2022/01/01 - 2022/01/01
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ミズ旅撮る人さん
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2022年元日。秋田県の由利本荘市にある羽後本荘駅から、
第3セクターの由利高原鉄道に乗ることにしました。
この鉄道は、日本ではもう3か所しか残っていない、タブレット交換を実施しています。
これまで鉄道資料館などで、散々タブレットや閉塞器を見ては来たものの、
実際に使っているのを見た事はありません。これは行ってみなければ。
ところが、前年末から日本海側は数年に一度の寒波が押し寄せていて、
暴風雪警報が出っ放しでした。それでも運休することなく運行していた
由利高原鉄道ですが、あろうことか折角全線往復乗車しようと意気込んで行った
この時に「運転見合わせ」となりました。
ここですごすごと諦めて、別の観光地に行っていたら、
この後の幸運を手にすることは出来なかったでしょう。
一先ず、タブレット交換を行う前郷駅に行ってみよう。
厳冬期ならではの鉄道風景を見て来ました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
JR羽越線の羽後本荘駅。この一角に、由利高原鉄道の駅もあります。
全長23kmの第3セクターで、1時間に1本程度の運行本数です。
2022年元日の朝、この鉄道に乗ろうとして、羽後本荘駅に来ました。羽後本荘駅 駅
-
さて駅に来て列車に乗る筈なのに、どうして雪道を車で走っているのか。
この年末年始は日本海側は数年に一度の寒波が到来していて、
暴風雪警報が出ていました。連日、列車の運行を気にしていましたが、
さすがに雪国の鉄道は簡単には運休しません。
とは言え、12/28には山形を走る仙山線で、
雪の重みで倒れた木が列車に衝突する事故がありました。
この日の朝も運行状況をHPで確認したのですが、
由利高原鉄道のHPには、そもそも運行状況を示す部分がありません。
動いているのかいないのか、HPではわかりませんでした。
グーグルでは「通常運行」と出ていたので、
羽後本荘駅にやって来たのです。
ところが、改札前には「運転見合わせ」の文字が。
運転再開の見通しは立っていないのだとか。 -
せっかく「楽楽遊遊乗車券」を使って、全線往復乗車してみようと
意気込んで来たのに、がっくりです。
仕方がないので、途中にある前郷駅に行って見ることにして、
本来なら列車に乗って通っていた筈の道を車で走っています。 -
向かっている前郷(まえごう)駅は、日本で3か所しか行われていない
タブレット交換を行う駅です。
タブレット交換は、単線区間での正面衝突を防ぐための仕組みで、
タブレットという金属の円盤を所持した列車しか進入できません。
閉塞区間を通過した列車の運転手は、駅員にタブレットを手渡します。
これが行われるので、この駅を訪れる鉄道ファンは多いと思います。
「運転見合わせ」である以上、タブレット交換も行われませんが、
どんな駅なのか見に行って見ることにしました。
因みに、タブレット閉塞区間は、前郷~矢島駅間で、
羽後本荘~前郷駅間は、スタフ閉塞区間になっています。 -
積雪の量は大したことはないのですが、風が猛烈に強く、
地表の粉雪を巻き上げます。 -
この近くには「鳥海山木のおもちゃ美術館」があります。
こことコラボした「おもちゃ列車」「おもちゃ切符」などが、
由利高原鉄道の目玉商品です。 -
前郷(まえごう)駅に着きました。
あの待合室の前でタブレット交換をしている画像がHPにありました。
線路の上には雪が覆いかぶさっていて、
確かに何も通っていないことがわかります。前郷駅 駅
-
駅の正面に回り込みます。なかなかの風雪で見づらいですが、
意外と駅舎が新しいことが見て取れます。
平成16年に、由利小学校開校に合わせて改築されました。 -
気温-5℃。この日は最高でも-2℃にしか上がりませんでした。
由利高原鉄道では、両端の駅と前郷駅にしか駅員がいません。
12ある駅のうち、9駅は無人駅です。
貴重な駅員さんに話を聞きました。
始発列車は出発したのですが、羽後本荘駅から2つ目の子吉(こよし)駅で引き返したのだそうです。
