![自転車旅関西編7<br /><br /> 出発から13日目、初体験の宿坊の朝。<br /> 宿坊に泊めて貰うと朝のお勤めに参加せにゃならんとは良く聞く話だが、ここはそういうのは一切なかった。8時からの朝食は「干物、煮魚2つ、生卵、海苔と漬け物にごはん」と、いたって普通。朝飯の食べられない宿は長居する理由がないので涼しい内に距離を稼いだ方がいいのでさっさと出発するに限るが、珍しく宿で朝飯が食べられたので、ゆっくりと9時過ぎに宿坊を後にする。毎日早朝からガツガツ走っていたが、たまにはこういうのも良いもんだ。<br /><br /> 自転車の油が切れてきてギシギシ鳴るのが気になるので、通りの自転車屋で機械油を借りることを思いつく。ただそれだけじゃ気が引けるので、一番安いバルブのキャップ50円を買い、ついでに油も借りるように装う。ギシギシの音がしなくなり調子が良くなる。](https://cdn.4travel.jp/img/thumbnails/imk/travelogue_album/11/74/16/650x_11741664.jpg?updated_at=1646449434)
1975/08/02 - 1975/08/16
1123位(同エリア1704件中)
おくさん
自転車旅関西編7
出発から13日目、初体験の宿坊の朝。
宿坊に泊めて貰うと朝のお勤めに参加せにゃならんとは良く聞く話だが、ここはそういうのは一切なかった。8時からの朝食は「干物、煮魚2つ、生卵、海苔と漬け物にごはん」と、いたって普通。朝飯の食べられない宿は長居する理由がないので涼しい内に距離を稼いだ方がいいのでさっさと出発するに限るが、珍しく宿で朝飯が食べられたので、ゆっくりと9時過ぎに宿坊を後にする。毎日早朝からガツガツ走っていたが、たまにはこういうのも良いもんだ。
自転車の油が切れてきてギシギシ鳴るのが気になるので、通りの自転車屋で機械油を借りることを思いつく。ただそれだけじゃ気が引けるので、一番安いバルブのキャップ50円を買い、ついでに油も借りるように装う。ギシギシの音がしなくなり調子が良くなる。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
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松崎町から暫くは、いかにも海岸という風景の中を走る。真夏といえども海沿いの道は涼しく清々しい。これは朝だけのご褒美なので涼しい道を満喫させてもらう。特に朝日が隠れる日陰の道はひんやりと快適だ。昼間の灼熱地獄を思うとまるで別世界のようで、ずーっとこんな道なら申し分ないが、これも朝の内のつかの間の極楽だ。あーごくらく極楽。
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浜辺沿いの海の中に奇妙な岩が並ぶ千貫門と言う名所を横目で見て通過。残り枚数が僅かとなったフィルムが勿体ないので写真は撮らない。そこを過ぎると道はまた急坂の山道へと入っていく。海沿いの道というと平らな海岸線が続く光景を思い浮かべそうだが、それは平地の海岸線だけで、半島は断崖が海の中にドドドッとなだれ込むような構造なのだから、上り下りの多い道になるのだろう。大陸なら平地の海岸線が続いてても大丈夫だけど、半島が平らだったら海の中に沈んでしまうもんね。
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見物する予定に入れてた野猿で有名な波勝崎への分岐点が見えてきた。でもそっちの道路はバラスのガタゴト道が続いているのがここから見ても一目瞭然だ。そいつを見ただけで、ハンドル取られながら進む自分の光景が目に浮かんできて嫌気が差してやめてしまう。猿なんか見るのに苦労することもないや。
昼飯は通りの食堂で手軽にカレーと白牛乳。このカレーと牛乳のどっちが栄養があるかと言うと、意外と牛乳の方があるかも知れない。やっぱり安く栄養補給するには白牛乳が最適だ。効くんだか効かないんだか分からないドリンクなんてやめて、白牛乳を余分に2本飲んだ方が合理的かも知れないけど、うーん、やっぱり「元気になる気がする」ドリンクはやめられないなー。これって一種の中毒症状かな?
