バヌアツ(2)不屈の火山島タンナ

2015/09/06 - 2015/09/23

2015年の巨大サイクロンで最も深刻な被害を受けたのがタンナ島でした。吹き飛ばされた家々、根こそぎさらわれた巨木たち。至る所に深刻な爪痕が残っているものの、島の人たちは「え…『目が合ったら絶対先に微笑もう』キャンペーン中？」と勘繰りたくなる程、百発百中満面の笑みで迎えてくれます。

もう一度、言います。

島の人たちのスマイル炸裂率は絶対１００％！で旅人を待ち構えています。

こっそり撮ったつもりでもファインダーの彼方で真っ直ぐこちらを見詰めて微笑む子どもたち。被災後「誰よりも早く建て直してやうと誓ったんだ」と力強く笑うツリーハウスの主。不眠不休のヤスール火山の轟きは、島の復興を鼓舞するドラムロールの如し。バヌアツで一等愛すべき島、タンナです。

エリア タンナ島(バヌアツ)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 3.5
• 交通: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 航空会社: バヌアツ航空

カラフルなバヌアツ航空で首都ポートビラから南へひとっ飛び

「南下したのにちょこっと肌寒くなる」というのは北半球人的に毎度愉快

荷物はガラガラ転がされてきて手渡しです

サイクロンで最も甚大な被害を受けたタンナ島

玄関口のホワイトグラス空港も屋根が吹き飛ばされたままでした

迎えに来てくれてた宿の主トーマスと共に出発

嵐でへし折られた大木がそこかしこに

道中所々にユニセフ印の仮設テント校舎

キッズは結構な距離と思しき通学路を仲良さそげにテックテク

さっそく来た！

下校中のキッズはカメラを構えていなくとも目が合うだけで笑顔フルスロットル！

途中トーマスの家族をピックアップするため市場へ

露店だったり井戸端会議だったりこの島の巨大な木々の下には必ず人が集う

青空市場の向かいはすぐ浜辺

波と戯れてた兄弟も異邦人に臆せずニコニコ

食材にガソリン…宿までの長い道のり所々で買いだしを

屈強な「元キッズ」たちもやっぱり目が合えばこの通り

最後はパン屋さん

誰も彼もが手を振る／ハローと叫ぶ／笑顔で迎えてくれるから次の島人に会うのが楽しくって楽しくって

よっしゃ！次はこっちが先に微笑むぞ！と対抗してみたりとか

大半は未舗装の悪路で車内シェイクされつつ島の南東はヤスール火山ゾーンへ

頑丈な巨木が連なるタンナ島には木の上で泊まれる「ツリーハウス」がたくさんありましたがサイクロンでどこもかしこも無残に

そんな中トーマスの宿にはこんな立派なツリーハウスが！「誰よりも早く再建したかったんだ」

諦めて放置されたツリーハウスが目立つ中でトーマス一家が手作りし直した空中ホテルはまさしく輝いていました

Yasur View Lodge
http://www.yasurviewlodge.com/

小さい頃夢中になった絵本「おおきなきがほしい」の世界がここに！

大興奮で階段を昇り始めるも…コレ酔っ払ってたらドリフの坂みたく滑り落ちると確信

部屋は二階建てで一人旅の僕の秘密基地は小ぶりな下のフロア

英国人グループ４人は更に上へ

６畳ほどの城には蚊帳とベッド二つだけ

自家発なので夜には停電して蝋燭の灯りだけだし、トイレと水シャワーは地上まで降りなきゃだし、不揃いの壁板は時々きしむし、でも朝も夜更けもサワサワ葉がそよぎ、枝の隙間に望む活火山はゴロロロ唸り声あげてて、こんな唯一無二の部屋に泊まるためだけにまた訪ねたい位の幸福な熟睡ｚｚｚ

活火山攻略！の前に近所のカババー（ビスラマ語で「ナカマル」）

バヌアツと言えばカバ（コショウ科「ヤンゴーナ」の根っこを砕いたエキスから造る魅惑の南太平洋ドリンク）ながらタンナ島のナカマルは厳格に女人禁制を貫いているためトーマスが代表して買い出しに

