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多聞城(たもんじょう、奈良県奈良市法蓮町)は戦国時代末期に畿内を制した三好長慶(みよし・ながよし、1522~1564)の執事として仕えた松永久秀(まつなが・ひさひで、1510?~1577)が長慶の命を受けて、永禄2年(1559)大和国平定のため進出、同国を支配する拠点として奈良盆地の北端に在する佐保丘陵に築城、後年織田信長の安土城築城に影響を与えた先見性の高い近世城郭と評価を得ています。<br /><br />現在は多聞城主郭を含む城域のほとんどが残念ながら市立若草中学校の校地と化し、往時の遺構は見当たらずただ校門の傍らに建っている航空写真と説明文で往時の状況を知るだけです。<br /><br /><br />若草中学校校門傍らに建てられている多聞城説明板には下記のように記されています。<br /><br />「多聞城跡<br /><br />多聞城は、戦国武将、松永久秀が築城した城です。<br /><br />永禄2年(1559)、久秀は大和に侵攻し、翌年、奈良の町を見下ろす佐保山の一画に多聞城の築城を始めました。永禄8年(1565)、奈良を訪れた宣教師ルイズ・デ・アルメイダは城は瓦葺で城壁の城壁を備え、城内は障壁画で飾られるほど豪華な造りであったと書き残しています。後に「多聞櫓」と呼ばれる長屋状の櫓や、後世の天守に相当する「四階櫓」が造られるなど、近世城郭の先駆けとなる城でした。<br /><br />松永氏が退いた後、天正2年(1574)、織田信長が多聞城に入りました。しかし、天正4年(1576)には、信長により多聞城の取り壊しが命じられ、築城からわずか十数年で破却されました。建物の一部は安土城や二条城で再利用され、残されていた石材は筒井城へ運ばれていたことが知らされています。<br /><br />城跡は、現在の奈良市若草中学校の校地と、西側の先明皇后陵、聖武天皇陵を含む範囲と考えられ、北西と東西には堀を巡らし、南西は佐保川で奈良の町と区切られていました。<br /><br />発掘調査では、石造物を再利用した石組の溝や井戸、多数の瓦など見つかっています。また現在でも、校門の東側には、校地一帯で発見された墓石類が手厚く供養されています。」<br /><br />

大和奈良 将軍義輝を追放し畿内統一を実現した三好長慶の執事で近世城郭築城先駆者として著名で信長を嫉妬させた梟雄松永久秀築城『多聞城』訪問

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2017/03/19 - 2017/03/19

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滝山氏照

滝山氏照さん

多聞城(たもんじょう、奈良県奈良市法蓮町)は戦国時代末期に畿内を制した三好長慶(みよし・ながよし、1522~1564)の執事として仕えた松永久秀(まつなが・ひさひで、1510?~1577)が長慶の命を受けて、永禄2年(1559)大和国平定のため進出、同国を支配する拠点として奈良盆地の北端に在する佐保丘陵に築城、後年織田信長の安土城築城に影響を与えた先見性の高い近世城郭と評価を得ています。

現在は多聞城主郭を含む城域のほとんどが残念ながら市立若草中学校の校地と化し、往時の遺構は見当たらずただ校門の傍らに建っている航空写真と説明文で往時の状況を知るだけです。


若草中学校校門傍らに建てられている多聞城説明板には下記のように記されています。

「多聞城跡

多聞城は、戦国武将、松永久秀が築城した城です。

永禄2年(1559)、久秀は大和に侵攻し、翌年、奈良の町を見下ろす佐保山の一画に多聞城の築城を始めました。永禄8年(1565)、奈良を訪れた宣教師ルイズ・デ・アルメイダは城は瓦葺で城壁の城壁を備え、城内は障壁画で飾られるほど豪華な造りであったと書き残しています。後に「多聞櫓」と呼ばれる長屋状の櫓や、後世の天守に相当する「四階櫓」が造られるなど、近世城郭の先駆けとなる城でした。

松永氏が退いた後、天正2年(1574)、織田信長が多聞城に入りました。しかし、天正4年(1576)には、信長により多聞城の取り壊しが命じられ、築城からわずか十数年で破却されました。建物の一部は安土城や二条城で再利用され、残されていた石材は筒井城へ運ばれていたことが知らされています。

城跡は、現在の奈良市若草中学校の校地と、西側の先明皇后陵、聖武天皇陵を含む範囲と考えられ、北西と東西には堀を巡らし、南西は佐保川で奈良の町と区切られていました。

発掘調査では、石造物を再利用した石組の溝や井戸、多数の瓦など見つかっています。また現在でも、校門の東側には、校地一帯で発見された墓石類が手厚く供養されています。」

