2021/12/05 - 2021/12/05
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kirinbxxさん
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アデレードの中心部から北西に15kmほどのところに、ポートアデレードという街があり、いくつかの博物館があります。そのひとつが、航空博物館です。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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自宅から1時間弱走ればポートアデレードに到着です。1836年にアデレードの港として建設がはじまりました。
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港といえば灯台です。
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以前は内部見学ができましたが、現在はCOVID-19のせいで見学できません。この中で、1.5m(大人のカンガルー一頭分)の距離なんて保てないでしょうから。
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この日の最初の目的地はこちら。South Australian Aviation Museum、航空博物館です。
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航空博物館はオーストラリアのあちらこちらにあります。SA州のものは街中にあるので、当然規模は小さめのようです。こちらが第二ハンガー。
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一部の公休日以外は年中無休、入場料は大人12ドルです。10時から開館、到着もちょうど10時でした。
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入り口を入ったところが売店も兼ねています。
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博物館の建物は、第二次世界大戦中にダーウィンで対日防衛のために使用されていたもの、それほど大きくはありません。片側は上部に展示回廊が作られています。狭いので多くの航空機同士が重なり合うように展示されていました。
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1919年(日本では大正8年)、オーストラリア連邦政府は次の条件を満たすことを条件に、英国からオーストラリアへの初飛行に1万ポンドの賞金を提供すると発表しました。(オーストラリア連邦政府は1909年以後、様々な条件での飛行について同じように賞金を出しています)
・搭乗員が全員オーストラリア国民であること。
・大英帝国内で製造された航空機を用いること。
・連続720時間(30日)以内かつ1920年12月31日中に指定の中継地を経て飛行を完了すること。
見事賞金を獲得したのは、パイロットを務めたロスとキースのスミス兄弟と整備士のウォリー・シールとジム・ベネットの4人です。使用したのはビッカース・ビミーMkIV、第一次世界大戦のための爆撃機として設計はされたものの、実戦投入はされなかった機体でした。 -
所要時間は27日と20時間、ほぼ28日で飛行距離は11,060マイルです。もちろんこの時代に航路図などあるはずもなく、彼らは進路の決定に航海図を用いたそうです。8機の参加機のうち無事にオーストラリアに到着したのは2機、4名が死亡するという過酷な試みでした。
スミス兄弟がアデレード出身だったため、ビッカース・ビミーはダーウィン到着後シドニーでの式典を終えてからアデレードへ飛来しました。 -
これが彼らが着用していた飛行服です。
彼らが使用した機体は、シドニー、メルボルン、キャンベラなどで展示されたあと、1958年にアデレード空港で公式に展示されました。その後、紆余曲折を経て2021年からアデレード空港で厳格な温度管理のもとで一般公開されています。 -
「空を自由に飛び回る」飛行機は当然ながら戦争の道具として大きな期待を集めました。ライト兄弟の初飛行からの10年ほどの間の進歩より、第一次世界大戦開始後の3年での進歩の方が遙かに大きいのです。オーストラリアは大英帝国の一員として、空でも戦いに参加しました。
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なのでこういう展示もあります。英国軍が使用した訓練用爆弾です。
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オーストラリア航空隊も使ったロイヤル・エアクラフト・ファクトリー S.E.5と、ソッピース キャメルの模型。
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ですが、第一次世界大戦でもっとも注目すべき飛行機は英国のものではありません。左上の(あまり精巧とは言えませんが)赤い模型、ドイツ陸軍の主力機として戦争最後の半年間に活躍した複葉単座機「フォッカーD.VII(D7)」は、第一次世界大戦中最も偉大な戦闘機として歴史にその名を残しています。何しろ休戦協定で陸海空あらゆる兵器の中でたったひとつ「航空機1700機、すべてのD.VIIを優先する」と唯一機種名を明記されたのですから。
右下はフォッカーDr.I、有名な撃墜王レッドバロン・リヒトフォーヘンの愛機ですね。彼の遺体を発見したのも、埋葬のための輸送の戦闘をつとめたのもオーストラリア軍でした。 -
オーストラリアの航空史で最も有名なのは、チャールズ・エドワード・キングスフォード・スミス卿でしょう。シドニー国際空港の正式名称にもなっています。
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1928年に米国とオーストラリア間の太平洋横断飛行をはじめ、オーストラリアの初期の開拓飛行の殆どを成し遂げた人です。
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下に降りて実機などの見学です。まずはこちら。オーストラリアの冒険飛行家Jon Johansonが自分で組み立て、数々の世界記録を樹立したVan's Aircraftの「キット飛行機」RV-4です。
