2021/03/13 - 2021/03/14
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ノーーウォリーズさん
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コロナ禍後1年ぶりに人が集まるイベントに参加してきました。2021年3月に開催された2つの蒸気機関車(SL)のイベントと、2018年6月の過去のイベントを紹介します。ここオーストラリアNSW州では1970年前後に蒸気機関車の定期運用は廃止されましたが、その50年後もまだ動態保存された蒸気機関車(SL)が不定期にシドニー中心地で走っている姿を見ることができます。製造後100年を超える蒸気機関車(SL)もいまだ走っており、少なくとも6機がリストアで動態保存されています。オーストラリアNSW州では熱心に保存活動している事が窺えます。急遽鉄道ファンになって歴史的な蒸気機関車(SL)を追いかけてみました。
- 旅行の満足度
- 4.0
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まずオーストラリアNSW州の鉄道の現状を紹介します。これがNSW州での鉄道路線図。赤色のMain Lineは旅客鉄道も走っています。オレンジ色のBranch Lineは一部で旅客鉄道が走っていますが、主に鉱山を結ぶ貨物専用の路線です。灰色のClosed Lineは廃線となった路線で、一部はバスに置き換えられています。日本と同様オーストラリアでも、地方の過疎化と車の普及で鉄道の重要性が失われています。ただしメルボルンとブリスベンを直接鉄道で繋ぐInland Railの新規プロジェクトが計画中です。
Source: https://en.wikipedia.org/wiki/Rail_transport_in_New_South_Wales -
日本の青春18切符と同じ様なお得なDiscovery Passというのが売られています。NSW州鉄道(シドニー近郊線除く)に6ヶ月間乗り放題のチケットが僅かAUD$420(3.5万円ほど)です。鉄道ファンには最高のチケットでしょうが、これでNSW州ローカル鉄道の旅をするのはあまり現実的ではないです。その理由はNSW州鉄道の本数の少なさ。シドニーとメルボルン・ブリスベン間の幹線区間でも日に2往復、それ以外のローカル区間は日に1往復から週に1往復と大変少なく、多くても1日に2回しか移動できず大部分は暇な待ち時間となるからです。
Source: https://transportnsw.info/tickets-opal/regional-tickets-fares/discovery-pass -
それでもオーストラリアにも鉄道ファンは一定数存在して、主にボランティアで昔の鉄道の保全活動をしています。彼らの努力のおかげでNSW州にはSL蒸気機関車が今でも期間限定で走っています。2021年3月に3801号という蒸気機関車が14年間のリストアを終えて再復活を祝うイベントに参加します。”3801 A Legend of Steam”と呼ぶだけあって、日本で言うとD51の様な有名な蒸気機関車らしいです。
Source: https://www.thnsw.com.au/3801 -
イベント会場のセントラル駅です。シドニーで最も大きいターミナル駅で昔の雰囲気も残しています。2020年のコロナ禍以降に久々の多くの人が集まるイベントです。
セントラル駅 駅
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多くの人が蒸気機関車3801の復活を祝いに集まっています。記念乗車チケットも1週間前には完売で人気があります。
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この日の主役、蒸気機関車3801です。最近再塗装されたばかりの緑色の車体が光っています。3801は1943年に誕生して1974年に現役を終えますが、引退後も動体保存されてもうすぐ80歳です。蒸気機関車にありがちな外側に突起や配管は一切ない流線型なデザインです。現役時代には最高速度112km/hと、実際とても速く走ることができたそうです(世界記録は200km/hを超えるらしいですが)。
https://en.wikipedia.org/wiki/3801 -
横から見た3801。軍事パレードで見かけるミサイルを積んだトラックを思い出します。
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3801はとにかく熱くなりやすいのか停車中でも頻繁に蒸気を噴出します。前方の上部と下部からの同時噴出。蒸気機関車は煙突から煙を吐くと思っていましたが、停車中はほとんど前方から蒸気を出しています。
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ポオォーッ!!と物凄い大きな汽笛を鳴らしながら白い蒸気を豪快に吹き出して出発です。このままミサイル発射するのではないかの大迫力。
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音の凄さに反して、汽車はゆっくり加速します。この日はセントラル駅から南部のハーストビル駅まで約1時間で往復します。
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乗客の皆さん手を振って喜んでいます。体験乗車に乗っているのは小さい子供を連れた家族が多いです。
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沢山の鉄道ファンに見送られて3801は去っていきます。鉄道ファンは主に高齢者ですが若い人もいます。
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この日は私も鉄道ファンの仲間入り、近くの駅から3801の帰りを待ちます。上から撮影した3801。逆光で先頭が黒く見えます。
