2014/05/23 - 2014/05/23
10位(同エリア713件中)
ねんきん老人さん
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房総半島西岸の五井駅からほぼ南に向かって上総中野駅まで走っている、小湊鉄道という私鉄があります。そこからは第三セクター方式のいすみ鉄道が半島東海岸の大原まで鉄路をつないでおり、両線を乗り継げば房総半島は列車で横断することができます。
一方、それとは別に、やはり西海岸の木更津から南東に向かう久留里線というのがあり、これは半島中央の山間部で切れています。
3線とも電車ではなく、気動車が使われています。 ということは、線路の上にものものしい架線がないわけですから、沿線の景観はすっきりとして美しいままに保たれています。
さてその久留里線ですが、地元ではパー線と呼んでいます。これは久留里(くるり)を「くるくるパー」と揶揄してのことですが、悪意はなく、むしろ親しみを込めての呼称です。
ですが、過疎化の進む農村地帯を走っており、山奥が終点ですから、経営環境は厳しく、32.2km、13駅のうち10駅が無人駅です。
私はこのことに興味をもち、ふと、全駅を訪ねてみようという気になりました。
鉄道ファンではありませんし、ましてや撮り鉄とか乗り鉄とかいうマニアでもありませんから、車で回りました。邪道と言われても仕方がありません。
もっとも、運行本数が少ないので、列車で行っていちいち降りていたのでは13もの駅を回れないという事情もあります。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
【 祇園駅(無人)】
始点の木更津駅は内房線に所属するのだそうで、久留里線の駅としてはここが最初です。
この写真では駅舎は見えません。ホームに沿った桜の木と自転車置き場だけです。祇園駅 (千葉県) 駅
-
【 駅前花壇 】
まだ駅舎は見えません。
これはボランティアが作った花壇です。いつも花が咲いています。 -
【 駅舎 】
お待たせしました。これが駅舎です。 といっても、雨風をよける待合室というだけで、切符売り場などはありません。
待合室は線路の枕木を使ったログハウス風で、小さいけれどメルヘンチックで好感が持てます。 -
【 切符投入箱(着札乗車券箱)】
降りた人は、ホームにあるこの箱に使用済みの切符を入れて駅を出ます。
それは分かりますが、「着札」というのは何でしょう。 初めて見た日本語です。 -
【 ホームミラー 】
すべての駅のホームにこんなミラーがついています。 ちょうど運転席から見える位置にありますので、運転士さんが発車の際にホームの状況を確認するのに使うのだと思います。
そうです。久留里線の車両には、一部を除いて運転士さん以外の乗務員は乗っていないのです。
ホームにも駅員さんはいないのですから、運転士さん一人で乗客の安全を確認しなければならないのですね。経営難とはいえ、運転士さんに罪はないのですから、酷な話だと思います。 -
【 上総清川駅(無人)】
2番目の駅、上総清川(かずさきよかわ)です。
この辺の地名は「清川」ですが、「清川駅」だと山形県にある清川駅と同名になってしまうので、区別するために「上総」とつけているようです。上総というのは、昔の国名が上総国だったことに由来します。
ホームの右に小さく見える白い建物が待合室です。ベンチに雨よけをつけただけのものですから、「室」と呼べるのかな、とは思いますが。
(茶色い切妻屋根の建物は民家です) -
【 駅への入口 】
線路に沿って旧国道410号線が走っています。 駅へは「平野商店」の脇から入ります。 「駅入口」を示す表示はありません。 -
【 駅への入口 】
これがその入口です。とても駅があるとは思えません。 -
【 待合室とホーム 】
そしてこれが待合室です。あのミラーがここにもありますね。
ところで、「9時パーで帰る」というのがどんな意味か、判りますか。
「9時台の久留里線で帰る」という意味です。そう、久留里線は1時間に1本なので、「帰るコール」はこれで十分通じるのです。 -
【 乗車駅証明書発行機 】
無人駅ですから、切符は買えません。車中で買いたくても車掌さんが乗っていませんから、下車するときに運転士さんに払うか、有人駅なら清算ということになります。
そのときに、どの駅から乗ったかを証明してくれるのがこの機械です。上のボタンを押すと、証明書が出てきます。 -
【 乗車位置表示 】
運転士さん以外の乗務員が乗っていませんから、あちこちのドアから乗り降りされると困ります。
そこで必要最少限のドアしか開かないようにしてあり、その位置を示すシールが足元に貼られています。 -
【 駅周辺の美化活動 】
ところで上総清川駅を含む地域には 「きよかわ町内会」 というコミュニティがあり、その中に 「きよかわふれ愛クラブ」 という組織があります。
ありていに言えば老人クラブなのですが、メンバーは意気軒昂な人ばかりで、定期的に上総清川駅のホームや線路周辺の清掃・除草・花壇整備などの美化活動を行っています。
久留里線は、こうした地域の人々によって支えられているのですね。 -
【 東清川駅(無人)】
3番目の駅です。これが駅だと分かるのは地元の人だけだと思います。 -
【 駅への案内板 】
旧国道410号線の脇に、駅への案内板がありました !
