シルクロード列車の旅（第5日）T9516/9517列車：ウルムチ出発

2018/09/05 - 2018/09/05

鉄道紀行作家の宮脇俊三は、著書『中国火車旅行』(1988刊)の中で、上海ーウルムチの特快52列車に乗っている。彼が旅行した1986年当時は非電化で単線区間もあり、全行程4,079kmを３泊４日、81時間かけて走っていた。

それから30年あまり、現在の中国は広大な国土に高速鉄道網を張り巡らせていて、2017年には上海からウルムチまでが高速鉄道で結ばれた。まだ直通列車は走っていないが、在来線の直通列車が残っているうちに乗っておきたい。

シルクロードの都市へ行くのだから、街歩きもしたい。しかしウルムチは大都会であまり楽しめそうもない。そこで、ウルムチからさらにカシュガルまで行くことにした。

＜旅程＞
第１日(2018/09/01) 羽田ー(上海航空816便)ー上海、上海泊
第２日(2018/09/02) 上海ー(直達Z40/41列車)ー 車中泊
第３日(2018/09/03) ー(直達Z40/41列車)ー 車中泊
第４日(2018/09/04) ー(直達Z40/41列車)ーウルムチ、ウルムチ泊
第５日(2018/09/05) ウルムチ南ー(特快T9516/9517列車)ー 車中泊
第６日(2018/09/06) ー(特快T9516/9517列車)ーカシュガル、カシュガル泊
第７日(2018/09/07) カシュガル泊
第８日(2018/09/08) カシュガルー(中国南方航空6997便)ー上海、上海泊
第９日(2018/09/09) 上海ー(中国東方航空521便)ー成田

エリア 中国

6:00ごろ目を覚ます。外はまだ完全に暗いが、周囲の部屋では人が起き出す気配がする。寒いのでエアコンを暖房にして再び寝る。
8:00、アラームで起きる。窓から陽が差し込んできてまぶしい。

朝食はビュッフェ。レストランの入り口にカードリーダーがあって、ルームキーをタッチするようになっている。
メニューは中華系が多く、味は悪くない。

テレビでは依然として台風のニュース。CCTV1では抗日ドラマをやっている。日本兵は「はい！」と「バカヤロー！」を除き、中国語を話している。

昼過ぎ、チェックアウトしてタクシーでウルムチ南駅へ。現在のウルムチ駅ができるまでは、こちらがウルムチ駅だった。
構内に入るところのセキュリティーチェックで、液体は全部調べられる。「江小白」という蒸留酒の小瓶を見て、なぜか笑っている。

検票を通過すると、別室(公安)へ案内された。係員は英語を話さない。お互いのスマフォの翻訳ソフトで会話する。
時間がかかる割に内容は薄くて、

カシュガルで何するの？
観光です
カシュガルで観光？
是。

で解放された。
もっとも、パスポートの写真はしっかり撮られる。

ウルムチ南駅 駅

掲示に従って３階の待合室５へ。この駅舎は二代目で2004年の完成だそうだが、空港のようなウルムチ駅に比べると古くさい感じがする。
もっとも、このほうが鉄道の駅らしくて好きだ。
昼食にスタンドでチキンサンドを食べる。

ウルムチ南駅 駅

列車を待つうち、待合室が埋まってきた。ウイグル族と思われる人が多い。
売店で水とカップ麺を買う。
トイレに行くと洗面所でブドウを洗う人がいる。帰りに古びた人民服の老人とすれ違った。

ウルムチ南駅 駅

「4分遅れ」の表示が次第に増え、最後は「22分遅れ」になった。
ようやく改札が始まり、みんなでぞろぞろとホームへ向かう。

ウルムチ南駅 駅

電気機関車を先頭にカシュガル行きが入ってきた。増結車もあって、20両を超える長い編成。

ウルムチ南駅 駅

16:59、27分遅れで発車。すぐに服務員がやってきて、切符の代わりにプラスチックのカードを渡される。

客車は、上海～ウルムチより１世代前の25K型で、最高速度140km/h。

昨日通った高速新線をトルファン北まで戻る。ここで機関車を反対に付け替える。

トルファン北を出て、南疆線に入る。窓外の景色が雄大な感じになってきた。

前方にこれから通過する長大な陸橋が見えている。未舗装の道を行く車が、盛大に土煙を上げている。

トルファンからコルラまで、かつては天山山脈を越える素晴らしい山岳路線だったのだが、近年、新線に変わってしまった。それでも見ごたえのある景色が続く。

20:00前、まだ明るいけれど食堂車へ行く。メニューは水餃子のみ。20元。
美食の国はどこへ行ったと言いたくなるが、これしかないので食べる。

西へ向かう列車の後方から、夕闇が迫ってきた。

窓外に赤い植物で覆われた土地がある。なんだろう。

21:41、コルラ着。20分遅れ。乗降客が多い。
発車後、向かいの寝台で寝ていた男が突然起き上がり、カップ麺を持つとお湯を入れに部屋を出ていった。まだ宵の口の感覚なのだろうか。
23:00過ぎ、ウイスキーを飲んで就寝。