富山・高岡から氷見・射水・砺波・南砺の五月連休祭りだらけの旅(一日目)~北前船の寄港地、東岩瀬は全国区規模の廻船問屋も生んだ街。富岩運河環水公園から呉羽山に回れば、富山の新たな文化の息吹も匂います~
2017/04/29 - 2017/04/29
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たびたびさん
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富山県は、加賀二代藩主、前田利常の次男、前田利次に始まる越中富山藩の流れ。つまり、富山藩は加賀藩の支藩だったので、どうしても石川県の風下というイメージがつきまといます。
実際、観光やグルメを普通に考えても、金沢市と比べれば、富山市の寂しさは覆うべくもないのが正直なところでしょう。私もこれまで5~6回は富山市に来ていて、その度にちょっとがっかりしていたのですが、今回は、高岡御車山祭にもひっかけて、改めて、気合を入れて富山市内を回ってみることにしました。
結果としては、可もなく不可もなくといったところでしょうか。東岩瀬の北前船の寄港地としての豊かな歴史と環水公園の胸のすくような眺めは別としても、全体として、これまでのイメージをひっくり返すほどのものではなかったような。ただ、ガラス館とか、市内のレンタサイクルシステムなど、フレッシュなチャレンジが意外にあって、その辺りは北陸電力を生んだパワーの伝統が今も続いているのかもしれません。
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朝一番の新幹線かがやきで、富山駅に到着。
とやま観光案内所は、駅の改札を出ると向かい側に見えます。外観は、係の人の姿も含めてホテルのコンシェルジェみたいですね。市内の情報をもらったのですが、無料のレンタサイクルがあってその手続きをしようとしたら、それはCICの方に行ってくれということ。結局、レンタサイクルは遠出ができないので使わなかったのですが、意外に融通が利かない案内所です。 -
で、富山駅から、さっそくライトレールで岩瀬浜に向かいます。所要時間は、約30分。床が低いので乗り降りが楽だし、音も静か。本数が多いので、住民の足としてすっかり定着したことで、すっかり有名になりました。料金が一律200円なのも分かりやすいです。
しかし、こうした実用面での評判もさることながら、車窓からの景色がたいへんいい。初めて乗った時、白山連邦とかがよく見えて、けっこうびっくりしてしまいました。 -
岩瀬浜駅から海岸に向かう途中の天神松天満宮です。小さな公園のような一角にありました。
ただ、神社自体は小さな祠のようなもので、見応えはなし。 -
むしろ、公園の方に神武天皇の像があって、天皇の持つ弓の上に金のトビが止まった姿。神社と関係があるのかどうか分かりませんが、こちらの方がずっと目立っていると思います。
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この先が岩瀬浜海水浴場ですね。この辺りも古志の松原だと思います。
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前回来た時は、背景に雪を頂く立山連峰が美しく見えたのですが、この日は煙って全く見えず。見える日と見えない日とでは全く印象が違う。見れるとさすが古志の松原は違うとなりますので、見えなかったからと言って、たいしたことないと早合点しないように願います。
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ただ、それでも海岸にはちらほら人影が見えています。
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ライトレール岩瀬浜駅の方に戻って、これは岩瀬カナル会館。川沿いにある施設で、環水公園から中島閘門経由、岩瀬までの運河クルーズはここが終点となります。
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建物自体は道の駅みたいな感じで少しお土産物を売っていたり。
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しかし、お勧めは二階の展示スペース。地元のお祭りの風景のパネルがあって、活気あふれる街のエネルギーを感じました。昔は賑わっていたという語り草だけの街ではないようです。
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ここから市街の方に向かいます。人家が意外に密集していますね。
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七福亭は、老舗旅館、松月の隣り。ここの飛びだんごは岩瀬浜の名物なんですが、見ると「5月10日より10月5日まで」の張り紙。五月の連休ではまだやっていなかったんですね。寒い時期にはやらないということらしいんですが、うーん。残念です。
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今枝福助堂も、同じ並びにある小さな和菓子屋さん。おばあちゃんが一人でやっていて、名物という三角ドラヤキをいただきました。
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イチオシ
三角の形が面白いなあと思いながら食べましたが、この餡子がなかなかいい。艶があって、これはこのお店の腕が光っているように思います。
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イチオシ
さて、岩瀬の大町通りに出てきました。大きなお屋敷も見えるし、これは期待が持てそうです。前回は、ここまで来ていない。初めてのエリアです。
