1975/08/02 - 1975/08/16
461位(同エリア646件中)
おくさん
自転車旅関西編4
8月9日、出発から8日目。
カルメル会修道院隣にある女子修道会に歩いて行って6時半のミサにあずかった後、キッチンでトーストにコーヒー、ゆで卵の朝食を食べさせて貰う。お礼は幾らでもいいらしいので、素泊まりの旅館で二千円位だから(1975年)ケチ臭く千円だけおいて出発する。すいませんね節約旅なんで勘弁してください。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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9時、十円玉でお馴染みの宇治の平等院を見物する(もうすっかり拝観でなく見物)。ここでカメラのフィルムが終わったので交換する。8日かけて24枚撮りフィルムがやっと終わった。現代のデジカメならこの百倍くらい撮っているだろう。限られたフィルム枚数なので、どんな名所に行ってもここぞと思う一枚しか撮影しない。しかしここではフィルムを交換したばかりで気が大きくなっていたので、豪華に3枚も撮影した。
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大きな仏像がご本尊様と言うことだろうか。その周りの壁面には雲に乗って飛び交っている子分の仏様がいっぱいいるのが気味悪かった。早朝と言うこともあり、平等院は観光客が殆どいなくてガラガラだったので何だか得した気分になる。
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いよいよ奈良が近くなってきたが、すぐには市内へ入らずに外側の名所を見てから市内に入る作戦を立てている。まずは斑鳩の里方面を目指す。途中でトマトジュース、牛乳、ヤクルトを飲んで栄養を補給しておく。栄養えーよー!なんちゃって(ふるっ)。
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十二時頃、唐招提寺に到着する。ここも殆ど観光客はいなくて拍子抜けする程だった。この寺も広く知れ渡ってると思うが、奈良も外れの辺りだとこんなもんなのかな。
続いて近くにある薬師寺を連続して訪問する。薬師寺には指の形が印象的な薬師如来があるが写真撮影は禁止らしいので撮ることが出来ない。写真に撮ると減るのかな。 -
ここも寺の修復工事をさかんにやっている。シートを被った観光地というのも何か興ざめするなぁ。工事期間中は入場料の割引でもやればいいのに。でも見たかった基壇の水たまりに映る薬師寺の姿は見られたのでオッケーだ。外なので撮影は一向に構わないし。
外に出ると地元のサイクリストが話し掛けてきた。サイクリストとのお喋りは親近感があり楽しく、初対面でもお互いを信用じている安心感がある。余り喋ることのない一人旅での貴重な話し相手だ。地元の自転車情報を少しだけ教わっておく。 -
ここから次の目的地の法隆寺へはちょっとばかし距離がある。一時間近く田舎道を走り、そろそろだがなあと思いながら訳の分からない畑道に迷い込んでしまう。そしたら運良く沼のはるか向こうに法隆寺の五重塔が見えた。五重塔は田舎の風景によくとけ込んでいて、何かほんわりするような景色に見えた。訳の分からない「斑鳩の里」という名前はこういう雰囲気のことだろうかと勝手に解釈しておく。
遠くには見えるが、まっすぐ沼を横切るのは勿論、田んぼの中を走るわけにもいかない。あっちへ向かいそうな道を見当つけて走っていくと、程なく賑やかな土産物屋に囲まれた法隆寺に着く。いくら田舎にあると言っても、やっぱり法隆寺があるここだけは別格の観光地だった。 -
本物の玉虫厨子や夢殿など、教科書にも出てくる有名なものが沢山あった。有名な物をみると来た甲斐がジンワリと沸いてくる。多少の苦労はあったけど来て良かったー。
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五重の塔の天辺からは長い鉄筋が屋根を伝わって地面までおりていた。考えるまでもなく雷対策のようだ。そりゃ国宝が雷で燃やされたんじゃたまらんからね。平地にポツンとある高い建物なので、今までだって雷のひとつや二つは落ちた気がするけど、そうなるとこの建物ってずっと昔からの物なのかなと疑問が沸いた。気になったのでウィキペディア先生に教えてもらいました。世界最古の木造建築群で世界遺産だそうです。失礼しました。
斑鳩方面を見終わったので、いよいよ今度は奈良市内へと向かう。ここから市内までは自転車だとそこそこの時間が必要なのでせっせとペダルを漕ぐ。
市内手前にレストランがあったので、いつものように遅めのお昼にする。ミックスフライとライスで720円。当時としては高い方だ。店の構えもちょっと高そう。時間はすでに4時半を回っているのだが、こういうのもお昼って言うのかな。
食べ終わってからもぐんぐんと奈良の中心を目指して走る。この道を行きさえすれば有名な所に行き着くはずだ。道が分かりやすいのは精神的に安心できる。 -
奈良市内に入ってきて着いたところは猿沢の池だった。盆踊りのための大きなやぐらが組んであり、色とりどりの提灯が四方にのびている。奈良の都の夏祭りだ。夜はキット賑やかなんだろなー。近くに宿が決まっていれば祭りを楽しめるだろうが、今夜の宿をこれから探す身なのでそうも言ってられない。今夜の宿あるのかな?