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別の駅へ移動して2往復目の往路を撮影。3801は正面から見ると大きな目玉が目立ちます。この時は蒸気機関車が黒煙をあげる写真を期待したのですが、黒煙ではなく白っぽい蒸気の煙。黒い煙の蒸気機関車を期待していただけに残念。80年代の写真を見ると真っ黒な煙を出していますが、リストア後は最近の厳しい環境規制に対応したのでしょうか。
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シドニー近郊には新築の真っ白なアパートが立ち並び、黒煙を吐く蒸気機関車が走れば苦情は殺到するでしょう。最後尾にはディーゼル機関車4201がアシストしています。4201の誕生は1955年ともう66歳で3801とあまり変わらないのですが、地味に頑張っています。
https://en.wikipedia.org/wiki/New_South_Wales_42_class_locomotive -
2往復目の復路を撮影。復路は蒸気機関車は引っ張られる感じで、殆ど煙を出していません。シドニー市内を走るのはこの週末の2日間(1日4往復)だけで、この後の数週間3801はNSW州の各地を走ります。
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同じ日に2機目の蒸気機関車5917も登場です。1953年にアメリカで製造され1972年に引退。5917も前方にすごい蒸気を上げて発進。
https://en.wikipedia.org/wiki/5917 -
5917はシドニーから約120km南下してカイアマの町まで往復するピクニックトレインとして運行されています。運転手は若者で、これからも蒸気機関車を継承していくのでしょう。
https://www.picnictrain.com.au/ -
戦後に飛行機が一般化する前は、旅といえばこんな感じで出発していたのと想像します。コロナ禍の2020年は、旅に行ける範囲は当時と全く変わりませんでしたが。
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次にシドニーの鉄道の歴史が今も残る場所を紹介します。まずはミュージアム駅、1920年代の開業時の雰囲気を良く残しています。パリのメトロの駅を思い出します。
ミュージアム駅 駅
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カンタス航空の広告も1920年代ではないですがかなり古く、駅自体がミュージアムです。ミュージアム駅は未だ現役で5分毎に鉄道が来ますが、乗客は少なく閑散としています。数百メートル離れたタウンホール駅の方が便利でこちらを使う人が殆どなので、ミュージアム駅は都心の過疎駅という雰囲気です。
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隣のセントジェームズ駅もパリのメトロの駅の雰囲気。
セントジェームズ駅 駅
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レッドファーン駅に隣接するキャリッジワークス、ここはかつて蒸気機関車を製造する工場でした。今でも工場の建物は残されて、当時の様子が垣間見られます。
キャリエッジワークス エンターテイメント
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広大な工場でしたが、今では改装されてオフィスや展示場など多目的に使用されています。この4台の蒸気機関車?も発電か何かに再利用されていた様子。
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当時のまま蒸気機関車の修理工場として利用されている区域もあります。Locomotive Workshopは、蒸気機関車を製造していた昔の雰囲気が残っています。下に出てくる3526はここで製造されました。
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ここからは2018年6月にシドニーのセントラル駅で開催された過去のSL蒸気機関車のイベント。2018年の主役は6029で、1954年にイギリスで製造され1972年に引退。2015年にリストアされて動態保存されながら活躍しています。機関車の本体の前後に石炭を入れる車に挟まれた独特の見た目です。ガーラット式と呼ぶそうです。前後どちらから見ても後ろ向きに走っている様で、あまり格好良くはないですが。
https://en.wikipedia.org/wiki/6029 -
運転手。普通の電車の運転手より格好良く見えます。
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2018年のイベントでは3台の蒸気機関車が見られます。これは3642で、1926年にシドニーで製造。
https://en.wikipedia.org/wiki/3642 -
運転席です。何をどう操作するのか私には全くわかりませんが。
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3526は1917年にシドニー製造で101歳になりましたが、動態保存で頑張っています。
https://en.wikipedia.org/wiki/3526 -
6029に乗ってみます。電車と違いピストンの細かい振動があり蒸気機関車に引っ張られている感じがします。
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6029は真っ黒の煙を上げてシドニーの住宅地を走ります。住民から苦情が来そうです。窓を開けていると膝に細かい石炭の欠片が落ちています。
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これはクラッシックなコンパートメントの客車、数年前ジンバブエで乗った客車を思い出します。
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座席の客車です。1917年開通の豪州大陸横断鉄道の広告が。
