2015/09/19 - 2015/09/19
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たびたびさん
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京都との名物、鯖寿司は小浜街道から鯖がもたらされた歴史から。京都から小浜は、今だと米原を経由することになるんで、なんで京都と小浜かなあと思ってしまうんですが、地図を見ると小浜は京都の真北にあるんですね。鯖街道はこれをまっすぐに突っ切る街道で、京都から言えば、小浜は確かに一番近い日本海になるんです。
ということで、今回の旅は正しくは鯖街道ではありません。でも、それはそれとして、小浜と米原経由で京都を行ったり来たりの旅はやっぱり文化のつながりが感じられるように思いました。
さて、始まりは木之本から。今では、行政区として長浜市となっていますが、同じ金沢と中山道の鳥居本(彦根)を結ぶ北国街道の宿場町でも、木之本宿と長浜宿は別々だったんですね。そして、秀吉が賤ヶ岳の合戦の際に大垣から大返しした北国脇往還は木之本宿から分かれていましたから、当然、人の流れも違ったことでしょう。
そして、木之本のもう一つの魅力は、お隣の高月も含めた観音の里。地元で大切に守り継がれた多くの観音たちで有名なんです。今回は、その一部でしたが、始めて回ってみました。実際に地元の方のお世話している姿に触れて、これも心に沁みる体験となりました。またまた新たな旅の始まりです。
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木之本駅に到着。木調のけっこう立派な駅舎です。
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駅から少し歩いて、これは地蔵坂。木之本地蔵に向かう少し上りになった通りです。
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木之本宿へ向かう地蔵坂の中ほどにあるのが、菓匠禄兵衛。開店時間は早いのですが、開店とほとんど同時に入りました。
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イチオシ
立派な草餅がとてもうまそうで、迷わずそれをいただきました。むしろ東京風のような垢抜けた味わいが印象的。長浜にもお店があって、その時に感じたのとやっぱり同じですね。
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イチオシ
さらに進んで。
角屋は、木之本地蔵の門前にある和洋菓子のお店。 -
名前の通り、通りの角に立っています。
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こちらでは、筒状の形をしたシュークリームをいただきました。クリームの甘さがけっこうしっかりした味。はっきり味系の仕上がりだと思います。
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で、これが木之本地蔵です。
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この木之本地蔵院は街の中心部に位置していますし、
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その存在は木之本宿の象徴のようなものだと思います。
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本堂に上がると、
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奥には立派な厨子がありまして。
本尊の地蔵はこの厨子の中だそう。つまり、通常は非公開なんですね。地蔵は直接拝めませんが、それでもこの厨子はなかなか見応えはありますよ〜 -
イチオシ
本堂には色とりどりのバンが掛かっています。
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そして、その脇には青銅のそびえるような地蔵様がすっくと立っていて、
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門を入ると、誰でもまずはこれが目に入るでしょう。
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イチオシ
周辺に蛙の置物もたくさんありましたが、みそは片目をつむっているところ。
木之本地蔵院は、眼の仏さま。片目をつむっているのは、つまり身代わり蛙。「すべての人々の大切な眼がお地蔵さまのご加護をいただけますように」と、自らが片方の目をつむることによって身代わりの願をかけたと言う蛙なんです。 -
そして、境内の奥の方からは、
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地蔵を裏から拝観ができるようになっていましたが、地蔵そのものが拝観できないので、あまり意味はなかったかなあと思いました。
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これが木之本宿ですね。。では、歩いて見ましょう。
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本陣薬局は、木之本宿の中心部。木之本地蔵のほぼ隣りです。
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ここはかつては木之本宿の本陣だったという建物。
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表に板がいくつも下がっていて、何だろうと思ったら、かなり文字が薄れていますが、薬の名前が書いてあって、薬の看板なんですね。風情のある外観です。
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今回のお目当ての一つが、このつるや。
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サラダパンというめちゃめちゃ有名なパンがあるんですよね。
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イチオシ
基本はマヨネーズの味だと思いますが、沢庵の刻んだのが混ぜてあるというちょっと変わったパンなのですが、沢庵が混じることで歯ごたえの変化が楽しめるし、マヨネーズの味との相性も悪くない。思ったほど違和感はないというより、とても理に適っているような。とってもおいしくいただきました。