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まずは、北前船回船問屋森家へ。この通りには森家のほか、馬場家、米田家、佐藤家、佐渡家など北前船の廻船問屋がいくつもあったよう。ガイドさんによれば、富山大学を作った馬場家、岩瀬までの鉄道を敷いた米田家までが全国区の格で、この森家はそれに次ぐ格だったようですが、現在公開されているのはここだけです。
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玄関を入って、
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イチオシ
ここから座敷に上がります。中央の畳が流れる川のようなデザインになっているのですが、分かりますか。
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むき出しの梁も力強いですね。
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北前船の寄港地、東岩瀬の位置を確認します。同じ富山だと伏木も後で行く予定です。
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襖が取り払われて、通しになった座敷です。
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赤壁の床の間には船の絵の掛け軸。
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この掛け軸は、棟方志功の版画。これはレプリカですが、棟方志功を支援していたか何か。森家の当主は志功と関係があったようです。
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鴨居には、森家が所有していた北前船の絵馬。
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航海の無事を祈る意味もあって描かれたものかと思います。
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台所の方の展示棚にはべっこうの櫛とか。家族へのお土産に買ってきたものでしょうか。船は何でも運べますから、こうしたものを運ぶのは朝飯前です。
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コテ絵が立派な蔵の方も覗いてみます。
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柱時計がいくつもあったり、ちょっとごちゃごちゃ。これも何でも運んだことを表しています。
なお、後から来たグループはボランティアの方の説明を受けていましたが、時間があれば、その方がいいかもしれません。 -
和菓子屋 大塚屋は、廻船問屋森家のはす向かい。名物のどら焼きをいただきました。
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ここのどら焼きも三角形。岩瀬のドラヤキは三角形なんですね。
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太い春巻きみたいにあんこを巻いたどら焼きを真ん中で斜めに切ると三角の形になる。
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包みを開けるとその切ったどら焼きが二つ入っていました。なお、ぼてっとした甘さの餡子はヘビータイプの味わいです。
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北陸銀行 岩瀬支店は、大塚屋のはす向かいで、森家の隣り。銀行なのに木造の建物ですか。昔の商家の看板ような青い幕には、「北陸銀行」とともに「旧岩瀬銀行」の文字。岩瀬を地盤にするこの銀行は、その後、高岡銀行と合併し、北陸銀行の前身となる。北前船の廻船問屋が何軒もあった岩瀬の財力を示しているように思います。森家も金融業をしていたそうですから、関係はあったはず。ちなみに、旧岩瀬銀行の設立は明治33年。まだ北前船の隆盛が続いていた時期だと思います。
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森家で聞いた他の回船問屋もチェックしてみましょう。
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これは、米田家。
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これは馬場家です。表札でなんとか確認しましたが、今では当時の隆盛を偲ぶのは難しいと思います。
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田尻本店は、日本酒の販売所。
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中に入ると、いきなりワインの貯蔵所みたいに、日本酒を低温保存している棚があって、ちょっとした迫力。実際にその中に入って、手に取って見ることもできる仕組みです。日本酒も長く置くと味がまろやかになったりするんでしょうか。もう少し話を聞いてもよかったかなと思います。
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桝田酒造店は、店先に大きな杉玉が掛かっていて、すぐにそれと分かります。内部の見学も可能だったような気もしますが、この日は玄関も固く鍵が閉まっていて、外から中をうかがうしかありません。ただ、ここの満寿泉なら、さっきの田尻本店に置いていますので、そちらでどうぞ。
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イチオシ
東岩瀬の街並みから海側に出てすぐの富山港展望台。神通川の河口を見下ろす展望台です。形はかつての常夜灯の姿。がっしりした建造物で、これ自体が見応えがあるでしょう。