「東清川駅」という文字と左向きの矢印が見えますか? -
【 駅入口 】
柵の向こうがホームです。
自転車置き場があるのが駅らしくていいですね。 -
【 駅舎 】
さっき草むらの向こうに見えていた建物がこれです。待合室になっています。 -
【 待合室 】
中はこんな感じです。
ところで、久留里線には一部を除いて運転士さん以外の乗務員は乗っていないと先に書きましたが、それは大変なことだと思います。
乗客の中には、内房線木更津までの乗車券または定期券でそのまま久留里線に乗り継いでくる人もかなりいますから、停車したらすぐにそういう客の対応をしなければなりません。
無人駅から乗って無人駅で降りる人もいます。その料金は運転士さんが受け取ることになりますね。小銭を持っていない人にはお釣りも出さなければなりません。
小銭といえば、スイカを使って内房線から乗った人が久留里線で降りる場合はどうするのでしょう? 久留里線はスイカに対応していませんから、運転士さんが清算をするのだと思いますが、客の中には「小銭がいやだからスイカを使ってるんだ」と文句を言う人もいると思います。
それらすべてをこなした上で、神経を使う運転をするのですから、安全にも支障が出るのではないでしょうか。
・・・というわけで、現在、「指導員」という名で補助員が乗っているようです。ワンマン運行を宣言した会社としては、いまさら「車掌」を乗せるのは沽券に係わるということで「指導員」としているのでしょうか。
だとしたら、ちょっと滑稽ですが。 -
【 ここにもミラーが 】
祇園駅で見たホーム確認用のミラーです。
フラッシュの光に隠れているのが私で、我ながら馬鹿な写真を撮ったものだと思います。 -
【 キハE130系気動車 】
東清川駅に列車が入ってきました。
久留里線では最近までキハ30、キハ37、キハ38というディーゼル車が使われていました。全国でもここだけしか走っていない型で、撮り鉄たちの垂涎の的だったそうです。
残念ながらそれは2012年の12月で引退し、現在はキハE130系になったということですが、私にはその違いは分かりません。
ただ、キハ30、37、38では列車の衝突を避けるためのタブレットというものを運転士さんが携帯していましたが、新型車両になってからは電気による区間制御に代わって、タブレットの交換風景は見られなくなりました。
ここでもアナログの世界が一つ消えたわけで、寂しいというか、味気ないシステムになってしまいました。 -
【 横田駅(有人) 】
4番目の駅です。駅舎もこれまでの駅と比べて立派ですし、公衆電話やポストもあり、いかにも駅といった趣きです。 -
【 発券窓口 】
駅舎の中には発券窓口があります。閉まっていましたが、列車の到着時間に合わせて開くようです。
昔はこういう窓口で「○○1枚」などと切符を買ったものでした。
なお、窓口の営業時間は6時半から20時までだそうで、それ以外の時間に乗り降りする人は、無人駅のルールで利用するようです。 -
【 待合室 】
ワーッ! ありましたね、こういうベンチ。
子供のころはこの上を駆け回りましたし、学生時代の無線旅行ではベッドとして使わせてもらいました。
1脚ずつに離れたプラスチックのものにはない温かみを感じます。 -
【 ホームが2面 】
久留里線は全線が単線ですが、横田駅と久留里駅では上り下りの列車がすれ違えるよう線路が2本、ホームも2面あります。
保線車両用の引き込み線もあり、久留里線の中では大きな駅です。 -
【 久留里線百周年記念碑 】
駅舎の前にはこんなものが建っていました。
