2010/11/08 - 2010/11/21
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motogenさん
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ひとまずパタヤに泊まり(ナビンマンション2)、フロントのお姉さんにトラートへの行き方を聞いた。
お姉さんによると、パタヤから直接トラート行くバスはなく、ラヨン、チャンタナブリーで乗り換えが必要らしい。
乗り継ぎがスムースにできる保障は何もない。
イミグレ事務所は、夕方の早い時間に閉まってしまう。
そうなると、結局はトラートで足止め、一泊することになる。
早い時間にトラートにたどり着きたかったら、少々金額ははるが、旅行代理店でトラート行きのミニバスを予約することが賢明だと言う。
フロントの女性に旅行代理店の場所を教えてもらい、バイクを借りてチケットを買いに行った。
600バーツ。
ホテルまで迎えにきてくれる。
手渡されたチケットを大切にポケットに入れる。
後から考えれば高い料金であるが、これでトラート行けると思えば仕方なし。
私にとってのトラートは、今や遠い遠い幻の町となっているのだ。
-
7:30に迎えが来る予定なのに、もうすぐ8時になってしまう。
またもや乗客が少なくてキャンセルになってしまうのではと気が気ではない。
玄関先をうろうろと歩き回っている私を見て、フロントのお姉さんが代理店に電話をかけてくれた。
親切さが身に沁みる。
そうこうしているうちにミニバスが到着して私は車中の人になれた。 -
車内には欧米人の男女が1組乗っていて、私を含めて3人。
しかし別のゲストハウスで欧米人の男性4人が乗り込んできた。
連れの女性も2人乗り込んできて、車中は急に窮屈になってしまう。
彼らは皆丸坊主に近い頭で、身体もがっちりとしていて、まるで海坊主のようだ。
横の席に座った男は、連れの女性の手をしっかり握りしめて離さない。
前方の男は女性の肩に手をまわし、人の目もはばからずいちゃついている。
彼らの話している言葉に耳を傾けてみると、英語でもなし、ドイツ語でもない。
語尾のニュアンスはフランス語に似ているが、フランス語とは別ものだ。
いったいどこの国の言葉なのだろう。
車はパタヤの街の渋滞から抜け出して、東に伸びる高速道路を走り始めた。
時刻は8時半を過ぎている。 -
30分も走らないうちに、給油所でガスの補給をすることになった。
ガスの補給には時間がかかる。
トイレ休憩も兼ねている。 -
「どこまで行くの? クメーン?」
アイスクリームをついばんでいる同乗の女性に声をかけてみた。
一緒にボーダーを超える仲間ならば心強い。
今のうちに仲良くなっておかなければ・・・
と期待したのだが、彼女らは「コチャーン」に行くのだと言う。
とたんに寂しくなる。 -
二度目の休憩。
「どこから来たのですか?」
海坊主のような隣の男に、思い余って不慣れな英語でたずねてみると
「ミドルイーストだよ。」
顔からは想像できない優しい微笑みで答えてくれた。
「えっと、サウジアラビア?・・」
男は愛嬌をたたえながら首を横にふる。
「イラン?・・イラク?・・クエート?・・」
知っている限りの中東の国をあげていくと、にっと笑いながら
「イスラエルから・・」とそっと耳元でささやいてくれた。
あの国際紛争の原因となっている国からか・・
私は初めてイスラエル人をこの目で見た。 -
バスは海岸線を通るのではなく、内陸部を走っている。
早くトラートに着きたいと思っているのに、ミニバスはゆったりと食事休憩をし、ラヨーンの海辺で4人の欧米人を拾った。
車内は身動きができないほどぎゅうぎゅう詰めとなってしまったが、乗り込んできた年輩のおじさんはイタリア人で、プノンペンまで行くと言う。
いかにも人柄が良さそうな顔つきで、服装などは私と同様に貧乏くさい。
やっと国境越えをする仲間が見つかって、私の気持ちは軽やかになった。
このおじさんに付いていこう。 -
国道3号線をひたすら東に走り、チャンタブリーを通過し、トラートに到着したのは12時半過ぎだった。
急に車は止まり、町の中心から離れた道路脇で降ろされてしまった。
方向さえ分からない場所だ。 -
「バスターミナルで降ろしてくれ。」
イタリアのおじさんは運転者に掛け合っているが、運転者の指さす数メートル先に別のミニバンが停まっていた。
これに乗り換えれば、ハートレックに行けるのか? -
120バーツを払って乗り込むと、すぐに乗客が集まってきた。
おおっ、みんなカンボジアに行くんだな。
女性連まで乗り込んでくる。
みんなで一緒に行けば怖くはないぞ。 -
イタリアのおじさんは、120バーツが高いとだたをこねている。
粘って、粘って、粘ったが、ミニバンの運転手はまけてはくれなかった。
満員になったところで、ミニバスは走り出した。
イタリア人はふてくされている。 -
一路東へ、ハートレック村のボーダーに向かってミニバンはエンジン全開だ。
別れ道も十字路もない一本道を、時速100?以上ですっ飛ばして行く。