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続いては、冨田酒造。これも旧木之本宿にあっては老舗の酒蔵です。
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通りに面して平入りの広い入口があって、誰でもすぐにそれと気が付くと思います。
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賤ヶ岳の七本槍にちなんだ「七本槍」が銘柄。趣ある店内に美しく並べられていました。
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旧木之本宿だと木之本地蔵院が有名ですが、その並びにあるこの明楽寺もかなり立派な構え。
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真宗大谷派の寺院はこうやって立派な構えの寺が多いですよね。
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一方で、真宗派は反信長。浅井長政の裏切りもそうした局面での一定の勝算があったからと言われているくらい。この寺にもそうした歴史があったのではないかと思います。
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イチオシ
きのもと交遊館は、木之本宿の下手の方。昭和10年に建てられた滋賀銀行の支店だった建物。
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大河ドラマ軍師官兵衛の関係の展示などもあったようですが、今では入口のマットのデザインにそれを見るくらい。入口のホールだけが開放されていて、吹き抜けをちょこっと覗くだけの施設です。
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岩根醤油醸造店は、きのもと交遊館の向かい。
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こちらも昔ながらの伝統技術を守るお店です。店内に入ると種類は少ないですが手作りの商品が並んで、一本気な雰囲気が漂っていました。
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あまり知られていないかもしれませんが、雑誌にダイコウ醤油のしょうゆラスクというのが紹介されていて、それが目当てで訪ねました。
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入ってすぐの場所に並んでいて、さっそく購入。
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じっくり寝かせた醤油のうまみが活かされているような逸品。
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イチオシ
サクサクした食感がいいですね。醤油の香りという感じはストレートにはしないんですが、味の加減がちょうどいい。これも立派な名物だと思います。
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木之本宿の街道はけっこうまっすぐなので、こんな風にけっこう遠くまで見渡せます。今歩いてきたところは全部見えています。
ここが端っこなので、もう一度戻ることにしましょう。 -
木之本宿の中ではあまり目立たない家なのですが、軒先に駒札が立っていて、竹本助六家は、南木之本村の元庄屋だったというような説明書きがありました。寛政・天保の巡検使応待記録などの古文書も残っているそうです。
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白木屋醤油店は、小さな店構えですが、こちらも創業が江戸末期という老舗です。木之本には岩根醤油、ダイコウ醤油といった醤油屋もありましたけど、醤油業の盛んな地。切磋琢磨して品質を保ってきたことが、十分にうかがえると思います。
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さて、実はここまでの散策はレンタサイクルを借りるまでの時間調整だったんです。そろそろ時間になってきたので、木之本駅まで戻りましょう。
駅の近くまで戻ってきて、これははとや。 -
お菓子屋さんとお土産物屋さんを兼ねた小さなお店です。手作りのお赤飯を買ったのですが、ふと見ると、昔ながらの菊水あめという何か気になる商品があって、それをお土産にしました。金沢の俵屋と同じ、麦芽糖の飴。ほんのりとした甘さが特徴です。
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木之本駅まで戻ってきて。
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レンタサイクルは、木之本駅舎内にある木之本観光案内所にあるんです。
今日の目玉は、木之本から出発する観音巡り。自転車じゃないと回れません。
観音巡りは高月駅から回るというのもあるんですが、やっぱり木之本宿もあるので、こちらからの方から回るのを優先した次第です。 -
しばらく走って、遠くに集落が見えてきました。
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ここまで来ると車もほとんどいないし、
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サイクリングにはピッタリですね。
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集落を抜けて、
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まずやってきたのは、己高閣です。
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己高閣は、鶏足寺の収蔵庫なのですが、鶏足寺自体はもう無住。
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なので、実際にここのお世話をしているのは地域の人たちのボランティアです。
この日も複数のスタッフがいまして、十一面観音などの仏像も素晴らしいですが、こうして地元に守られていることももしかしたらそれ以上に素晴らしい。頭が下がるような気持ちになりました。 -
隣りが世代閣。己高閣とセットで拝観することになります。鶏足寺の十一面観音はさっきの己高閣に安置されていますが、こちらにあるのは、世代山戸岩寺の薬師如来立像をはじめとする仏像群です。
