2017/02/12 - 2017/02/12
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たびたびさん
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岡山城、後楽園が岡山市にあっても、岡山県の一番の観光地はやっぱり倉敷だと思います。江戸時代の幕府直轄の物流の集散地から始まって、その後はクラボウの企業城下町。そして、クラボウ創業者の大原孫三郎が欧州で集めた良質のコレクションを有する大原美術館が創設されたことで、文化の薫り高い街という、もう一つの色褪せない魅力が加わりました。個人的な美術館が地域や街全体のイメージをこれだけ高めている例は、なかなかないのではないでしょうか。
さて、大原美術館は今回三度めの訪問でしたが、画家のネームに引きずられることなく、上質な作品を厳選した粒揃いの内容に、欧州の美術史を旅するようなバランスの良さ。その基本構造が相変わらずで、個々の作品だけでなく、その順路にも、そうそうやっぱりこうだよねといった納得感や懐かしさのような思いも湧いてきました。そして、今回はその背景に児嶋虎次郎の大きな支えがあったことも知り、いっそう味わいが深まったよう。何度も足を運ぶといろんな発見がある、その懐の深さも魅力です。
ほか、のどかな倉敷川の舟下りを眺めたあとは、B級グルメもチェックして、この日も1日目一杯。少しでも密度の濃い倉敷の空気が伝えられたら幸いです。
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アイビースクエアのホテルから倉敷市内を回ります。限られたエリアなのですが、改めて調べるとまだまだ知らなかったいろんな見どころがある。
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アイビースクエアの敷地内にもいくつかあって、それらをまずはチェックします。
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オルゴール館のそばにあるのは、倉敷代官所跡の碑。ここはクラボウの工場跡なんですが、江戸時代は代官所があった場所なんですね。
つまり、倉敷は徳川幕府の直轄領。岡山は外様の池田氏岡山藩に譜代の松平氏美作藩とこの直轄領。当然、倉敷が一番豊かだし、いろんな心配もしなくていい。そうした事情によってそれぞれの風土が生まれることになったのは、いわば完全な地方分権が成立していた江戸時代の特徴の一つです。 -
その代官所の碑の横には、倉敷代官所井戸というのも残っています。倉敷は川もあるし、水が不足するということはなかったようにも思いますが、埋立地でもあるので、水はあっても塩分が混じったりすることもあったような。クラボウの工場になってからもこの井戸は大切にされたようです。
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すぐそばには内濠遺構も。内濠遺構は、小さな水路跡のようなちょっとした場所なので、今ではかつての防御を目的とした濠にはとても見えません。水草も植えてあって、むしろ潤いのある景色。夜にはライトアップもされていました。
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アイビースクエアを出て、市街に向かいます。
倉敷川は、美観地区の真ん中を流れる川。この川を観光用の小舟が行き来して、これが美観地区を代表する景色になっているのですが、もともとは運河として利用されていたもの。川幅もかつては20m。今の倍くらいあったということです。
まだ朝早いので、人影は全然見えません。鏡のように風景を映す静かな川面です。 -
倉敷中央通りから美観地区に入ってきて最初に出会う倉敷川の橋が今橋です。がっちりした石橋で、
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イチオシ
橋のたもとには大原美術館もあるし、有隣荘や大原邸も目の前。
美観地区の観光だとここを出発点にすることになるので、もう少しすると大賑わいになるはずです。 -
誓願寺は、裏手に入った倉敷美観地区の本町。これも市街地です。
江戸時代後期に建てられた浄土宗の寺で、菊の瓦紋が許されているのは由緒ある証。 -
いかめしい山門から奥の本堂を眺めるだけで、内部の拝観等はできません。夜は山門は閉まっています。
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同じ本町通りに建つ中国銀行倉敷本町出張所です。側面に多数の柱をもつルネサンス様式の建物で、存在感は抜群です。今は使用されていないようですが、大原美術館がここも使って展示をする計画があるとのこと。せっかくの建物なので、早く活用してもらえたらいいですね。
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また本町通りを少し進んで、これは井上家住宅。しかし、現在は工事中ということで白いシートで周囲は目隠しされていました。
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ただ、工事中の現場の解体作業の様子などが写真で示されていたり、観光客にも少し配慮があるようには思います。
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ところで、美観地区を代表する景色は倉敷川とその周辺でしょうが、本町の通りももう一つの大事な顔。かつては、倉敷と早島を結ぶ街道だったようですが、今でも町家風の建物がけっこうな距離をびっしりと軒を並べていて、京都でもこれだけの密度はなかなかないかもしれません。
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ここからは、倉敷の後背地、鶴形山の方へ向かいます。観龍寺は、その中腹に建つ真言宗御室派の寺。
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石段を少し上がると、もう倉敷の市街が一望できます。
