2020/08/14 - 2020/08/19
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jokaさん
縦走四日目
昨年の南アルプス南部3泊4日の旅では、2日目に滑落(空中で1回転&完璧な着地)してスマホを紛失してしまうという大失態。
完璧な天気と山々に恵まれ、過去最高に過酷かつ素晴らしい縦走となりましたが、いかんせん記録が何も残っていない。当然ながら旅行記も作成していません。そのことだけが心残り。
今年はなんとかあの感動を超えたいな、と。
奇しくも昨日から歩いている太郎平から室堂へと至るルートは昨年、南アルプスと最後まで迷ったコース。
今度こそは五体と全道具満足で旅を終えようと心掛けていたはずが、なんとなんと財布の入ったサコッシュをなくしてしまうという大チョンボ!
全財産を失ってしまったわたしの運命やいかに?
- 同行者
- 一人旅
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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3時起床。
今日は薬師岳、北薬師岳を越え、スゴ乗越を通過してさらに越中沢岳、鳶山の激しい登り返しを経て五色ヶ原まで。
昨日薬師岳山荘まで来たおかげでだいぶ楽な行程になったとはいえ念には念を入れて早めの出発を目指します。 -
去年の山行用に買っておいた携行用チリビーン。賞味期限はとっくに切れていますが、そんなことを気にするような繊細な神経は持ち合わせていないのでノープロブレム!
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昨日トータルで2時間以上も座っていた小屋前のベンチで自炊。
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遠くに富山市の街灯りが見えています。
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まずはスープから。
わたしにとってスープというのは腹の足しにならない精神安定剤的なもの(=無駄なモノ)という認識なのですが、だからこそあえて今回持参しました。
“もっと速く!もっと遠くへ!”というスパルタンな山行になりがちな自分への戒めになればとの考えからです。 -
1分煮込んで、蓋をして10分待ったら出来上がり。
実に簡単です。
袋には2人前とありましたが、700キロカロリーに欠けるくらいなので朝食のエネルギーしてはちょうどいいぐらいかなと。 -
このチリビーンのウリはなんといってもこの栄養バランスの良さ。ほぼ理想的ではないでしょうか。
味の面では、香辛料の風味が異国テイストでちょっとクセがあるもののそれなりに美味しい。
ただこの量だと飽きますね……
軽さの割に栄養、カロリーとも抜群なので縦走に1、2食持参するには最適かと。 -
4時9分、薬師岳山荘を出発。
空いていたこともあり、大変居心地のいい小屋でした。
と言っても滞在時間のほとんどを小屋前のベンチで過ごしたので、最高のベンチでした!の方が正確かもしれません。薬師岳山荘 宿・ホテル
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避難小屋跡のシルエット。
異国の砂丘を見上げているようだな、と思ったことを憶えています。 -
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夜明けまであと30分。
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夜明け前のこんな時間なのに山頂までに三人の登山者とすれ違いました。その中の一人にお話を伺うと本日は双六小屋までとのこと。ここからでもコースタイムでは15時間くらいありますね。
ご苦労様です… -
あと少し。
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4時50分、薬師岳(2926m)到着。
山頂にはすでに二人の方が日の出を待っていました。 -
昨日とはまた違った雰囲気の薬師岳山頂。
燃えるような空の色が素晴らしい!薬師岳 自然・景勝地
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日の出時刻にはあと数分ありますが縦走再開。
山の楽しみ方は人それぞれ。日の出や日没を何より楽しみにしている人もいれば、ピークハントにこだわる人もいる。星空を撮るために大きな機材を担ぎ上げたり、高山植物が好きで下ばかり見ていたり。
わたしの場合は“道を歩くこと”になるのでしょうか。 -
おそらくこの時間帯が日の出時刻のはず。
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薬師岳を振り返る。
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時に尾根上、時に東斜面や西斜面に少し降りたところを進む。
西斜面は無風で歩きやすいのですが、尾根上や東斜面に出たとたん強風が吹き付けてきます。
荷物が軽いと問題ないけど、重い場合は煽られないように注意が必要です。
あといつもの半袖・半パンスタイルのわたしにはちと寒い。 -
金作谷カールを見下ろす。
金作谷カールは天然記念物指定を受けている雄大なカールで、近年映画化もされた新田次郎の『劒岳 点の記』にも出てくる山登りの名人、宮本金作の名前から名づけられました。
ちなみに映画の宮本金作役は螢雪次朗さん。日本SF映画の大傑作『ゼイラム』で神谷役を演じていた役者さんですね。懐かしい~♪
北アルプス北部から西を眺めるとほぼこのカールを目にすることになるため、北アルプスを登る多くの人にとって薬師岳=カールというほど大きくて印象的な形状です。 -
ライジングサン!