久留里線は1012年に千葉県営鉄道として開業したのだそうで、大日本帝国陸軍鉄道連隊の訓練として工事が行われたということです。県営鉄道とか帝国陸軍鉄道連隊とかいうものがあったことは、今回初めて知りました。
思いつきで出かけた駅巡りでしたが、思わぬ収穫が得られました。 -
【 東横田駅(無人)】
以前の待合室は風情がありましたが、今は平凡なものに変わっています。
以前は貨物列車の最後尾に連結されていた車掌車をホームに置いて待合室として使っていたのです。
そのころ一度来たことがあり、今回も楽しみにしていたのですが、2007年に撤去されたとのことで、がっかりしました。
むろん機能的には向上したわけですから、風情がどうのというのは、よそ者の勝手な言い分なのですが。
後日談になりますが、「あの古い車両を使った駅舎は無くなっちゃったんだね」と知人に言ったところ、そういう駅舎は全国に沢山あって、ダルマ駅と呼ばれているんだ、ということを言われました。
なんでも国鉄民営化の前後に経費節約の一環として沢山作られたのだそうで、全国のダルマ駅を回った記録まで出版されているのだとか。
世の中には物知りも物好きも星の数ほどいるんですね。 長生きすると本当に面白い・・・。 -
【 ホーム手前の注意書き 】
誰が作ったのでしょう?
みんな「て」使います・・・濁点がありません。
きれい「て」さわやかに・・・濁点がありません。
「お願い」の「お」の字に点がありません。
「鉄道」の「道」という字のしんにょうに点がありません。
運転に支障します・・・支障する、という言葉があるのでしょうか。
書いた人、立てた人、誰も気がつかないで今日まできたのでしょうか。 -
【 馬来田駅(窓口のみ一部有人)】
6番目の駅、馬来田(まくた)です。
馬来田というのは田舎の代名詞のように使われる地名ですが、どうしてどうして、なかなか由緒ある土地のようです。
成務天皇の時代に天津彦根命の子孫の深河意弥命が馬来田国造(うまくたのくにのみやつこ)に任ぜられたことに始まるということで、木更津市内にある全国的に有名な金鈴塚古墳はその馬来田国造が造営したものだそうですから、かなりの格式であったことは間違いありません。 -
【 万葉の歌碑 】
というわけで、万葉集にもこの辺りで詠まれた歌が沢山あるようで、駅前にも歌碑があります。著名な書家の筆によるものですが、そういう字はえてして読みにくく・・・なんて言うと教養のなさがバレてしまいますが。
やっと、
「馬来田の ねろにかくりぬ かくだにも 国のとほかば ながめ ほりせむ」
と判読しましたが、意味が解りません。
そこで近くの公民館に行ってみると、さすがに地元のことで、ちゃんと教えてくれました。漢字を当てると、
「馬来田の 嶺ろに隠り居ぬ かくだにも 国の遠かば 汝が目欲りせむ」
となるのだそうで、「馬来田の嶺に隠れるほどに我が郷は遠いので、あなたに会いたくなるのだろう」という意味なのだとか。
ふーん。 -
【 名所散策の案内板と武田史跡の説明 】
この地はさらに甲斐の武田氏ゆかりの城や寺があったということで、その説明板もあります。寺は現在も続いているそうですが、こうして駅前に紹介文が出されているところに、地元の人たちの誇りが感じられます。
なおこの駅はボランティアに出札業務を委託している「簡易委託駅」だそうで、平日の午前3時間、午後2時間ほど窓口が開きます。出札以外のことはやりませんので、まあ、券売機ではなく人間が切符を売っているというだけのことですが、そういうことをやろうというボランティアがいるということに、温かみを感じます。
久留里線を守る会という団体が「乗車券や特急券は往復とも定期券や回数券も久留里線の駅で購入しましょう」という「お願い」を掲げています。文章はちょっとヘンですが、不採算路線を守りたいという切実さが伝わってきます。 -