ああ、だからグーグルは「通常運行」と出ていたのか。
「運転見合わせ」になるまでは「通常運行」になっていたことでしょう。 -
前郷駅では、タブレット閉塞器が見えるように
待合室と駅務室の間が、ガラス張りになっています。
赤い閉塞器の上に置かれている皮のキャリアの中に
タブレットが収められています。
それを輪っかが掛かっているつまみを手前に引き出して、
トレーにタブレットを入れて閉めると閉塞が解除されます。
新しいタブレットは下のトレーから出て来ます。
その作業を是非、いつの日にか見てみたいものです。 -
大正11年8月、横荘鉄道として、羽後本荘~前郷間が開通
昭和13年10月、国鉄矢島線として、羽後本荘~矢島間全線開通
昭和60年、国鉄矢島線を引き継ぐ第三セクターとして、
由利高原鉄道鳥海山ろく線が誕生。
平成27年に開業30周年を迎えました。 -
さて、前郷駅の駅員さんから、耳寄りな情報が聞けました。
「矢島駅からモーターカーが出る」というものです。
始め、モーターカーが何かわかりませんでしたが、
「黄色いやつ」と言うので、合点が行きました。
黄色い作業車と言ったら、除雪車でしょう。なんと除雪車がやって来る。
いつ出るのかわからなくて、今はまだ出発していないという事なので、
終点の矢島駅まで行って見ることにしました。 -
相変わらず風雪がすごくて、幻想的な風景が周囲に満ちています。
-
この風景が、次の瞬間には
-
こうなります。地面に積もった雪は、風で吹き飛ばされるので、
凍った道路だけが残ります。
滅多に雪を見ることのない地域の人間にとって、
この状況は素晴らしくおもしろいです。
もちろんスタッドレスタイヤにチェーン持参ですし、
スコップに、スタックした時に使うシートも持参しています。 -
小さな丘を越えると、ずっぽりと雪に覆われた集落が見えて来ました。
列車に乗れなくても、この風景が見られただけで良かったなあ。 -
由利高原鉄道の踏切を越えています。
わずかに2本の線が、下に線路が埋まっていることを示しています。 -
「おばこ」と書かれた鉄橋がありました。
第3セクター発足当時に「おばこ」という愛称が付けられました。
「まごころ列車」として、秋田おばこ姿のアテンダントが1日1往復
(矢島駅発9:40、羽後本荘駅発10:43)乗務し、旅客への案内や
乗降補助、乗車証明書の配布、車内販売を行っています。
私は羽後本荘駅8:40発で矢島に行き、
折り返してこの列車に乗車する筈でした。 -
雪原の中に小屋が見えます。吉沢駅です。
どうやって、あそこまで行くんだろう。
駅に行くだけで遭難しそう。 -
矢島(やしま)駅に到着しました。
ここに由利高原鉄道の本社もあります。矢島駅 駅
-
改札口の前には掲示板が立ちはだかっていました。
-
駅舎の中におもしろいものがあります。
HPの駅の紹介には以下のように説明されています。
「鮎川駅のクラウドファンディング10,000円のリターン
「一口駅長室」が矢島駅待合室に設置しています。
ご自宅にとどいた「こけし駅長」を、矢島駅に来た際に
「駅長室」におさめることができます。」 -
中には、こんなに凝った「こけし駅長」もありました。
-
「まつ子の部屋」という売店がありますが、この日はお休み。
「乗車券の缶詰」。
えちごトキめき鉄道で始めた線路の石の缶詰みたいなものでしょうか。
「直江津D51レールパーク」では、自分で石を選んで
缶詰を作ることが出来ます。
旅行記「直江津D51レールパークで、乗車体験。
「雪月花」とも遭遇。」参照してください。 -
矢島駅の時刻表です。だいたい1時間に1本の便があります。
-
とても綺麗な駅舎です。平成12年に改築されました。
ここには本社と車両基地があります。
駅員さんにモーターカーは、いつ頃出発しますかと尋ねると、
「もう出るよ。」とのこと。
しかし、次の瞬間「あれ?」と駅舎からホームに飛び出して、
「もう行っちゃったよ。」「さっきまでいたのになあ。」となりました。
ありゃ、すれ違っちゃった。 -
ホームに出てみると、確かにモーターカーの姿はありません。
しかし、線路の除雪の跡がたいそう不可思議でした。
突然始まっているように見えます。
これは、向こうからここまで除雪して来たのでしょうが、
では、モーターカーはどこからここに来たのでしょう?
