楼上に太鼓を置き、随時城下に時を知らせたので太鼓門とも呼ばれました。

まず城内にある丸亀市立資料館へ。
無料の資料館なので展示物はあまり多くはなかったですが、丸亀城の歴代城主についての史料などが展示されています。

まず最初に丸亀城を築いたのは豊臣秀吉によって讃岐高松藩17万石の大名となった生駒親正です。
親正は織田信長、豊臣秀吉に仕え、五大老に次ぐ、三中老の1人になりました。
ちなみに織田信長がもっとも愛した女性とされる吉乃は親正のいとこ、生駒の方と呼ばれました。

関ヶ原の戦いでは親正は豊臣方（西軍）につきましたが、息子の生駒一正が徳川方（東軍）についたため、讃岐の領地は安堵されました。
家を残すために東西両方にわかれ、成功したのです。

丸亀市立資料館 美術館・博物館

１６４１年、生駒氏はお家騒動で改易になり、そのあとは山崎氏が丸亀５万石の大名となりました。ここで高松藩と分れた丸亀藩が成立しました。
山崎氏は世継ぎがなくなったことで、17年後改易となりました。

山崎氏のあと、京極家が丸亀藩の藩主となり、明治維新まで続くことになりました。

京極家は源頼朝の創業の功臣・佐々木秀義から始まる武家の名門です。
代々近江の守護大名となりました。

戦国時代には多くの名門家と同様、家臣の浅井家の下剋上で没落しましたが、浅井長政が滅亡すると、羽柴秀吉が近江長浜の城主となります。
秀吉は美女で有名だった京極竜子を側室とし、その弟である当主の京極高次は、いわゆる「近江三姉妹」の次女・初と結婚して、秀吉により5万石の大名として復活します。
ただ、京極高次は姉と妻の「女の尻の七光り」で大名になったということで、当時「蛍大名」と言われていたそうです。
大河ドラマ「江」では京極高次は斉藤工さん、初は水川あさみさん、竜子は鈴木砂羽さんが演じていました。

京極高次の孫・京極高和（右の肖像画）のとき丸亀藩主となりました。
その高和の息子の2代目丸亀藩主・京極高豊が先ほど寄った中津万象園をつくった藩主です（左の肖像画）。

資料館で一通り丸亀城の「お勉強」した後、丸亀城へ。
急な坂道を登って行きます。
見事な石垣です。

丸亀城内観光案内所 / うちわ工房「竹」 名所・史跡

まず三の丸へ。
広い場所です。
ここからは通称「讃岐富士」がとても美しく見えました。

本丸に残る天守閣です。
1660年に作られた、江戸時代から現在まで残る「現存12天守」の１つです。
平和な時代でもあり、徳川幕府を刺激しないためでしょう、小さな天守です。

丸亀城 名所・史跡

江戸時代から残る天守なので、内部は木造です。
急な階段も健在。

天守から見た丸亀市街。
遠くには瀬戸内海と島々、右手には瀬戸大橋も見えました。

丸亀城からは丸亀駅に戻ります。
途中にあった妙法寺。

江戸時代、俳人として松尾芭蕉と並び有名な与謝蕪村がここに2年ほど滞在し、いくつかの絵を残したことから、蕪村寺とも言われています。

拝観料は500円。
やや高めですが、84歳で現役の住職さんがいろいろ案内、説明をしてくれました。

妙法寺(蕪村寺) 寺・神社・教会

与謝蕪村は俳人としてだけではなく、画家としてもなかなかの才能だったようです。
その代表作、「紙本墨画　蘇鉄図」。
重要文化財です。

丸亀でレンタカーを借りて、今日の宿泊先の阿波池田へ向かいます。
途中によったまんのう池。

いまでもそうですが、讃岐国（香川県）は水不足に苦しめられてきました。
そこで弘法大師空海がため池として作ったとされる大きな池です。

満濃池 自然・景勝地

今日の宿泊先は林芙美子ゆかりの白地温泉・小西旅館。

林芙美子の原稿や色紙などが展示されていました。
さらに50代以上の人なら、懐かしい高校野球の強豪・池田高校。
池田高校の監督だった蔦監督の色紙、優勝したときの記念ボールや記念メダル、エース畠山（のち南海→横浜）、翌年のエース水野（のち巨人）、キャプテン江上等優勝したときの選手のサインが展示されていました。

白地温泉　小西旅館 宿・ホテル