《メモリー》1996年７月　鉄道に乗ってサハリンを行く【その２】　かつての国境・北緯50度線から南下

1996/07/26 - 1996/07/31

最近フォートラさんで流行っている昔の旅行記シリーズに私も便乗しております（笑）

1996年（平成８年）７月、生まれて初めての海外旅行の時の記録です。
行き先は、ロシアのサハリン州。要するに「樺太」です。

写真の枚数が多かったので、３部作。今回はその第２話です。
前回は、稚内から船（これが戦時中までの「稚泊航路」です）に乗ってコルサコフ（旧大泊）に渡り、そこから列車に乗り換えて一気にサハリン鉄道最北端かつロシアの鉄道としての最東端（当時は厳密には違いましたが、現在は正真正銘、最北端かつ最東端）のノグリキまで行きました。

深夜、ノグリキを折返し出発。翌朝は、かつての国境だった北緯50度線、そしてサハリン中部最大の町であるポロナイスク（旧敷香）、そして機関区のあるブズモーリエ（旧白浦）を訪れます。

長時間停車のたびにブラブラと町の中を歩き、初めての海外だったのでツアーでしたが、「これは１人でも行けるじゃん」という感触を得つつあった１日でありました。

※この頃はまだフィルムカメラです。
　ネガから起こしてますので、ちょっと画質が今イチです･･･

エリア ユージノサハリンスク(ロシア)

• 同行者: 社員・団体旅行
• 交通手段: 鉄道 観光バス 徒歩
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）

【その１】からのつづき

サハリン鉄道最北端・ロシア鉄道最東端（当時は「旅客」という注釈がついた。いまは正真正銘）のノグリキを訪れた。

深夜、折返しノグリキを出発。
翌朝目が覚めると、列車は霧の中のオノール駅に停まっていた。
位置からすると、北緯50度線よりもうちょっと北になる。

食堂車での朝食のあと、自由行動になった。
さっそく駅舎へ。

ここでも記念に切符を買おうと思ったら、同行の現地通訳の人が事務室の中に入っていったので、ついてった（笑）
女性の駅員さんが何やら電話連絡中。

これはポイント切換機みたいですね。

その駅員さんからいろいろと切符を買った。

はい、これです（笑）

左上が後で立ち寄る４つ隣のスミルヌィフ駅までの半硬券。
左下が往路に立ち寄った３つ隣のパページノ駅までの硬券。
右は、この駅から25km区間・50kgまでの荷物切符。

10時前、オノール駅を出発。
30分ほど走って、駅ではないところに停車。ここで列車を降りる。

この区間を走る列車の本数が少ないから、こんなことができるんですよね。

まだ深い霧の中。

線路脇にあったキロポスト。ロシアの鉄道のはこんな形をしている。
ちなみにこの反対側には「431」と書いてあった。
これを見れば、路線の起点がどちら方向かがわかるようになっている。