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SL蒸気機関車に興味を持ったので、続いて2021年3月にニューサウスウェールズ鉄道交通博物館へ行ってきます。シドニーから車で約2時間、公共交通でも行けますがとても不便な場所です。ここにはいくつかの動態保存された蒸気機関車と沢山の静態保存の蒸気機関車があります。建物の外見はモダンですが、ここにあるのはほぼ歴史的な鉄道ばかりです。
https://www.nswrailmuseum.com.au/ニューサウスウェールズ鉄道交通博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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今日の目的は蒸気機関車2705に乗る事。2021年は3月から5月までの3ヶ月間の週末に動いています。シドニー近郊ではここNSW州鉄道交通博物館と上で紹介したピクニックトレイン等にて期間限定で蒸気機関車に乗れます。有名なジグザグレールウェイは2021年3月現在リストア中です。
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2705は1913年にイギリスで製造です。黒煙を上げて走ります。蒸気機関車のピストンの細かい振動を感じながらゆっくり進みます。住宅地と牧場の中間の様な景色、特に絶景という訳ではないです。
https://en.wikipedia.org/wiki/New_South_Wales_Z27_class_locomotive -
サールミアからバクストンまで往復12km、40分の旅です。折り返し地点では、蒸気機関車2705が客車の反対側へ移動して進行方向を変えます。
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帰ってきた時に運転席を見せてもらいます。計器が沢山あります。
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白黒写真で撮るとまるで100年前の雰囲気です。古き良き鉄道の旅を沢山の人が楽しんでいます。
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もちろん博物館の中も見学します。地元民には興味深い展示が多いですが、あまりマニアックにならない程度に紹介します。これはNSW州最古の蒸気機関車のひとつE18、1866年にイギリスで製造され1960年代までなんと100年も現役で働いていたそう。
https://en.wikipedia.org/wiki/New_South_Wales_E17_class_locomotive -
運転席からの眺め、初期型の為かシンプルな運転席です。
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シドニー近郊鉄道の右が切符売り窓口で左が行き先案内板。2012年からオパールカードが導入されて知らぬ間に主要駅では窓口は消滅していましたが、2021年でも近郊の小さい駅には窓口はあります。3801撮影時にある駅で待機していたのですが、30分間に窓口で切符を買った人はゼロ、同じ様に3801待ちしていた鉄道ファンと係員はずっとお喋りしていました。行き先案内板も未だ駅で見かけますが、使われてはいません。なので厳密にはこれらは過去の遺物ではありません。
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野外展示場には3820です。上で紹介した3801は動態保存で緑色に綺麗にリストアされましたが、4歳若い弟の3820は静態保存で古さを感じます。
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左の緑色の3526、3642も動態保存されているので綺麗です。2018年のイベントでは動いている姿を上で紹介したとおりです。普段はこうして待機しています。
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これは1926年にシドニーで初めて導入された電気で動く電車。ハーバーブリッジ開業の6年前です。
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これは1968年に世界で初めて導入された全室オール2階建てダブルデッカー電車C3804。最近までシドニーの近郊電車はすべてダブルデッカーで通勤時でもゆとりある車内したが、2019年から導入された新型メトロはシングルデッカーのベンチシートで窮屈な車内です。わざわざ多額の費用をかけてダウングレードしている既存区間もあり、私には理解できません。
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車内の様子。現在でも通勤ピーク時間帯にこの一代後の車両が走っており、その雰囲気と似ているので違和感はありません。
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小型のガソリンエンジンで動く鉄道。これは鉄道社員の給料袋を運ぶ鉄道です。こんな可愛い姿で大金を持っていたら襲われそうです。実際襲われたこともありますが、強固な金庫があり被害は最小限だったそう。
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リストア作業中。陰でリストア作業に従事してくれる人がいるから、現在でも蒸気機関車が動態保存されています。
NSW州で動態保存している6機の蒸気機関車を紹介しました。イギリスの連邦国らしくイギリスの蒸気機関車の雰囲気とよく似ています。オーストラリアの鉄道は各州でレール幅が違うほど独立して発展しているので、他州ではまた違った歴史があるかもしれません。
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2021- オーストラリアのクラシックな古い乗り物・イベント
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