暫く走っていくと、今度は国道を離れて石廊崎方面への分岐がある。なるべく舗装が行き届いている国道は離れたくないのだが、伊豆半島最先端の石廊崎は猿なんかとは価値が違うので迷うことなくそちらのコースへ入っていく。
やっぱり国道を外れるといきなりロクでもない道に変貌する。ほんとにこの道でいいんかいの?なんて程の田んぼの中をぐねぐね走るような道だった。その道を暫く走ると海の見える所に出て安心する。なんと言っても石廊崎って言うくらいだから陸の先端にあるのだ。まかり間違った道に出たとしても海岸べりを行きさえすれば、やがては石廊崎に着くのは決まっている。この場合、道に迷った時の海岸線は命綱みたいなもんかな。 -
やっと着いた石廊崎は観光写真で見るのとイマイチ違うようだが、石廊崎と書いてある看板も立ってるのだから間違いないんだろう。もっと観光地ぽいのを想像していたが、土産物屋はポツンと小さいのが一つあるだけだった。それでも炎天下を走り続けてやっとありついた売店なので、ジュースを2本とカップのかき氷を食べる。それにしても有名な割には寂しい観光地だなあー。写真で見る石廊崎にはいつも崖下の海に遊覧船が写っているんだが、今日は無いようだ。まあ、せっかく来たんだから記念に写真を撮っておこう。
ここで軽装サイクリストが声をかけてくる。「もう何日くらいツーリングしてるんですか?」と、よっぽど私が汚い身なりだったんだろうか?それとも日焼けの具合で日数を読んだとか?あちらは東京を今日出発して、もう伊豆の最先端まで来てしまったそうな。ここで初めて輪行(りんこう)なる言葉を耳にする。なるほど、自転車を分解して電車に乗ると言う手もあるのかと、しゃれた輪行と言う旅行形態に憧れを抱く。ちなみに私の自転車は本格的なツーリング仕様でないので輪行するには不向きです。
着ているウェアも洒落てるし、ハンドルやブレーキカバーも皮で覆われてたりして、さすが東京の自転車野郎はあか抜けてると感心する。それに引き替え私の方は、涼しく着やすければそれが最高なのだと言うくたびれた服装に加え、寝袋をゴムバンドでくくりつけた自転車と共に何てダッサイんでしょ!でもサイクリングのスケールでは勝ってると内心胸を張る。えっへん。
石廊崎を後にまたアップダウンを繰り返しながら元の国道136号に戻る。やっぱりなんと言っても国道に出ると安心するものがある。「この道を走ってさえいれば前橋まで帰れるんだ」と、大げさに言わなくてもそういうことです。
十キロ程走ると歴史に名高い下田港にでる。調度午後の3時だ。さっきの石廊崎とは比べものにならないほどの賑わいで、ここが同じ伊豆かいの?と不思議に思うほど。何だか横浜とか横須賀みたいなのだ(うーん、引き合いが少し偏ってるかな?やっぱり港がある都市ってことで)。
黒船がやって来た下田なので観光する気なら沢山の名所があるだろうが、今までの田舎の山道から突然に華やかな町中に出たものだから、見すぼらしい我が身とのギャップに気恥ずかしさを感じて急いで素通りしてしまう。
下田を過ぎるとこれからは東伊豆だ。今までの西伊豆から見るとどこもグッと華やいだ雰囲気が感じられ交通量も多くなった。海岸は海水浴や観光の人達で凄い混雑だ。やっぱり東京から来やすいからだろうか。
あかぬけた海水浴場も時々現れる。私でも名前くらいは聞いたことのある有名な白浜海水浴場はすごい人出だ。道路も今までの断崖山道から平坦の道が多くなり、ずっと走りやすくなった。自然が残っている西伊豆と、開発されてしまった東伊豆の違いがはっきり分かる。車の量もグッと増えたのでひかれないよう後ろからやって来る車に注意して走らなくてはならなくなった。
東伊豆は西伊豆と違い、有料道路がそこかしこにあり、今日は自転車でも合計4つの有料道路を走ることになった。その内3つはタダで通してもらった。本当は自転車も料金を払わなくてはならないらしいが、結構サイクリングに好意的な人ってのはいるもんだ。4つめの有料道路になる熱川区間は表示板に「自動車道路に付き原付・軽車両・自転車・歩行者は通行禁止」とあった。でもこの海沿いの道を行かないと、山坂の多い一般道を走らなくてはならない。そんなのはあっかんべぇなので、行けば何とかなるだろうと、とぼけて進入していく。この辺の有料道路は入り口と出口にゲートが有る訳じゃなく、中間地点にひとつだけ料金所があるシステムなので、取りあえず進入することはできる。まぁ入ってしまえばどうせ引き返せとは言わないだろう。引き返すのだって、自転車は通ってはならない自動車専用道路を戻らなくてはならないのだからと勝手な理屈を考えてる。
