2015/09/03 - 2015/09/15
354位(同エリア439件中)
menhir(メンヒル)さん
- menhir(メンヒル)さんTOP
- 旅行記178冊
- クチコミ52件
- Q&A回答26件
- 224,552アクセス
- フォロワー22人
先日の旅行の際に廻った石の中で、青銅器時代の遺跡に該当しない不思議なものを集めました。普通の方は、何の価値があるか分からない旅行記になっています。
また、ペストの話で必ず取り上げられるイーム(EYAM)村にも立ち寄り歴史を感じてきましたので、この件も報告いたします。
PR
-
2015年夏の石巡りは、UK-Wales-Scotlandを巡りました。ストーンサークルなどの遺跡を巡ることが主目的なのですが、その過程で不思議な石にも沢山合いました。「何千年前の遺跡」というよりは「何かの目的で作った遺構」が多いです。
それらの不思議なものにスポットを当てて、旅の総括です。
完全な趣味の世界です。 -
最初はこれ。チェスターの北側の教会にあるペスト石(Plague Stone)
-
14世紀にイギリスでペストが大流行した時、この石のくぼみにお酢を入れ、物販で用いる通貨を消毒していました。その遺構が今でも英国のあちこちに残っています。
-
ペスト菌に犯された家々へ泥棒に入った集団の中で、お酢で手を洗っていた泥棒だけはペストが移らなかった。ペストはお酢で消毒すれば大丈夫、などの民間療法的な考えで広まったようなのです。
人々は物販の際に用いるコインをお酢で満たされたこの石に投げ入れて消毒したようです。こういうモノがたくさん残っています -
バーミンガム(Birmingh)の南西にある、歴史的価値が高い旧民家が沢山残っていることで有名な村オンバースリー(Ombersley)。木製の梁と白壁が、古きイギリスのたたずまいをかもしています。日本のような地震国ではすぐに倒れてしまいそうな家々があちこちに有ります。
そんなのどかな村にも、、、、 -
村のメインの交差点の一角にペスト石は残っています。巨大な石を四角く掘り抜いています。
-
銘板が付けられていました。どうやら村の西からここへ移動させたようです。
-
ワンルームのユニットバス程度の大きさがあります。
-
別の家の前にもペスト石が残っていました。この地域はその昔は重要な交流場所だったのかも知れません。
-
ランカスター(Lancaster)の東側にある小さな村ブルックハウス(Brookhouse)。村の東外れにあるパブ ブラックブルイン(The Black Bull Inn)では週末毎にライブが有る楽しい場所だ。
-
その裏側を流れる川の橋の欄干に鎮座するのは、、、、
-
ペスト石
橋の壁の構造物として利用されていました。大切なことですね。 -
そんなに深い穴では有りません。
通りかかった住民に、この石を日本から見に来た、と言ったら驚いていました。 -
石壁と一体化しているため、地元の人でもその石の意味を知る人は少ないでしょう?
この様にして、歴史の重要事項が忘れ去られてゆくのでしょうね。 -
溶け込んでいるといえば、イングランドとスコットランドの境目のボーダー(border)地方の小さな村トウィーズミラー(Tweedsmuir)の一角にあった住宅案内版
-
ここにもペスト石が使われていました。
ちなみに、直進した先にあるタラ貯水池(Talla Reservoir)付近は、風光明媚の場所です。
右折すると、スコットランドとの境界石となる石(Giant's Stones)があります。
この付近は、普通の観光客としては立ち寄ることも無い場所ですが、石巡業者としては非常に重要な場所なのです。 -
さて、先ほどのブルックハウスからB6480に沿って東に進んだ村ローベンサム(Low Bentham)の道沿い壁の中にもペスト石が残っています。
-
壁沿いにゆっくり調べてゆくと、、、、小さな凹みがあります。
-
しっかり銘板も残っています
-
このときは偶然にも、下草が刈られた直後だったので見つけることができましたが、普通なら見つけることは難しいだろうなあ。
というか、これを見るためにイギリスまで来た日本人は、まずいないだろうな? -
さらに北上したペンリス(Penrith)にも、見事なペスト石が残っています。
ペンリス病院のちょっと先にある、気持ちの良い木陰の中に、、、、 -
ペスト石が鎮座しています。残念ながらペットボトルなどが沢山捨てられていました。地元の人から見ても、ただの穴の開いた石、ごみ箱にぴったりの石、なのでしょうね。
-
石を囲むようにベンチがあり、お年寄りがゆったり過ごしていました。石が果たす役割は、今も昔も大きいですね。
-
