日韓の架け橋対馬

2015/11/05 - 2015/11/07

韓国発券は朴槿恵政権発足以来為替レートが悪くなり、メリットが少なくなったことからこれで打ち止めにしよう。
そこで、韓国からフェリーで対馬にわたり、レンタカーで走り回った。
魏志倭人伝、三韓征伐、元寇、倭寇、文禄慶長の役、朝鮮通信使、日本海海戦と、歴史の節々に顔を出すこの島の歴史をあまり知らなかったことを反省。

エリア 対馬(長崎)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.5
• グルメ: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 船 レンタカー JALグループ ANAグループ

さて、釜山から対馬へフェリーで渡る。

ＪＲ九州の運航するビートルフェリー。
ネットでチケットを買おうとしたが買えない。
やむを得ず、日本にある韓国系の旅行社でチケットを手配。
そもそも日本人客への枠の配分が少なく、すぐには買えず調整が必要らしい。

待合室は韓国人旅行者でいっぱい。

関釜フェリーも停泊していました。

こちらがぼくの乗るビートル。

客席ツーフロアのこじんまりした船体。

対馬の韓国よりにある比田勝の港まではわずかに１時間。
結局この船の日本人客はぼくひとりだったようで、他は全部韓国人観光客。

１時間で行ける海外旅行なら韓国人にとっては便利に違いない。
パチンコが全面禁止となった韓国からは、パチンコをするだけのために対馬を訪れる客も珍しくないとか。

港には観光バスが何台も並んでいます。
路線バスの便の限られる対馬では、バスツアーでなければ効率的に観光することはできません。

たった一人の日本人観客のぼくはタクシーをチャーター。
ドライバーはここで生まれ育ったなぎささん。
ここには女性タクシードライバーは二人いるとか。

まず連れて行かれたのが日露友好の丘。
対馬沖で戦われた日本海海戦の折に流れ着いたバルチック艦隊の敗残兵を土地の住民が面倒を見て助けたという話が残っている。

この話を聞いた東郷平八郎の筆で「恩海義喬」めぐみの海、義はたかし、との書が刻まれています。

漂い着いたのはこのあたりでしょうか。

韓国展望所。

韓国展望所 名所・史跡

国境の護り。
航空自衛隊の施設が見えます。
海上自衛隊の施設はこれと別に山の上にあるとか。

韓国展望所 名所・史跡

目を凝らして写真を見てください。
韓国の海岸が見えるはず。
夏の花火の時にははっきり見えるようです。

韓国展望所 名所・史跡

舟志の紅葉街道。
今年は色づくのが例年より遅いとか。
でも、森の道を車で走るのは気持ちいいです。

この島のバスは後ろからタクシーや乗用車が来るとスピードを落として追い抜かさせるというマナーが徹底しています。気持ちいいですね。

昼食はなぎささんオススメのお寿司屋さん。

三楽寿司 グルメ・レストラン

にぎりランチの他に、とれとれのイカ刺しをいただきました。

三楽寿司 グルメ・レストラン

バスの時間まで比田勝の街を歩いてみましょう。
小さい町なのですぐに見るところもなくなり、港で日向ぼっこ。

対馬やまねこ空港までバスで向かいます。
料金表を見ると2940円かかりますが1日フリー切符を買えば1000円で済んでしまいます。
バスの車内アナウンスも停留所の表示も、日韓両国語が使われています。

対馬やまねこ空港到着。
対馬の観光案内パンフを入手するとともに、オリックスレンタカーに連絡して迎えに来てもらいました。

対馬空港 (対馬やまねこ空港) 空港

借りたのがこの車。
山道が続き道の狭い対馬では軽自動車がデフォルトです。

対馬空港 (対馬やまねこ空港) 空港

まず向かったのは万関橋。
リアス式地形の対馬で一番狭い地峡部を掘削して作った運河に架かる橋。

万関橋 名所・史跡

掘削したのは明治期の帝国海軍。
浅茅湾に停泊している駆逐艦が、バルチック艦隊が来た時、島の東側の玄界灘に出撃できる水路を作ったということですね。

万関橋 名所・史跡

日が暮れる前に見るべきところを見ておきたいと山道に乗り込みました。

対馬にはふたつのわだつみ神社があります。
山の上ににあるのが海神神社、海にあるのが和多都美神社。
司馬遼太郎が「街道を行く」で登ったのは山の方ですが、
ぼくが選んだのは、海の神社。

