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”昭和の文豪” 井上靖の自伝的小説『夏草冬濤』の舞台(沼津と三島)を散策しました。この旅行記は、ほぼ井上靖関連に特化したものになります。<br />『夏草冬濤』は、井上靖の沼津中学時代の自伝的小説です。<br /><br />↓前編では、小学校時代の自伝的小説『しろばんば』ゆかりの地(伊豆湯ヶ島)を散策しました。<br />https://4travel.jp/travelogue/11723751<br /><br />父親が軍医で転勤が多かったため、井上靖は小学校時代から一部の期間を除いて家族とは一緒に暮らしていませんでした。沼津中学校時代の前半は三島の親戚の家、後半は沼津のお寺に下宿し、文字通り”親という監督者のない自由奔放な中学時代”を過ごしたようです。<br /><br />しかし、この時期に、詩や文学に詳しい友人や先輩(当時としては半ば不良だったようです)に出会い、後に作家として大成する井上靖の、基礎が出来上がった時期でもあったようです。『夏草冬濤』はその中学時代の生活が淡々と、時にユーモラスに描かれた傑作です。<br /><br />以下、この散策の概要です。<br /><br />【Part 1】<br />●三島駅を起点に、長泉町の「井上靖文学館」を訪問し、散策前に知識を整理しておきます。<br />【Part 2】<br />●三島市内の井上靖ゆかりのスポットを散策 <br />  ①井上靖もよく食べたうなぎ。老舗「すみの坊・本町店」で昼食<br />  ②「三島・水辺の文学碑」を散歩<br />  ③中学時代前半の下宿先「間宮家」の跡地<br />  ④その近くの「三島大社」へ参拝<br />【Part 3】<br />●「下土狩駅」(旧三島駅)までタクシー。井上靖さんの娘さんで詩人でもある、黒田佳子さんの講演会を拝聴。(コミュニティ・ながいずみにて)<br />【Part 4】<br />●沼津市内の井上靖ゆかりのスポットを散策 <br />  ①旧制の沼津中学跡地<br />  ②井上靖がよく渡った「御成橋」<br />  ③沼津中学時代後半の下宿先「妙覚寺」<br />  ④仲間と遊んだ「千本浜公園」(富士山絶景)

井上靖 『夏草冬濤』 ゆかりの地を歩く 【三島・沼津】 ~娘さんの講演会含む~ 《井上文学散歩・後編》

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2021/11/20 - 2021/11/20

69位(同エリア1229件中)

shushu tany

shushu tany さん

この旅行記のスケジュール

2021/11/20

  • 三島駅(南口)→<富士急シティバス「駿河台」行きで約35分>→ビュフェ美術館入口

  • クレマチスの丘の無料送迎バスで三島まで戻る

  • 三島駅→<タクシーですぐ>→下土狩駅

  • 下土狩→<JR御殿場線で約5分>→沼津

  • 千本入口→<伊豆箱根バスで約15分>→沼津駅

この旅行記スケジュールを元に

”昭和の文豪” 井上靖の自伝的小説『夏草冬濤』の舞台(沼津と三島)を散策しました。この旅行記は、ほぼ井上靖関連に特化したものになります。
『夏草冬濤』は、井上靖の沼津中学時代の自伝的小説です。

↓前編では、小学校時代の自伝的小説『しろばんば』ゆかりの地(伊豆湯ヶ島)を散策しました。
https://4travel.jp/travelogue/11723751

父親が軍医で転勤が多かったため、井上靖は小学校時代から一部の期間を除いて家族とは一緒に暮らしていませんでした。沼津中学校時代の前半は三島の親戚の家、後半は沼津のお寺に下宿し、文字通り”親という監督者のない自由奔放な中学時代”を過ごしたようです。

しかし、この時期に、詩や文学に詳しい友人や先輩(当時としては半ば不良だったようです)に出会い、後に作家として大成する井上靖の、基礎が出来上がった時期でもあったようです。『夏草冬濤』はその中学時代の生活が淡々と、時にユーモラスに描かれた傑作です。