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階段で展望所に上がると東岩瀬の街並みの向こうに白山連峰の景色が望めるのですが、この日はちょっと煙っていて、美しい姿は望めませんでした。
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目の前に広がるのは富山市内を流れてきた神通川。この河口の対岸同士の位置関係になるのが東岩瀬と伏木。ともに北前船の寄港地として賑わいました。
東岩瀬の方では北陸五大船主の馬場家を生んだり、富山では最も財力があった地域。一方で、イタイイタイ病の記憶もなくはない。誇らしい歴史がある一方で、つらい過去も持つ川でもあると思います。 -
では、東岩瀬の街はこれくらいにして。
東岩瀬駅に戻る途中。小さな公園のような一角の正面に建つのが忠霊塔です。戦前の日中戦争のただ中に作られたもののようですが、単純な戦意発揚のためにしては、ちょっと趣が違うような。いずれにしても、立派な遺構です。 -
東岩瀬から富山駅に戻ってきて、今度はその周辺を歩きます。
富山市芸術文化ホールは、富山駅の裏手で環水公園の側。ライトレールの駅のすぐ向かいです。 -
巨大な建物に入ると、全面ガラス張りの明るいエントランスの空間。そこから、二階に向かって、広い階段が続きます。この日、イベントは行われていませんでしたが、これなら少しくらいの大きなイベントなら悠々。富山はいい施設を持っています。
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この建物の中にある北陸電力エネルギー科学館は、北陸電力の歴史を語る展示館。黒部ダムとか、富山の豊かな水力発電の資源は日本一。その電力を地元でも活用しようと大手の企業誘致など、様々な努力をした先人たちの足跡が紹介されていました。そして、何より、中部電力に組み入れられようとしていたところ、北陸電力として自主性を確保したことも、とても強調されていました。
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少し移動して。タワー111は、富山市街のランドマークと言ったビル。富山市街と立山連峰をバックにする風景写真だとこのビルがはっきりとアクセントになっています。
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最上階に展望室でもあるのではないかと思ったのですが、普通のオフィスビルでそのようなものはなし。一階のホールに総合案内の係りの女性が暇そうにいましたが、どっちにしても観光客には縁がないビルのようです。
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イチオシ
続いて訪れたのは楽翠亭美術館。アイザックという会社の社長宅を美術館として開放している施設です。
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数寄屋造りの瀟洒な邸宅の各部屋に現代アート的な陶器の作品がそれらしく配置されています。
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建物・庭を見るのと作品を鑑賞するのが半々と言った感じだし、建物と作品の一見違和感のある組み合わせを感性の素晴らしさと見るのか、どうなのかちょっと迷いましたが、
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聞いてみると元はホテルや事務所にあった作品を自宅に持って来たのだとか。それで、この違和感も納得。
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これが始めからの感性で組み合わされたものであれば、ちょっと考えないといけなかったんですが、ここのオーナーは普通の感性の人であったということですね。いいと思います。
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ここから富岩運河環水公園に向かいますが、これはKNBいりふねこども館。大きな全面ガラス張りの明るいビルで、外側からでも中で遊んでいる子供たちの様子がよく見えました。絵本がいっぱい置いてあったり、小さな子供とおかあさんが安心して遊べるといったコンセプトかと思います。
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そして、富岩運河環水公園です。
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富山駅の裏側にあたって、ここから始まる運河は東岩瀬に通じます。
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水門にも上がってみましょう。
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それにしても、ここは広々とした水辺の公園。
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イチオシ
この巨大な水門が公園のシンボルで、芝生の広々した眺めも素晴らしいですよね。
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観光遊覧船も時折、姿を現すので、それを含めて、しばらく眺めていても飽きないような気がします。
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環水公園の裏から入ったのですが、富山駅側のこちらが正門。ゲートの下から運河が現れるシチュエーションは、どういう計算なのか。ちょっとドラマチックな造りでしょう。