和多都美神社 寺・神社・教会

神話によると山幸彦(彦火火出見尊)は豊玉姫を娶りここに3年住んだという。
豊玉姫は神武天皇の祖母にあたります。

和多都美神社 寺・神社・教会

社殿の前から5基の鳥居が連なっており、そのうちの２つは、

和多都美神社 寺・神社・教会

海の中に建てられています。
静かな水面にその端正な姿が美しい。
あれ、どこかで見たことがあるぞ。
厳島神社の祖型はここなのでしょうか。

和多都美神社 寺・神社・教会

こんな辺鄙な神社にも韓国人ツアーは訪れています。

和多都美神社 寺・神社・教会

再び国道に戻り、ここは小船越。
万関水路の開かれる前、舟人は積荷を背負い、ときには舟を担いでこの道をたどったのでしょう。

小船越の入り口には阿麻氏留神社神社。あまてると読みます。
延喜式にも記された古社。
太陽信仰の名残なのか、大和朝廷の起源とも結びつく神社なのでしょう。
日本書紀にも出てくるとのこと。

こちら大船越。
ここでも運河が掘削されています。

今宵の宿は西山寺の宿坊。
朝鮮通信使も宿泊したという、宗家の信仰も厚い寺です。

宿坊対馬西山寺 宿・ホテル

ユースホステルとしても登録しているらしい。
となれば、大学4年の時のヨーロッパ放浪時代以来のユースホステル。

宿坊対馬西山寺 宿・ホテル

さて晩飯。
宿坊の僧侶が薦めてくれたのが千金丹。
串揚げを中心に地元の食材を出す店。
千金丹は江戸期の売薬の名前に由来する。
朝鮮人参はじめ、半島の漢方薬が対馬に伝わり、ここは売薬の島となったのです。
佐賀県の鳥栖の半分は対馬藩の領地であり、その縁で鳥栖は、登山、奈良と並ぶ売薬の中心地だったそう。
いまでも鳥栖に本社をおくサロンパスの久光製薬はその流れを汲んでいる。

なぜか梅酒の品揃えが凄い。
しかし、そのおかげでカウンター越しに料理人の手許も見えず、会話も楽しめないのは如何なものでしょう。

とれとれの魚の刺身。
一人なのでハーフサイズにしてもらいました。
アジ、ノドグロがうまい。

豚とニラのソテーを玉子でとじて。

アワビとエリンギをソテーして塩とレモンでいただきます。

翌朝の宿坊の朝食。
正しい日本の朝ごはんです。

宿坊対馬西山寺 宿・ホテル

西山寺は天平年間創建の古刹。

宿坊対馬西山寺 宿・ホテル

文禄慶長の役の終戦処理でここの住職が主導的な立場にあり、日朝関係の修復に功績を上げました。

宿坊対馬西山寺 宿・ホテル

本堂。

宿坊対馬西山寺 宿・ホテル

宿坊の入り口はこちら。

宿坊対馬西山寺 宿・ホテル

対馬藩お船江跡。
早い話がドックです。

鮎もどし自然公園。

鮎もどし自然公園 公園・植物園

花崗岩に覆われた瀬川の清流のほとりにキャンプ場があります。

鮎もどし自然公園 公園・植物園

対馬の南端、豆酘崎（つつさき）の先の海にはミョー瀬と呼ばれる岩礁が連なり、
写真の右側が朝鮮海峡、左が対馬海峡に続いています。

豆酘崎 自然・景勝地

丘の上には　豆酘崎灯台。

豆酘崎 自然・景勝地

あっ蝶々だ。
頁岩のすき間に咲く花にとまっていますね。

豆酘崎園地 公園・植物園

都に采女として召し出されようとした鶴王という美女が、村を離れることを悲しみ、舌を噛み切って自殺したとの伝説の地。

美女塚茶屋 グルメ・レストラン

対馬藩主宗家の菩提寺。

万松院 寺・神社・教会

主君を諌める時に打ち鳴らすという諌鼓。

万松院 寺・神社・教会

朝鮮国王から贈られたという三具足。
左から花瓶、香炉、鶴の燭台。

万松院 寺・神社・教会

百雁木と呼ばれる132段の階段を上り詰めると宗家の墓地。
宗家は鎌倉の昔に九州から渡ってきた惟宗氏の流れというが、その宗家の20代目で初代対馬藩主の義智の墓。
岳父の小西行長と文禄の役の先鋒を努め、戦後処理とその後の朝鮮外交を担ったそう。