自動車専用道路と言うと、高速道路を思い浮かべそうだが、ここの自動車専用道路はみんなビュンビュン飛ばすと言うほどでもないようだ。行き交う車に対してさほど恐怖感はない。そんなことより料金所で追い返される方がよっぽど心配だ。
問題のゲートが見えてきた。すっとぼけて幾らですか聞きに行くと「この道は125cc以下の車は通れないんだけどなー。でも入ってきちゃったんだから、気を付けて行ってください」。読んだ通りになってしまった。しかもこの道もタダ!自転車用の切符なんかないんだから当たり前だけど。
この辺の道路のそこかしこに「ウルトラ生ジュース」なる看板が立っているので興味をそそられる。こんだけ看板を見せられると飲んでみたくなるのだから、あながち看板の効果もあなどれない。そのジュースを飲ませるドライブインが見えてきたので、休んでいくことにする。ミカンの生ジュースで200円だった。一杯飲んでみたけど、まだ喉が乾いているので今度は自動販売機の生ジュース120円也を飲もうとして百円玉二枚入れたら一枚は戻ってきてしまう(当時の自販機はどこも百円です)。入れたコインの返金レバーはないので急いでレジでくずしてもらってる内に、どこかのジジイが私の入れた百円玉に20円足して持っていってしまった。自分の入れた百円玉と言う証拠はないので言わないでおいたが無性に腹が立つ。しょうがないのでもう一度120円入れて飲む。くそーっ。
伊東が近くなった頃またもやパンクしてしまう。前輪は元々バルブの調子が悪いようで、しょっちゅう空気が抜けるが後輪はそんなことないのですぐにパンクと分かる。走っていてタイヤの違和感を感じるとぎょっとする。自転車のパンクはすぐに調べるのが最善の策なので秒で自転車を止める。その方が原因が見つけやすいから。見たらガラスの破片が突き刺さっていた。交通量の多い道路ではこれが定番。場所さえ分かればパンク直しは簡単に出来るように成長した。およそ15分程で直して出発。
伊東市内に入り、旅館を4軒ばかり尋ねて回ったが、どこも一杯とのこと。旅館の人の態度からは、もし空いていても一人で一部屋使われたんじゃたまんないって雰囲気も感じられる。一人旅の辛いところだ。こうなったら教会を探すしかないか。持参の道路地図は車用の全国版なので、伊東の町の市街図の大きさが名刺ほどもない、ものすごく大ざっぱで小さい市内地図だが、運良く教会があるという町名が載っていた。伊東市内全部を探すのは気が遠くなるが、町内をしらみ潰しに探すのくらいはやる気になるってものだ。
やっと探し当てた教会は、個人の住宅を買い取って教会にしたらしい普通の和風建築の建物だった。だれかが司祭館らしき玄関先で立ち話の真っ最中だった。話が終わるのを待ってる内、頼むのが面倒になり、もう一軒旅館を当たってみる。でもやっぱり一人と分かった時点でダメ。こうなりゃやっぱり教会しかないだろうともう一度教会に足を運ぶ。出てきた手伝いのおばあさんに故フローリー神父さんに書いて貰った紹介状を見せて頼んだ所「大丈夫でしょう」とニコニコ顔で嬉しい事を言ってくれ、何やら大いに期待を抱かせてくれる。どうか上げといてから落っことさないでくださいよ。告悔を聞いて出てきた神父さんに取り次いでくれるとこれまたOK。やっと今晩の宿が決まる。あーホッとした。
銭湯の場所を尋ねたところ「うちに温泉があるから」・・・へ!?さすが温泉で有名な伊東の教会。なんと、司祭館の中に温泉が引いてあるそうだ。座敷の一部屋が風呂になってるような一風変わった浴室で、ぬるくて私には調度良い湯加減。さっぱりしたところで夕食を食べにフラフラと歩いていく。食堂に入る前に通りの酒屋の自販機で缶ビールを飲んで気を納めておく。食堂のビールは高いからね、いつものケチケチ作戦だ。ついでにリポビタンDも飲む。この酒屋で教会のお礼用にカルピス2本詰めを買ったあと、餃子と中華定食で夕飯にする。宿探しでは苦労してしまったが、こうして寝るところも決まって風呂にも入れてビールも飲める。終わりよければ全て良しだ。 -
出発から14日目の8月15日。
6時半頃教会を出発する。おばあさんが「この教会の守護の聖人です」とマリア様の御絵をくれる。記念にしたいので裏にサインをお願いすると機嫌良くしてくれる。今回は色んな親切な教会にお世話になって有りがたかったけど、返す返すもあの奈良教会め。
朝飯を探そうと、とりあえず伊東駅に行ってみる。ついでに駅で自転車のバルブを直そうとしたが、うまくいかないので諦める。まぁ、時々空気を入れて乗ってりゃいいか。早朝なので朝飯は何が食べたいなんて贅沢は言ってられないので、朝からやってる駅のラーメンを食べさせてもらう。やってて良かった。
