国境越えはスリル満点　オタッキーな旅　～ルーマニア・ヤシからモルドバ・キシナウへ～

2018/06/27 - 2018/07/05

4月に「６月にルーマニアへ行かない？」と誘われて「私は５月にエーゲ海、アドレア海へクルージングに行く予定」「でも方向が違うから。ルーマニアは黒海」あまり方向は違わないのではないかと思いましたが、方向はやはり違うので行くことにしました。
　ルーマニア革命でアメリカに亡命をした方が住んでいた母国はどんな国なのかを知りたいと前から思っていたからです。また、奥山深い森の中にある壁画の美しい修道院を訪れてみたいとも思いました。旅の後半に行くモルドバと国連未承認国のドニエステル共和国への旅もかなりオタッキーで、冒険心と好奇心を掻き立てました。

　６月２７日　成田空港発　TK53
　６月２８日　イスタンブール経由ルーマニア・ブカレスト　旧市街、
　６月２９日　スチャバ
　６月３０日　スチャバ五つの修道院　ヤシ
　７月　１日　ヤシ　モルドバ・キシナウ
　７月　２日　ドニエステル共和国　キシナウ発　TK52
　７月　３日　イスタンブール経由成田空港着

　この旅行記はルーマニアのヤシからモルドバのキシナウへ行く途中で見聞きした事を記録しました。
　
　

エリア キシニョウ(モルドバ)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.0
• グルメ: 3.5
• 交通: 2.5

• 交通手段: 高速・路線バス タクシー
• 旅行の手配内容: 個別手配

ヤシに着いて、翌朝はホテルからタクシーをチャーターして、

ヤシの町の南側丘の上にある要塞修道院へ直行。

　この教会は三聖人教会をモデルにして、１６７２年にゲオルゲ公が建設しています。訪ねた日は日曜日で日曜礼拝が行われていて中には入れませんでした。今でも地域の教会として使われています。

　周りを７ｍの石の壁で取り囲んで要塞として使えるように作ってありました。
いざという時には立てこもれます。

要塞の上から見えたヤシの町の景色です。丘の上にあることがわかります。

南側はブドウ畑になっていました。

タクシーを待たせておいて、再び乗り、丘を下りて文化宮殿で降りました。

　ネオゴシック調の巨大な宮殿です。１７世紀にモルドバ公国太子邸だそうです。今は改装されて４つの博物館になっています。

２階にあるヴォイヴォダ・ホールです。

張り出した柱の彫刻です。柱一つにも凝っています。

４つの博物館は美術、歴史、民俗、工芸がありました。

　民族博物館にはルーマニアの民族衣装が展示されていました。文化宮殿の規模はそれほど大きくはありません。

外から全体が見えます。

　文化宮殿のすぐ隣はモールになっていて、広いスペースにたくさんの店が入っていました。スチャバから乗った列車の貧弱さから考えるとこのモールは別世界で別の国のように思えます。豊かな生活が想像できます。

　シュテファン・チュル・マレ大通りを統一広場の方向に歩くと、三聖人教会がありました。さっき見た要塞修道院とデザインは同じです。この教会をモデルにして作っているので当たり前ですが。壁のレリーフがとてもきれいでした。

　そして、大聖堂。残念ながらここもミサが行われているようで入ることはできませんでした。

　ホテルに戻り、荷物をもってヤシ駅の前にあるアウトガラへ向かいます。いよいよ今回の旅の最難関のモルドバへの国境越えです。

　アウトガラへ行くと１４：４５のキシナウ行きのバスに間に合いました。運転手さんが荷物を後ろのトランクに積んでくれて、バスに乗り込みました。乗ると一瞬、「え？東洋人のおばちゃん？」と視線が集まります。「国境を越えてキシナウへ行くの？」という反応です。そういえばヤシでは一人も東洋人を見ていません。

　バスは統一広場を回って

一路キシナウへ。

　バスはほぼ満席でした。これから３時間余りのバス旅が始まります。バス便は午前中と午後便だけで日中はありません。理由は今朝キシナウを出てきたバスは午後にヤシからキシナウに戻るからです。逆にヤシを朝出発してキシナウへ行ったバスは午後キシナウを出ています。勤務時間の関係でそういう時刻表しか作れないのです。