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富山駅の反対側に回って。
きときと市場とやマルシェは、駅ビルに入るお土産物販売所と地元のレストランがワンスペースにセットになった場所。 -
便利な分、観光客はここに押し寄せているし、特に、人気の白エビ亭とか長蛇の列。予め予定していても、待ち時間とかが意外にかかるので、予定通りにはいかないこともあると思います。
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結局、私もここで飯にしようと思っていたのですが、行列が長いので断念しました。
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で、こちらは富山駅の外側からとやマルシェに入ってすぐのリブラン。お菓子屋さんなんですが、どうかすると薬屋さんのデザインの匂いもするような外観です。
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いただいたのは、富山銘菓、甘金丹。これも、名前はすごいんですが、スポンジケーキにカスタードクリームを入れた至って普通の洋菓子。しかし、どこがすごいのかは正直言えば、よく分かりませんでした。
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富山駅の周辺には商業施設がいくつもあって。
電鉄富山駅ビル エスタは、富山駅に隣接するビルなんですが、のっぽビルで敷地面積も限られるし、駅ビルとマリエに挟まれて、あまり目立ってはいない。表に飲食店の看板があったりしますが、中に入っても気分が盛り上がらない。とやマルシェが出来て、差が出来ているように思います。 -
マリエとやまは、その隣り。専門店が入る百貨店みたいな商業施設です。始めは気が付きませんでしたが、かなり大きな建物です。しかし、一階を入ると衣料品のお店とか。観光客にとってはあまり利用がってはないような気もします。
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富山駅の向かい側のビルがCiC。といっても、大通りを越えたところなので、駅からすぐという感じはしません。ここの一階に観光案内所があって、そこで市内の無料レンタサイクルの手続きをやっています。一見、スポーツ関係の案内所のような感じなので、ちょっと戸惑いました。今朝、観光案内所で聞いていた無料レンタサイクルですが、これは市内中心部のチョイノリを想定したもの。私は、レンタサイクルで呉羽丘陵に行こうと思っていたので、これでは合わない。レンタサイクルは諦めて、バスで向かうことにしました。
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しかし、CICをもう少しチェック。
CICの1階にある地元の産品を販売するのは、富山県いきいき物産ととやま。ゆったりした売り場だし、商品は厳選されたものを置いているような気配はするのですが、あいにくこちらにそこまでの知識がないとその価値がよく分からないような。 -
一角に薬屋さんが店を出していて、パッケージの美しい薬の陳列が面白い。これには富山らしい雰囲気を感じました。
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富山駅向かいのCICの地下にある蛯谷鮮魚店です。生活市場の奥の方。ちょっと寂しげな場所だったのですが、この鮮魚店だけは別の雰囲気があって、市場で買い物をするのとかわらない。お店の人がお客にニーズを丁寧に聞きながら、商品を勧めていて、これは価値ありのお店です。
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CICからほど近くの青山総本舗へ。富山駅から松川べりに向かう大通り沿いで、いかにも老舗風の構えの鱒鮨の専門店。
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松川べりで鱒鮨が作られ始めたのは最初数軒だったようですが、ここもそのうちの一つだそう。
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バラの鱒鮨があってそれをいただきましたが、包みを開けると脂がしたたるような鱒ですね。ただ、ちょっと酢飯の味も濃いし、大量にがつがつ食べるようなものでもないような気がしました。
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さて、ここから呉羽丘陵方面に向かいます。
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呉羽丘陵は、標高150mの呉羽山の周辺の丘陵地帯。呉羽山公園のバス停から、歩きましたが、運転手さんに聞いても、どっちに歩いていけばいいのかよく分からない。
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なんとかそれらしい道を見つけて、どんどん上りはじめます。間違っていないといいんですが。。
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心細く思いながら長い坂道を登って行くと、到着したのは呉羽山公園展望台。こんなところに出てきたんですか。情報にはあったんですが、遠そうな場所だったので、とても行けないなあと思っていた場所だったんですけどね。
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さて、ここは富山市街や立山連峰が眺められる絶好のロケーション。観光タクシーなんかもやってきて、富山の知る人ぞ知るの隠れたビュースポットになっているようでした。
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呉羽山公園は、呉羽山一帯を指すと思いますが、見どころとしては呉羽山展望所とそのふもとの民俗民芸村が中心だったはず。ここから、今度は下りで民芸村を目指せばいいですね。