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幕末、長州藩の第二奇兵隊の脱走兵が倉敷代官所を襲撃し、その後、この観龍寺に陣を張るという事件が起きました。
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境内は意外に広くて、本堂他の建物も立派。確かに陣を張るにはちょうどいいようなお寺です。
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美観地区を見下ろす鶴形山の山頂付近は、鶴形山公園となっています。中央に阿智神社が鎮座しているので、それをよけた周辺が公園となっているので、公園というか遊歩道に少し毛の生えたくらい。公園としての広々とした感じはありません。阿智の藤という樹齢300年から500年と言われる藤が見どころでしょう。
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これが阿智神社。倉敷の総鎮守です。
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イチオシ
ちなみに、倉敷は埋立地。かつてこの地は亀島、鶴形島という呼び方もあって、海に面した島だったのかもしれません。神社は正面に太いしめ縄。
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本殿は檜皮葺の古風なもの。歴史を感じる姿があちこちにあって、なかなか立派な神社です。
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再び、本町通りに降りてきました。まだ、ひっそりと人けのない通りです。
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城山稲荷神社は、アイビースクエアの駐車場の一角。名前からして大きな神社かと思ったら、鳥居の先に小さな祠があるだけで、ちょっと拍子抜けしました。小さな説明板があって、古来この辺りは城山と呼ばれ、戦国時代までは小野ヶ城という城があり、その城主が伏見稲荷を勧請したのが始まりとありました。
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イチオシ
これがアイビースクエアの正門でしょうか。工場の正門にしては、お客様をお迎えするといった雰囲気があるのが面白いですね。
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また倉敷川に出て、高砂橋は、美観地区を流れる倉敷川の一番下流に架かる橋。他の橋と同じく石橋ですが、作りは一番粗末かもしれません。
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江戸時代末期に今の今橋の場所に架けられたのですが、今橋ができてこちらに移されたそうです。ここがかつては高砂町だったことから、名前も高砂橋に変わりました。ここから倉敷川の上流は見通しがきくので眺めはいいです。
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ここから倉敷中央通りを下っていくと、倉敷市芸文館です。
この施設自体はコンサートホールなんですが、広々とした敷地なので周辺は公園のように整備されていて、自然史博物館や市立美術館と合わせ、倉敷の文化ゾーンといったエリアになっています。 -
裏手に回ると、大山名人記念館。
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小さな展示室のようですが、けっこうな広さの和室があって、いつでも将棋を指せる体制になっている。ちょっと道場のような感じかとも思います。
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そして、将棋一筋に生きた大山名人の歴戦の様子を捉えた写真は今でも十分な迫力がある。偉大な足跡が改めて感じられました。
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中心部に戻ってきて、これは日本郷土玩具館。
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これは表通りに面したディスプレイ。
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売店の奥に有料のスペースがあって、先代が集めたコレクションを展示します。
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しかし、このコレクションは途方もない。膨大な内容じゃないですか。
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県別に展示した全国の土人形はそれぞれの郷土色が豊かだし、凧やお面のコレクションも美しい。
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牛に乗った天神さんは、ニッコリ笑顔がいいし、
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天狗やきつねのお面も、妖しさの中に夜祭りのような楽しい雰囲気を感じます。
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これは、紙人形。日田のおきあげを思い出しますね。
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この配色は香川のような。。
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インパクトある配色です。
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堤人形は、東北を代表する土人形です。
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天井には凧の展示。