今更奈良到達祝いでもないが、大きな奈良公園の中にあった小さな茶店で氷金時を食べる。この店は広大な公園内にポツンとあって簡易的な造り。本当に江戸時代の茶店の匂いがプンプン感じられる不思議な店だった。営業許可取ってあるのか心配になるほど。
奈良にはやっぱり野良鹿が沢山いた。鹿も時期によっては気が立ってるそうだが、今はそんなことはないようだ。こんだけでかい鹿がゾロゾロと放し飼いになってると危険なような気がするが、大丈夫なんだろう。おとなしく人なつっこい。もっとも餌が欲しくて人に近づくようだが。 -
大仏殿は時間が過ぎていて入れなかったが、南大門に囲いはないので自由にみられる。この巨大な門の両側にある阿吽の仁王像にはぶったまげた。おぅおぅおぅ、よくもまあこんなでかい木像をつくったもんだいねー(群馬弁)。凄い迫力。ここでも大いに来た甲斐を感じるがフィルムが勿体ないので写真は撮らず。
今夜は奈良教会に泊めてもらおうと思い、探しながらトロトロ走っていると、お約束の牛乳屋さんがあったので、今日はまだ牛乳を飲んでいないことを思い出したので白牛乳を2本飲んでおく。これで本日の栄養はバッチリ補給できた気になる。
7時過ぎ、やっと奈良教会を見つけて頼んでみたらダメとのこと。おばさんが応対するだけで神父さんは居るらしいが顔も見せない。私の教会の神父さんに書いてもらった紹介状見せたし寝袋持ってるので、どこでもいんだけどなあ。「善きサマリア人の話知ってますか」と言ってやりたいところだ。やっと見つけた教会に断られたので途方に暮れるが、仕方ないので駅へ行ってみる。奈良駅は観光地の駅なので、どうも泊まれる雰囲気ではないようだ。明るすぎるわ賑やかすぎるわだわ。仕方ないので他を探すことにする。
いいかげん遅いお昼だったが、やっぱり夕飯を食べないことには寂しいので、大衆食堂に入ってビールとラーメンを食べる。テレビではドリフをやっている。もう8時を回ってるということに気づく。関東で見ていた番組が関西でも見られることが不思議だった。
時間つぶしに駅近くのパチンコ屋に入る。運よく100円で1600円になった。もうけた!もっと儲けられたら安宿を探しても良い気になるが、1600円じゃ帯に短し襷に長しだ。ご飯代がせいぜい。この時代はパチンコ台も一発台もデジパチも無いのでのんびりしたものです。
大きな奈良公園の中に入っていき、公園にポツンとあったベンチで寝ることにする。真っ暗な公園の中はチト薄気味悪いが、運良くそれ程むし暑くもなく、蚊も少ない。せめてもの救いかな。
夜中、「ドドドドドッ」とケタタマシイ音で目が覚める。心臓がドッキーンとしてしまう。こりゃ一体なんの騒ぎだ!?不思議なことに、奈良公園の鹿ってのは、夜中に集団で走り回るようだ。時たま「どどどど」が聞こえてくる。鹿って夜行性だったのか?まさか私の寝ているベンチに突撃してきやしないだろな?と、世にもマレな心配をしながら一夜を過ごすことになった。 -
野宿の夜というのは、空が白み始めると不思議と安心して眠たくなるのです。「あー、何事もなく一晩過ごせた」ってことですかね。でもいつまでもそうしては居られないので適当に切り上げて起きることにする。ベンチの写真は翌朝の様子です。タイミング良く鹿が入りました。
自転車旅関西編4へ続く
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