以下、この散策の概要です。

【Part 1】
●三島駅を起点に、長泉町の「井上靖文学館」を訪問し、散策前に知識を整理しておきます。
【Part 2】
●三島市内の井上靖ゆかりのスポットを散策 
  ①井上靖もよく食べたうなぎ。老舗「すみの坊・本町店」で昼食
  ②「三島・水辺の文学碑」を散歩
  ③中学時代前半の下宿先「間宮家」の跡地
  ④その近くの「三島大社」へ参拝
【Part 3】
●「下土狩駅」(旧三島駅)までタクシー。井上靖さんの娘さんで詩人でもある、黒田佳子さんの講演会を拝聴。(コミュニティ・ながいずみにて)
【Part 4】
●沼津市内の井上靖ゆかりのスポットを散策 
  ①旧制の沼津中学跡地
  ②井上靖がよく渡った「御成橋」
  ③沼津中学時代後半の下宿先「妙覚寺」
  ④仲間と遊んだ「千本浜公園」(富士山絶景)

旅行の満足度
4.5
グルメ
4.5
同行者
一人旅
交通手段
高速・路線バス JRローカル 徒歩
  • 後編では、『夏草冬濤』ゆかりの地を散策していきます。<br />井上靖については、私自身は大学生の時に『敦煌』『楼蘭』などを読んではまり、その影響から中国のウイグル自治区、ウズベキスタンなどを旅行した経緯があります。旅行好きになるきっかけを与えてくれた人物の一人で思い入れがあります。

    後編では、『夏草冬濤』ゆかりの地を散策していきます。
    井上靖については、私自身は大学生の時に『敦煌』『楼蘭』などを読んではまり、その影響から中国のウイグル自治区、ウズベキスタンなどを旅行した経緯があります。旅行好きになるきっかけを与えてくれた人物の一人で思い入れがあります。

  • 【Part 1】井上靖文学館を訪問<br /><br />起点は三島駅になります。まずは、事前に知識を整理するため、長泉町にある「井上靖文学館」を訪問することにします。

    【Part 1】井上靖文学館を訪問

    起点は三島駅になります。まずは、事前に知識を整理するため、長泉町にある「井上靖文学館」を訪問することにします。

    三島駅

  • 三島駅の南口の3番乗り場バス停から、富士急シティバスの「駿河平」行きのバスで、クレマチスの丘方面へ向かい、「ビュフェ美術館入口」というバス停で下車します。35分ほどかかります。このクレマチスの丘は色々な美術館やレストランがあって、ちょっとしたお洒落なエリアになっています。<br />今回は時間の関係で、井上靖文学館だけ訪問します。

    三島駅の南口の3番乗り場バス停から、富士急シティバスの「駿河平」行きのバスで、クレマチスの丘方面へ向かい、「ビュフェ美術館入口」というバス停で下車します。35分ほどかかります。このクレマチスの丘は色々な美術館やレストランがあって、ちょっとしたお洒落なエリアになっています。
    今回は時間の関係で、井上靖文学館だけ訪問します。

  • バス停から井上靖文学館へは、つり橋のある「駿河平自然公園」を横切ります。5分くらいで文学館に着きます。

    バス停から井上靖文学館へは、つり橋のある「駿河平自然公園」を横切ります。5分くらいで文学館に着きます。

    駿河平自然公園 公園・植物園

  • 立派な建物。この文学館、井上靖がまだ存命中に建てられたものだそうです。通常はこういった文学館は、その作家の死後にできることが多いようで、珍しいそうです。

    立派な建物。この文学館、井上靖がまだ存命中に建てられたものだそうです。通常はこういった文学館は、その作家の死後にできることが多いようで、珍しいそうです。

    井上靖文学館 美術館・博物館

  • 現在、特設展では、「美をめぐる物語」ということで、井上靖と美術の関係をテーマに展示がされていました。平山郁夫など親交のあった画家との関わりについての展示でした。内部は写真撮影NGでした。<br /><br />常設展では、直筆原稿や愛用のカメラ、『しろばんば』などの連載が掲載された当時の古い雑誌など、見ごたえ十分のすばらしい文学館でした!

