「正倉院の世界」はハート形でほっこり

2019/10/15 - 2019/11/08

　日本国内では昭和の終わり頃から平成にかけてはハート形がブームになっており、そこここの観光地で石畳や石垣などに埋め込まれたハート形を探すことが広く行なわれ、ハート形に見える入り江等々も観光スポット化して来ている。あるいは、服装や小物にもハート形をあしらって楽しんでいる女性の何と多いことか。このハート形好きは令和になっても続いている。
　しかし、不思議なことに、現在、上野にある東京国立博物館（東博）平成館2Fで開催されている御即位記念特別展「正倉院の世界－皇室がまもり伝えた美ー」（～11月24日(日)）の展示物、正倉院御物と少しの法隆寺宝物、の中にはそこにあしらわれた数多くのハート形を見ることができるのであるが、東博の公式ツイッターを全て見ても、ハート形に言及しているものは1件もない。また、「正倉院の世界」展を鑑賞した人のブログにも御物などにあしらわれたハート形に気付いている人は皆無である。開催から17日で入場者が10万人に達したと報道され、注目度も上がってきており、今週中にも入場者が20万人を達成する勢いである。しかし、近代の修理でハート形に変更されたのでなければ、天皇御物に数多くのハート形があしらわれていることは私のブログ（https://4travel.jp/travelogue/11555081、https://4travel.jp/travelogue/11563333、http://dr-kimur.at.webry.info/201911/article_2.html、https://4travel.jp/travelogue/11563862、https://4travel.jp/travelogue/11563993）を読んだ人（1,000人以下）と平成館2Fの会場で私が出会った小学生を連れた数組の親子やたまたま一緒に琵琶を見ていたおじいさんとおばあさんを含む数人と写真撮影スポットで琵琶のレプリカの写真を撮っていた数10人のおばさんと若い女性たちだけしか知らないことなのか？少なくても、TVの放送で天皇御物に数多くのハート形があしらわれていることが取り上げられ、図録にもそれが言及されていないとハート形を認識できる人はいないということのようだ。長きにわたってハート形好きの日本人には有り得ない状況である。
　「正倉院の世界」で注目すべきことはまず最初にこうした天皇御物にあしらわれたハート形を見付けることであり、これから終盤に掛けてより長くなるであろう「正倉院の世界」展の待ち行列を乗り越える一助として頂きたい。少なくても、入場者が30万人に迫るとしても、そのうちの1万人程度の人は「正倉院の世界」展で天皇御物にあしらわれたハート形を見てほっこりして頂きたいと願っております。
（表紙写真は紫檀木画槽琵琶の背面を飾る花を繋ぐハート形の点）

エリア 上野・御徒町(東京)

直刀・水龍剣の刀装の金具「梨地水龍瑞雲文宝剣」にも金で象（かたど）った2つのハート形（図録19）。

螺鈿の銅鏡（平螺鈿背円鏡）（図録9）。
外周にあしらってある8個の赤い螺鈿と中の4個の赤い螺鈿は大部分か数個はハート形に見えなくもない。しかし、ポスターを飾る平螺鈿背八角鏡ではハート形に見えるものは一つもない。明治時代の修理の際にハート形に変わった可能性がある。

羅夾纈円褥（らきょうけちえんじょく）（図録36）。法隆寺宝物にはハート形の八花弁花文。

羅夾纈円褥（らきょうけちえんじょく）（図録37）。法隆寺宝物にはハート形の八花弁花文。

「螺鈿紫檀五弦琵琶」のレプリカ。

六弁花文の花弁はハート形。

柄の曲がりにもハート形。

琵琶（図録69）。六弁花文はハート形。

琵琶（図録70）。六弁花文はハート形。

3弦目に赤い螺鈿のハート形（大型ポスターより）。

模造 螺鈿紫檀阮咸。

柄にハート形。

紫檀木画槽琵琶の背面（図録71）。

紫檀木画槽琵琶の背面にあしらわれた花の造形とそれを囲む線も逆ハート形（図録71）。

紫檀木画槽琵琶の背面にあしらわれた花の造形にもハート形（図録71）。

ここにも3つのハート形。

花の玉（蕾）を囲う3個のハート形と下に逆ハート形が見える。この花が5輪描かれている。あるいは、右にも3個の逆ハート形が見える（図録71）。

花を繋ぐハート形の点（図録71）。
デザインはハート形ではなく、ラグビーボールがずんぐりむっくりとした形だったのだろう。しかし、たまたま重なってハート形好きにはハート形に見えるから不思議だ。

ミュージアムショップでは「正倉院の世界」関連のグッズやお菓子が販売されているが、こうしたハート形をモチーフにしたものはないようだ。