海岸線の坂また坂の道を走り、熱海を10時頃通過する。さすがこの時代の新婚旅行のメッカ熱海で、高層ホテルが林立している。おまけに坂だらけなのでまるで香港みたいだ(行ったことないけど)。国道脇に有名なお宮の松なるものがあった。この松って一番目立つ国道端にあったのか。いかにも客寄せ用の観光松だ。熱海はどことなくケバケバしさがあり感じが悪いので一度も止まることなく早々に通過する。
しばらく走るとまたパンクになる。今度は長さ2センチ、幅が4ミリ程の鉄片が突き刺さっていた。まったく色んなもんが刺さってくれるよ。こんなでかいのが刺さると、運が悪いとチューブを突き抜けて何カ所もパンクさせられるときがあるから怖い。パンク用のパッチも残り少ないので複数パンクはごめんだ。だから交通量の多い道路は嫌なんだよな、田舎道ならパンクの材料になるものは滅多に落ちてないが、交通の激しい道路はやたらとガラスや鉄片・釘なんかがあるので走るにも余分な気を使ってしまう。特に、パンクの直後ってのは余計な神経を道路上に注ぐので景色を楽しむのも半減してしまう。やっぱり走るなら景色のいい田舎道がいいなー。 -
11時半、小田原に到着。やっと伊豆半島を一周した訳だ(と、勝手に伊豆半島の起点が小田原と決めてる)。昼飯にカツ丼を食べてから小田原城公園に行ってみる。天守閣に上るには百円かかるが一応来た記念に上がってみる。最近作ったようなコンクリート製の天守閣なので建物自体は大した事はないが、昔のモノが沢山展示してあって、百円分の価値は立派にあった。
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天守閣は高い建物だけあって遠くが見渡せるので眺めがいい。私の走ってきた伊豆半島の先っぽに続く海岸線が良ーく見える。あれを走ってきたんだなーと、記念に写真を撮っておく。何でも記念だね。
ここには動物園もあってライオン、アシカまでいて中々豪華。象もいるのだが中々お茶目な象らしく、長い鼻にタップリ水やワラを仕込んでは見ている観光客にぶっかけている。客が慌てふためく様を見て自分でもドタドタと走り回っているから明らかに喜んでいるようだ。象も喜ぶんだなー。見物人の方も一度やられると側に寄らないが、少しすると入れ替わるので象の近くまで集まりだす。象もそれを待ってましたとばかりに又、水をぶっかけるのだ。私も面白いから離れた所からそれを数回見物する。早く次の客が来ないかなーなんちゃって悪趣味かな。あんな狭いところに入れられてるんだから、象だって少しくらい楽しみがなくっちゃね。 -
城内公園でかき氷・白牛乳・コーラ・スパイスドッグ等を喰い漁る。さっきカツ丼食べたばかりなのに、まだ腹は満腹ではないのだ。どうも最近、飢餓状態のようで腹がやたらと減る。自転車に戻ると、親子連れが私の自転車に書いてある住所を見て「群馬からだってよ。凄いねー」と驚いてくれてる。フッフッフ、馬鹿やろめ、もうすぐ群馬に帰れるんだと心の中で思う。
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名所に立ち寄るのもこれで終わりだろうと、最後のフィルムで二宮尊徳神社というものを写真に撮って小田原を出発して、また国道一号を走り出す。海岸沿いの道ならいいのだが、海岸寄りには自動車専用道路が走ってて国道一号はそれより内陸側を平行して走っているような状態なのでこっちの眺めはイマイチだ。時々建物越しに海を見るのが精一杯。海が見えるたんびに「あっちの道は景色がいいなー」とうらやましがる。
七夕で有名な平塚市に来た。平塚から鎌倉までは20Km程しか離れていないので、私が最初に自転車旅行した記念の鎌倉に寄ってみたい気もあったのだが、疲労が溜まっている今の20Kmはちょっとついでにという距離ではないのでやめておく。ここで名古屋の向こうから幾日も走り続けた国道一号に別れを告げ、国道129号で北上を開始する。この辺りからはもう観光も何もない、ただひたすら帰るのが目的だけの消化試合のような道のりだ。カメラのフィルムも小田原で最後のを撮り終わってしまい、新しいのを入れるつもりもないので一層旅の終わりを感じる。
夕方、厚木付近で雨が降ってきたので雨宿りを兼ねて夕飯にする。ポークカツとライスで700円。食事後も雨は止まないので京都で買ったポンチョを被って走り出す。雨具があれば雨もそんなに怖いものではなくなったけど、やっぱり降られないのに超したことはない。