時刻表です。９：３０から１４：４５までバス便はありません。

かなりの悪路で、ジャンプして頭が天井に付くのではないかと思いました。

草原が続きます。

　約１時間くらい走って、前に国境らしき建物が見えました。緊張します。乗用車と公共交通機関のバスとではレーンが違って、長い行列を作っている乗用車の列を横に見ながら、検問所のところに来ました。乗用車できた人たちは「うんざり」といった表情でシートに座っているのが見えました。★１つの評価の国境です。

　旅行記を書かれた方の中には、個室に呼ばれて賄賂を要求されたということを書かれた方がいました。「バスを降りろ」と言われるかもしれません。ハラハラ、ドキドキ。でも、こっそりと止まっているバスから外の写真を撮りました。

　バスのドアが開いて運転手さんは外へ出ました。すぐには何も起きない様子でのんびりとしています。前を見ると大型バスが止まっていて、このバスの順番はまだ来ないことがわかりました。待つこと２０分あまり。

　中年の男性がやがてバスに乗り込んできて、パスポートを回収し始めました。全員のパスポートを集め終わると出ていきました。集め終わったところでバスは進みました。私のパスポートは？
　

　スペイン（セウタ）からモロッコに入国した時にガイドさんがパスポートを集めて、入国の印を押して持ってきて来てくれたのを思い出します。それと同じようにしているのでは？　

　まさにここは国境。旗が見えます。元々はモルドバ共和国も同じルーマニアでした。モルドバ公国の東半分だったそうですが、ロシア帝国の南下政策で1861年にロシアに併合されてしまいます。ルーマニア人にとっては不本意な国境なのです。モルドバもルーマニア人でルーマニア語を話すそうです。二本のポールがあります。一つはモルドバの国旗？

反対側の車線には

モルドバからルーマニアへ向かう自動車が通るのが見えます。

　また、バスが進みます。

ん？これは確かグーグルマップで確認した場所にあった免税店では？

　バスは止まって、また建物の前に出ました。ここで呼ばれるのか？「東洋人は来てください」と言われるかも？　今まで日本人は世界で信用されているという体験をしてきました。日本人パスポートは信用があるのです。

　たぶんモルドバ側のイミグレーションと思われます。若い女性が中に入って、しばらくしてから出てきました。ここで写真を撮っているのが見つかるとカメラは没収されるかもしれません。でも撮りました。
　２０分ほどすると先ほどとは違う制服を着た警察官（国境警察）がパスポートをもって現れました。車内でそれぞれ自分の分を取り、取ってから次の人に回しました。

　バスは出発して、５０ｍくらい走って止まりました。ん？なぜ？　見るとWCのマーク。トイレ休憩です。「モルドバ側のトイレはきれい」という情報を得ていましたが、行って見るまではわかりません。

　反対側のルーマニアに向かう車線からもトイレに入れるようになっていました。入ってびっくり。トルコ式のトイレでした。

　約５０分を国境越えに費やしました。乗用車で通過するのにはかなり時間を要するでしょう。まさに★１つの国境だと思います。すごい悪路。国境の中も道路は凹凸が激しいです。驚きでした。

　それでも反対側の車線を通るルーマニアへ向かうトラックとたくさんすれ違います。何を運んで行くのでしょうか？

　すごく長くて大きなトラック。

すごいです。驚き！

やっと抜けることができました。やれやれです。

後は、また草原が延々と続いています。でもここはモルドバです。

並木のあるところもありました。

　ルーマニアとモルドバは鉄道の路線があります。残念ながら便数が少なくて使うことはできません。

のどかです。道路の次ぐ脇に馬がいます。交通事故の心配はなさそうです。

線路が続いていますが、一度も列車を見ることはありませんでした。

　やがて、少し建物が見えるようになって、キシナウの町に近づいてきていることがわかります。

でも、また草原が・・・。

線路の向こう側に複数の建物があります。何？

牧草を食べる牛の向こうに家が見えてきました。のどかな風景です。

ため池？　湖ではないかと思います。

走って、走って、

やっと、町らしき建物が見えてきました。

うーん。ここはもう町です。

バスも走っています。

車も増えてきました。

これはマンションでは？

　やっと、キシナウの中央バスターミナルへ近づきました。時計は午後６時前でした。バスターミナル近くの通りで、運転手さんが「フィニッシュ」と言うのでバスを降りました。予定していた場所とは違う場所に降ろされたのでグーグルマップを使ってホテルまで行きました。やはりインターネットは便利です。
　今回の最難関の移動、国境越えは無事にクリアーできて安堵しました。