東地中海の真珠?!北キプロス⑦Varosha

2018/09/24 - 2018/09/29

【Varosha】(英語)
(ギリシャ語:Βαρώσια、トルコ語: Maraş)

以前、北キプロスの事を

「地球の歩き方」にも載ってない国と言われるけれど、「地球の歩き方　トルコ」には、ちゃんと載っているのに～……！

と書きましたが、これから紹介する
ヴァローシャ(バローシャ)は、「歩き方」の北キプロスエリアにも、一言も掲載されていませんし
「キプロス島歴史散歩」も触れていませんでした

でも、
「世界の廃墟」系(沢山種類があるので一部)や
「絶対に行けない世界の非公開区域」では、絶対に行けない場所として載っています

エリア 北キプロス(キプロス)

ファマグスタ旧市街で、暇そうなタクシードライバーに「ヴァローシャまで行ける？」
と聞いたら、即オッケー(TL 20≒￥380)

旧市街からタクシーで5分くらい？
キレイな海岸沿いを行きました。

ヴァローシャはファマグスタの隅っこで、キプロス分断以来、グリーンライン(国連緩衝地帯)に沿ってギリギリ北キプロス・トルコ共和国の領土に入っています。

キプロス分断後、其々の母国ギリシャ、トルコと同じように『住民交換』が行われた時、
南にいたトルコ系住民が北へ
北にいたギリシア系住民が南へと強制移住しました。
北から最も多くのギリシア系住民が故郷を去ることになったのが、ファマグスタで
南キプロスのラルナカなどのホテル経営者などは、ファマグスタを追われて来た人が多いといいます。

1970年頃のファマグスタは、キプロス国内だけでなく、世界でも最も人気の観光スポットの一つであり、世界中のセレブリティーにも愛され
増加する観光客に対応すべく、次々と新規の高層ホテルが建設されたそうです。

キプロスが南北に分裂した1974年
キプロスが独立(1960)して以来の大統領だったマカリオス三世を襲撃しクーデターが始まり、
トルコ系住民とギリシャ系住民の平和維持を目的として国連軍が介入
そしてこのギリシャ支援勢力によるクーデターをきっかけに

今度はトルコ軍が進攻し、ギリシャ系キプロス軍はラルナカへ撤退。
この時、トルコ軍は現在では民族的境界線となっているグリーン・ラインまで勢力を伸ばし
金網で囲まれてしまいました。

キプロスが南北に分裂する前の、ヴァローシャの人口は39,000人。
……でも今は０人。

建物の左の奥には、40年近く廃墟になったままのヴァローシャの街が見えますが、その手前の建物には、国連とトルコ軍が駐在しており、有刺鉄線が張られて立ち入り禁止
そしてここから先は撮影も禁止

行きながらタクシー運転手に、写真撮っても大丈夫か聞いたら
「セルフィー撮るみたいにすれば、別に問題ないと思うよ」
と言っていたので、ビーチで撮っていたら、

暗くて分かりにくいですが、↑建物の手前にいた軍の人に「カメラをよこせ！」みたいなゼスチャーをされてしまいました……反省……

北キプロスには日本大使館はないので(独立国として認証していないので)、もし何か起これば、本当の自己責任なので身が引き締まりました。。。

ニコシアの「国境」では、撮影禁止エリアも、セルフィーしてる観光客を誰も注意しないユル～ユルだけど、ここは厳しいです。

ここまでの写真の建物は、書籍やサイトでもよく載っているものですが、有刺鉄線から先の市街地は、中に入ることはできないようですし写真も厳禁でした。

この奥のロストシティは、
洋服店では、新品をマネキンに着せ展示したまま置き去り。。。
カーディーラーでも、新車を展示したまま。。。
土地を持っていたホテルオーナー等のギリシャ系住民はみんな南側に亡命したので、そのままの状態で40年経ち、今もそのままだそうです。

で、この真ん前はビーチで、陸から延長した有刺鉄線が海にも張られているのですが、この廃墟の前はこんなにも美しい海！

そしてビーチには観光客が復活！

廃墟ホテルの手前には↑何とコインロッカーが備え付けられて、実はカフェレストランもあるんです♪

水がこーーーんなに綺麗！！

ブリジットバルドーやエリザベステーラーを魅力したのも頷ける美しさ。
世界中のセレブのリゾートだったのも頷けます。。。

この写真だけ見れば、10m?隣では、ライフセーバーでなく、国連軍が有刺鉄線に近づかないように見張っているなんて…
……とても想像出来ない！

ここ最近は観光産業に力を入れ、ビーチベッドやパラソルをレンタルしていましたが、
ホントに解放されていたのはここだけでした。

グリーンライン内は、ゴーストタウンになったことで、元々家畜だった羊やロバが野生化だけでなく
海も観光客が来なかったお陰で、皮肉にも美しい自然が守られ、今では海亀が産卵にくるようになったそうです。

ファマグスタは………内戦から数十年経ち、
各住民のグリーンライン通過の許可が降りて、

ギリシヤ系住民が、北にあった自宅に行ってみると、そこはもうトルコ人が住んでいたりしたそうです。

もともと北に持っていた土地を、自分たちに返還して欲しいというギリシヤ系住民。

でもそこには、既に暮らすトルコ系住民も多く、彼らとしては
内戦に勝ち「北キプロストルコ共和国」として独立し、得た土地。

もう何度も、南北の代表に加え、イギリス等も加わり、会談が行われているようですが、
こういった、両者譲れない問題も山積して、なかなか先には進めないようです。

例えば、分裂していたけれど、東西ともドイツ語を話すドイツ民族
分裂しているけれど、両方とも韓国(朝鮮)語で同じ民族

それと違い、キプロスは何度も言うように、ギリシヤ系とトルコ系で言語も宗教も違うし、

日韓の歴史より数倍、ずっと長い対立関係など、歴史観点が真逆の立場で違うので、統一は難しいんじないか……？

とも思われますが、そもそも数千年前の古代から混血が進んだ土地で、
オスマン帝国歴代のスルタンの母親はギリシヤ人もいたわけだし、

私から見れば、食べ物やナザールボンジュ等、文化も区別つかないこと多いし…

かといって、トルコ、ギリシャに同化するのでなく、キプロス人としてのアイデンティティーが既にあると思うので、
このままお互い自治権を持ったまま、この島の美しい自然と、貴重な歴史遺産を大切に、平和になって欲しいと思います。