    現在、特設展では、「美をめぐる物語」ということで、井上靖と美術の関係をテーマに展示がされていました。平山郁夫など親交のあった画家との関わりについての展示でした。内部は写真撮影NGでした。

    常設展では、直筆原稿や愛用のカメラ、『しろばんば』などの連載が掲載された当時の古い雑誌など、見ごたえ十分のすばらしい文学館でした!

  • あすなろの木や文学碑もありました。<br /><br />井上靖文学館から三島駅への帰りは、クレマチスの丘の無料送迎バスで戻りました。時間が合えば、行きに利用した路線バスよりも10分ほど早く着きますし、無料で使いやすいです。<br /><br />無料送迎バスの時刻はこちらです。<br />https://www.clematis-no-oka.co.jp/access/index.html#shuttle_2021

    あすなろの木や文学碑もありました。

    井上靖文学館から三島駅への帰りは、クレマチスの丘の無料送迎バスで戻りました。時間が合えば、行きに利用した路線バスよりも10分ほど早く着きますし、無料で使いやすいです。

    無料送迎バスの時刻はこちらです。
    https://www.clematis-no-oka.co.jp/access/index.html#shuttle_2021

  • 【Part 2】三島市内の井上靖ゆかりのスポットを散策<br /><br />訪問した順に、地図に番号を付けました。<br />

    【Part 2】三島市内の井上靖ゆかりのスポットを散策

    訪問した順に、地図に番号を付けました。

  • 《三島市内の井上靖ゆかりスポット①:うなぎ》 <br /><br />井上靖も三島に下宿していた時に、よくうなぎを食べたとのこと。<br />このお店は昭和30年代の創業だそうで、井上靖の中学時代にはまだなかったと思いますが、それでも老舗ですね。<br />実際おいしいです。外はかりっと、中はふっくらとした感じ。

    《三島市内の井上靖ゆかりスポット①:うなぎ》 

    井上靖も三島に下宿していた時に、よくうなぎを食べたとのこと。
    このお店は昭和30年代の創業だそうで、井上靖の中学時代にはまだなかったと思いますが、それでも老舗ですね。
    実際おいしいです。外はかりっと、中はふっくらとした感じ。

    うなぎ すみの坊 本町店 グルメ・レストラン

  • 《三島市内の井上靖ゆかりスポット②:水辺の文学碑》 <br /><br />うなぎ店から5分ほどで、「三島・水辺の文学碑」という通りに出ます。<br />井上靖以外にも、大岡信、太宰治、正岡子規など、著名な文人の文学碑がある通りです。<br />水路が平行して走り、風情ある感じになっています。三島は富士山の伏流水が湧き出る街で、街中に水路があり、しかもすべて濁りのないきれいな水です。

    《三島市内の井上靖ゆかりスポット②:水辺の文学碑》 

    うなぎ店から5分ほどで、「三島・水辺の文学碑」という通りに出ます。
    井上靖以外にも、大岡信、太宰治、正岡子規など、著名な文人の文学碑がある通りです。
    水路が平行して走り、風情ある感じになっています。三島は富士山の伏流水が湧き出る街で、街中に水路があり、しかもすべて濁りのないきれいな水です。

  • 「私たち山村(伊豆の湯ヶ島)の少年たちは、<br />ひとかたまりになり、<br />身を擦り合わせるようにくっつき合って、<br />賑やかな通りを歩いた」<br /><br />という井上靖の文章が刻まれています。伊豆の山村から、”大都会”の三島に出てきたときの、少年たちの肩身の狭い思い、ある種の劣等感がうまく表現された珠玉の文章です!<br />この”劣等感”は、井上靖の文学の重要なテーマの一つですね。

    「私たち山村(伊豆の湯ヶ島)の少年たちは、
    ひとかたまりになり、
    身を擦り合わせるようにくっつき合って、
    賑やかな通りを歩いた」

    という井上靖の文章が刻まれています。伊豆の山村から、”大都会”の三島に出てきたときの、少年たちの肩身の狭い思い、ある種の劣等感がうまく表現された珠玉の文章です!
    この”劣等感”は、井上靖の文学の重要なテーマの一つですね。