さて、降りた地点からしばらく深い森の中を歩く。

途中にこんな池があったりして。

その深い森の中を７～８分ぐらい歩くと、国道（これでも１級国道らしいです！）に出る。

その国道を５分ほど歩くと、「北緯50度の碑」がある。

この真ん中の高いポール状の位置が北緯50度。
敗戦時まで、ここから南側（左側）が日本領だった。

この碑、正式には「北緯50度以南を日本から奪い返した記念碑」。
たしかに、そんな形をしている。

再び、「１級国道」と深い森の中を歩いて列車に戻った。

列車に乗って約20分。
また駅じゃないところに停まり、列車から降りる。

再び「１級国道」を、今度は１kmぐらい歩く。

そこにあったのが、日本人戦没者慰霊碑。

「日ソ平和友好の碑」

尊き命よ、静かに眠れ、のようなことが書かれていた。

ツアー参加者に、かつて樺太に住んでいた年配の方が多いので、ここは必須だったんでしょうね。

近くにはトーチカも残っていた。
場所的に、これは旧日本軍のものでしょうね。

また歩いて列車に戻る。
それにしても、何もない原野。

列車に戻って、さらに20分。
スミルヌィフ（旧・気屯　けとん）駅に停車。

スミルヌィフ駅の駅舎。
ここでも目ざとく記念に切符を買った。

これです。

左が北隣のパページノ駅（往路に立ち寄った）まで。
右が３つ南隣のブユークリ（旧・保恵）駅まで。
どちらも半硬券。

選挙のポスターっぽいのが壁に貼ってあった。
右側に描かれていたのが、当時のエリツィン大統領。
「エリツィンじゃなく○○を支持しよう」的な内容だった。

駅前の様子。

ここでは、予定時間を過ぎてもなかなか出発しなかった。
というのも、参加者の中に、戦時中までこの町（気屯という町だった）に住んでいた方がいて、現地通訳の人と一緒にかつての自宅のあたりを見に行ってたらしい。
その話を聞いて、ツアーの皆さんも「まあ、待ちましょうか」となった。

車内にて。
自分の個室にいると、たまに車掌さん（女性。１両につき１人いる）が顔を出して「チャイ？」と聞いてくる。
せっかくなので、いつもチャイ（ロシアティー）をついでもらって飲んでいた。

資料によると、復路は私の個室は先頭車両だったので、たぶん窓から後方を撮った写真。

15:10、ポロナイスク（旧・敷香　しすか）駅に停車。
約１時間半ほど自由行動とのこと。さっそく出かけましょう。

ポロナイスク駅の駅舎。
駅舎の入口には、ポロナイスクではなく「バクザール（「駅」という意味）」と書いてある。

駅舎内にあった時刻表。
長距離列車は、やはり上下線とも１日２往復ずつ。
そのほかに、区間列車が数本あるらしい。
（ちなみに現在も同じような本数らしい）

駅の切符売り場。
やはりここでも、記念に切符を買った。

左上が４つ北隣のレオニードボ（旧・上敷香）駅までの半硬券。
右上はさらに先のコシェボイ（旧・千輪）駅までの硬券。
下はその手前のオレーニ（旧・江須）駅までの荷物切符。

では、町の中心の方に歩いてみる。
ポロナイスク（敷香）は、サハリンの中部では一番大きな町。
人口は約２万人くらいとのこと。

マガジン（ロシア式売店）に寄る。
ロシア式では、カウンターの後ろに並んでいる商品を店員さんに取ってもらって、精算する。
今でもこういうお店ってあるんだろうなあ。

ロシアの主食といえばライ麦パン。
ロシアのライ麦パンは独特の味と風味があって、最初は違和感があるが、慣れてしまうと、逆にこれでないともの足らなくなるのだった。

途中にあった川。
この町の近くを「幌内川（ぽろない川）」という川が流れていたので、ロシア名もポロナイスクという地名になったとのこと。

だんだん町の中へ。

ロシアの町といえば、四角いアパートですね。

海外の町を１人で歩くのはこの時が初めてだったけど「意外といけるじゃん」と思い始めた頃。

さらに進んでみましょう。

青空市場があった。

ロシア語なんかしゃべれないのに、ソフトクリームを買って、しかもその辺の人に撮ってもらった写真だと思う。
言葉なんか分からなくても、気持ちがあれば通じるもんです。

といいつつ、次のこの写真はたしか同じツアーの人とすれ違ったので撮ってもらったと思う（笑）

駅に戻ってきた。
駅舎のホーム側に書いてあるのは、「ПОРОНАЙСК」
これをアルファベットに置き換えるとPORONAISKとなり、ポロナイスクと読みます。
キリル文字の読み方は、後にモスクワの地下鉄で鍛えられました（笑）