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日本中に凧はあって、このジャンルも玩具では外せません。
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一番奥のメイン展示風の一角。やっぱり、御所人形があって、
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これは珍しい竹田人形ですね。久しぶりに見ましたが、この躍動感はほかの人形にはまったくないもの。やっぱりこの人形もないとコレクションとしては片手落ちです。
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なるほど。これは量的にも質的にも優れた価値あるコレクション。倉敷に来たなら、必見と言ってもいい施設でしょう。
なお、係の人に「インスタグラムに載せるなら写真を撮ってもいいですよ。どんどん宣伝してください」と言われたので、写真はこうしてブログに出させてもらいました。ここの所蔵品であることが分かるようにしてあれば、いいようです。 -
表通りに出て。
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向かいの石垣は、倉紡製品原綿積み降ろし場跡。アイビースクエアから倉敷川に出てくる小道の先です。先にも触れましたが、倉敷川はかつて運河として使われていた川。ここで船が横付けされて、荷物が積み降ろしされていたんですね。ここに、同じ高さの船がつけば、効率的に作業ができたものと思います。
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イチオシ
同じ並びの倉敷民藝館では、-布志名舩木窯の魅力-舩木研兒遺作展を拝見しました。
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布志名焼は楽山焼と並ぶ出雲の焼き物。松平不昧公好みの御用窯だったのですが、明治に入ってからはすたれて、おみやげ品などを焼くような二流の焼き物になったという理解でしたが、この内容はそれを見事に覆すもの。力強い造形と色使いには、民陶の美しさもあるし、かつての御用窯の伝統も感じられる。いい企画展です。
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そして、ここは建物の重厚な雰囲気も素晴らしい。倉敷の面目躍如といった施設です。
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これも、同じ並びの倉敷館。中橋のたもとにあるレトロな洋館で、観光案内所が入っています。
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中はかなり広いスペースの休憩所になっていて、これは贅沢。美観地区の真ん中でこれだけ思い切った使い方をしているのはすごいこと。評価できると思います。
なお、ボランティアのガイドさんもいるので、休みながら情報ももらえます。 -
イチオシ
倉敷川の観光川舟。
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日差しがきついので、観光客も笠をかぶって、いい感じです。
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さて、この辺りには、まだまだいろんな施設が集中しています。
倉敷考古館は、中橋のたもと。なまこ壁が美しい建物です。 -
岡山は瀬戸内海沿岸にかなりの数の遺跡が発見されていて、展示品はそこで発掘されたもの。
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縄文・弥生・古墳時代と年代別に展示してありますが、
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一つ一つの展示品が風合いとか美しいような。
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イチオシ
直接、備前焼につながるものではないかもしれませんが、
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やはりその土台になった文化のような気はします。
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豊かな岡山平野を背景にして、
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稲作とかには適した自然条件。
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たとえば、広島と比べると、広島にはこうした分厚い遺跡群はないような。
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さりげないような展示ですが、
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この分厚さが、岡山の特徴を表しているような気もします。
意外に楽しめる内容で、少し時間をかけて拝見させてもらいました。 -
表に出たところの風景。
改めて言うと、倉敷川に架かる石橋は、上流から今橋、中橋、高砂橋の順番。倉敷川は中橋のところで鍵型に流れを変えます。橋の両側は倉敷館と考古館。それを緩やかな反りのある中橋が結びます。今橋に向かっての眺めがいいので、人気の記念写真撮影場所になっています。 -
加計美術館は、中橋のたもと。倉敷館と並んで建っています。名前は美術館となっていますが、企画展がある時以外は、お土産物やアクセサリー、食器など小物類のショップ。
なお、この日も企画展に向けた準備の真っ最中。売り場の奥が展示室です。 -
イチオシ
大山日ノ丸証券倉敷支店は、大原美術館の方の隣。
