2018/11/10 - 2018/11/10
6位(同エリア186件中)
旅猫さん
旅の二日目。
この日は、南予地方にある歴史ある街、内子と大洲を訪ねる。
まずは、松山と大洲の間に位置する内子を歩くことにする。
内子は、大洲街道沿いに開けた町で、世界的にも知られた木蝋の生産で栄えたそうだ。
木蝋の生産で財を成した商家が建ち並ぶ街並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
その街並みは、とても風情があった。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- JR特急 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
朝起きて、まずは道後の湯でさっぱりとした。
その後、宿に併設されているイタリアンレストランで朝食をいただく。
どんな料理が出て来るのかと思えば、何と和食だった。
しかも、これがなかなか美味しくて、とても満足した。 -
8時に宿を出て、まずは近くにある道後公園に向かった。
その公園は、伊予の守護大名河野通盛によって建武2年(1335)に築城され、代々、伊予守護の居城となった湯築城の跡だ。
正直、守護の居城とは思えないほど小さく感じる。道後公園展望台 公園・植物園
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城跡には、土塁や濠が残るが、最近整備されたせいか、あまり遺構としての重みを感じないのが残念だ。
公園の一角には、以前無かった施設も出来ていた。
そこは家臣団の居住区だった場所で、いくつかの建物が再現されていた。
そして、中は資料館のようになっていた。湯築城資料館 美術館・博物館
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湯築城跡を散策した後、松山駅へ戻るために電停へと向かう。
通りに出ると、ちょうど路面電車が通り過ぎて行った。
松山市は、路面電車が走る街なので、個人的に好きである。 -
道後公園電停から、JR松山駅前行の電車に乗車する。
電車は、途中、松山城を車窓に観ながら走って行く。道後公園停留場 駅
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車内にあった銀色の箱の側面に、子規の俳句が貼られていた。
その箱は、俳句の投句箱だったのだ。
俳人正岡子規の出身地ならではのものだ。
そして、25分ほどで松山駅前に到着した。 -
松山駅からは、9時3分発の特急『宇和海7号』に乗り、内子駅へと向かう。
降り立った内子駅は、立派な高架上にある駅だった。
昭和61年(1986)に開通した比較的新しい路線で、それまでは鄙びた地方線であり、駅も内子小学校近くにあったそうだ。内子駅 駅
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駅を出ると、すぐにご当地マンホールを見つけた。
それは、旧内子町のもので、図柄は町の花であるサツキが描かれていた。 -
内子の中心街は駅から離れているので、歩いて向かう。
途中、豪快に鯖を焼いているのを見つけたので、帰りに買おうと思ったのだが、残念ながら、帰りに立ち寄ったらすでに売り切れていた。 -
10分ほど歩くと、内子座の幟が見えてきた。
幟に沿って表通りから路地へ入ると、そこに木造の古風な芝居小屋が建っていた。
大正5年(1916)に建てられたものだそうだ。内子座 名所・史跡
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中へ入ると、思ったよりも広い。
晩秋の朝なので、少しひんやりとした空気が漂っていたが、木造の建築物らしく、木の温もりに包まれているような感じがする。 -
建物自体は、外観からは想像もつかないくらい立派で、当時の建築技術の粋を集めて造られたものらしい。
驚くのは、これが街の有志により建てられたものだと言うことだ。 -
二階席へ上がり、上からも見学する。
窓から差し込んだ光が、客席を照らしていた。 -
内子座から街並み保存地区の方へと歩いて行く。
しばらく歩くと、左側に大きな建物が現れた。
入口には、ビジターセンターとある。
説明板があったので読んでみると、昭和11年(1936)に内子警察署として建てられたものだそうだ。
最近まで図書館として利用されていたらしい。内子町ビジターセンター 名所・史跡
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その先の丁字路に、趣のある建物があった。
交差点の角に面して建ち、その角の部分が隅切りになってる。
近代的な建物ではつまらないものが多いが、東京の下町や地方都市などでは、とても美しい隅切りの建物を見かけることがある。
個人的に好きな建築物なので、見かけると嬉しい。 -
その建物の二階の窓も美しかった。
透明な硝子と型硝子を木の桟で区切った意匠である。
このような造りの窓も最近は見かけなくなった。
街並み保存では、江戸から明治頃を対象としているが、高度経済成長期より前の昭和期の街並みも残して欲しいものだ。 -
丁字路のすぐ先に八幡神社があった。
すでに駅近くにあった恵美寿神社で訪問の挨拶を済ませていたので、こちらは入口からで失礼させていただいた。八幡神社 寺・神社・教会