16:50、下りの定期列車がやってきて、こちらが出発する。

ここから先は海沿いを走ることが多くなる。

見えているのはオホーツク海。
写真だと分かりにくいけど、記録には「南の島の海のように青い」と書いてあった。

19:30、ボストーチヌィ（旧・元泊）駅に停車。
１分停まっただけですぐに発車。

ボストーチヌィからさらに約１時間半、ブズモーリエ（旧・白浦）駅に着いた。

現地時間21時過ぎ。
でも、日本時間だと18時なので、夏のこの時期はまだ余裕で明るい。

日本じゃこんな写真撮れないですよね。

この駅は、日本の国鉄だった時代から鉄道の要衝で、機関区もあるらしい。

ブズモーリエの駅舎。
ここは、駅舎が閉まっていて記念の切符が買えませんでした。

食堂車での夕食まで、まだ１時間ぐらいあって、自由時間になった。
駅が海岸に近いそうなので、歩いてみた。

日本時代は「豊栄郡白縫村」という村だったらしい。
さっきのポロナイスクと比べると、小さな集落という感じ。

さりげなく道沿いに牛さんがいた。

畑と家。

海岸に出た。オホーツク海。

７月下旬だけど、気温も低くて夏の海岸という雰囲気ではなかった。

近くの子供達がたむろしてた。

あとで写真を見ると、この旅行、食事の写真が本当に少ない。
その数少ない写真。
ブズモーリエは、カニの名産地として有名な場所らしく、この日の夕食にもカニが出た。

ブズモーリエから州都のユジノサハリンスクまでは約120kmしかない。
ということで列車は翌朝の6:30までブズモーリエ駅に停車したままだった。
停まってる寝台車。寝付きが悪かったですね（笑）

【その３】につづく。

この旅行記へのコメント （6）

• 4traさん 2020/06/03 15:41:46

  露西亜

  今はビザも簡単みたいですが、（私がロシア行ったネット普及して無かった）当時は旅行会社に頼んだホテルの予約バウチャーがないと事前のビザ取得すら出来なかった時代なので、旅行記のツアー代金高いけど今となってはイイ経験されていますよね。
  昔の旅行記を私も書いてみたいけどフィルムカメラ時代の写真は、ほぼないです。フィルム写真時代でも沢山撮られてるTagucyanさんナイスです。
  まあ、私は今の旅行記でも書ききれてないのが結構あるので、先ずはそれを仕上げなければ。。。

  Tagucyanさん からの返信 2020/06/03 21:52:45

  RE: 露西亜

  
  4traさま
  こんばんは
  
  この時はツアー旅行だったのですが、この３年後、こんどは１人でロシアに行きました。
  ビザを取るためには行程と泊まるホテルを決めて、バウチャーというものを用意しなければいけなかったですね。それももう20年ぐらい前の話です。
  その旅行記も追い追いアップしようかと思います。
  
  当時はそんな感じでしたから、料金だってかなりかかってしまいました。
  でも、逆にあまり人が行かない時代でしたから、今思えば貴重な経験でしたね。
  
  この旅行、36枚撮りフィルムを９本使ってます。現像代だけでも相当行ってると思います(^^ゞ
  この後もフィルム時代の海外旅行記をあげていこうかと思いますが、だいたい１回の旅行で10本以上フィルム使ってますね。現像はいつも近所の個人経営の写真屋さんでしたが、すっかりお得意さまでした。
  そして今、それをスキャンする作業が大変です（笑）
  
  私の場合、この時代の国内旅行の写真がまったく残っていないんです。
  なぜならカメラを持っていかなかったので。
  今思うと、ずいぶんともったいないことをしたなあと思っています。
  
  ---
  Tagucyan

• 墨水さん 2020/06/01 21:09:20

  なに？。

  Ｔａｇｕｃｙａｎさん、今晩は。
  荷物切符て、なに？。
  日本で言う「チッキ」の事か？。
  何処の国でも国鉄は同じで「乗っけてやる。」が基本精神。
  居るよね～～ッ。
  いきなりカメラ渡してきて「俺を撮れ。」見たいの・・・。
  最所面食らったけど、今は慣れた。(笑)
  最初は、カメラ持って逃げてやろうかと思ったが、安物ばかりで・・・・。
  日本人なら、またぐ様な奴、ばかり・・・・。(笑)
  逃げられねーよ。(笑)
  墨水。

