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2020年10月2日(金)、お昼の1時前、信楽窯元散策路の一つ、ろくろ坂散策コースを歩き始める。信楽の中心部、長野地区の窯元有志が信楽焼や信楽を深く知ってもらおうと2003年に立ち上げたグループ、信楽窯元散策路WAが設定したもの。それまでは見学できないと思われていた信楽焼の制作現場を体感し、焼き物の良さを感じることが出来るもので、4つのコースが設定されているが、ろくろ坂コースは駅から続く道の突き当りに建つ新宮神社の横から坂を上がって行くコースで、たくさんの信楽焼窯元が多数点在している。<br /><br />最初に行ったのは新宮神社を右に回り込んで、一番奥から坂道を登った上にある文五郎窯。創業は江戸末期の1862年。初代奥田文五郎さんが開窯し、以後信楽焼の窯元として代々伝統を守り続けてきた。現在は伝統工芸士の資格を持つ5代目の奥田文悟さんが、陶製浴槽や大型プランター、手洗い鉢などを創る大物ロクロ師の匠として活動し、弟の章さんがスタイリッシュなデザインと使いやすさをコンセプトに、和洋どちらにも合う白と黒を基調としたシンプルモダンな食器の創作を行っている。<br /><br />えっちらおっちらと坂を上がって、文五郎窯の敷地に入ると、広場の奥に文五郎倉庫というギャラリーがある(下の写真1)。約50年前に建てられたRC造の倉庫で、2008年末に改修してオープンしたもの。もともと作業場として使われていたので、先代の手跡が随所に残っており、杉板型枠によるコンクリートの豊かな表情を保った店内の窓から見える竹林が借景となり心地よい空間を作っている。 <br /><br />向かって左手の部屋では章氏が制作した日常使いできる器などの生活雑器が展示、販売されており、裏表両面で使えるリバーシブル皿やトクサ柄の器などが人気。他にも2部屋あり、貸しスペースとして企画展や大学のレクチャールームとして使われている。 <br /><br />来た道を降りて、今度は新宮神社の左手を回り込んできた道を登って行くとすぐ右手に嶋吉陶房(製陶所)がある。伝統工芸士の嶋田浩造さんのお店。ふだん使いの器をなるべく機械に頼らず、手作りにこだわって造られており、手仕事の温かみが伝わる(表紙の写真)。器好きの方々からの支持が多いそうだ。<br /><br />嶋吉陶房から少し坂を上がると右手に地図ではばんちくと書かれているオブジェ(?)が。土を押し固めて作る版築と云う工法で作られたものだそうだ。これは、土を建材に用い強く突き固め、堅固な土壁や建築の基礎部分を徐々に高く構築する工法だそうだ。非常に頑丈で、城壁や墳墓などの大規模な建造物をはじめ、道路や家屋などにも用いられてきた。有名なものでは万里の長城や始皇帝陵に法隆寺の築地塀など。かつては西洋でも民家や教会などに使われたそうだ。日本ではすでに廃れたが、中国では西域などで現代でも多く用いられている。<br /><br />その先にある大きなお寺は浄観寺。信楽山と称する浄土宗の寺院。ご本尊は阿弥陀如来。開創や由来は全く分からないが、このお寺の息子さんは「浄土宗の劇団ひとり」を自称され、一人で紙芝居、人形芝居の上演活動を続けられておられるそうだ。僧籍もお持ちとのこと。<br /><br />さらに先に進み、建物の角に立つ巨大狸のすぐ先を右に折れると英山窯。信楽焼伝統工芸士会会長を務められている奥田英山さんの窯元。江戸後期には帯刀をも許された窯元庄屋の後継者で、日本国内だけでなく海外でも幅広く活躍されている。裏千家茶道の顧問も務められており、茶人としての視点から茶事への配慮が随所に行き届いた作品を造られている。<br /><br />土日祝日には敷地内の奥にある築100年の古民家を改装した峯照庵と云うギャラリー&amp;カフェで、地元で採れた季節のお野菜が中心のヘルシーなランチも提供しているとのことだが、コロナ禍でどうなったかは不明。この日は平日なのでカフェはやっておられず、ギャラリーの電気も付いてなかった(下の写真2)。敷地に続く道に並んでるカラフルな狸たちは2013年に開催された第2回信楽まちなか芸術祭で造られたもの。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4732174236852563&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />ろくろ坂散策、後半に続く

信楽 ろくろ坂散策コース(Rokuro-saka slope walking course, Shigaraki, Shiga, JP)