【 下郡駅(無人)】
7番目の駅、下郡(しもごおり)です。
下郡というのは木更津市に属する地名ですが、その端が君津市と接しており、境界線の君津側に駅があるので、駅の所在地としては君津市ということになります。
つまり、木更津市の駅が君津市にあるということです。 ??? -
【 線路横断は禁止 】
危険なので線路横断はしないようにという注意書きです。
もっともなことですが、その注意書きのそばに自転車置き場(写真右下に合成)があります。線路を跨げば数メートル、踏切まで行って反対側の道路を通れば300メートル以上ありますから、誰も注意を守りません。
上下線合わせても1時間に2本しか通らないし、しかも単線ですから車両がすれ違うこともありません。それに駅ですから当然最徐行しています。なにより遠くまで見通せる場所ですから、危険と言われてもちょっと・・・。
いやいや、そういう考えが間違っているんですね。どんなに安全でも信号が赤のうちは渡らないというのが日本人なのですから。 -
【 キハE130系気動車 】
気動車が入ってきました。降りたおばさんが堂々と線路を歩いています。
ところで、「電車で行く」「列車に乗る」という言い方はよくしますが、「次の気動車は何時?」というのは、なんだかしっくりきません。
さりとてこれは電車ではないし、1両なのに「列車」というのも変ですし・・・。
汽車と言えばいいようにも思いますが、汽車というとSLのイメージが浮かんでしまいます。
鉄ちゃんだったら、どう言いますか? -
【 小櫃駅(無人)】
8番目の駅、小櫃(おびつ)です。
中はがらんとした空間で、壁につけられた木製ベンチ以外、何もありません。 -
【 人生訓 】
駅舎の前に、ツツジで半分隠れた標語が書かれていました。
ツツジをかき分けて読んでみると、
「つまづくな 君にきらめく 明日がある」とありました。
若者を勇気づける良い標語だと思いますが、ちょっと疑問も。 私は、つまづいてもいいんじゃないか、と思いました。七転び八起きという言葉もあるくらいですから、何度つまづいても、頑張っていればきらめく明日が来るんじゃないか、と思います。
まあ、それはどうでもいいのですが、折角の標語ですから、ツツジをもう少し刈り込むか、別の場所に移した方がいいのではないでしょうか。 -
【 蒸気機関車 】
その小櫃駅の線路を挟んだ反対側に、蒸気機関車が展示されています。C12形蒸気機関車287号機というのだそうです。
マニアにはたまらないものなのでしょうが、私には細かいことは分かりません。ただ子供の頃、家が駅の近くであったこと、貨物列車のホームが遊び場所であったことなどから、蒸気機関車というのはとても懐かしく思います。
そのころ見ていた機関車がこれと同じ型なのかどうかは分かりませんが。
追記:このC12形の167号機が鳥取県の若桜(わかさ)鉄道若桜駅に動態保存(イベントなどのために動かせる状態で保存しておくこと)されているそうです。
こういうことを書くと、鉄ちゃんぽく見えませんか? -
【 未来の鉄ちゃん? 】
「ポッポー、ポッポー」とはしゃぐ子供。
実物を見たこともなく、もちろん乗ったこともないのに、蒸気機関車というのはやはり子供の興奮を誘う魅力があるのでしょうか。 -
【 俵田駅への入口 】
旧国道410号線(久留里街道)です。
横断歩道の左側にある路地を入ると俵田駅に出ます。駅の表示はありませんから、地元の人しか分かりません。現に私も、通り過ぎてから探しに戻りました。 -
【 江戸道道標 】
その路地の反対側にこんな道標が建っています。