ヤスール火山のエントランス到着（入山料はリピートするごとに割引されるので初回に受け取るチケットをお忘れなく）

嵐にも耐えた樹々は崇高かつ抜群の包容力

冒険の序章に鈍色の空の虹

トーマスの四駆で８合目まで行き後は十数分だけ歩きます

「世界で一番火口に近づける活火山」その「火口に一番近くにあるポスト」

予めポートビラで切手（国際郵便）代込みの専用ハガキを買って投函しました（いずれも一週間強で世界各地へ無事到着）

足下は真っ黒な火山灰なので履きなれた靴＋登るにつれぐんぐん冷える（山頂は遮るものなく強風が）ので上着も必須

随所にある小型クレーターは「噴石が直撃してえぐれた跡だね」微笑むトーマス…えっ！

ンゴゴゴゴゴと足下から体を揺さぶる地鳴りが徐々にクレッシェンドしてついに火口

結構な頻度でマグマを噴上げ初心者をビビらせてくれますがまだ明るいためその迫力はなかなか写真に収められず

不幸にも過去には噴石直撃の犠牲になった人もいると聞き相当警戒してたらトーマス「今は噴火レベルが低いし、音を聞いたらどこに飛んでくるか分かるし安心して」

で言われた通り安心してたら火口に背を向けスマホに夢中のトーマス…

火口の際に陣取りのんびり見つめる人

地ビールのタスカーを手に盛り上がる勇者たち

噴き上げるマグマなんてお構いなしで夕陽を撮るトーマス「毎日みててもやっぱり綺麗だよ」

風向きによっては細かい火山灰が顔面直撃！なので皆さんフードを被って回れ右

※自分は常備してたマスクでガード

更に歩を進めるとより火口に接近

登頂から１時間以上経過しすっかり暗くなるとこの通り

しかしチキンな自分は油断すると地球の裂け目に吸い込まれそうで常にへっぴり腰

宿に戻りトーマス夫人の大皿手料理をみんなで分けっこ

ツリーハウスに泊まれるのは２組だけで、順番待ち！のベルギー人グループは同じ敷地内のバンガロー泊、デンマーク人カップルはテントでキャンプ！

昼夜不問でゴロゴロ唸り続けるマグマの響きと木々のざわめきを子守唄に

そして容赦なく午前４時起床…「夜明け前はヤスールを一人占めだぜ！」（トーマス）

完全な真っ暗闇の中を四駆で進めば確かに誰もいなくてただただ地球の息遣いだけ

「火口から這い上がってくる」もしくは「火口に滑落しかける」構図で撮影を求められ「やめてぇ！」と叫べば喜んでもっとやるトーマス

火口の縁はご覧の通り狭いとも広いとも言えず

朝日に向かって帰途に

山肌を駆け下り何やら見つけたトーマス「これをお土産に」

若いマグマの結晶がキラキラ

火口から少し下った所で野宿していたカップル

万が一ここまで噴石が飛んできたらどないすんねん

トラックの荷台に積まれて悪路を疾走するのは格別のアドベンチャー！

寸暇を惜しんで宿の再建に取り組むトーマスが「カスタムビレッジ、行ってみる？」

島伝統の踊りを披露してくれるわけですがスタートまではやっぱりスマイル攻撃

入村前に1000バツ（千円強）をトーマスに託しました

女性だけ→キッズ込み→男性だけ→総出でダンスというコースでしたが我々の宿のグループが途中まで見せてもらってたら次の団体さんが遅れて到着

「じゃ最初っからもう一度やりまーす」的な事になり歌と踊りを1.5回分のフルコース

手作りパーカッションでキッズも輪の中心に

集落のメンバーと思しきワンコも見守る

触発されたか組んずほぐれつワンコチームの乱舞もスタート

ダンス後には「こんな便利な葉っぱの使い方が！」講習

「葉っぱを巧みに組み合わせるだけで子どもだって楽々運べますよ」の図

お勤めを終えた年少メンバー

去り際はどこまでも追いかけてきて手を振ってくれる

別にチップを求めるとかでなく旅人との別れを全身で惜しむ感じ

バヌアツに住む日本人から聞いた「サイクロンで壊滅的な被害を受けても町中で物乞いをする光景は一度たりとも見なかった」という言葉をふと思い出す

「俺の自慢のツリーハウス、日本の人たちに教えてやってよ」っていうトーマスと約束のハグをして一泊二日の満足度高すぎる国内旅行終了

タンナ島に比べると大都会の首都ポートビラは夕焼け色

泥みたいな舌触りで根っこ感丸出しの漢方っぽい風味のカバに魅了され「おすすめのナカマル（カババー）どこ？」と道行く人に取材を重ね、まず一軒目に

薄暗い一角の掘っ建て小屋にいくつもブースがあって（それぞれ違うカバ屋さん）お客さんは贔屓の店で買い求めます

初心者は一番小ぶりなの50バツのお椀からどうぞ

初めて飲んだ時は「うげぇ〜まずっ！」だったけど周りのバヌアツおじさんたちの真似して「一気に飲み干した後は水でゆすいで遠慮なくペって地面に吐く」を繰り返すと段々「ほわーん」←カバは合法で勿論日本に持ち帰っても問題ナシ

アルコールと真逆で気持ちがどんどん安らかに鎮まる系ですが飲みすぎるとそこは酒と同じく二日酔いに

一軒目で偶然意気投合したのがなんと宿のオーナーの若者と宿泊客コンビでそこからまさかの三軒はしご！

大体のナカマルにはお弁当コーナーがあるので（手頃で充実！種類も豊富）一人旅の方にもお薦めです（但しカバの「ホワーン」感は空腹時に飲んだ方が効果的）

星灯りを頼りに３人でフワフワ帰って（途中で海沿いのバーで地ビールタスカーで〆て）バヌアツはどこ行っても朝も昼も夜もずっとハッピー