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画像で見るとのっぺりした登山道に見えるかもしれませんが、薬師岳から北薬師岳に至る稜線は細くガレた岩稜帯で、ほぼ全行程に渡って気を抜くと谷底真っ逆さまの危険と隣り合わせです。
技術的にそこまで難しいわけではないのですが、荒天時には歩きたくないなあ。 -
来し方を振り返る。
中央の一段高い山が薬師岳です。 -
薬師岳山頂から40分ほど、あと少しで北薬師岳というところで給水しようとしたときふと気付く。
サコッシュ(肩掛けの小型バック)がない!!!
縦走中は、水、行動食、財布、スマホ、マスクといった歩行中必要になるものはサコッシュやザックのウエストポーチなどすぐ手の届く場所に収納して、基本的にザックを下ろさなくてもいいようにしています。
その大事な大事なサコッシュが見当たりません。
ちなみにサコッシュの中身は財布(現金すべて、クレジットカード機能付キャッシュカード、保険証、スイカ、家の鍵)、500mlの水筒、行動食、登山計画書のコピー)です。他のものはともかく、財布だけはないとどうしようもありません。 -
ここまでザックを下ろしたのは薬師岳山頂のみ。そこで写真を撮ってもらう際に邪魔だったのでサコッシュを地面に置いたことを思い出す。
置いた場所も覚えており、「きっと見つかるはず」という根拠のない自信があったため、手近な這松の茂みにザックをデポして空身で本日二度目の薬師岳山頂へ。空身だとさすがに速く20分で到着するもサコッシュは影も形もなし…
う~ん、参った。現金ゼロだと縦走を中止せざるを得ないか… -
ショック状態のままデポしたザックを回収するためにもう一度北薬師岳方面へ。
この時頭にあったのはただ“今日で縦走が終わってしまう…”という思いのみ。
カードや家の鍵を無くしたことは正直どうでもよかった。というより家の鍵がなくなったことにすら気づいてませんでした…
機械的に体を動かしてザックを置いた場所まで戻ってきたとき、ああ本当に終わるんだなあ…と思わず立ち尽くしてしまいました。 -
なので、アルプスの見納めに北薬師岳山頂(2900m)まで足を伸ばす。
ちなみに薬師岳からここまで操り人形のように無心で歩いたせいか30分ちょっとでした。 -
さて、帰るか…
空はこんなに青いのに
脚はこんなに動くのに
足りてないのはお金だけ
お粗末!
気を抜くとうわの空になって足元がおろそかになりがちなので、「無事に帰れば笑い話。ここで死んだらただのバカ」と自分に言い聞かせながら歩きました。 -
帰りはザック担いだため40分ほどで薬師岳山頂。
本日三度目です。薬師岳山荘に電話して状況を説明するも今のところ落とし物の届け出はないとのこと。
山頂にいてもらちが明かないので8時過ぎに薬師岳山荘まで戻り、あらためて小屋の方に詳細を報告。近くの小屋に連絡してもらったり、太郎平小屋に滞在中の富山県警山岳警備隊の方とお話ししたり。 -
そんな最中、太郎平小屋の小屋主さんに元の計画を尋ねられたのでお伝えすると「スゴ乗越小屋なら後日精算で泊めてあげるしお金も貸してあげるよ」と耳を疑うような申し出が!