江戸時代、関東近辺の海運には五大力船と呼ばれる海川両用の荷船が使われており、とくに木更津と江戸を結ぶ船は木更津船と呼ばれて活躍していました。これは大坂冬の陣で木更津の水夫が徳川方に貢献したことへの論功行賞として安房・上総両国から江戸までの航行権を独占的に与えられていたためです。
(ここまでは学校で習うことです。これからあとは、道標の脇に立てられた説明板からの受け売りです)
当時、久留里の物資を江戸に運ぶには、ここから北へ向かう道と、西へ向かう道があったようで、この道標には、縦に2行、「是より北は江戸おか道なり」「是より西は江戸ふな道なり」という文字が刻まれています。
おか道とは陸路のことで、ふな道とは海路のことです。つまり、ここから西へ行けば木更津から船で江戸へ行けるということです。
※ 写真は上記2行の文字が刻まれた面ですが、風化していて、そのままでは読めません。かろうじて「道」という字が判りますが、あとは拓本でも取ってなぞるしかありません。 -
【 俵田駅(無人)】
9番目の駅、俵田(たわらだ)です。
柵の向こうがホームです。右に見える赤いブロック塀は民家のものです。 -
【 久留里の町 】
久留里城の城下町です。
町内のあちこちに湧水の汲み場がありますが、ポリタンクを積んで遠くから来る人が絶えず、なかなか車が停められません。
ここには駅への入口を示す案内標識があります。
ちなみに久留里城は上総武田氏によって築かれ、のちに里見氏が入り、反北条の要だったということです。別名雨城(うじょう)と呼ばれ、この辺りで作られる楊枝は「雨城楊枝」として有名です。
もともとは武士の内職として始められたものですが、クロモジ(クスノキ科の香木)の皮を一部残したまま細工されており、味わいのある見た目もさることながら、使い勝手の良さは抜群です。お茶席や日本料理店で使われることが多く、どなたも一度は見たことがあると思います。 -
【 久留里駅(有人)】
10番目の駅、久留里(くるり)です。久留里線の名の元になっているくらいで、終日有人の駅です。
右に見えるトイレもなんとなく城下町風です。 -
【 平山駅(無人)】
11番目の駅、平山(ひらやま)です。
左が駅舎、右がトイレで、トイレの方が大きいのがご愛嬌です。 -
【 旧国鉄型駅名表示板 】
こういうスタイルの駅名標も少なくなりましたね。横に高倉健さんでも立っていれば絵になりますが、私ではどうもサマになりませんので、記念撮影はやめておきました。
君津市と書いてありますが、久留里線は32.2kmと短いのに、3市を通っています。
木更津を出た気動車はそのあと市内3駅を通り、袖ヶ浦市の2駅を経たあと、また木更津市の1駅、そして君津市の7駅に停まることになります。
これは鉄路が東向きから大きく南向きに変わることと、3市の境界が複雑なためです。
そんなことを地図で確認していると、なんだか自分が「鉄ちゃんモドキ」になったような気分がしてきます。 -
【 上総松丘駅への入口 】
国道410号線の、民家も何もない所に横断歩道があります。そこだけガードレールがありません。
つまり、駅への入口であることは明らかです。 -
【 駅への道 】
上の写真から続きます。崩れかけてはいますが、階段もあり、その先に細い道が続いています。
右上に見える建物が駅です。 -
【 駅への道 】
上の写真から続きます。
道は線路際の黄色い立札の所まで続いています。 -
【 線路横断禁止 】
その立札がこれです。目の前にある駅に行くのに、線路を渡ってはいけないということです。しかたなく今の道を戻り、踏切を渡って駅まで行きます。その距離約900メートル!