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薬師三尊像を中心に十二神将像を従えるという配置ですが、一部乾漆像を含むという田舎にしては高価な仏像も含まれたりしていて、なぜそんなものがここにあるのかはちょっと不思議ですね。
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いずれにしても、一番の注目は、己高閣の十一面観音。しかし、説明を聞くと、体と頭は別々だったものだそう。確かに、顔はちょっと厳しい雰囲気に対し、体は優美な優しさが漂う。よく見るとかなり違いますが、パッと見た感じではそこまで違和感がない。破損か何かが原因でしょうが、継ぐことによって、やっぱり命が吹き込まれたことは間違いないことだと思います。
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なお、境内には戸岩寺薬師堂もあって、こちらもお堂の中の仏様を拝観できますので、お見逃しなく。
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これも内部がのぞけます。
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次の目的地は鶏足寺です。自転車がまたしても役に立ってきました。
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ほー、このさわやかな緑は何でしょうね。
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建物はほとんど残っていなくて、かつては多くの建物があったであろう様な石垣を組んだ敷地。
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穴太衆(あのうしゅう)が築いた坂本の街並みを彷彿とさせるような感じ。
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石畳の道を覆って、見事な紅葉の並木が続きます。
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イチオシ
天気がいいこともあって、この景色は本当にハッとするような美しさですねえ。
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石段の先のあれが本堂でしょうか。ひっそりとしていて、人の気配はありません。
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それにしても、この紅葉って。。
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当然、人の手は入っているのですが、こうした景色を意図して作りだしたのか、たまたま紅葉が育ってこうなったのか。かなりあいまい。
石垣の方だって緑に埋まるようでいて、朽ち果てることなくしっかり石垣としての堅牢さも残っています。
例えば、二尊院の馬場とかははっきりした意図があっての美しさなんですが
、こちらは全体として人工的な美と自然の美の、その境がはっきりしていません。なのに、ちゃんと調和した美しさがあるんですよね。しばし、うっとりと眺めてしまいます。 -
いつものことなんですが、旅のハイライトはどこに潜んでいるか分からない。己高閣もよかったけど、鶏足寺は最高でしたね。これで今日のハイライトは終わったかなあと思いつつ、次の目的地、石道寺に向かいます。
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ここの観音は、作家井上靖が村娘に例えたという、平安末期の作と伝えられる十一面観音です。
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イチオシ
こちらが正面。
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受付で拝観を申し込みまして。
こちらも地元の方が大切の守り伝えてこられた仏様なので、この人も近くの人なんでしょう。戸を開けてもらって中へ入りますと。。 -
唇に赤い色がはっきりと残っていて、古びた中にもわずかに、しかしはっきりとした生気が残っています。
井上靖は草の匂いがするとはうまい表現をしたものです。村娘の雰囲気、確かにそう。仏であってもほんのり人間味を感じる、いい仏様でした。もう鶏足寺で帰りたくなっていましたが、やはりここも見ないとダメですね。自然の美しさの感動はやはりどこかで限界がある。仏像の感動は、なんだかもっと深いところに響くんですよね。
以上、観音巡りは、予定通り完了して。再び、木之本宿に帰りましょう。 -
お昼はすし慶へ。木之本宿の中ほどにある老舗の寿司屋さんです。木之本ですから、うまい鯖寿司を期待してますよ〜
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入口は普通だったのですが、
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奥には庭に面したもったいのある大広間があって、悠々と食事ができます。やっぱり、老舗はいいですねえ。
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これまで食べたことがなかったので、焼き鯖寿司の方にしてみました。
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イチオシ
しかし、正直言えば、焼き鯖が寿司に乗っかっているだけ。これでは技も何もないかもしれませんね。
焼き鯖寿司の歴史は浅いものですから、伝統ある普通の鯖寿司の方がよかったかなあと今でもちょっと悔やんでいるところです。 -
昼飯を終えて。
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木之本は馬の市が立つのですが、山之内一豊の妻、千代が名馬を買ったという有名な話はここの市のこと。
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そして、その名馬はこの馬宿平四郎から出たとも伝わります。いずれにしてもここは宿。土日にのみ拝観が可能ということで、この日は外からうかがうしかありませんでした。
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これは、木之本塾という看板があって、町興しの中核施設と言った場所のようです。