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一見すると、町家風の大きなお屋敷みたいな建物なんですが、表に現在の経済情勢とかを解説する掲示板があったりして、ちょっと面白い。トランプ大統領の影響見通しとか上手にコメントしていました。
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倉敷川を挟んだ大原美術館の向かい側は、有隣荘です。
大原家の別邸で、昭和3年に建てられました。泉州堺の瓦職人に特別注文した緑色の瓦が特徴で、通称は緑御殿。真緑ではないですが、赤にぼんやり緑がかっている色合いと松の緑がうまくコラボしています。ただ、現役の建物なので、観光客は外観を見るだけです。 -
その有鄰館の隣りは、旧大原家住宅。実際に住んでいる人がいらっしゃるので、これも外観を見ることしかできませんが、
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圧巻は塀越しに見える庭の気配。けっこうな広さの庭には背の高い涼しげな松が何本も生えていて、ゆったりした生活空間が想像できます。
なお、たまあに内部の公開もしていると聞きました。 -
倉敷物語館は、もうすぐで大原美術館といった美観地区の入口。
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武家屋敷のような長屋門を入ると広い平地。そこにいくつかの建物が建っていて、
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観光案内所もある正面の施設では、
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倉敷の干拓の歴史なども解説。広島市も江戸時代以降、広島湾を干拓してきた歴史がありますが、倉敷も同じような感じ。備中高松城の水攻めにもヒントを得たとありましたが、瀬戸内海の大規模な干拓事業に思いを馳せました。
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人形の展示は、時代考証的には間違いなんですが、
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こうだったら楽しかっただろうなあという、あくまで想像の世界です。
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古文書の展示室も少しあって、
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代官所の時代の様子も伝えます。
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ここから、今度は大橋家住宅へ。
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美観地区からは少し離れたエリアにある町家住宅で、国の重要文化財にも指定されています。
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ちなみに、大橋家は水田、塩田の開発で財をなした地主。
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町家住宅といっても、規模や格式は立派な豪商の気風があって、半端ではない。
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客用の上間や離れを結ぶ廊下には、
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いい感じの路地庭園が配されているし、
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この屋敷全体がちょっと別の世界になっているような感じです。
倉敷では、認知度はイマイチの施設ですが、代官所の時代を偲ぶにはこれ以上の場所はないかもしれません。 -
イチオシ
中庭から、ナマコ壁の蔵に井戸を眺めて、
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これは台所につながる上がり框の食事の間。主人の家族は奥の一段高い場所で食べています。
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イチオシ
正式な上の間に、
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主人の書斎。
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路地の設えも必要最低限の趣です。
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で、もう一つの見どころは、この展示室。
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高橋由一が描いた主人の肖像画。当時は高橋由一の知名度はイマイチだったはずなんですが、半分はパトロンとしての気持ちからの注文だったかもしれません。
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華やかな掛け軸に
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襖絵は、平和な幕府直轄領の穏やかな暮らしぶりが反映されているような。
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瀬戸内のひな人形も日本一豪華な人形といわれる貴重な品です。
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人目をあまりはばからず、さりとて華美なぜいたくの匂いもしない。ほどよい心地よさは、後の大原美術館の気風にもつながっているかもしれません。
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再び倉敷中央通りから。