  • 《三島市内の井上靖ゆかりスポット③:中学時代前半の下宿先「間宮家」のあたり》<br /><br />三島・水辺の文学碑の通りを進んでいくと、三島大社の近辺に出ます。その三島大社の筋向いに、井上靖中学時代の前半に下宿していた、親戚の家(間宮家のこと、小説中では「真門家」)がありました。<br />この写真の右側の駐車場辺りだと思われます。<br />『夏草冬濤』では、「細い路地から往来へ飛び出す。右手の茶碗屋に良ちゃんと呼ぶ同じ中学の二年生が居る」とありますが、その「右手の茶碗屋」は、現在でも「すぎうら」という店名で現存しているようです!

    《三島市内の井上靖ゆかりスポット③:中学時代前半の下宿先「間宮家」のあたり》

    三島・水辺の文学碑の通りを進んでいくと、三島大社の近辺に出ます。その三島大社の筋向いに、井上靖中学時代の前半に下宿していた、親戚の家(間宮家のこと、小説中では「真門家」)がありました。
    この写真の右側の駐車場辺りだと思われます。
    『夏草冬濤』では、「細い路地から往来へ飛び出す。右手の茶碗屋に良ちゃんと呼ぶ同じ中学の二年生が居る」とありますが、その「右手の茶碗屋」は、現在でも「すぎうら」という店名で現存しているようです!

  • 《三島市内の井上靖ゆかりスポット④:三島大社》<br /><br />『夏草冬濤』では、下宿先の親戚の家の「すじ向かいに三島大社の大きな石の鳥居がある」と記述されています。

    《三島市内の井上靖ゆかりスポット④:三島大社》

    『夏草冬濤』では、下宿先の親戚の家の「すじ向かいに三島大社の大きな石の鳥居がある」と記述されています。

    三嶋大社 寺・神社・教会

  • その三島大社。七五三でにぎわっていましたが、美しい神社でした。

    その三島大社。七五三でにぎわっていましたが、美しい神社でした。

  • 井上靖とは直接関連がないかもしれませんが、三島の観光地として有名な楽寿園も、少しだけ見学します。<br />大昔の富士山噴火時の溶岩流による湧き水が出て、池になっています。その水辺に立派な日本建築があり、明治時代から大正時代ころは、日本の皇族や朝鮮の王族の別邸にもなったそうです。

    井上靖とは直接関連がないかもしれませんが、三島の観光地として有名な楽寿園も、少しだけ見学します。
    大昔の富士山噴火時の溶岩流による湧き水が出て、池になっています。その水辺に立派な日本建築があり、明治時代から大正時代ころは、日本の皇族や朝鮮の王族の別邸にもなったそうです。

    楽寿園 公園・植物園

  • 美しい公園です。

    美しい公園です。

  • 【Part 3】 「下土狩駅」(旧三島駅)前のコミュニティ・ながいずみにて、井上靖の娘さんで詩人でもある、黒田佳子さんの講演会を拝聴<br /><br />三島駅から、タクシーですぐに、現在のJR御殿場線の下土狩駅に到着。

    【Part 3】 「下土狩駅」(旧三島駅)前のコミュニティ・ながいずみにて、井上靖の娘さんで詩人でもある、黒田佳子さんの講演会を拝聴

    三島駅から、タクシーですぐに、現在のJR御殿場線の下土狩駅に到着。

    下土狩駅

  • この御殿場線の下土狩駅が、井上靖が子供のころ三島駅だったところです。『しろばんば』にも『夏草冬濤』にも何度も登場する駅です。昭和初期に、熱海から三島に抜けるトンネルが開通するまでは、現在の御殿場線が東海道本線だったようです。

    この御殿場線の下土狩駅が、井上靖が子供のころ三島駅だったところです。『しろばんば』にも『夏草冬濤』にも何度も登場する駅です。昭和初期に、熱海から三島に抜けるトンネルが開通するまでは、現在の御殿場線が東海道本線だったようです。