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ほどなく、富山市民俗民芸村にやってきました。まずは、民芸館。富山市民俗民芸村の一番奥にあたります。
この建物は移築建物のようですが、 -
少し細長い建物を上手に使って、
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イチオシ
家具や焼き物、
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織物・染物、
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生活の道具類が美しく展示されていて、いわゆる用の美を心行くまで楽しめます。
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やっぱり、一つ一つの展示品も大事ですが、それを総合的に見せる技術もとても大事。それがよく分かっているなという感じがします。
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民芸村の一角には、佐々成政剃髪跡というのもあります。
富山城主だった佐々成政は、柴田勝家が敗れた後も、豊臣秀吉なにするものぞと露骨な抵抗を示しますが10万の大軍に攻められ、窮地に陥る。そして、服従の意思を示すために髪を降ろしたという場所がここ。
その後、肥後に国替えさせられて、国衆の反乱を招くと、その責任を取って最期は切腹。傍らの説明板に簡単な経緯が紹介されています。 -
続いての考古資料館は付近の遺跡から発掘された土器類が豊富。
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特に、縄文時代の土偶は遮光器土偶も含めてけっこうな数。
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弥生時代の方墳の形状が山陰との関連を示すものという説明にもけっこう興味をひかれました。
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こんなのは珍しい。しかし、焼き色が美しくて、今の目で見ても十分に美術品としての勧賞にも耐えるものだと思います。
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こちらは、とやま土人形工房。
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土人形も富山の伝統的なもの。富山十代藩主前田利保が開いた千歳窯で、陶器造りの傍ら作り始めたのが始まりだそうです。
天神さんやお雛様が並んでいました。 -
向かいの茶室円山庵は、民芸村にあってお茶をいただける施設ですが、お茶をいただかなくても、
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入口から建物までの遊歩道や建物の前庭など。とても趣のある敷地内を味わうことができて、なかなかよい施設。
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小さな水路の掃除をしている人がいましたが、やっぱりこうした地道な努力がなければこの美しさは維持できない。本当にお疲れ様です。
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次は富山市民俗民芸村の陶芸館。民芸村では一番大きな建物でしょう。
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明治期に富山でブームになった大型の建物の代表格ということで、この建物自体も見応えあり。
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そして、展示品の方ですが、これもなかなか豪華。
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河井寛次郎や濱田庄司、金城次郎などの有名どころの作品だけでなく、無名の陶工でも何か美しい日用品といった作品まで。
これは、濱田庄司風。一派の作品だと思います。 -
イチオシ
これは、河井寛次郎の灰皿。この釉薬の美しさは目を見張るもの。中国の鼻煙壷(びえんこ)のコレクションなんか比べ物になりません。
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同じく、河井寛次郎。安土桃山時代を彷彿とさせるような色彩感覚でしょうか。もちろん、当時、これだけ華やかな焼き物はまだ出来ていませんが、イメージとしてはそういう感じ。これも、河井寛次郎の実力がはっきりと現れていると思います。
まあ、焼き物の世界で言えば、野々村仁清や尾形光琳は別格としても、後世、それに比肩できるのは河井寛次郎しかいないというのが私の認識です。 -
金城次郎は、沖縄の生んだ人間国宝。これに焼酎を入れたりして使います。私は清正窯のマグカップを持っていて、普段はそれを愛用しています。どっしりと重いのが沖縄らしいんですよね。
沖縄のやちむんについて付言すると。。日本の焼き物は磁器と陶器があります。時期は石を粉にして焼いたもので、陶器は土を焼いたものです。磁器の代表は有田焼だし、陶器は備前焼や常滑焼、薩摩焼なんかもそうですね。そして、食器として使う場合は、これを混ぜて使います。どれか一つの焼き物だけを使うと単調になるというか。雰囲気が重くなってしまうんです。磁器と陶器、それに塗物を混ぜると豪華さが出るんですね。ところが、唯一、こうならないのがやちむん。やちむんだけで統一するとその良さが出てくるんですね。そういう意味でも、とっても面白い焼き物です。 -
これは平清水焼。山形の焼き物。東北では珍しい全国区の焼き物だと思いますが、磁器の風合いを目指した陶器。