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今度は、倉敷市立自然史博物館。芸文館や市立美術館もある倉敷の文化ゾーンの一角です。
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入口にはナウマンゾウの親子の像が展示されたり、岡山の地層の解説なども。
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全体としては子供向けの標準的な施設だと思いますが、世界の蝶のコレクションがちょっと特徴的。世界地図にピン止めされた標本がなかなか美しいです。
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そして、隣の市立美術館も。
倉敷は大原美術館があるし、そこでまた倉敷市立美術館なんて難しいだろうなあと思いますが、やはり結果としてそういう面は否めない。 -
地元の画家でもこれという人がいないのですが、敢えて言えば、岡山市出身の国吉康雄。心象風景的な作品が置いてあって、これがまあわずかに見どころだったかなという感じです。なお、国吉康雄は、小杉放菴などと同じ時代に活躍した画家です。
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さて、この辺で昼飯にします。
レストラン亀遊亭は、美観地区に入ってすぐ。 -
大原美術館の入口はす向かいだし、塀に囲まれたちょっと勿体のある構えなので、誰でもあれっと気が付くと思います。
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近くのホテルが運営しているようですが、ランチは1620円ととってもリーズナブルなんです。店内は広いし、奥の額は棟方志功の手によるもの。老舗の落ち着きもあります。
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スープから始まって
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サラダに、
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魚のメインディッシュ。
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そしてデザートと。簡単ですが、これで十分。スタッフの対応もしっかりしているし、それも申し分ありません。
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落ち着いたところで、大原美術館へ。私はこれで三回目くらいでしょうか。
大きな展示替えとかはないので、それぞれの作品は懐かしいし、最後は現代アートに至る見る順番なんかも含めて、慣れてくると心地よい意図が感じられて、ここは本当に安心して鑑賞できる。個人の美術館としては、日本最高の美術館であることは間違いないと、今回も改めて、感じた次第です。たとえば、藤田嗣二の作品なんかも、ここの作品以上の作品はほかにはないように思います。 -
本館を出て、これは新渓園。大原美術館の本館と分館の間に建つ和風建築です。
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明治26年、倉敷紡績の初代社長大原孝四郎氏の別荘として建設されたもので、今で茶会とかの利用ができるよう。
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イチオシ
この日も茶会があって、建物の中は見れませんでしたが、庭の方は自由に見学が可能。
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小さな谷のように切れ込んだ窪地の池は少し青みのかかった水をたたえて、
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深山の趣き。なかなかよくできたお庭です。
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大原美術館の本館は大原孫三郎のコレクション。それに対して、この分館は、二代目、大原總一郎のコレクションといった位置付けでしょう。日本の画壇でもまだ注目度の低かった画家を掘り出したということですが、小出楢重、梅原龍三郎、岸田劉生など、今ではむしろ馴染の作家のオンパレード。比較しても仕方ありませんが、凄味のある本館のコレクションに比べれば、気軽に鑑賞できるコレクションだと思います。
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一方で、この大原美術館工芸・東洋館も大原美術館の誇るべきコレクション。
バーナードリーチ、浜田庄司、河井寛次郎のおびただしい量のコレクションは圧巻です。ただ、前回見た時は、こんなに数だけ揃えてどうするんだという感じがしなくもなかったんですが、今回久しぶりに見ると、むしろちょうどいい感じに思えてきました。確かに、形や色の特徴を理解すためには、ある程度バリエーションがないと分からない。芹沢銈介も含めて、楽しく拝見できました。 -
大原美術館を終えて。
林源十郎記念室は、林源十郎商店の2階にある一室。 -
林源十郎商店というのは薬屋だったようで薬を入れていた古い箪笥などもありましたが、その他、幕末には維新の志士たちを陰ながら応援していたりもしていたよう。商売人であっても、世の中のことに関心を持って主体的に関わって行く。人や物が集まる倉敷なので、やっぱり古くから高い見識を持った人が多かったのではないかと思います。
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林源十郎商店のはす向かいは、mugi。一本裏通りのようなところだし、イマイチ目立っていないので、気が付きにくいかもしれません。