万松院 寺・神社・教会

右手前の質素な義智の墓の先には歴代藩主一族の墓が並んでいる。
丘全体が墓地となっており、加賀前田、長州毛利と並び3大墓地と呼ばれるとのこと。
石高10万石で100万石や36万石と肩を並べるのは、朝鮮交易で築いた経済力のおかげでしょうか。

万松院 寺・神社・教会

樹齢1200年といわれる大杉。

万松院 寺・神社・教会

城跡は庭園が残されています。

金石城跡 名所・史跡

その一画に宗伯爵家の嫡子と李王家に側室の娘として生まれた姫との成婚記念碑が。
日韓併合から敗戦に至る両国関係に弄ばれ、奔流の中で結婚し、やがて離婚。
政略結婚の悲喜劇が繰り広げられていたようです。

金石城跡 名所・史跡

文禄慶長の役の後遺症が残る中で幕府から朝鮮との外交を命ぜられた対馬藩は、朝鮮国王の親書や外交文書を偽造する二枚舌外交を展開します。
その際に使われた朝鮮の国璽の偽造品。

長崎県立対馬歴史民俗資料館 美術館・博物館

街の中心に八幡様。
ここには小西行長の娘で宗義智に嫁ぎ、関ヶ原の後離縁された小西マリアを祀る分社もある。

厳原八幡宮神社 寺・神社・教会

本殿には三韓征伐の神功皇后も祀られている。
ともかく、時代があっち飛びこっち飛びで、理解するのが大変ですね。

厳原八幡宮神社 寺・神社・教会

厳原の街を出て西を目指す。
ツシマヤマネコ注意の看板が。
やまねこだけでなくイノシシやシカも日常的に出没し、
車にも衝突するし、畑も荒らし回るとか。
畑はみな鉄線や柵で囲まれているのは、動物除けのためらしい。

椎根の石屋根 名所・史跡

椎根地区には石で葺いた屋根の納屋が多く残されている。

椎根の石屋根 名所・史跡

石屋根のアップがこちら。
層状の石を切り出し積み重ねている。

椎根の石屋根 名所・史跡

四百余州をこぞる蒙古兵が襲来したのは文永11年。
最初の戦場が、ここ小茂田浜だった。
宗助国以下の対馬勢は元の部隊に蹂躙される。
その死者を弔ったのがこの小茂田浜神社。

小茂田浜神社大祭 祭り・イベント

ちょうどお祭りの準備が進んでいた。

小茂田浜神社大祭 祭り・イベント

この浜に元寇が押し寄せたわけだ。

小茂田浜元寇古戦場跡 名所・史跡

これが神社の社殿。

小茂田浜神社大祭 祭り・イベント

こちらは浅茅湾を見下ろす小高い山。

金田城跡 名所・史跡

細い山道を車で上がっていくと、金田城跡がある。

金田城跡 名所・史跡

663年。白村江で唐・新羅連合軍との戦いに敗れた日本は、連合軍の襲来を恐れ、東国から辺境防備の兵を徴用し、防人として防御を固めた。
故郷を遠く離れた防人たちは、故郷をしのび数々の万葉秀歌を詠んでいる。

金田城跡 名所・史跡

山の上まで登る時間も体力もない。
来るまで登れるところで引き返すこととしよう。

金田城跡 名所・史跡

対馬グランドホテルで遅い昼食。
そばは対馬の名物であるらしい。

漁火 グルメ・レストラン

飛行機で福岡へ。
地下鉄の床のデザインが面白い。
QRコードをモチーフとしている。
スマホで読めるかと試してみたが、
読めなかった。QRコード風デザインということのようだ。

福岡空港駅 駅

夕食は中洲の屋台。
完全に観光客向け料金。

双子の兄弟がやっている松ちゃん。
橋の架け替えでやがて店の場所が変わるとのこと。

客はみんな観光客。

客同士で盛り上がるので、
それはそれで楽しい。

観光屋台では金がかかってしょうがないので、駅ちかの屋台で博多ラーメンで〆よう。

ラーメンとハイボール。

翌朝の警固神社。
神功皇后による三韓征伐の際、皇后の船団を守護し勝利に導いた警固大神を祀ってあるという。
七五三の記念写真のシャッターを神職がおしていた。

警固神社 寺・神社・教会

昼飯はいつも行っている稚加栄。

稚加榮 本店 グルメ・レストラン

開店と同時に入店。

稚加榮 本店 グルメ・レストラン

夜はいけすの魚を食べさせてくれる。

稚加榮 本店 グルメ・レストラン

これで1300円はお買い得。
しかもチューブ明太子は食べ放題。

稚加榮 本店 グルメ・レストラン