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この日は、元学校の先生だったという方が作った動くおもちゃの展示会。
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ちょっと覗いただけのつもりだったのですが、「まあ、見て行きなさい」と強く勧められて、展示室に上がってみますと。。
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これは途方もない。虫やカエルや鳥たちの動きが見事に表現されていて一級品。見飽きない面白さが詰まった作品群にちょっと驚きました。
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餅をつく兎の杵は、振り上げるまでのちょっとした動きの中に粘るお餅にしばらくくっついている感じを表現していますし、
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このカモメは、付け根から始まる羽ばたきの動きが翼の先の方に順次伝わる具合が絶妙です。
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このバッタもしかり。ジャンプしてから、風に乗って、さいごグーンと飛距離を伸ばす動きが特徴をよく捉えています。
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圧巻は、ちょうちょと蛙。
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ひらひら舞うちょうちょに狙いを定めて、あんぐり口を開けた蛙がまさにとびかからんとするところ。
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しかし、すんでのところでちょうちょは蛙の攻撃をかわして、蛙のおでこに触れただけ。
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むーん。残念。ちょうちょを逃した蛙は悔しそうです。
趣味にしては、大人でもうなってしまうほどの凄い出来。豊かなというか、鋭い観察眼を持った人なんでしょうね。面白いものを見せてもらいました。今後の活躍も期待してますよ〜 -
その向かいにあるのは山路酒造。桑酒というのが看板商品だそう。さっきの木之本塾の人から情報をもらって寄ってみました。
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起源は、もう470年余り。大ざっぱに言えば甘ったるい養命酒のようなお酒なのですが、試飲してみるともうちょっとすっきりした爽やか系。
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島崎藤村が気に入って、島崎藤村が桑酒購入のため差し出した注文書も残っているようです。
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さて、木之本はこれでおしまい。
さっきの観光案内所が入っているのは、ふれあいステーションおかんというんですね。 -
産直の販売や観音煎餅とか地元の名物を扱っているのですが、
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ちょっと紹介したいのはこのエリア、観音の里にある有名観音像のパネル展示。
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よく撮れていて、
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先ほどの感動がまた蘇ってくるようでした。
見ていない人も是非、確認してみてくださいね。 -
木之本を出てすぐなんですが、余呉湖は、列車からでも遠目に見ることができます。田園風景の中に、山に囲まれた湖面が見えて、ちょっと中国の片田舎をモチーフにした一幅の絵を見ているような感じでした。
これから小浜に向かって、一日目後半に続きます。
今回の旅は5日間。まだ旅は始まったばかりです。
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この旅行記へのコメント (2)
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- さくらとすみれ(名前を変更しました)さん 2017/06/29 18:22:24
- はじめまして!
- 私の拙い旅行記に、いいねをしてくださりありがとうございます!
たびたび様は、全国を旅なさっていて凄く羨ましいです!私も国内も少ない経験ですが、海外に行っても、国内でも日本の歴史や良さを実感します。日本人で良かった!といつも思います。
たびたび様の旅行記が勉強になります。
京都は素晴らしいですね!
300回も行けるなんて良いなぁと思います!
私も京都は大好きで、何度行っても飽きない土地だと思います。きっと住んでも素敵でしょうね☆また、今度京都に行く際はどこがオススメか教えてください。宜しくお願い致します。
- たびたびさん からの返信 2017/06/30 11:31:26
- RE: はじめまして!
- おさち安藤とんぴりぴんさんは、ポジティブなの人のようですね。これからも自分の世界が広がっていくといいですね。
さて、京都のことですが、京都人はいいものではないです。京都はこれまでの長い歴史の中で権力者が次々変わり、昨日権勢を誇っていた人でも、今日は罪人となるといった悲劇を繰り返してきました。ですから、誰にし対しても付かず離れず。他人には容易に自分の腹を見せないというのが生き残るための知恵となっていきます。今でも、関西では京都人はあんまり好かれないし、京都の人ですら、「京都人は嫌い。何を考えているか分からないから。」と言うくらいなんですね。
一方で、周囲の情報はしっかり取りに行く。「自分のタンスの中身は隣りの人の方が良く知っている」というのは聞かれたことがあるでしょうか。これも、その辺りの感覚をよく表している言葉だと思います。
ただ、そうした京都人ですから、為政者はその動きを用心深く見つめざるを得ない。信長や秀吉も京都スズメの言葉には敏感でした。例えば、幕末だと禁門の変で京を追われた長州藩ですが、その人気は全く衰えませんでしたし、時代を見る目は、妙に確かなんですね。
京都を知ることは日本の文化と歴史を知ること。私の中でその思いは一貫しています。いろんな視点があると思いますが、いずれにしても京都に興味を持ってもらえる人が少しでも増えるのは嬉しい限り。どんどんチャレンジして行ってもらいたいと思います。
たびたび
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