2時間ほど走り、コインスナックでジュースを飲んだついでに自動販売器の天ぷらうどんを食べる。そんな事をしていたら雨は上がってくれた。明るい内ならまだしも、サイクリングに夜の雨はこたえるので、上がるとホッとする。
9時半、八王子を通過したところに大きな橋が架かっていた。歩道も付いてる橋なので、ここで寝るのもいいかなと自転車を横に倒して日吉丸よろしく寝ちゃうことにする。まれに歩道を行き交う人がいるが図々しく(と言うか恥知らずというか)寝続ける。川の上なので蚊もいなく涼しい。とっても快適だ。なんだ、橋の上ってのも知られざる野宿の穴場じゃないかと気が付く。瓢箪から駒、野宿のバリエーションが増えてしまったではないか。 -
出発から15日目、自転車旅最終日
ふと目が覚めるとポツポツと雨粒がシュラフを叩いている。近くに屋根なんか全然見あたらない橋の上なので逃げ込む当てがない。どんな降りになるか分からないのでこれは寝てなんかいられないと、急いでシュラフを丸めて屋根の有る所を探す。時計を見ると夜中の1時になっている。3時間くらい寝られたってことか。
40分程走ると昭島市付近にイトーヨーカ堂があったので渡りに船と、雨の当たらないベンチの上で寝る事にする。しかし、ここには天敵の蚊がいるではないかぁ。クソーッ、暑いけどシュラフの中にすっぽり潜って蚊を防ぐ。なので折角雨の当たらない所を見つけたのに、ゆっくり寝るという訳にはいかなかった。ま、どのみち今日中に家に帰れるんだから病気でも寝不足でも何でもいいから気楽だ。後は野となれ山となれモードは心に余裕が生まれる。
4時半頃、耳をつんざくようなジェット機の轟音にぶったまげる。見上げると大きなジェット機が離陸していく途中だった。まるで目の前でジェット機がエンジンの空ぶかしをしてるような轟音なのだ「ギャーンッ」。この辺りには米軍の基地があるから、そこの大型機なんだろうか。この辺の家の人達は一年中こんな騒音(騒音なんて生やさしいもんじゃない)の中で生活してるんだろうか?気の毒としか言いようがない。重病人なんか死んでしまうぞ。
寝袋の中に顔まで潜ってぼーっとしてたら早朝なのに二人連れの男がやって来て、誰か寝てるぞなんて言っている。もう一人がたしなめてるので何をされるでも無かったから良かった。こんな時間にうろついてるって事は朝まで飲んでいたのかな?
雨はまだ止まないのでポンチョを被って走り出す。しかし運のいいことにすぐに止んでくれたので大助かり。雨降りのおかげで涼しくなったとしても、やっぱり降られるよりは降らない方がいいに決まっている。
6時、入間市通過。この辺りからまっすぐ北へ行けば距離的には幾らか近いのだが、どうも道がはっきりしないので、どうしても道路表示にはっきり書かれている川越方面へと向かってしまう。7時、その川越を通過。8時、東松山通過。9時半、熊谷を抜けたところのレストランに入る。ここは本物のレストランみたいなので出来れば入りたくない部類の食堂なのだが(高いから)、これを逃すといつ又食事にありつけるか分からないので食べてくことにする。何故か私としたことが、ポタージュスープにカニピラフで880円。早朝5時前から9時半まで朝飯抜きで走り通しだったので腹が減って腹が減って、やっとありついたご飯なので、カツ丼みたいにもっと実力のある喰いもんが欲しかったんだがぁ。
本庄を過ぎ、利根川を渡るとやっと群馬県の看板がお目見えする。あーやっと群馬県に戻ってきた。記念に写真を撮りたいところだがフィルムはとうに終わっている。ちょっと回り道をして、伊勢崎教会のおみ堂に寄って出てきたら、仲良しのウイリアム神父さんが「シンジラレナイヨーッ」と迎えてくれる。だれかに京都行きを聞いてたらしい。なんだか照れくさい気がするが悪い気はしないもんだ、えっへへへ。
司祭館でキリンレモンを飲ませてもらって元気に再出発。さて、あとは残りのたった十数キロを走れば半月ぶりのわが家だ。
自転車旅関西編おわりです。読んでくれてありがとうございました。
期間 1975/ 8 /2 ~ 8/16
使用金額 56920円
めでたい収入 1600円(損失500円)
走行距離 1500Kmちょっと
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旅行記グループ 自転車旅行関西編
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