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それが独特の優しい美しさを生みました。今では青龍窯の梨青瓷が有名で、私も以前訪ねて、珍味入れの揃いを買いました。これらはそれにつながる作品でしょう。なるほど、なるほど。
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こちらの民俗資料館は、藁ぶき屋根の大きな移築建物。
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富山では特に南部で、明治期に入ってからこうした大きな建物を作るのがブームになったのだそうです。
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何もしないとがらんとした姿になってしまうところですが、
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適度に手の込んだ民芸品が配されて、美しい空間になっている。そのセンスの良さにもうっとりしてしまいました。
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そして、最後は篁牛人記念美術館。こちらは、明治34年生まれの富山市出身の画家、篁牛人の作品を展示する美術館です。
入ってすぐから、大作が並びますが、墨絵のようでいて、大胆かつ繊細。独特の美しさもあるし、圧倒的なユニークさがあって、とても心地よいインパクトを感じます。藤田嗣治の影響を受けた部分もありますが、それは些細なこと。このユニークさは一流の証です。
以上、民芸館や陶器館、考古館など、移築された建物を利用したりしていて、その建物も含めて見応え十分。富山は金沢と比べると文化の香りがイマイチというイメージがありますが、ここに来れば、それが少し変わったかなという感じです。意外に収穫がありましたね。 -
再び、富山市内に戻ってきて。
富山大和は、富山市内の中心部、総曲輪にある地元の百貨店。以前、平日に来た時は閑散としていたので、その印象が強かったのですが、休日はなかなか賑わっていて、今回はがらりとイメージが変わりました。店内はおしゃれだし、活気がある。これなら、富山を代表する商業施設として恥ずかしくない百貨店です。 -
富山大和を含めた複合商業施設全体を総曲輪フェリオといいます。ビル横の広場で地元のバスケットチームがオーロラビジョンで中継をしていて、家族連れとか大勢の人がそれを観戦していました。バスケットとかあまりなじみはありませんでしたが、熱気があって、地元ではかなり人気が定着しているよう。また、そうした応援の場としてこの場所が認知されていて、施設全体の賑わいを支えているのもすごいことだと思います。
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近くで、ちょこっとスイーツチェック。
鈴木亭は、 -
杢目羊羹というのが看板商品。
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というのも、プラスチックケースに入った羊羹でしたが、封を開けると、白と黒の木の年輪のような文様が現れて、これにはちょっとびっくり。これが杢目羊羹なんですね。白と黒の部分で味が違うのかどうかまではよく分かりませんでしたが、これだけ目を楽しませてくれるなんて、いや、いろんな羊羹があるものです。
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月世界本舗の看板商品は、月世界。
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妙な名前ではあるんですが、食べるとなるほどねという感じ。メレンゲをしっかり固めた感じで、サクっとかじると卵の香りが口いっぱいに広がります。そのふんわりした香りと、サクッと噛んだ食感とお菓子が溶けた時のまろやかさ。月世界という世界観の表現に間違いはないように思います。
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スイートピー洋菓子店は、外観は何かパッとしない感じだし、商品もシフォンケーキとあとは少しばかり。
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大丈夫かなあと思いながら、シフォンケーキをいただきましたが、このシフォンケーキのふわふわ感とそれでいて、ちゃんとケーキとしての存在感もある感じはかなりの出来栄え。これはすばらしいシフォンケーキです。お菓子屋さんは外見で判断すると間違えます。
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石谷もちやは、アーケード街から少し脇に入ったところ。観光客にとっては目立ちにくいですが、ここの串団子は人気のようで、ポツポツ常連さんがやってきます。
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私は、みたらしとゴマをいただきましたが、うーん。このお餅は片栗粉でまぶしてあるタイプ。お餅としては普通のことなんですが、だんごとしては、生の感じがなくなってしまうので、あんまり感心はしないんですよね。めったにないタイプなんですが、ちょっと残念な気持ちになりました。
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その隣はバンブスという街のパン屋さんです。品数はさほど多いという感じはないですが、必要な商品がきちんとそろっているという感じ。翌日の朝飯にとアンパンを買いまして、若いご主人がきびきび対応してくれました。
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アーケードの方に戻ってきて。これは、竹林堂。名物は「甘酒まんじゅう」です。
