2014/10/18 - 2014/10/19
346位(同エリア1396件中)
naoさん
倉敷には、美観地区以上に私の心を捉えて放さない、「もう一つの倉敷」とも呼べる町並みがあります。
美観地区の北側にひかえる鶴形山は、かつて僅かばかりの漁師や水夫などが住んでいた瀬戸内海に浮かぶ小島でしたが、高梁川が運んできた土砂の沖積作用により次第に干拓地に取り込まれた、いわば倉敷発祥の地と云える所です。
この鶴形山の南麓で、弧を描いて東西に延びる通りに沿って開けた本町と東町の町並みには、天領時代の新田開発により倉敷川沿いが賑わう以前から、染物屋、桶屋、畳屋、提灯屋、表具屋などの商店が建ち並び、古くから倉敷と早島を結ぶ街道筋でもあったことから、多くの商人が行き交いました。
現在の本町や東町には、本瓦葺き中2階建てで、白漆喰塗り込めの虫籠窓や格子などをしつらえた町家が軒を連ねる、落ち着いた町並みが残っており、美観地区とは一味違った古き佳き風情を漂わせています。
今も人々の暮らしが息づく町並みには、近年、古い町家を改装したカフェやギャラリーなど、新しい感性を感じさせるお店がオープンしており、ゆったりと時間が流れる風情ある町並みの中に、新しい活気が芽生えているのが感じられます。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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倉敷川の一本東側にある通りを北へ抜けて、本町の町並みにやって来ました。
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美観地区の北側にある鶴形山の、南麓に弧を描いて東西に延びる通りに、本町と東町の町並みは開けています。
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ここは美観地区以上に私の心を捉えて放さない町並みで、私にとっては、美観地区の方が「もう一つの倉敷」なのかも知れません。
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華やかさの残る美観地区に比べ、日常生活の場として存在しているところに魅力を感じています。
では、本町通りを抜けて、東町へ向かいます。 -
東町の町並みです。
見応えのある町並みはわずかな距離なんですが、中身の濃い町家が連なっています。 -
ナマコ壁に虫籠窓、さらには卯建などがしつらえられた伝統的な町家の中では・・・
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この町に住む人々の日常生活が営まれています。
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呉服屋さんの屋根には、存在感のある外灯が付けられています。
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呉服屋さんを過ぎて、振り返ったところです。
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格子を備えた町家には、見越しの松も植えられています。
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町家に暮らす方々に育てられているコスモスが・・・
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落ち着いた町並みに秋の到来を告げています。
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黒壁の築地塀とナマコ壁の土蔵のある大きなお屋敷です。
東町の町並みはおおよそこの辺りまでなので、ここで引き返します。 -
突き当たりに見えるのは本町の町並みになるので、東町の町並みは、ほんとうに短い距離の中に見応えのある町家が、ギュッと詰め込まれています。
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この町家の妻側のナマコ壁は、新しく修復されたようです。
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左手の町家にも外灯が見えます。
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道の両側に軒を連ねる東町の町家は・・・
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それぞれ、伝統的な中にも個性を発揮しています。
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では、東町はこれくらいにして、本町へ戻ります。
私的には、予想していたとおり充実した町歩きになりました。 -
さて、本町の町並みに戻って来ました。
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本町の町家には、軒並み御神燈が吊られています。
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この日は、鶴形山にある阿智神社の神恩感謝の大祭の日で、「御神幸行列」と呼ばれる、200人ほどの時代行列が行われます。
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江戸時代には、この祭りに併せて各町家が通りに面した格子戸を開け、屏風を飾って訪れる人々をもてなしたことから、別名「屏風祭」とも呼ばれたんだそうです。
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この、伝統の祭りを現代によみがえらせたのが、2002年に復活した「倉敷屏風祭」で、今では倉敷の秋の風物詩として、広く知られるようになっています。
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このお宅は、花を活けて祭りに参加されています。
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御神燈の下では、猫ちゃんがじゃれ合っています。
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今まで歩いて来た本町の町並みを振り返ったところです。
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町並みの先に目をやると、屏風祭りに訪れる人をお迎えしようと、慶事用の幕を張った町家が見えます。
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なお、今では無くなりましたが、その昔、自宅で結婚式を挙げていた時代にはよくこの幕が張られていたものです。
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縄のれんがリズミカルな影を落としています。
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大きな虫籠窓の付いた町家です。
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こちらのお宅も、慶事用の幕を張って、玄関を開け放っておられます。
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この町並みも、美観地区に優とも劣らない、素晴らしい景観をたたえています。
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先ほどの慶事用の幕を張ったお宅です。
屏風祭りを訪れた方が、玄関内を覗いておられます。 -
本町の町並みは、南北に通る倉敷川の東側の通りとの交差点を過ぎると・・・
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急に道幅が広くなります。
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本瓦葺きにナマコ壁の町家は、路地から見ると一段と引き立っています。
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横長の大きな虫籠窓のある町家です。
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こちらは個人住宅のようで、しっとりとした、落ち着いた雰囲気でたたずんでいます。
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倉敷市の木、藤をモチーフにした汚水枡の蓋。
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皆さんが入って行く、左手の通りの先には・・・
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大原美術館が見えています。
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この辺りは、美観地区にある倉敷川沿いが賑わい始める、天領時代以前からいろんな商店が建ち並び、多くの商人が行き交っていたところです。
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こちらは同じ藤の木でも、全くデザインが異なる汚水枡の蓋。
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新録派と呼ばれた新興商人の一人、原家の住宅です。
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原家も、大原家とともに倉敷紡績所(現在のクラボウ)の設立に参画した一人で、後には、倉敷紡績所の専務や現在の山陽新聞社の役員などを歴任することになります。
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本町の西の端で、えびす商店街のすぐ手前に位置する原家は、本瓦葺に漆喰塗り籠めやナマコ壁をしつらえた堂々たる構えを誇っています。
こうして本町と東町の町並みを歩いて感じたのは、今もなお日常生活の場として存在することの持つ意義の大きさが、この町並みの大きな魅力につながっていると思いました。
華やかさの残る美観地区とは一味違った、古き佳き風情を肌に感じながら、素晴らしい時間を持つことが出来ました。
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