雪のない時期には、ホームから2番目の線路の奥に駐留している写真が
ありますが、そちらの線路はまったく使われた形跡はないのです。
う~ん、出動する所を見たかったなあ。 -
せっかく矢島(やしま)駅まで来たので、グッズを少々買いました。
駅名キーホルダーは、やはり前郷駅にしました。
裏にはYR3002号車の写真が入っています。
YR3001が緑、3002が赤、3003が青の
ラッピングになっています。
これらの車輛は、愛知県豊川市にある日本車輛で製造され、
豊川・西浜松・新鶴見・高崎・新津・酒田・羽後本荘と
甲種輸送されて来ました。
由利高原鉄道のHPには、3輌それぞれの甲種輸送の様子が
掲載されています。
https://www.obako5.com/%e9%89%84%e9%81%93%e3%81%ae%e9%ad%85%e5%8a%9b/%e5%88%97%e8%bb%8a%e7%b4%b9%e4%bb%8b/ -
慌てて来た道を戻ります。
途中通った踏切には、除雪車が通った後はありませんでした。
どうやらどこかで追い越せたようです。前郷駅で駅員さんに尋ねると
「まだ来ていない。」という事でした。
そこで、除雪車が来るのをホームで見ていてもいいと許可をもらい、
ホームで待ち受けることにしました。
程なくして、雪煙の中に黄色い車体とライトが見えて来ました。 -
除雪車は、先端に付けている三角の排雪板(ブレード)で、
左右に雪を除けています。
この車輛は、正式には「排雪用(除雪用)モーターカー」と言い、
「排モ」と略されることもあるようです。
通常は前方にV字型のラッセルヘッド、
後方にロータリー装置を装着しています。 -
そのまま排雪しながら通り過ぎるのかと思ったら駅舎の前で停車。
作業員が書類を手に降りて来ました。
前以て、駅員さんには、除雪車とタブレット交換をするのかと
尋ねましたが、元々全線閉鎖区間になっているから、
除雪車とのタブレット交換はないとのことでした。 -
除雪車には3人が乗っています。
車体にはライトが3つに黄色い霧灯が2つ、
それに黄色い警告灯が前後にそれぞれ付いています。
これだけあっても、降りしきる雪の中では、ぼんわり見えるだけなのは、
実際に見てよくわかりました。 -
後ろの赤いスクリューのような部分がロータリー装置です。
左右の板が開閉して雪をロータリーに掻き寄せます。 -
作業員が戻って来ました。
-
出発です。排雪板が雪をかき分けて進んで行きます。
積雪量が大量ではないので、
波を掻き分けるようなダイナミックさは無いですが、
こうやって行くんだなと思いながら見送りました。 -
ところが除雪車は、赤信号の手前で停車しました。
まあ、信号が赤なら止まるのは当たり前?でも、先に進めないの? -
見ていると除雪車は更にもう少し先まで行って完全に停止しました。
ロータリーの上にあるダクトは、
駅の前を通過する際に横に向きを変えています。 -
3人の作業員が前方の窓から後方の窓に移動し、後進し始めました。
この先は動画で撮ってしまったので写真が無いのですが、
ロータリーが回転して左右に除けられた雪を巻き上げ、
ダクトから勢いよく吹き飛ばして行きました。
雪は隣のホームを越えて飛んで行きます。おお、なんとダイナミック! -
除雪車はホームの端まで、雪を飛ばしながらバックして行きました。
この位置では建物があるので、遠くには飛ばしていません。
ロータリーの両脇にある板は、ホームのある所では
ホーム側はほぼ真っ直ぐ、対向車線側は広げて、
多くの雪をロータリーに集めていました。
ホームが終わったので、右側にその板が開いているのがわかります。
車体より出っ張るので、目立つように赤く塗られていて、
ユニオンジャックのように見えます。 -