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酒饅頭というのはありますけど、甘酒まんじゅうというのはめずらしいですねと女将さんに尋ねると、「麹菌を使ったまんじゅうということなので、それなら酒饅頭と同じです」との答え。
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いただくと、確かに酒饅頭の味わいなんですが、甘みは少し濃いような。この味わいもありかなという感じです。
このデザイン変わってますが、福井県三国町の酒饅頭と似ています。そんな話をしたら、「どこかで聞いたことがあります」と言われました。 -
ところで、富山にはブラックラーメンという名物があります。ただ、ラーメンはあまり好きではないので、食べるつもりはなかったのですが、西町大喜の本店の前を通りかかると、お客さんが出たり入ったりしていて、やっぱりどうにも気になる。せっかくなので、入ってみました。
店内には芸能人の色紙とかがたくさん貼ってあって、なるほどすごい人気のようです。 -
さて、ラーメンの方ですが、醤油の色のような、何かを焦がした色のような。スープをしったり飲んだ方がいいのかどうかもよく分かりませんでしたが、見た目ほどは味は濃くないような。麺は少し堅め。最初の黒とねぎの白の対比が印象に残りましたが、うーん。どっちにしても、すごくうまいということではなかったように思います。
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落ち着いたところで。。
TOYAMAキラリは、ガラス美術館と図書館が入るビルなんですが、このビル自体がアートのような美しさ。外観の近代的なシャープなフォルムだけでなく、 -
イチオシ
内部の木材をふんだんに使ったぬくもりのある空間。エスカレーターから見る周囲の光景も一見の価値ありですよ~
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イチオシ
で、さっそくガラス美術館の方へ。コンセプトは、富山市に加わった新たな文化の香り。自慢のコレクションは、文化勲章も受章した藤田喬平の作品。鮮やかで華やかな色彩ですが、日本的な要素もしっかり感じることのできる作品には目を見張りました。
そこは、写真禁止なのでお伝えできませんが、これは撮影可のエリア。 -
鮮やかな色彩とモダンな造形がインパクトありだと思います。
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そこから、また少し足を延ばして。
日枝神社は、富山市内にある神社としては一番立派かも。 -
鳥居から続く参道の先に建つ社殿も鮮やかな赤が目立つ大きな建物でした。
地元では、通称「富山山王さん」。春季例大祭「山王まつり」は、富山県内最大の祭りです。 -
さらに歩いた富山県立近代美術館は、富山市の中心部からだとけっこうな距離。公園の一角に大きな建物が建っていましたが、実はこれもうすぐ移転するところの休館中。今度は、環水公園の中に出来るので、富山駅からでも近くになります。さっきの環水公園には新しい建物が既に建っていて、屋上が開放されていて、けっこう賑わっていました。
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こちらの富山市科学文化センターは、近代美術館と同じ公園の中に建つ施設。近代美術館の方はもうすぐ環水公園に移転するので、少し寂しくなるかもしれません。
ただ、この施設は実質的には博物館。ナウマンゾウの巨大展示とかがいきなりあったり、それなりの見どころはあるように思います。 -
再び、富山市街中心部に戻ってきて。
これは、本願寺富山別院。本願寺派の本堂は時々ユニークな建物があるのですが、ここもその一つでしょう。鉄筋コンクリートの建物は、大きな塔をいただいたようなデザイン。山門の正面にそびえるように建っていて、けっこう目を引きます。 -
そして、最後になりましたが、富山城のエリア。
ところで、富山城は、佐々成政の居城から、江戸時代は富山前田氏10万石の居城。堀や石垣に、これは復元されたものですが、天守閣も美しいです。 -
富山駅からも近いし、周辺は富山県庁や富山市役所もあって、そういう意味では今でも富山市の中心です。大通りから、城内へはすぐ。とても気軽に立ち寄れます。
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城内に入って、これは富山城址公園。加賀藩第三代藩主前田利常の次男利次が10万石を与えられて成立した富山藩、富山前田氏の居城を整備したもの。一角に美しい日本庭園のエリアがあって、なかなか見応えがあります。また、周囲を流れる松川の景色と一体となったエリアは、鱒鮨の発祥の地であったり、富山市の歴史を受け継ぐ観光スポットでもあると思います。
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富山城公園の中ほどに建つ前田正甫像。この周囲は小さな公園のように囲われていて、そういう意味ではちょっと大事にされている銅像です。説明書があって、前田正甫は、富山前田氏の二代目。地場産業である製薬業の興隆の祖ということですから、富山にとってはなかなかの恩人という人物かもしれません。
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富山城公園から松川公園に向かうのに通るこの橋は、景雲橋。赤い太鼓橋で遠くから見るとそれなりに風情はあって、観光客の記念写真スポットにもなっていますが、実際に渡ってみるとコンクリート製。それでも、かつての富山城の面影を残す橋としての価値はあるでしょう。
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出たところが、松川公園。富山城のお堀の役目もしている松川に沿って整備された公園です。桜の並木やところどころに彫刻のモニュメントがあったりします。特に、景色がきれいというほどでもないのですが、松川を遊覧船が巡ったりもしている。むしろ、富山城や富山の歴史とともにあった場所という意味合いの方が大きいでしょう。