  Tagucyanさん からの返信 2020/06/01 23:20:54

  チッキというのがありましたね

  
  墨水さま
  こんばんは
  
  荷物切符はおっしゃるとおり、いまや死語となった「チッキ」のことでしょうね。
  今はどうだか分かりませんが、当時の現地はとにかく道路事情がよくなかったですから、まだまだ活躍の場があったんでしょうね。
  
  いきなりカメラ渡してきて「俺を撮れ。」･･･　いやいや、もっと丁重でしたよ（笑）
  私も、思えば国内外でいろんな人に写真撮ってもらいましたけど、逆に撮ってあげたことは少ないですね...　ないわけじゃないですけど、少なくとも外国人にはない。そもそも外国人観光客が行くような所に行かないか（笑）
  
  欧米の方、ガタイいい人多いですからねえ。
  失礼なことのないよう、余計、丁重に丁重に(^^)
  
  ---
  Tagucyan

• Akrさん 2020/06/01 06:32:24

  線路上で停車して見学時間とは・・・

  Tagucyanさま
  
  おはようございます。Akrでございます。
  
  どんどんサハリンの奥地へ入って行ってますね。こうしてみると「たかが島」ですがめちゃくちゃ広いんですね。ここがいま日本領だったら「最北端」まで行ったりＪＲ完乗するのも大変そうです(笑)そして日本ならばＪＲ北海道管轄でしょうか。路線維持が大変そうだ(笑)
  
  それにしてもお国柄といえばいいのか、駅もなんもない原野の真ん中で停車して、下車見学とか、凄いですね。運転手も停まる場所とか把握してるのかなあ。列車本数も少ないから出来る技なのでしょうが・・・このあとで参加者の個人的な理由で列車を遅らせるとか、おおらかですなあ。
  
  「日ソ」という響きを久しぶりに聞いた気がします。ソ連すらいまや使わないワードですね。でも、ソ連というとどうしても、先の大戦や北方領土(これは現在進行形ですが）、大韓航空機撃墜事件などなにかと日本にとってマイナスなイメージを抱いてしまいます。
  
  食堂車でカニは衝撃的(笑)
  そしてまさかの運転停車で寝ろって・・・寝台車は車両の揺れも含めてナンボですよね。
  
  次回も楽しみです。
  
  -Akr-

  Tagucyanさん からの返信 2020/06/01 23:08:44

  本数の少なさ＆お国柄ですよね

  
  Akrさま
  こんばんは
  
  サハリンの鉄道は、私が乗った島のメイン路線だけで約650kmもあって、けっこう規模が大きいです。
  でも本数が少ないんです。その路線も、現在のダイヤですと、途中町の中を歩いたポロナイスクまでが３往復、そこから先が２往復、あとは近郊列車が数本だけ。当時も同じような感じでした。
  これがＪＲ線だったら、乗りつぶしが大変そうな一方で楽しそうでもありますね。
  やっぱり運営はＪＲ北海道ですかね。いや、ＪＲ樺太？（笑）　これだけ長大な路線ばかりだと維持運営も大変そうですが。
  
  駅でないところで列車を降りたり、参加者の理由で列車を遅らせたり、これだけ列車が少ないから実現可能なんですね。そもそも、営業中の線路を歩くなんて日本なら大騒ぎです。駅の構内の立ち入りなんかもユルユルでしたねえ。今はどうなんでしょうか。
  
  その、見学のための停車は、多分キロポストを目標にしているんだと思います。それ以外何の目標物もないですからね。それとも運転士さんは普段そこを通っているので「あの木のあたり」とかで分かってしまうんでしょうか。
  
  「ソ連」10年ぶりぐらいに接した単語ですね。ロシアというと特に何とも思わないですが、ソ連というとたしかにあまりいいイメージはないですね。その時はまだ時々その頃の雰囲気が感じられましたけどね。
  
  ブズモーリエ（白浦）はカニが特産とかネットで出てきて、そこにカニと格闘している写真が出てきたので（笑）、載せてみました。
  止まっている寝台車･･･　やっぱり揺れがあってこそですよね。
  あの晩の寝付きの悪さは、体感的に覚えています。
  
  ---
  Tagucyan