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ただ、一歩店内に入ると、どのパンも美しくてちょっと見とれてしまうくらい。ハード系のパンを買いましたが、小さいようでもずっしりとした重さがある。噛んでいるとその深い味わいが口に広がるように思います。いいお店です。
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近くの倉敷公民館です。向かいは中国銀行倉敷本町出張所の石造りの建物だし、本町では近代的な建物がたまたまここに二つ揃いました。
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木の扉の入口を入ってみると、入ってすぐはホールのような空間。そこまでしか見れませんでしたが、これも倉敷の豊かさを繁栄した建物であることが感じられると思います。
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倉紡記念館は、アイビースクエアの中。
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倉敷紡績の歴史だけでなく、日本の紡績の歴史を学ぶ内容ですが、結局、なぜここに紡績会社が作られることになったのかという基本的なことがよく分からなかったような。
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明治維新以降は、関東地方なら生糸の生産が輸出の花形だったし、その後の重工業の発展では九州などの石炭産業・鉄鋼業が主力となる。日本の産業発展の中での紡績業の位置づけと倉敷の関係とか基本的な説明がほしかったように思います。
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ただ、赤いレンガの展示室に展示された資料からは紡績の発展に尽くした人々の苦労の様子がひしひしと伝わってくる。ここも倉敷では必見の施設だと思います。
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続いて、児島虎次郎記念館へ。
ところで、児島虎次郎は、大原孫三郎のコレクション収集を実質的に手助けした人物。孫三郎と緊密に連絡を取りながらヨーロッパでの絵画の買い付けに奔走します。 -
一方で、自身も将来を嘱望された気鋭の画家。この施設では、その小嶋の作品を多数展示しています。光の表現を見れば印象派の影響は一目瞭然なんですが、やはりそこからどのように円熟味を増すのかが見たかったような。早逝したので、そこまでの展開は確認できません。これに対し、オリエントの収集品のコーナーでは、面目躍如。学術的に価値があるかどうかは別にして、自身の審美眼に基づく、一貫した厳しい基準がある。コレクションとしての美しさは尋常ではない。大原美術館のコレクションもこうした審美眼があったからこそ。その片鱗を感じたような気がしました。
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さて、今日は岡山空港から帰ります。だんだん、帰りの時間が気になってきましたね。
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まあ、それはそれとして。
くらしき桃子本店は美観地区にあって、倉敷川に面したお店。果物系のスイーツがウリだと思います。 -
ということで白桃のソフトクリームをいただきましたが、厚かましく白桃を前面に出すのではなくて、そこそこの味わいでまとめたところがいい感じ。さっぱりした食後感もいいと思います。
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そして、これが観光の締めくくり。 オルゴールミュゼ・メタセコイアは、アイビースクエアにあるオルゴールの生演奏を聞ける施設。こうした施設はいろんなところにあるのですが、やっぱり歴史的な場所で聞かないと気分が出ない。そういう意味では、ここは最適な条件が揃った場所ですよね。
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演奏時間は30分。1時間毎に演奏が始まって、飲み物とかのサービスが付いています。小さなオルゴールから順番に大きなものに変わっていくにしたがって、腹に響くような音響が楽しめる。マリーアントワネットも楽しんだという鳥のさえずりを再現した精巧な機械仕掛けも目を見張ります。
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そして、倉敷のB級グルメを確認して、岡山空港に向かいます。
ぶっかけうどんの発祥の地、倉敷でぶっかけうどんを食べるなら、ぶっかけ亭本舗 ふるいち仲店がお勧めでしょう。 -
駅からも近いし、なんといっても味が抜群。ヒタヒタの出汁は適度なコクがあって何とも言えずうまいし、うどんもモチモチ感とツルツル感の両方が伴う最高の讃岐うどん。これはお見逸れいたしました。まさに最高のぶっかけうどんです。
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岡山空港に到着して。
天満屋は地元唯一の百貨店だし、岡山空港でお土産を買うならここで十分でしょう。
きびだんごは有名ですが、岡山を代表するお菓子は、岡山市なら大手饅頭。倉敷市なら村すずめです。なお、大手饅頭は伊部屋1社ですが、村すずめは複数あって、本家は橘香堂ですので、念のため。 -
倉敷のぶっかけうどんが抜群のうまさだったので、空港でも再確認してみようと思って、この手打うどん桃太郎でぶっかけうどんをいただいてみました。
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うーん、やっぱり讃岐うどんのシコシコ感が少し落ちるかなあ。キレという点でイマイチでしたが、高松市内の老舗うどん店でもこのタイプは少なくないんですよね。なので、この味も讃岐うどんのジャンルの一つ。一方で、ぶっかけの出汁のうまさはさすが地元かなと思います。
さて、以上で岡山四日間の旅はおしまい。お疲れ様でした。これで、東京に帰ります。
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