まだ縦走を続けられる!!!
足が震えてへたりこみそうになりました。
ご厚意をありがたくお受けする旨を伝えて電話を切るとなんと薬師岳山荘の方が「それならここで貸してあげるよ。いくら必要?」と!
結局「それじゃギリギリでしょ。余裕を持っておいた方がいいよ」と最初に申し出た額より多く貸していただくことになりました。
仕事の手を止めて小屋総出で相談やご助力いただいた薬師岳山荘のみなさん、親身にご心配いただいた太郎平小屋のみなさん、誠にありがとうございました。 -
「水は足りてる?」と餞別にミネラルウォーターまでいただいて、8時39分縦走再開です。
小屋番さんは受付の窓から敬礼で見送ってくださり、若主人さんは食堂の窓を開けて声をかけてくださいました。
本当に本当にありがとうございました。 -
空が青い♪
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9時17分、本日四度目!?の山頂。
縦走続けられるなら5回でも6回でも登ってやるぜ! -
計画では今日は五色ヶ原山荘に幕営予定。
この騒動で出発が4時間半遅れてしまったけれど、サクサク歩けば16時前には到着できると思う。
でもね、せっかく生かしてもらったこの縦走。そんなに急いでどこに行く。
親身になってご心配いただいた太郎平小屋グループのスゴ乗越小屋の方にもちゃんと挨拶したいし、そもそも食事が美味しくて居心地がいいことで有名なスゴ乗越小屋には前から興味があったんですよね…というわけで本日の目的地はスゴ乗越小屋に決定♪ -
先ほどザックをデポした場所まで戻ってきました。
ここからが本当の再スタートです。 -
10時4分、北薬師岳山頂。
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槍穂まではっきり見渡せます。
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お腹が減ってることに気付いてクッキーをひと嚙り。
美味い♪ -
北薬師岳を越えて少し進んだところで大事なことを思い出す。
カードの無効届を出しておかないと。小屋ではまだ時間が早すぎてできなかったんですよね。
あまり下ってしまうと電波が届かなくなるのでトラバース道の真ん中に腰を下ろして銀行やカード会社に電話。えきねっとでeチケットを取り、スイカに連動させていたこともややこしさに拍車をかける。銀行、クレジット会社、JRと何度もやり取りして結局できたのはカードの停止だけ。
一時間以上も座っていたので立った瞬間立ち眩みがしました…
ちなみにその間誰一人通りかからず。北薬師岳から先、ぐっと登山者が減るという話を実感しました。 -
ぐんぐん下る。
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とにかく下る。
左奥の頭一つ高いのが立山の大汝山、右奥は五竜岳や鹿島槍ヶ岳といった後立山連峰の山々だと思います。 -
画面中央付近に子熊が写っているのがわかりますか?
ぴょんぴょん跳ねて谷を下りていきました。
大変愛らしい姿でしたが、子熊連れの母熊が一番恐ろしいというのは山の常識です…
急いでその場を離れました。 -
12時8分、間山(2585m)到着。
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ここからもまだまだ下ります。
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こういう植生は大好きです。
このあたりから曇り始めました。 -
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あれは?
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12時48分、スゴ乗越小屋(2270m)に着きました。
薬師岳からだと700m近く標高を下げたことになります。
玄関前の黒板にわたしの財布の指名手配書が…
お手数かけて申し訳ありません…… -
スゴ乗越小屋名物“日替わりカレー”
サコッシュの件でのお礼と薬師岳山荘でお金を借りたことをお伝えした後、すかさず注文しました。 -
小屋前のくつろぎ空間。“パティオ”と勝手に名付ける。
カレーを待っている間に雨がパラパラと。
小屋前にはシーツが、屋根の上には座布団や布団が干してある。
この時間帯小屋番さんは一人のようで、どう見ても手が足りないので、「手伝いますよ」と声を掛けてまずは小屋前のシーツを回収。次に玄関左に立てかけてある梯子を登って屋根の上の座布団の救助に向かうも、梯子が不安定でけっこう怖い。
小屋番さんはといえば、二階のテラスから無理やり屋根に移って布団や座布団を集めてる。これまた足滑らせたら転落必至なので見ているこちらがヒヤヒヤ。
そんなこんなで無事回収終了。 -
出来上がり前にトイレをお借りするとなんとハンドソープが!