ふとその足元を見ると、先端の排雪板(ブレード)が
線路から少し高い位置に上がっています。
後進する時に線路の高さに置いていると、
雪が内側に溜まってしまいます。
なるほど、こうした細かい事は、実際に動いているのを見ないと
なかなかわかりません。 -
おお!線路が見えるようになりました。
ここで駅員さんが来て、この後自分も作業があるので、
切り上げて欲しいとのこと。
満面の笑みで、お礼を言ってホームから退出しました。
まさか、目の前で除雪作業を見られるなんて、望外の喜びです。
それを許可してくださった前郷駅の駅員さんには感謝しかないです。
唯一の駅員さんは、運休中でも仕事がたくさんあるでしょう。
ありがとうございました。 -
駅舎から出て、駅の横にある駐車場で、
羽後本荘方面に向かう除雪車を見送ります。
なんという出会いだったことか。
もし、羽後本荘駅で「運転見合わせ」の掲示を見た時に
諦めてしまっていたら、除雪車との出会いはなかったでしょう。
前郷駅の駅員さんと話を出来たので、除雪車が来ることがわかり、
矢島駅で間に合わなかったけれど、グッズを買うことが出来、
カレンダーも「ご自由に」だったので、いただいて来ました。
そして、最後にとうとう前郷駅で、
除雪作業を間近で見ることが出来ました。
「一念岩をも通す」ちょっと違うけど、簡単に諦めず、
出来ることを精一杯やれば、違う道も開けて来る。
元日らしい教訓が得られた朝でした。 -
除雪車が去った後、駅員さんが歩いて行きました。
-
ポイントの切り換えなのかな?
-
表示器の下に何か大きなものが付いています。
そもそもこの一面雪野原の中で、
ポイント部分だけは剥き出しで見えています。
どうやら、横に伸びたノズルから熱風が出る仕組みになっていて、
凍り付かないようになっているようです。
ポイント部分に火のついた融雪カンテラを置いているのは見たことが
ありますが、ここでは別の方法でポイントを守っているのですね。
全線単線だから、ポイントが少ないという事もあるのでしょう。 -
降りしきる雪の中で作業をする駅員さん。
おそらくは、一日に何度もこうした作業を必要とするのでしょう。
「鉄路を守る」人々の仕事を垣間見ることが出来ました。 -
由利高原鉄道に別れを告げ、国道108号線を羽後本荘方面に走ります。
相変わらず、風が強く視界が極端に悪くなることがあります。
暴風壁の下から粉雪が強風に押し込まれて、凍り付いた道路の上を
左から右に一直線に吹き飛んで行きます。あまりに風が強いので、
道路の上には雪が積もりません。足元を掬(すく)われそうな風です。 -
後日、由利高原鉄道のHPを見てみると、
「新着情報」の欄に
2022-01-01 運行状況 1月1日(土)運転再開のお知らせ
2022-01-01 運行状況 1月1日(土)列車運休のお知らせ
という記事がありました。
どうやら、何かあった時にだけ、ここに書き込まれるようです。
因みに、秋田内陸縦貫鉄道のHPには、トップ画面に
「運行情報:秋田内陸線は平常どおり運行しています。」とありました。
鉄道で一番重要なことは、イベント列車や割引切符ではなく、
ちゃんと運行しているか、遅延・運転見合わせがないかだと思います。
それがトップに出て来ない鉄道のHPは、大事な物がないと思います。
今回は、運行状況がわからなかったお陰で、幸運に恵まれましたが、
基本は、HPを見る人が何を見たいかが重要なのであって、
鉄道会社が何を見せたいかではないです。
各駅の駅員さんたちには、お忙しい中、お世話になりました。
由利高原鉄道が今後も、地域住民に愛され、
存続することを祈念いたします。
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