  • もともとは、娘さんのこの講演会を拝聴することが目的で計画した旅行でした。

    もともとは、娘さんのこの講演会を拝聴することが目的で計画した旅行でした。

  • 町の施設、コミュニティ・ながいずみで講演会が開かれました。<br />ここにも「はじまりは 出会いに 他ならない」という井上靖の言葉が刻まれています。

    町の施設、コミュニティ・ながいずみで講演会が開かれました。
    ここにも「はじまりは 出会いに 他ならない」という井上靖の言葉が刻まれています。

  • 講演中の写真撮影はNGでしたので、開始前の舞台を撮影。

    講演中の写真撮影はNGでしたので、開始前の舞台を撮影。

  • この黒田佳子さん、『父・井上靖の一期一会』というタイトルのエッセーを出版されていますので、あらかじめ読んで参加しました。

    この黒田佳子さん、『父・井上靖の一期一会』というタイトルのエッセーを出版されていますので、あらかじめ読んで参加しました。

  • 講演会の資料です。<br />講演内容は、実の娘さんならではの新鮮な内容も多く、大変興味深い内容でした!<br />以下、ほんのごく一部の抜粋です。<br /><br />●50数年前、井上靖がノーベル賞の候補に挙がっていた時、自宅の外で待つ記者を自宅に上げ、一緒に酒盛りをしていた。結局ノーベル賞は受賞できなかったが、みんなでお酒を飲むことができたということで、「ノーメル賞だね」と言っていたというエピソード(これは他のところでも語られている比較的有名なエピソードですね)。<br />●作家時代の前半の時期は短気ですぐに怒り、家族がピリピリしていたが、60歳を超えたあたりから徐々に優しい父親になっていった。<br />●井上靖は普通の家庭に育っていないせいか、若いころは非常識なところがあった。毎日新聞社の新聞記者の新入社員時代、社長に「そのスーツは良いスーツですね、どこのスーツですか?」といきなり聞いたり、気に入らない上司を公園に呼び出して柔道技をかけたり・・・。<br />●井上靖は戦後直後から活躍したにも関わらず、「戦争について小説で語らない」作家というイメージがあるかもしれない。しかし、小説ではなく詩では、戦争についてけっこう雄弁に語っている、ということ。

    講演会の資料です。
    講演内容は、実の娘さんならではの新鮮な内容も多く、大変興味深い内容でした!
    以下、ほんのごく一部の抜粋です。

    ●50数年前、井上靖がノーベル賞の候補に挙がっていた時、自宅の外で待つ記者を自宅に上げ、一緒に酒盛りをしていた。結局ノーベル賞は受賞できなかったが、みんなでお酒を飲むことができたということで、「ノーメル賞だね」と言っていたというエピソード(これは他のところでも語られている比較的有名なエピソードですね)。
    ●作家時代の前半の時期は短気ですぐに怒り、家族がピリピリしていたが、60歳を超えたあたりから徐々に優しい父親になっていった。
    ●井上靖は普通の家庭に育っていないせいか、若いころは非常識なところがあった。毎日新聞社の新聞記者の新入社員時代、社長に「そのスーツは良いスーツですね、どこのスーツですか?」といきなり聞いたり、気に入らない上司を公園に呼び出して柔道技をかけたり・・・。
    ●井上靖は戦後直後から活躍したにも関わらず、「戦争について小説で語らない」作家というイメージがあるかもしれない。しかし、小説ではなく詩では、戦争についてけっこう雄弁に語っている、ということ。

  • 講演会を拝聴した人の希望者に、市販されていないこちらの『井上靖「中国行軍日記」』を配布されました。迷わずいただきます。<br /><br />講演会終了後、下土狩駅から御殿場線で沼津駅に行きます。

    講演会を拝聴した人の希望者に、市販されていないこちらの『井上靖「中国行軍日記」』を配布されました。迷わずいただきます。

    講演会終了後、下土狩駅から御殿場線で沼津駅に行きます。

  • 【Part 4】沼津市内の井上靖ゆかりのスポットを散策<br /><br />訪問した順に地図に番号を付けました。

    【Part 4】沼津市内の井上靖ゆかりのスポットを散策

    訪問した順に地図に番号を付けました。

  • 沼津駅を起点に出発します。(写真は夜撮ったものです。)