RV-4は世界で最も人気のある飛行機キットだそうで、キット価格は2万7千米ドル程度、早い人は1年未満で組み立てを完了できます。Joh Johansonさんは2000時間ほどかけたのだとか。完成品の中古だと、オーストラリアなら数万ドルで売りに出ていることがあります。 -
フォッカーF27、というより私の世代だと「フレンドシップ」の方が通りがいいでしょう。この機体は旅客機ではなく、オーストラリア連邦科学産業研究機構 (CSIRO)で大気の研究などに利用されたあと、パラフィールド空港に移され2001年まで飛行試験や研究などに使われたものです。
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デ・ハビランド社のDH-60G Gipsy Mothです。複葉機の時代、個人にもっともよく売れた機体です。これはオーストラリアでライセンス生産され、1933年からパプアニューギニアの金鉱に鉱山労働者や物資を輸送するのに使われました。この飛行機の導入で、それまで5日間かけて徒歩で移動していたのが1時間足らずの飛行で済むようになりました。
日本軍がパプアニューギニアに侵攻したためにパラフィールド空港に避難し、SAの教育省に売却されました。 -
ダグラス C-47B-35-DK DAKOTA、世界の大ベストセラー輸送機だったDC-3の軍用機バージョンです。
1945年6月にRAAF(王立オーストラリア空軍)に納入され、シンガポールで捕虜となっていたオーストラリア兵の帰還に利用されたあと、占領下の日本でも輸送機として使われました。その後は朝鮮戦争に出撃したあと、首相夫妻などのVIP輸送に従事しました。そのあとも研究用などに使われ1986年に事故により退役しています。総飛行時間13.897時間。 -
カンタス航空のタラップがついていて、中に入ることができます。
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前方はこうなっています。
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後方はがらんどう。本来なら有料でこの機体を含めた4機のうち1機を選んでコクピットに座れるんですがにっくきCOVID-19のせいでツアーは休止中。
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エアロコマンダー680、本来なら子どもは無料でコクピットで操縦ごっこをさせてもらえるのですが、これも休止中。
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他にもいろんな機体が所狭しと置いてありますが、第一ハンガーの目玉はやはりこれです。
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ゼネラルダイナミックス F-111C A8-132 (D1-8)です。
オーストラリア空軍はキャンベラ爆撃機の後継として1973年に24機のF-111Cを購入して運用、2010年末にすべてが退役しました。この機体は戦闘部隊に配属されることなく、エジンバラの航空機研究開発ユニットで試験プログラムのために使われたものです。
2000年のシドニー夏季オリンピック閉会式で、夜空にトーチングの炎を披露したのも同じ機種です。 -
これは増槽、追加の燃料タンクです。2271リットルの燃料が入り、最大900kmほど航続距離を伸ばすことができます。
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AN/AVQ-26 ペイブ・タック、というこの黒い物体はレーザー誘導爆弾の誘導や、航法支援に使うものだそうです。629kgもあるのだそうで・・・・
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後ろはやっぱり迫力ありますね。
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第二次世界大戦関係の展示もちらほら。
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「WW2 - S.A.and the Pacific」と題した模型展示もありました。これは大日本帝国海軍の空母「飛龍」と、ミッドウェー海戦に参加した彼我の航空機の展示。なんだか模型がちゃちな気がしますが・・・
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こんな展示もありました。日本軍関係だと、軍票や当時の紙幣なども。
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こちらはスピットファイアですが状態が今ひとつ。これは1943年に事故を起こした機体を1971年に個人が見つけてリストアし、自宅に展示してあったものを(この国には高射砲だの戦闘機だの装甲車だのを自宅に保管している人がいます)2001年から長期貸与してもらっているものですが・・・
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そのほか、グライダーや宇宙開発関連の展示、飛行機に搭載されていた通信機器などの展示を見た後、第二ハンガーに入るとまずこれが。現在リストア中の機体です。
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英国のAvro社が1935年に世に送り出した飛行機です。偵察機のはずでしたが、第2次世界大戦勃発時にはすでに時代遅れだったので、練習機に転用され、戦後は民間でも活躍しました。特にオーストラリアでは個人が購入して農業用に使われることも多かったとか。
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機体とエンジンはそれぞれ元は別のもの。一部が修復に使えないほど損傷していることが多い軍用機などのリストアではよく使う方法です。
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街中にあるこの博物館は小さいのです。なので大きな飛行機はとても窮屈な展示になっていまいます。これはデ・ハビランド・カナダ社のDHC-4 CARIBOUです。C47ダコタの後継機として活躍しました。そのまま展示することができず、主翼は取り外して壁にかけてありました。