のろのろと走っている乗用車や、荷物を満載したトラックを追い越し、追い越し、起伏に富んだ道をカーチェイスのように走り続ける。
左右は樹木に覆われた景色が続き、たまに小さな集落に出くわすだけの細い街道だ。
こうして1時間半ほど走り続けると、やっと南側の断崖の下に海が見えてきた。
窓にはりついてその景色を追っていると、突然道幅が広がり周囲が華やかになった。 -
ごたごたした商店や、荷物を積んだトラックが道路脇に並んでいる。
ここで降ろされた。
時刻は2時。
国境越えにはほどよい時刻だ。 -
車が止まったその先に、イミグレ事務所とカンボジアに続くゲートがあった。
ぞろぞろと進み、パスポートを提示する。
タイでの出国手続きはすんなりと済んだ。ハート・レーク 市場
-
意気揚々とカンボジアに続く道に一歩踏み出す。
100メートルほど先にカンボジアのイミグレ事務所が見える。
すぐ右側に青い海が広がっている。
波の音が聞こえてくる国境だ。 -
国境を越えるのは人だけではない。
荷物を満載したトラックも越えていく。
旅行者の荷物を荷車に乗せて、引っ張っていく人もいる。
これで飯を食っているカンボジア人だ。 -
しかしそんなのんきな気分もつかの間、カンボジア側の事務所に近づくと、あっという間に男たちにとり囲まれてしまった。
「パスポート!パスポート!」
口々にそう言っている。
ははあ、手続きを代行して金を稼ごうって腹だな。
そうは分かっているが、事務所の前は人だかりでごった返し、どこがどうなっているのかさっぱりわからない。
手続きの用紙を探すこともできない。
いや、そんなものはない。 -
まごまごしていると一人の若者が私のパスポートをさっとつかみ取り、手招きして私を連行する。
もうどうしようもない。
机に座っている男の所に連れていかれ、何やら書いてもらって20バーツ払う。
すると案内の若者が、パスポートを見ながらビザ申請用紙に記入を始め、1200バーツを私から引き出すと、窓口に差し出した。
申請用紙はこの男達のポケットにぎっしり入っていた。
ビザ申請用紙や出入国カードの記入方法を事前にしっかり調べてきたのに、それが全く無駄になってしまった。
自分でやってみたかったのに・・・
私はふてくされ、腹立たしい気持ちでいらついている。
周囲を見回すと、あのイタリア人も、一緒に乗ってきた欧米人たちも、みんな彼らの餌食にされているのだった。
手続き用紙が代行屋の手に独占され、自分では申請できないようになっているのだ。
もしかしたらこの男たらは、イミグレ官僚とグルになっているのではないか。
間違いない。
手続きが終わると若者から100バーツ請求された。
そもそも正規のビザ手数料は20ドルのはずだ。
この日のバーツに換算するば700バーツ以下。
それを1200バーツも徴収する役人たちと、群がってきて強引に代行するやからたち。
カンボジアの第一印象を極めて悪くするイミグレだった。 -
この手続きが終わるか終わらないうちに、今度はバイタクにつきまとわれている。
ココンの町までは、否が応でもこのバイタクを利用するしかない。
100バーツを70バーツに値切ってしぶしぶと乗り込んだ。
ネット情報では30〜50バーツだ。
しかし高い金を払ってでも、さっさと逃げ出したくなるような雰囲気が充満している。
バイクはとことこと走りだした。
タイのスピード狂バイタクとは大違いだ。
丘を登ったり下ったりしながら、静寂な一本道をゆっくりゆっくり進んでいく。
周りの景色を楽しむにはちょうど良い。 -
見晴らしの良い丘の上まで来ると、遠くに海や町の家並み、地平線には低く大地をはう緑の山が見えた。
うす曇りの原っぱには、気持ちの良い風が吹いている。
ああ、これがカンボジアなのか・・・
とうとうやって来たな・・・
イミグレでの嫌な思いを忘れさせる、素晴らしい景色が私をなぐさめた。 -
橋の手前に料金所があった。
この橋は有料なのだ。
バイクのおっさんが手を差し出す。
持っていた1ドル札を運転手に渡した。 -
ついに橋までやって来た。
長〜い橋が海の中に伸びている。
ココン橋と言うらしい。
川ではなく、下は青い海だ。
入り江なのだ。
こんな綺麗な景色なんだもの、きっとココンは素敵な町だろう。
そう期待したいが、先ほどまでの様子では、何があっても不思議じゃない。
バイクは橋を渡っていく。
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この旅行記へのコメント (1)
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- trat baldさん 2015/12/20 08:07:38
- それでも被害は最小だったネ!
- むしろミニバンのぼったくりが酷い、国境(カンボジア)は今でもそうだよ。
トラートで降ろされた場所は僕の住む借家のすぐ近所のチャーター専門ミニバン車庫だよ、写真が少し混同してるけどボーコーソーから行っても同じ結果だし、、、、
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