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神社の並びに、また好みの建物があった。
木造の二階建ての民家で、かなり古そうだ。
格子が入った玄関の引き戸、色褪せた簾と雨戸の戸袋。
隣には、一体化したような日除け地蔵の建物が寄り添っている。
そこだけが、優し気な雰囲気を醸し出していた。 -
その民家の先にある十字路を左へ曲がり、すぐ右側の道へ入ると、突き当りに変わった形の建物が建っている。
大正15年(1926)に建てられた『旭館』と言う活動写真館で、昭和43年まで営業していたそうだ。
平成24年に期間限定で復活したらしく、まだ使えるようだ。旧活動写真館 旭館 名所・史跡
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表通りに戻り、緩やかな坂を登って行く。
そして、道が鉤手になった場所辺りから、重要伝統的建造物保存地区である八日町護国の町並となる。
立派な商家の建物が増え、趣のある街並みが続いている。
最初に目に付いたのは、白壁に三つの虫籠窓が印象的な建物で、江戸時代からの商家である大村家の住宅だ。
寛政年間に建てられたもので、町内で最も古い建物の一つだそうだ。大村家住宅 名所・史跡
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隣に建つ大きな蔵は、江戸期から木蝋の生産で栄えた本芳我家のもの。
美しい海鼠壁や鏝絵が施され、見事なものだった。本芳我家住宅 名所・史跡
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その蔵の軒先には、鶴の鏝絵が飾られていた。
これは、本芳我家の商標である旭鶴とのこと。
明治期には、この商標で海外にも輸出していたそうだ。 -
蔵の隣に建つのが母屋で、こちらの意匠も見事だった。
一階は千本格子で二階は連子窓。
建物の左側には、亀甲型の海鼠壁も施されている。 -
何より見事なのは、至る所に配された漆喰細工。
鶴や亀、波や雲などが華麗に描かれている。
木蝋生産で繁栄した芳我一族の本家は伊達ではない。 -
その本芳我家の建物は非公開だが、庭だけは公開されていた。
往時の造りは分からないが、緑が多く、広さだけは実感できる。 -
本芳我家の向かい辺りに、竹で作られた虫が飾られていた。
コオロギのようだ。
細かい造りで、なかなか良かった。 -
道沿いでは、菊の花を飾っている家もあった。
秋らしくて良い。
菊は好きな花の一つで、小ぶりなものが好きである。 -
この日は天気も良く、程よい気温で街歩きにはちょうど良かった。
歩いている人もそれほど多くは無く、静かな街歩きが楽しめた。 -
歩いていると、小さな商店があった。
店先では、特産だという銀杏が売られていた。 -
小さな橋を渡ると、保存地区もほぼ終わり。
少し先まで歩いて、戻ることにする。 -
帰りは、気になった場所に立ち寄ることにした。
まず立ち寄ったのは、本芳我家の筆頭分家である上芳我家。
明治27年に建てられた主屋など10棟もの建物が現存している。
本家に劣らない贅を凝らした主屋は見応えがあった。木蝋資料館上芳我邸 名所・史跡
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中庭に沿って建物が配され、それらを繋ぐように外廊下が設けられている。
秋の日差しが木の廊下に当たり、猫がまどろみそうである。 -
その中庭も、瓦屋根の建物と相まって風情があった。
まさに屋敷と言った趣だが、手入れをするのは大変だったことだろう。 -
建物を見学した後、以前は蝋の晒し場だったという場所に出てみた。
現在は庭のようになっていて、もみじなどが植えられていて、ちょうど色づき、思わぬところで紅葉が観られた。 -
その一角に、木蝋に関する資料が展示されている資料館があった。
木蝋は、ハゼノキの種や果肉を絞ることで抽出される脂肪成分から作られる蝋の一種だそうだ。
日本では、西日本の一部で生産されて、一時期は輸出されていたらしい。
西洋蝋燭やランプなどの普及で急速に衰退したようだ。 -
敷地内に、蔵を利用した喫茶があったので休憩することにした。
頼んだのは、和菓子が付いた抹茶。
和菓子は、内子の銘菓と言う『ゆずっ子』。
香りが良く、抹茶にもよく合った。 -
上芳我家を後にして、駅の方へと戻る。
振り返ると、風情のある街並みが見渡せた。八日市・護国地区の町並み 名所・史跡
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鉤手になっている場所のすぐ先に、町屋資料館があったので入ってみる。
中には、この界隈の一般的な町屋の内部が再現されていた。
建物自体は、寛政5年(1793)に建てられた米岡家と言う町屋だそうだ。町家資料館 美術館・博物館
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下芳我邸を過ぎると、八幡神社の向かいにも資料館があった。
『商いと暮らしの博物館』と言うもので、大正時代の薬屋を再現した展示がされていた。
その建物の一部に、硝子に風景を刻んだ窓硝子があり、とても綺麗だった。 -
内子駅まで戻って来た。
歩き始めて、ちょうど3時間を過ぎた頃だ。
駅前には、小型の蒸気機関車が展示されている。
内子線で最後まで活躍した機関車だそうだ。
この後、宿のある大洲へと向かうことにする。
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