2011/06/30 - 2011/07/09
191位(同エリア1053件中)
Fuyuyamaさん
- FuyuyamaさんTOP
- 旅行記138冊
- クチコミ27件
- Q&A回答6件
- 169,469アクセス
- フォロワー44人
朝5時前より目が覚める。当然まだ窓の外は暗いが、雲一つ無い星空の下、アイガーの巨大な岩壁が黒々としたシルエットで佇んでいる。やはり、今日は最高の天気に恵まれたようだ。アイガーに目を凝らすと、北壁の中腹に電気の灯りが見える。今日乗るユングフラウ鉄道は、アイガーの中に掘ったトンネルを通ってユングフラウヨッホまで行くが、あの灯りは途中駅の「アイガーヴァント」に違いない。ベランダに三脚を据え、夜のアイガーの写真を撮影している内に、素晴らしいモルゲンロートが始まった。3連泊すれば、一日くらいは晴れる確率が高いといわれている中で、こうして連日見られるとは。本当にこの旅は天候に恵まれたらしい。
昨日は昼食に苦労したので、本日は昨日の内に「おにぎり弁当」を手配している。午前7時、ホテル前で「おにぎり」を受け取り、そのまま駅へ急ぐ。電車は7時17分発の一番列車だ。駅では、偶然、岩国市のご一行に出会う。彼らは、これからシャモニーへ向かい、明日はツェルマットに行くとのこと。また、ツェルマットでお会いするかも知れない。
早朝の一番列車にも拘わらず同じことを考えている人達は多いもので、電車は満席となる。あらかじめ調べてあったので、座席の座る位置や方向は完璧。最高の眺めが楽しめる。約30分ほどでクライネ・シャイディックに到着。ここでユングフラウ鉄道の赤い電車に乗り換え、アイガーの胎内に入っていく。 クライネ・シャイディックではラウターブルンネン方向からの人達も合流して、電車は超満員。幸い乗り口にある補助席を確保することができた。前に座っている外人さん(ここでは我々の方が外人だが)は、これからメンヒに登るとのこと。途中、「アイガーヴァント」・「アイスメーヤ」の途中駅に5分間ずつ停車し、アイガー北壁に嵌め込んだ窓から景色を眺めることができた。
午前8時52分、3,454メートルのユングフラウヨッホ駅に到着。標高3千メートルをはるかに超える、ここでの心配は高山病だ。妻も私も頭は痛くないが、浮遊感というか、ふわふわと雲の上を歩いている感じはする。
駅は地下にあり、ここからエレベーターで展望台へ向かうが、事前に調べてこなかったので何処に何があるのか分からない。それらしい所へ向かったら、いきなり外へ出てしまった。ここは「高原」といわれている所で、ユングフラウとスフィンクス展望台のあるユングフラウヨッホとの間、いわゆる鞍部に相当する場所らしい。温度計はマイナス2度で凍える様な風も吹いており、足下はツルツルの氷だ。あまりの寒さに写真を一通り撮った後、早々に建物内に逃げ帰る。
今度は、案内に従ってスフィンクス展望台に向かう。この頃になると、主に日本や中国からのツアー客が押しかけ、展望台へ向かうエレベーターは大混雑だ。展望台のテラスからは支柱が邪魔にはなるものの、東にはメンヒ、西にはユングフラウが紺碧の空に聳えている。いずれの山も4千メートルを超える山だが、このスフィンクス展望台自体も3,571メートルあるのでそれほど高くは感じない。存分に写真を撮り眺望を楽しんだ後、今度はアレッチ氷河の上へ行ってみる。小さなスキー場の様になっており、レンタルスキーも用意されている。風が当たらないからなのか、最初に行った「高原」ほど寒くない。足下もザラメ状に溶けている所も見受けられる。特段することもないので展望台の建物の中に戻り、インフォメーションセンターを訪ねた。妻が手袋の片方をどこかに落としてしまったので、それが届いていないか確認するためだ。係員の方が不在だったため、レストランで「ホットチョコレート」を飲んでから再度訪ねる。拙い英語でも何とか通じたが、残念ながら届いていないとのこと。
ユングフラウヨッホ発11時30分の電車に乗り山を下りる。クライネ・シャイディックには12時20分に到着した。ちょうどお昼どきでもあるし、駅前にはレストランや食べ物を売っているお店もあるので、ここで昼食を摂ることにする。スイスで是非食べてみたいものの一つに「ブラートヴルスト」と「レシュティ」があるが、ちょうど屋台で売っていたので一皿注文する。「ブラートヴルスト」は、ソーセージを焼いてブラウンソースをかけたもの。また、「レシュティ」は千切りにしたジャガイモを茹でてフライパンで焼いたもので、「ブラートヴルスト」の付け合わせとなっている。シンプルな料理だが、大変おいしい。お弁当で持ってきた「おにぎり」との相性も良い。妻と分け合って食べる。
このクライネ・シャイディックは、アイガー、メンヒ、ユングフラウのベルナーオーバーランド三山が目前に聳える絶景地。特に今日は、雲一つ無い天気なので周りのアルプも輝いて見える。駅から2~3分離れた線路沿いは、絵はがきでよく見かけるビューポイントで、ユングフラウを背景にして手前を赤い登山列車が登って行く。当然、電車の通過を待って写真に納める。狙いどおりの写真が撮れた。