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2020/10/02 - 2020/10/02

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旅行記グループ 信楽

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ちふゆ

ちふゆさん

2020年10月2日(金)、お昼の1時前、信楽窯元散策路の一つ、ろくろ坂散策コースを歩き始める。信楽の中心部、長野地区の窯元有志が信楽焼や信楽を深く知ってもらおうと2003年に立ち上げたグループ、信楽窯元散策路WAが設定したもの。それまでは見学できないと思われていた信楽焼の制作現場を体感し、焼き物の良さを感じることが出来るもので、4つのコースが設定されているが、ろくろ坂コースは駅から続く道の突き当りに建つ新宮神社の横から坂を上がって行くコースで、たくさんの信楽焼窯元が多数点在している。

最初に行ったのは新宮神社を右に回り込んで、一番奥から坂道を登った上にある文五郎窯。創業は江戸末期の1862年。初代奥田文五郎さんが開窯し、以後信楽焼の窯元として代々伝統を守り続けてきた。現在は伝統工芸士の資格を持つ5代目の奥田文悟さんが、陶製浴槽や大型プランター、手洗い鉢などを創る大物ロクロ師の匠として活動し、弟の章さんがスタイリッシュなデザインと使いやすさをコンセプトに、和洋どちらにも合う白と黒を基調としたシンプルモダンな食器の創作を行っている。

えっちらおっちらと坂を上がって、文五郎窯の敷地に入ると、広場の奥に文五郎倉庫というギャラリーがある(下の写真1)。約50年前に建てられたRC造の倉庫で、2008年末に改修してオープンしたもの。もともと作業場として使われていたので、先代の手跡が随所に残っており、杉板型枠によるコンクリートの豊かな表情を保った店内の窓から見える竹林が借景となり心地よい空間を作っている。

向かって左手の部屋では章氏が制作した日常使いできる器などの生活雑器が展示、販売されており、裏表両面で使えるリバーシブル皿やトクサ柄の器などが人気。他にも2部屋あり、貸しスペースとして企画展や大学のレクチャールームとして使われている。

来た道を降りて、今度は新宮神社の左手を回り込んできた道を登って行くとすぐ右手に嶋吉陶房(製陶所)がある。伝統工芸士の嶋田浩造さんのお店。ふだん使いの器をなるべく機械に頼らず、手作りにこだわって造られており、手仕事の温かみが伝わる(表紙の写真)。器好きの方々からの支持が多いそうだ。

嶋吉陶房から少し坂を上がると右手に地図ではばんちくと書かれているオブジェ(?)が。土を押し固めて作る版築と云う工法で作られたものだそうだ。これは、土を建材に用い強く突き固め、堅固な土壁や建築の基礎部分を徐々に高く構築する工法だそうだ。非常に頑丈で、城壁や墳墓などの大規模な建造物をはじめ、道路や家屋などにも用いられてきた。有名なものでは万里の長城や始皇帝陵に法隆寺の築地塀など。かつては西洋でも民家や教会などに使われたそうだ。日本ではすでに廃れたが、中国では西域などで現代でも多く用いられている。

その先にある大きなお寺は浄観寺。信楽山と称する浄土宗の寺院。ご本尊は阿弥陀如来。開創や由来は全く分からないが、このお寺の息子さんは「浄土宗の劇団ひとり」を自称され、一人で紙芝居、人形芝居の上演活動を続けられておられるそうだ。僧籍もお持ちとのこと。

さらに先に進み、建物の角に立つ巨大狸のすぐ先を右に折れると英山窯。信楽焼伝統工芸士会会長を務められている奥田英山さんの窯元。江戸後期には帯刀をも許された窯元庄屋の後継者で、日本国内だけでなく海外でも幅広く活躍されている。裏千家茶道の顧問も務められており、茶人としての視点から茶事への配慮が随所に行き届いた作品を造られている。

土日祝日には敷地内の奥にある築100年の古民家を改装した峯照庵と云うギャラリー&カフェで、地元で採れた季節のお野菜が中心のヘルシーなランチも提供しているとのことだが、コロナ禍でどうなったかは不明。この日は平日なのでカフェはやっておられず、ギャラリーの電気も付いてなかった(下の写真2)。敷地に続く道に並んでるカラフルな狸たちは2013年に開催された第2回信楽まちなか芸術祭で造られたもの。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.4732174236852563&type=1&l=223fe1adec


ろくろ坂散策、後半に続く

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  • 写真1 文五郎倉庫

    写真1 文五郎倉庫

  • 写真2 峯照庵

    写真2 峯照庵

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