夏が来る前に思い出す、2009年の尾瀬のこと

2009/07/18 - 2021/02/01

※古い日付の旅行記は埋没しちゃうようなので日付を変更してあります。


なかなか旅に出ることが出来ない昨今。
緊急事態宣言の延長が囁かれる中鬱憤は溜まるばかり。
ならば食に走るかと、お気に入りのレストランに予約を入れようと思うものの、20時閉店。
ラストオーダー19時って言われると意気消沈。

ならば、みなさんの真似をしてちょっとリッチにホテルステイを考えてみたけれど、生活圏にあるホテルに泊まるのもなんだかなあ。
ホテルの窓から見える夜景が職場ってのもイカサナイ。

考えた末に選択したのがソロキャンプ。
何も考えず、高原で星を見ながら肉でも焼くか、と思っていたら近くで火事があった。
ヘリコプターが頭上を舞い、消防士とテレビクルーが走り回る。街が煙で包まれた。
幸い延焼はなかったものの、気ままにキャンプで焚火なんてやってる場合じゃないと、ステイホーム。

落ち着いたらどこへいこう？
とあれこれ考えていたら脳裏に浮かんだのが尾瀬。
一時、随分通った楽園。

今年の夏は久しぶりに出かけてみようと思いながら。

エリア 武尊・尾瀬・片品(群馬)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: 家族旅行
• 交通手段: 観光バス 徒歩

新宿からバスにて夜行日帰り。

微妙な天気ですが、雨具を着てアヤメ平へ。

同じバスの人々は皆さん山鼻へ下って行ったようだ。

前に人なし、後ろにもなし。

今日一日、もってくれよと空を眺めつつ。

いわゆる尾瀬ヶ原はあの稜線の下にある。

後ろに見えるは至仏山。

おっと雲が切れてきた。

と思ったら霧が出てきた。

この日は富士見峠から龍宮へ下り、
山の鼻経由で鳩待峠へ戻る予定だ。

雲が切れたと思ったら・・・

霧が出る。

この繰り返し。

池塘のほとりに咲くにはアヤメだろうか？

ちなみに池塘湿原の泥炭層にできる池沼のこと。

アヤメ平はキンコウカの花とアヤメと見間違えてそう呼ばれるようになったらしい。

もっともキンコウカの花は黄色。アヤメは紫。
謎だ。

アヤメ平 自然・景勝地

このアヤメ平、昭和30年代には雲の上の楽園と呼ばれ、訪れた多くの人に踏み荒らされて交荒廃した歴史を持つ。

その当時の写真を見たことがあるが、それはもう酷いものだった。

とっくに死語となっている合ハイ(合同ハイキング)の人気場所であったらしい。

合ハイ、ちょっと経験してみたかった。

富士見峠

富士見峠 自然・景勝地

平坦な道をのんびり歩いているようだけれど、この後結構厳しい下りが待っている。

尾瀬は木道の、のどかな写真がパンフレット等に掲載されることが多いが標高1400のれっきとした山岳地帯であることを忘れてはいけない。

ぬかるみを下って尾瀬ヶ原へ。

尾瀬ヶ原 自然・景勝地

何とか天気はもってくれそうだ。

足もとの池塘に咲くヒツジグサ

尾瀬ヶ原の池塘 自然・景勝地

そして目の前にはこんな景色が広がる。

山村暮鳥
【風景】という詩に

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな

という詩があるが、

こちらはさながら、

いちめんのにっこうきすげ
いちめんのにっこうきすげ
いちめんのにっこうきすげ
いちめんのにっこうきすげ

尾瀬ヶ原は何度か訪れていたけれど、

ここまで見事なニッコウキスゲは初めて。

こういう景色を一度見ちゃうと、次、いつ来ようかと思っちゃいますね。

もっとも花の命は短くていつもこんな景色が見られるとは限らない。

尾瀬の夏は短い。

思いっきり咲いておくれ。

ニッコウキスゲに見とれて木道の花を踏まないように注意しながら。

この10年後、マスクが手放せない日が来るとは思わなかったな。

同じバスに軽井沢にでも行くような軽装のカップルが居たがどうなったんだろう？

と思いながら、山の鼻からゼイゼイ言いながら、帰りのバスが待つ鳩待峠へ。

昔は良かった・・・
と人は言う。
今こそが、10年後から見た良かった時なんだ、なんていうしゃらくさい話があるけれど、この時代を思い出して何を思うやら。