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搭載量は少ない軽輸送機ですが、きちんと舗装されていない滑走路でも運用できたため、まずはベトナム戦争で重宝されました。カリブー輸送隊は7年間で70万人の人員と4万トン以上の貨物を運び「ワラビー航空」としてよく知られるようになりました。
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こちらも操縦席を見ることができます。
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映画でもよく見る場所です。
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ロッキードAP-3C オライオン、有名なP-3Cをオーストラリア空軍の要求に応えるためにアップグレードした機体です。長年活躍しましたが、P-3C自体の老朽化にともない米国で始まったP-8開発計画にオーストラリアも参加、2016年から入れ替えが始まっています。この機体も2017年に譲渡されました。
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内部に入ることもできます。いかにも哨戒などの任にあたる飛行機、という装備がならんでいます。
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実際には、飛行機、とりわけ軍用機には「撃墜」されることもあるし、「墜落」や「失踪」などの事故も起きます。珍しい展示ですが、これは1991年4月26日にココス諸島で墜落した空軍のオライオンの模型です。死亡者はトーマス・ヘニカー中尉のみで、他の20名は地元の人たちの救助活動によって救出されました。その中尉を偲んでの展示です。
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手前はフランスのダッソー社が開発したミラージュⅢです。迎撃戦闘機から複座練習機へ改造された機体で、1973年から1986年までオーストラリア空軍で使用されたあと、13年間の保管ののち展示飛行などに使われました。2018年、すべての任務を終えてこの博物館に寄贈されています。
奥の飛行機はデ・ハビランドDH-112という機体です。 -
SEA VENOM(VENOMは蜘蛛などの毒液、悪意、恨みなどという物騒な意味があります)という別名をもつ全天候型艦上戦闘機です。主翼の折りたたみ機構が特徴です。
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わずかですが、ヘリコプターの展示もありました。これはウェストランド社のウェセックスHAS31Bというヘリコプターです。対潜水艦作戦のために導入されHMASメルボルンとHMASスタルワートに搭載されました。オーストラリア海軍はHMASメルボルンの早まった売却で空母を失い、この機体は通常の駆逐艦には一機しか搭載できなかったこともあり、優秀な後継機の登場とともに対潜任務から外れました。
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陸軍のヘリコプターの展示もあります。これは米国ベル社が製造した、とても優秀な軽ヘリコプターOH-58カイオワです。この機体は導入当初からダーウィンの偵察隊で、のちには補給用や訓練用として別の基地で活躍しました。海軍でも艦載ヘリとして改装されて大いに利用されました。
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狭いと展示も大変です。外さないとハンガーに入らない翼は外して壁にかけたり、たてかけたり。一方、訪問者も撮影しようにも全景を入れられる場所に立てなかったりと結構大変です。
これはオーストラリア空海軍が最初に使用したジェット機、デ・ハビランドDH100ヴァンパイアです。空軍が単座の戦闘爆撃機として80機、海軍は複座の練習機として110機を運用しました。 -
上から撮影できないのでわかりませんが、Twin-Boomという独特な形式の飛行機です。コクピットは合板とバルサ材で作られています。
1970年9月28日の飛行を最後にすべての機体が退役しています。 -
飛行機はいくら寄贈してもらえる実物があっても、狭い博物館にすべて展示することはできません。なので、写真や絵画や模型での展示も大切ですね。これはDH100バンパイア、世界初の純ジェット機による着艦のシーンです。これなら特徴的な機体の形がよくわかります。
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飛行機だけではなく、搭載されていた機器の展示などもあります。
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こちらは海軍のIKARA対潜ミサイルです。これは非常に珍しい、オーストラリアで独自に開発され他国でも採用された兵器です。1960年に開発が始まり、1963年の実験を経て1966年から配備されました。英国、ブラジル、ニュージーランドでも使用された優れたシステムでしたが、開発したオーストラリアでは維持費が高く、魚雷の高性能化に対応するための改修費用も莫大になる、という理由で退役を余儀なくされています。
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2021年3月31日、オーストラリア空軍は任務開始100周年を迎えました。8月13日には英国王からRoyalを冠することを認められ、Royal Australian Air Forceとなりました。COVID-19のせいで多くの制限がある中でもイベントやオンラインでの周知などに熱心に取り組んでいました。
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オーストラリア国防軍の所属機の模型展示もありました。
ポートアデレードという古くから開けていた街中にある、決して大きくはない航空博物館、物足りない部分や残念な展示もありますが、十分楽しめる内容でした。訪れやすい立地、他の博物館とも近いのもいいですね。
来年にはF-18が来るようですが、どこに展示するんだろう???
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