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松川べり彫刻公園という名前もあって、松川公園にある遊歩道沿いの彫刻を配置しているエリア。「松川と彫刻プロムナード」として、うるおい環境とやま賞を受賞しています。ただ、彫刻はモダンアートのようなものから、写実的なものまでけっこうバラバラ。何かもう少し統一感のあるように出来なかったのかなあという感じはしなくもありません。
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松川の方から見上げるとライトアップされているし、ちょっと目立っているのは富山市役所展望塔。
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これなら上がってみようと上ってみたのですが、けっこう高いし、空中に突き出したような感じがあって、高所恐怖症気味の私は腰が引けまくり。あんまり落ち着いて眺めることはできませんでした。
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改めて。桜橋は、市役所から松川を電気ビルの方に少し進んだところ。現在の橋は三代目のようですが、上路式鋼2ヒンジアーチ式の鋼橋という珍しい形。松川はもとは神通川の本流で、洪水が出たりして、橋が流されてしまうことがたびたびあったよう。そうした歴史も思いながら、この頑丈そうな橋の姿を拝見いたしました。
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その先にあるのが富山電気ビルデイング。昭和11年、北陸電力の前身である日本海電気の本社ビルとして建てられました。富山市内で戦前に建てられた建物は、県庁とこのビルだけ。日が暮れてから眺めましたが、ライトアップされた姿がなんとも美しい。戦争の色彩が濃くなっていた時代だと思いますが、そんなことは全く感じさせない。とにかく美しいビルだと思います。
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そして、ここ説明板はノーベル街道。ノーベル賞を受賞した五人の学者が国道41号の富山から高山までの約90kmの沿線にゆかりがあることから名づけられたもの。
化学賞の田中耕一氏、医学・生理学賞の利根川進氏、物理学賞の梶田隆章氏、物理学賞の小柴昌俊氏、化学賞の白川英樹氏。世界の頭脳がここで育まれたと説明されていました。 -
続いて。この富山県庁舎は、国会議事堂の設計を担当した大蔵省営繕管財局工務部長、大熊喜邦が監修し、昭和10年に完成したもの。富山大空襲で、焼夷弾の直撃を受けますが、焼け残ったという貴重な建物です。丸みを帯びたデザインは左右対称。花崗岩とタイルを全面にシンプルに使ったことで落ち着いた印象を与えます。歴史はありますが、不思議と傷んだ感じがしないのも素晴らしいと思います。
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富山県本庁舎の通りを挟んだ向かい側は、その通りの名前、富山県庁前公園。たぶん広場のような公園かと思っていたのですが、美しい芝生の公園。あまり広さはないように思いますが、これなら逆に富山市街の憩いの場所としては最適かもしれません。ただ、大通りから中に入っているので、観光客には気が付きにくい場所かなとは思います。
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そして、富山駅に戻ってきて、ここから今夜の宿の高岡に向かいます。
その前に、晩飯を買ったのは順風屋。富山駅の外側に面したお店です。富山名物の鱒鮨を買いました。 -
高岡駅に到着して、今夜の宿、あさひシティーインホテルへ。高岡駅から歩いて5分くらい。外観はちょっとぼろっちいですが、部屋の設備などまあ普通のビジネスホテルです。効率化で受け付けは最小限の対応なので、11時になると玄関は閉まるようです。
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で、部屋で、順風屋の鱒鮨をいただきます。
どこの鱒鮨もそうなんですが、包装が凝っていて、開ける時のドキドキ感がいいですよね。鮮やかな鱒も美しい。 -
ただ、鱒鮨としては可もなく不可もなく。普通かなと思います。
さて、明日からしばらく高岡をベースにして、高岡市内と周辺部を回ります。まず初日の明日は氷見から伏木の予定。また少し歩くエリアですが、まあ、それはいつものことでしょう。
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この旅行記へのコメント (2)
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- たらよろさん 2017/10/29 18:21:38
- 魅力いっぱいの富山県ですね
- こんばんは、たびたびさん
私も先日、念願叶ってやっとの事で富山市内と高山市内をぶらついたのですが、
本当に触りだけ、、、、
それでも、素敵な美しい街だなって感じて、
今度は美術館もいろいろ行きたいなぁって思いました。
街並みも素敵そうだし、
やっぱり、あちこちもっともっと歩いてみないとなぁって。
この旅行記で再認識です!!
たらよろ
- たびたびさん からの返信 2017/11/01 16:05:00
- RE: 魅力いっぱいの富山県ですね
- コメントありがとうございます。
富山は、続いてあと四日間の旅行記をアップする予定。あれこれあるので、なかなかしんどい。ちょっと時間がかかってますが、高岡市周辺も面白いので、これもなにかの参考にしていただければと思います。
たびたび
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