イギリス中部のヨーク(York)にもペスト石が残っています。
ヨーク競馬場の反対側にある小さな公園の一角にその石はあります。 -
穴が開いた石と、受け皿のような石の2対で構成されています。
-
2器はそれぞれ別々の目的で作られた石ですが、最終的にはこの地で一対になりました。
-
下の受け皿部分がペスト石です。
-
銘板もしっかり残っています。
-
さて、イギリスでペストの歴史を辿ると、イーム村(EYAM)を外すことは出来ません。イーム村はマンチェスターとシェフィールドの間の山間にある小さな村です。
この小さな村はペスト村と呼ばれており、イギリスでのペストを語る上で外すことのできない村です。 -
1620年ごろ、ロンドンから届いた布には、ペスト菌を運ぶノミの卵がびっしり付いていました。これが悲劇の始まりでした。次々と不審な死を遂げる村人たち。気が付くとこの村はペストに襲われてしまったのです。
-
教会のステンドグラスには、その恐怖の歴史が刻まれています。
-
そのペストに襲われた村が取った策が凄い。なんと住民自らが自らの村を隔離したのです。
このペストを地域にばら撒いてはいけない。そのためには村を隔離して、村から一歩も住民を出させない様にしました(たぶん美化されていますね。本当は周囲から隔絶させられたのでしょう)。
村の住民は食べ物を得るために周囲の村から食料を調達しました。その際のコインの洗浄にペスト石が使われました。 -
家々の壁には、ペストで死亡した人々の名前が掲げられていました。
-
キレイに飾られていますが惨劇の後なのです。
-
驚くべきことに、その家々には今でも生活している人がいることですね。日本人の感覚からすれば「事故物件」なので、まず入居者はいないはずです。
とはいえ、500年も経てば史跡化してしまうのでしょう。 -
この村の山間には歴史的に重要な泉があります。
Monpesson's Well -
歴史上でどのような役割を果たしていたのか?解説銘板が残っていました。
-
この泉が、ペストから住民を救い、大きな産業を生み出した、とされています
-
泉はいまでも枯れずに残っていますが、少々にごっています。
-
先出のヨークの街中には、他のペスト石もあります。
The Burton Stone
石の名前が付いたパブです。 -
その一角に石が鎮座しています。
-
通りの一角を整備してまで残した石は、上部に大きな穴が数箇所空けられています。
-
ペスト石としてコインの洗浄に用いられたのですね。
-
銘板もしっかり残っていました。
この様にペスト石(Plague Stone)は、果たした役割の重要性と、惨劇を再び起さないための象徴として、イギリス各地に沢山残っていました。 -
ペスト石とは直接関係有りませんが、この旅では様々な不思議な石にも巡り合いました。
チェスターの西側、ウェールズ(Wales)に入った先にあるルシン(ruthin)という町。ウェールズへ旅する人も通過することがあたり前の、とても小さな町です。 -
ジンジャーブレッドなどかわいいケーキやパンが売られている一角に、、、、
-
その石は鎮座しています。
Mean Huail -
伝説のアーサー王(King Arther)が、この地の領主フアル(Huail)をこの石の上で斬首したとされています。
-
石好きとしては見逃すことの出来ない物件ですが、一般人には只の石です。
アーサー伝説なんて全く興味が無いのですが、伝説の石が今でも大切に残っていることが素晴らしいです。ちなみにこの石は何回も移されていて、現在の地に落ち着いたのは最近のようです。 -
イギリス北東部にある中規模都市ダーリントン(Darlington)。歴史的にも重要視されていなく、旅人も立ち寄ることの無い普通の町。その中心部に近年リニュアルされた商工会ビルがあります。
その一角にある不思議な石 -
The Bulmer Stone
-
ビルと通りの間にラックが設けられ、その上に鎮座しています
-
この石は氷河期に運ばれた石でダーリントンでは古くから慣れ親しんだ石のようです。
-
銘板が残っており、古い時代にも道路に有った石であるコトが分かります。
歴史上重要な石というより、ダーリントンのシンボルの石、のようです。 -
普段はストーンサークルなどを巡る旅ですが、途中途中で不思議な石に出会いました。そんな石をまとめてみると面白いものです。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
15年イギリス石巡り
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 15年イギリス石巡り
0
55