    沼津駅を起点に出発します。(写真は夜撮ったものです。)

    沼津駅

  • 沼津駅前にも、井上靖の文学碑がありました。

    沼津駅前にも、井上靖の文学碑がありました。

  • 《沼津市内の井上靖ゆかりスポット①:旧沼津中学校の跡地》<br /><br />旧制沼津中学は現在の沼津東高校。その沼津東高校も場所を移転してしまい、現在は市民文化センターとなっていました。

    《沼津市内の井上靖ゆかりスポット①:旧沼津中学校の跡地》

    旧制沼津中学は現在の沼津東高校。その沼津東高校も場所を移転してしまい、現在は市民文化センターとなっていました。

  • 《沼津市内の井上靖ゆかりスポット②:狩野川にかかる「御成橋」》<br /><br />市民文化センターから徒歩10分ほどで、「御成橋」に出ます。『夏草冬濤』の中で洪作少年がこの橋を渡る場面が出てきます

    《沼津市内の井上靖ゆかりスポット②:狩野川にかかる「御成橋」》

    市民文化センターから徒歩10分ほどで、「御成橋」に出ます。『夏草冬濤』の中で洪作少年がこの橋を渡る場面が出てきます

  • 洪作少年こと井上靖は、この橋から狩野川を眺めると、故郷の湯ヶ島を思い出すようです。このシーンは印象的なシーンです。<br /><br />「洪作が狩野川を日本で有数の美しい川であると信じているのは、この沼津の街中を流れている狩野川のゆったりとした姿態の美しさのためではなかった。御成橋の上に立って、上流の方に目を遣る時、洪作はいつも天城山に源を発している狩野川という川の、その長い一本の川筋が目に浮かんで来るからであった」(『夏草冬濤』より)

    洪作少年こと井上靖は、この橋から狩野川を眺めると、故郷の湯ヶ島を思い出すようです。このシーンは印象的なシーンです。

    「洪作が狩野川を日本で有数の美しい川であると信じているのは、この沼津の街中を流れている狩野川のゆったりとした姿態の美しさのためではなかった。御成橋の上に立って、上流の方に目を遣る時、洪作はいつも天城山に源を発している狩野川という川の、その長い一本の川筋が目に浮かんで来るからであった」(『夏草冬濤』より)

  • 今のこの橋は再建されたものだそうですが、場所は変わらずここに架かっていたようです。

    今のこの橋は再建されたものだそうですが、場所は変わらずここに架かっていたようです。

  • 《沼津市内の井上靖ゆかりスポット③:妙覚寺》<br /><br />御成橋から南の方に10分ほど歩くと、井上靖が中学時代の後半(4年生~)に下宿していた「妙覚寺」に着きます。<br />ここは、『夏草冬濤』では「妙高寺」、『あすなろ物語』では「渓林寺」として登場するお寺ですね。このお寺の娘さん、それぞれ「郁子」「雪枝」として登場しますが、その爽快、豪快なキャラクターが印象に残る登場人物です。<br /><br />井上靖が当時つるんでいた、半ば不良の文学グループの子たちの遊び場、たまり場としても重要な位置を占めている場所です。

    《沼津市内の井上靖ゆかりスポット③:妙覚寺》

    御成橋から南の方に10分ほど歩くと、井上靖が中学時代の後半(4年生~)に下宿していた「妙覚寺」に着きます。
    ここは、『夏草冬濤』では「妙高寺」、『あすなろ物語』では「渓林寺」として登場するお寺ですね。このお寺の娘さん、それぞれ「郁子」「雪枝」として登場しますが、その爽快、豪快なキャラクターが印象に残る登場人物です。

    井上靖が当時つるんでいた、半ば不良の文学グループの子たちの遊び場、たまり場としても重要な位置を占めている場所です。

  • 境内も美しいです。<br />ここに井上靖の文学碑があるという情報がありましたが、少し時間が遅かったので、中に入るのは遠慮しておきます。<br />文学碑には、<br /><br />「思うどち 遊び惚けぬ そのかみの 香貫 我入道 港町 夏は夏草 冬は冬濤」<br /><br />という、井上靖が当時詠んだ詩が刻まれているとのことです。

