2016/05/13 - 2016/05/13
103位(同エリア372件中)
naoさん
近年、いろんなメディアでもてはやされている「鯖街道」という言葉は、古い文献には見られないことから、おそらく戦後の文人たちが「文化の道」という意味を込めて使い始めたのではないかと考えられています。
「鯖街道」のルーツは、若狭が「御食国(みけつくに)」と呼ばれ、朝廷に塩や海産物を税として納めるために通っていた飛鳥時代にまで遡ることが、平城京跡から出土した多数の木簡により確認されています。
若狭と京都を結ぶルートとして多くの街道や峠道があげられますが、これらのルートを通って運ばれた物資の中で、特に「鯖」が注目されたことから、これらのルートを総称して「鯖街道」という言葉が用いられています。
福井県小浜市はこれら「鯖街道」の起点となる町で、若狭湾で採れた鯖に一塩して、夜も寝ないで京都まで運ぶとちょうど良い塩加減になっていた、という意味の『生鯖塩して荷い、京へ行き任る』という文章が小浜に伝わる古い文献の中に見られるように、「京は遠うても十八里」といわれる距離は鯖にとってほど良いものだったようです。
他方、『海のある奈良』と形容される小浜の歴史を遡れば、大陸と日本を結ぶまさに海のシルクロードの玄関口としての姿が浮かび上がってきます。
江戸時代に平戸、長崎、博多などの港を通じて交易が行われる遥か以前は、中国や朝鮮に近い日本海側が表玄関であり、日本海側のほぼ中央部に位置する小浜は、都に近いこともあって大陸からの玄関口として最適な立地条件を備えていました。
こうして中国や朝鮮からもたらされた多岐にわたる大陸文化は、「鯖街道」を通じて日本各地へ伝播され、「鯖街道」は文化の香り高い道としての性格も併せ持つことになります。
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JR小浜線小浜駅へやってきました。
この日は数ある「鯖街道」の内、大阪〜京都市内〜大原〜花折峠〜朽木宿〜熊川宿を経て小浜に至る、「若狭街道」を通って訪れました。
高速を使わずに来たので相当時間はかかりましたが・・・。 -
小浜駅はそこそこ大きな駅ですが、電車の時間の関係か、プラットフォームに人影はありません。
では、以前「つばき回廊」があった跡地に5月1日にオープンした「まちの駅」の駐車場に車を停めて、町歩きを始めます。 -
マンホールの蓋にはこんなお茶目な絵が書いてあります。
猫ちゃんはお魚が好きですからね。 -
見えているアーケード街は、「鯖街道」の起点といわれるいづみ町商店街です。
ちなみに、小浜城の築城に併せて整備された小浜の城下町、東組(回船問屋町)、中組(商家町)、西組(町人町)の3地区に分けられますが、いづみ町商店街は小浜東組の西端に位置しています。 -
いづみ町商店街へやってきました。
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小浜は、かつて「御食国(みけつくに)」と呼ばれていたほど、豊富な海産物に恵まれています。
鮮魚店の店先には、一夜干しの縄のれんが掛けられています。 -
関西では「ぐじ」と呼ぶ「甘鯛」ですが、特に『若狭ぐじ』が珍重されています。
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若狭湾で獲れる多種多様なカレイの中で・・・
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『若狭カレイ』と呼ばれるのはアマガレイのことです。
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そんな海産物を見ながらさらに進むと・・・
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焼き鯖を売っているお店がありました。
夏場、傷みやすいさばの保存法として考え出されたのが焼き鯖で、地元では『浜焼き鯖』と呼ばれています。 -
距離のないいづみ町商店街ですから、「あっ!」という間に通り抜けてしまいました。
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歴史のある醤油の看板を掲げた町家。
目にも鮮やかなベンガラ色が際立っています。 -
いづみ町商店街の通路に埋め込まれた「鯖街道」の起点を示す石板。
若狭と京都を結ぶ多くの「鯖街道」は、ここを起点としているんですね。
「京は遠うても十八里」といわれる距離は鯖にとってほど良いものだったようです。 -
いづみ町商店街を西に抜けると、JR小浜駅から北西に延びるはまかぜ通りと交差する、濱参道と名付けられた広い通り沿いに風情ある町並みが広がっています。
ちなみに、右手前の時計塔のある辺りが車を停めさせてもらっている「まちの駅」です。 -
「まちの駅」の中心的施設と位置付けられている「旭座」です。
明治44年(1911年)1月1日の杮落しのちらしが記録として残っている旭座は、福井県内に唯一現存する明治時代の木造の芝居小屋で、小浜住吉地区から移築復元されたそうです。 -
芝居小屋を主な用途として、講演会や演説会なども開催された旭座は、昭和に入ってからは映画館としても活用され、小浜の娯楽文化を象徴する建物だったといわれています。
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はまかぜ通りから、濱参道を抜けた先にある八幡神社までのエリアは小浜中組にあたり、古くから小浜市の中心市街地として発展してきました。
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商家町として整備された小浜中組の中でも、濱参道沿いには明治以降に建てられた風情ある町家が軒を連ねており、新たに建て替えられる町家も景観に配慮した佇まいを見せています。
なお、濱参道の町並みを会場として、毎月最終日曜日に地元有志の皆さんにより「おばま濱参道楽市」というイベントが行われているそうです。 -
こちらは築150年の町家をギャラリーに改装した「栖水館(せいすいかん)」です。
サラリーマン時代に水彩画を描かれていた趣味が高じて、定年を機にこのギャラリーをオープンされたそうです。 -
こちらは婦人服を扱っておられるお店です。
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こちらのお茶屋さんの建物には、ガラス瓦が使われているように思われます。
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屋根の一部で白く見えるのがガラス瓦のようです。
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甍の波が押し寄せてくるかのような、迫力に満ちた三階建ての町家です。
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お隣の町家は、格子戸を入れて軽やかな感じにしつらえておられます。
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小さな鯉のぼりが格子で揺れています。
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最近、昔のように大きな鯉のぼりを泳がせるお宅はめっきり少なくなりました。
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その代わり、川原や広場などでたくさんの鯉のぼりを上げるイベントが増えてきました。
これも時代の流れなんでしょうね・・・。 -
濱参道の所々には、訪れる人々のために緋毛氈を敷いた床几(しょうぎ)が置かれています。
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煙出しの越屋根をしつらえた町家があります。
まさか煙出しの機能が必要だとは思えませんが、この町家の外観からみて、屋根裏換気口として使われているようです。 -
玄関先にばったん床几をしつらえた町家があります。
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こちらは酒屋さんです。
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濱参道東側の町並みです。
正面突き当たりに、いづみ町商店街のアーケードが見えています。 -
歩道に埋められた花のプレート。
これは椿でしょうか・・・。 -
こちらは若狭ならではの海産物加工品を扱う老舗です。
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こちらは若狭塗のお店です。
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若狭塗は、慶長年間(1596年〜1614年)の酒井忠勝の時代に始まったといわれ、小浜藩により手厚く保護されたようです。
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若狭塗のお店の先には、風情ある町家が連なっています。
ここにも玄関先にばったん床几が見えています。
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