本当に使っていいのでしょうか?
なぜかおどおどしながらありがたく使わせていただきました。 -
そんなこんなしているうちにカレー完成。
当然ビールで乾杯です♪
本当にお疲れ様でした! -
本日のメニューは“ケララ風フィッシュカレーとポテトのサブジ”。
なんのことやらさっぱりですが、ケララはインド最南部、アラビア海に面した楽園と呼ばれる穴場観光地、サブジは野菜の蒸し煮、炒め煮のようですね。
味音痴のわたしにも出来合いのものとは一味も二味も違うことがすぐわかる本格的な味わい。この山奥でこのクオリティーは凄いですね。
ご馳走様でした♪ -
画面左の梯子が先ほど上ったもの。
固定されているわけではないのでグラグラ不安定でした。 -
小屋の前はこんな感じ。
一見雑然として見えますが、不思議と落ち着くんですよね、これが。 -
樹林帯のど真ん中にありながら見晴らしがいいのも高ポイント。
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そろそろ受付してもらいましょうか。
テントにするか小屋にするか。
スゴ乗越小屋のテン場は快適だと聞いているし、計画では本日はテン泊予定。そもそも借りたお金で小屋泊なんて贅沢をしていいものかという道義的な問題もある。 -
とはいえ今日はいろいろあって精神的に疲れた。小雨も降ってきたし。
第一今日贅沢せずにいつ贅沢するんだっ!
というわけで小屋泊に決定♪
ここまで4泊中4泊とも小屋泊まり。担いできたテントの意味は…… -
2階の寝室に移動します。
カイコ棚スタイルですね。 -
階段上がってすぐ右のスペースが本日の寝床。
最終的には2階全体で計7名だったと思います。 -
荷物を整理したら食堂に移動してコーヒータイム。
自ら頼むのはとてもめずらしい。
山や旅先で無性に飲みたくなることがあります。 -
なかなか個性的な本棚。
多くの人の蔵書の寄せ集め感があってなかなか面白い。 -
小説だと読み終わらない可能性が高いのでこいつを。
やっぱり海老塚三人衆はいいね。 -
小屋の人に電波の入りやすい場所を聞くと、ドコモならテン場周辺が一番ですよと。
テン場の偵察も兼ねて行ってみますか。 -
テン場も空いてるな。
小さいけれど、平らで整地が行き届いていて、小屋からもほどよく近い。そのうえ開放感があって見晴らしもまずまずというかなり理想的なテン場でした。
ただし電波は入らず… -
小屋に戻って二階のテラスで読書タイム。
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雨もすっかり上がって時折青空も。
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もうすぐ夕食。
到着時には雑然としていた談話スペースも机が出されたりして落ち着いた雰囲気に。 -
17時から夕食開始。
見るからに手の込んだ美味しそうな惣菜の数々。 -
麻婆豆腐はスパイスの効いた本格派!
ジャガイモの千切りを使用した手前のおかずは味付け抜群だしパスタの上のソース?も実に気合の入った逸品。
いやー、実に美味しい♪
少なくともわたしの小屋食史上最高は間違いない。噂は本当でした。
テン泊するにしても夕食は小屋で食べることを強くおススメします!
ご馳走様でした♪ -
夕食後は缶チューハイ飲みながら、暗くなるまで二階のテラスで読書三昧。
19時過ぎに就寝。
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