    境内も美しいです。
    ここに井上靖の文学碑があるという情報がありましたが、少し時間が遅かったので、中に入るのは遠慮しておきます。
    文学碑には、

    「思うどち 遊び惚けぬ そのかみの 香貫 我入道 港町 夏は夏草 冬は冬濤」

    という、井上靖が当時詠んだ詩が刻まれているとのことです。

  • 《沼津市内の井上靖ゆかりスポット④:千本浜公園》<br /><br />『夏草冬涛』関連スポットめぐりの最後は、千本浜公園へ。<br />妙覚寺から歩いて10分ほどで着きます。

    《沼津市内の井上靖ゆかりスポット④:千本浜公園》

    『夏草冬涛』関連スポットめぐりの最後は、千本浜公園へ。
    妙覚寺から歩いて10分ほどで着きます。

  • 『夏草冬涛』で何度も仲間と遊んだことで出てきますし、『しろばんば』でも沼津の親戚の子に連れて行ってもらったということでも出てきますし、井上靖の文学のファンにとってはおなじみの場所です。

    『夏草冬涛』で何度も仲間と遊んだことで出てきますし、『しろばんば』でも沼津の親戚の子に連れて行ってもらったということでも出てきますし、井上靖の文学のファンにとってはおなじみの場所です。

    千本浜公園 公園・植物園

  • まずは海の方へ。<br />絶景!<br />初めてここに来ましたが、言葉もないほどの絶景です。<br />夕方に来て正解ですね!『東海道中膝栗毛』にも出てくる場所ですね。

    まずは海の方へ。
    絶景!
    初めてここに来ましたが、言葉もないほどの絶景です。
    夕方に来て正解ですね!『東海道中膝栗毛』にも出てくる場所ですね。

  • 松と富士山のコラボ。

    松と富士山のコラボ。

  • 富士山と反対側の方を見ると、伊豆半島の大瀬崎方面が見え、これまた絶景。

    富士山と反対側の方を見ると、伊豆半島の大瀬崎方面が見え、これまた絶景。

  • 公園の松林の中を歩いて行くと、井上靖の文学碑があります。<br />立派な碑です。<br /><br />「千個の海のかけらが千本の松の間に挟まっていた 少年の日私はそれを一つずつ食べて育った」<br /><br />と書かれています。

    公園の松林の中を歩いて行くと、井上靖の文学碑があります。
    立派な碑です。

    「千個の海のかけらが千本の松の間に挟まっていた 少年の日私はそれを一つずつ食べて育った」

    と書かれています。

  • 周囲はこんな感じです。<br /><br />ここからバスで沼津駅まで戻りました。

    周囲はこんな感じです。

    ここからバスで沼津駅まで戻りました。

  • 夕食は、沼津駅前の駅ビルにある「沼津海いち」というお店で海鮮料理をいただきました。

    夕食は、沼津駅前の駅ビルにある「沼津海いち」というお店で海鮮料理をいただきました。

    沼津海いち グルメ・レストラン

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この旅行記へのコメント (2)

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  • グッチさん 2022/04/04 22:05:03
    中学時代に読みました
    井上靖さんの「しろばんば」「夏草冬濤」を中学時代だったと思いますが、読みふけった事を、この旅行記の本の表紙を見て思い出しました。思春期の多感な時に読んだことを懐かしく感じました。

    shushu tany

    shushu tany さん からの返信 2022/04/05 14:16:44
    Re: 中学時代に読みました
    グッチさん

    コメントありがとうございます。
    京都の旅行記を拝見し、京都は何種類かの桜が少し時期がズレて順番に咲くので、長い期間桜が楽しめるという話を聞いたことがあったのを思い出しました。色々な桜がきれいですね。

    井上靖は大好きな作家で、色々とゆかりの地を歩いている次第です。
    次は『北の海』の金沢を歩きたいと思っているところです。

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