午後は「ミューレン」まで足を延ばし、アルメント・フーベルからのハイキングを楽しむことにする。ミューレンは、ラウターブルンネンのある氷河が削ったU字谷の崖の上にある小さな村で、自動車の通行が禁止されている静かな村だ。最初、スイス旅行の計画段階では、グリンデルワルドではなくこのミューレンに泊まるつもりでいた。まず、ミューレンへはクライネ・シャイディックからヴェンゲルンアルプ鉄道に乗ってラウターブルンネンまで行き、駅前から今度はロープウェイでグリュッチュアルプまで登り、そこからまた電車に乗り換えミューレンへ至る。ミューレンでは、村内を歩いてケーブルカー乗り場へ行き、4分ほどの乗車でアルメント・フーベルへ到着した。
ミューレンより更に高所にあるアルメント・フーベルから眺める三山は、一段と美しい。特にミューレンは、午後の時間から光線の具合が良くなるので尚更だ。ここでのハイキングコースは、当初「ノースフェイス・トレイル」を歩こうと思っていたが、あまりにも山々の眺望が素晴らしいので、急遽「マウンテンビュー・トレイル」を歩くことにする。コースは、お花畑に囲まれた緑のアルプの中を緩やかに下って行く。さすがマウンテンビューの名に違わず、進行方向の右手には絶えず三山の姿が輝いている。相変わらずの絶景ポイント・カメラポイントの連続に足が止まり、先を歩く妻との距離がひらいてゆく。また、急遽コースを変更したこともあり、このコースはどの位の距離で終点は何処なのかも調べていない。頼りは黄色い標識だけである。普段歩きなれない妻にとっては、かなりキツかったらしい。途中でミューレンへ下る分岐もあったが、標識はまだ先を指し示していたのでそちらへ進む。結局、2時間半かかって到着したのは「グリュッチュアルプ」の駅。電車の2駅分を歩いたことになる。妻は疲労困憊、おまけに頭痛がひどいらしい。旅行の3日前にかかった熱中症のことが頭をよぎる。ラウターブルンネンでは乗り継ぎがうまく行かず、次の電車を30分間待つ間、駅のベンチでぐったりしていた。幸いにも薬が効いてきたのか、ホテルに戻って夕食を食べに街へ出かける頃には回復してきたようだ。
夕食のレストランは、街の中心部にあるオープンテラスのお店。張り出してあったメニューカードが日本語表記だったので選んだレストランだ。最初頼んだ料理は売り切れということで、結局私は「ウィーン風カツレツ」、妻は「チーズオムレツ」を頼む。たいした料理ではないが、結構良い値段はする。グリンデルワルド最後の夜だから豪華にとはいかない。ホテルに戻りお風呂に入った後、明日の出発の準備をする。早いもので、旅行もあと半分を残すのみ。ベランダから夕日を浴びて真っ赤に染まるアイガーを見ながら、まだずっとここに居たいと思った。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 航空会社
- フィンランド航空
-
夜明け前のアイガー。北壁に開いた「アイガーヴァント駅」の、窓の灯りが分かるだろうか。
-
7時17分発の1番列車に乗り込む。同じことを考えている人は多いもので列車は満員。
-
真っ青な空に「ユングフラウ」が輝く。最高の天気に恵まれた。
-
クライネ・シャイディックで、赤いユングフラウ鉄道に乗り換え。
-
夜明け前、灯りが漏れていた「アイガーヴァント」の窓から、グリンデルワルトを見下ろす。
-
ユングフラウヨッホ到着。当てずっぽで歩いていたら、いきなり外の「雪原」に出てしまった。「ユングフラウ」は目の前だが、風が強い上に地面は氷でツルツル。
-
ヨーロッパ最長の「アレッチ氷河」もバッチリ!
-
今度は、あの「スフィンクス展望台」を目指す。
-
「スフィンクス展望台」到着。後続の電車で続々と観光客が上ってくる。
-
やはり風は強い。「メンヒ」の頂からは雪煙が。
-
昼過ぎ、クライネ・シャイディックに下りてきた。
-
クライネ・シャイディックも絶景の地。
-
手前の線路で、「ラックレール」が良く分かる。これに歯車を噛み合わせてぐいぐい斜面を登って行くんだ。
-
間近に仰ぐ「アイガー北壁」。上部に登攀の難所「白い蜘蛛」がハッキリ見える。
-
午後は、ミューレンのハイキング。クライネ・シャイディックからラウターブルンネンへ移動する。
-
ラウターブルンネンからグリュッチュアルプを経由し、ミューレン到着。
-
こぢんまりとした村内は、かわいらしい家も多い。
-
ケーブルカーに乗車し、「アルメントフーベル」へ。
-
アルメントフーベルからの絶景。手前から「ユングフラウ」、「メンヒ」、「アイガー」と並ぶ。
-
アルメントフーベルの高山植物園には、「エーデルワイス」も咲いていた。
-
「アイガー(左)」と「メンヒ(右)」。まるで左右の牙のよう。
-
「マウンテンビュー・トレイル」と銘打つことはあって、始終ベルナー3山が見渡せる。
-
「グリュッチュアルプ」に到着。ここまで2時間半かかった。
-
ラウターブルンネンで電車を待つ間、「シュタウプバッハの滝」を見に行く。
-
グリンデルワルト最後の夜。ベランダから夕日を浴びて真っ赤に染まるアイガーを見ながら、まだずっとここに居たいと思った。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
Fuyuyamaさんの関連旅行記
グリンデルワルト(スイス) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
25