交通手段
高速・路線バス 私鉄 徒歩
  • 奈良女子大学正門<br /><br />近鉄奈良駅から北進して途中に奈良女子大学を左手に見て更に進みます。江戸時代の奈良奉行所の敷地でした。奈良は幕府直轄地でその管理運営は当該奉行所が担当していました。

    奈良女子大学正門

    近鉄奈良駅から北進して途中に奈良女子大学を左手に見て更に進みます。江戸時代の奈良奉行所の敷地でした。奈良は幕府直轄地でその管理運営は当該奉行所が担当していました。

  • 佐保川<br /><br />多聞城域と奈良の町とを区分ける佐保川を渡って若草中学校をめざします。この佐保川が多聞城にとって外堀の役割をしていたと推測されます。<br /><br />

    佐保川

    多聞城域と奈良の町とを区分ける佐保川を渡って若草中学校をめざします。この佐保川が多聞城にとって外堀の役割をしていたと推測されます。

  • 若草公民館<br /><br />多聞城に至る道路の途中に「若草公民館」があり、事前調査では多聞城跡に関する情報が得られるとのことで立ち寄りました。

    若草公民館

    多聞城に至る道路の途中に「若草公民館」があり、事前調査では多聞城跡に関する情報が得られるとのことで立ち寄りました。

  • 「幻の城多聞城」<br /><br />過去に当公民館が奈良女子大学の教授に執筆依頼して発行した冊子の紹介がありました。残念なことに在庫はなく閲覧用だけとのことで、時間の関係で内容をカメラに収めるにとどめました。同時に館内には多聞城についての情報をパネルにして掲示しており参考になりました。

    「幻の城多聞城」

    過去に当公民館が奈良女子大学の教授に執筆依頼して発行した冊子の紹介がありました。残念なことに在庫はなく閲覧用だけとのことで、時間の関係で内容をカメラに収めるにとどめました。同時に館内には多聞城についての情報をパネルにして掲示しており参考になりました。

  • 若草中学校校門

    若草中学校校門

  • 多聞城跡説明板<br /><br />若草中学校校門の脇には多聞城跡に関する説明板が建っています。

    多聞城跡説明板

    若草中学校校門の脇には多聞城跡に関する説明板が建っています。

  • 多聞城跡説明板(拡大)<br /><br />説明文には触れていませんが、松永久秀は主人の三好長慶に仕えるなか持ち前の鋭い判断力と先見性の高い思考力を駆使して、長慶の手足となって畿内の政治をまとめる人物でありました。長慶もこれ高く評して将軍家に官位恩賜を迫り異例ながら陪臣の秀久は「弾正少弼」の官位を受けています。

    多聞城跡説明板(拡大)

    説明文には触れていませんが、松永久秀は主人の三好長慶に仕えるなか持ち前の鋭い判断力と先見性の高い思考力を駆使して、長慶の手足となって畿内の政治をまとめる人物でありました。長慶もこれ高く評して将軍家に官位恩賜を迫り異例ながら陪臣の秀久は「弾正少弼」の官位を受けています。

  • 多聞城跡説明板(拡大)<br /><br />航空写真で多聞城跡の位置と規模が確認されます。

    多聞城跡説明板(拡大)

    航空写真で多聞城跡の位置と規模が確認されます。

  • 多聞城跡アクセス<br /><br />アクセスについては近鉄奈良駅を出て北に向かい、奈良女子大学正門を左に見ながら更に北進し、途中の佐保川をわたると坂の突き当りに多聞城跡であった若草中学校が視野に入ってきます。

    多聞城跡アクセス

    アクセスについては近鉄奈良駅を出て北に向かい、奈良女子大学正門を左に見ながら更に北進し、途中の佐保川をわたると坂の突き当りに多聞城跡であった若草中学校が視野に入ってきます。

  • 若草中学校

    若草中学校

  • 若草中学校校地<br /><br />高校内に無断で入ることは控えましたが、石段の右側に「多聞城跡」と刻された石標が目につきました。

    若草中学校校地

    高校内に無断で入ることは控えましたが、石段の右側に「多聞城跡」と刻された石標が目につきました。

  • 多聞城跡石標<br /><br />中学校への入場ができずやむなく学校の奥に建てられている「多聞城跡」石標を捉えます。

    多聞城跡石標

    中学校への入場ができずやむなく学校の奥に建てられている「多聞城跡」石標を捉えます。

  • 奈良市街<br /><br />若草中学校校門から振り返って奈良市街を一望します。これにより「奈良盆地をを見下ろす丘陵」に多聞城が建てられていることが判ります。

    奈良市街

    若草中学校校門から振り返って奈良市街を一望します。これにより「奈良盆地をを見下ろす丘陵」に多聞城が建てられていることが判ります。

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