国道の横断歩道は何だったのでしょう。
あの階段は何だったのでしょう。
線路の所まで続いていた道は何だったのでしょう。 -
【 上総松丘駅(無人)】
この駅にも「上総」という旧国名がついています。それでは松丘という駅がほかにあるのでしょうか。実は、ありません。
それならわざわざ上総などとつけなくてもいいだろうと思いますが、よくよく探してみると、福井県のえちぜん鉄道に「松岡駅」というのがありました。切符を買う人が窓口で「マツオカ1枚」と言ったら、どちらのことか判りませんね。あるいは出札係が切符を五十音順で探そうとしたら間違えるかも知れません。
でもそれが本当に「上総」とつけた理由かどうかは分かりません。
そんなことを調べていたら、また「鉄ちゃん気分」になってきました。 -
【 駅舎の看板 】
駅舎にはこういう看板が掛かっています。
中には分厚いむく板のテーブルがあり、壁は掲示板のようになっていますので、地域の情報交換の場としても利用されているのでしょうか。 -
【 上総亀山駅(無人)】
久留里線の終点、上総亀山駅です。
ここも、三重県亀山市にある亀山駅と同名になるのを避けるため、「上総」をつけています。
比較的立派な駅舎で、出札窓口も残っていますが、2012年に無人駅となり、窓口にはシャッターが下ろされています。
近くには亀山湖という人造湖があり、湖畔は桜の名所です。ブラックバス釣りが盛んで、私も行ったことがあります。当時小学生だった息子だけが釣れて、私はボーズでした。
また、三石山という霊山までは軽いハイキングで行けますし、健脚の方なら清澄山経由で外房の小湊まで歩いて行くことも可能です。 -
【 トイレの中にツバメの巣 】
こうして久留里線全駅を訪ね終わり、いい気分でトイレに入ったら、頭上にツバメが巣を作っていました。
いい気分が、さらにいい気分になりました。
駅前の商店で缶コーヒーを買い、一気飲みをしました。
以上、いい歳をしてささやかな鉄ちゃん気分を味わった、パー線全駅探訪の一日でした。
追記:
冒頭に「運行本数が少ないので、列車で行っていちいち降りていたのでは13もの駅を回れない」と書きました。車で回ったことの言い訳として書いたのですが、ふと、心配になりました。確かめもしないでいい加減なことを書いたら、言い訳どころか赤っ恥をかくことになります。
そこで時刻表で調べてみました。
木更津から6:26の始発に乗って上総亀山方面に向かうと、6:30に祇園駅に着きます。そこで下車して待っていると、7:26に同方向の気動車が来ます。それに乗って次の上総清川駅で降りて同じことをします。
そうやって全ての駅で降りると、最後は上総松丘駅発19:53に乗って上総亀山駅に20:00に着きます。
それだと上総亀山から木更津に向かう最終の気動車、21:15発に間に合います。
つまり、木更津から始発に乗って上総亀山発最終に乗るという条件なら、途中の全駅で降りられるわけです。ちなみに各駅での滞在時間は51分から75分ですから、駅の様子を見て回る時間は十分です。
いい加減な判断で車と決めたことには忸怩たる思いがありますが、時刻表を調べているときはささやかなスリルも味わいました。時刻表マニアの方は全国の鉄道についてこういうことをしているんですね!
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この旅行記へのコメント (13)
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- ひでちゃんさん 2020/10/22 16:56:03
- 下郡駅 綺麗になりました。
- 10年以上前に大型バイクに乗っていた時に。このホームに乗り入れたことあります。勿論列車が発車した後ですが。次の列車なんて直ぐには来ないよっと。ホームでUターンしました。内緒ですが。でももう時効です。
- ねんきん老人さん からの返信 2020/10/22 17:15:48
- Re: 下郡駅 綺麗になりました。
- 書き込み、ありがとうございました。
下郡の駅ホームに不法侵入されたとは! それも大型バイクで!
私は30代の最後までバイクに乗っていましたが、それは250ccでした。それでもあのホームでUターンはできません。ましてや大型では。
ウイリーでもしたのか、前輪にブレーキをかけて後輪を滑らせたのか、いずれにしてもかなりのテクニックが必要ですね。
ひでちゃんさんの「悪行」については秘密を守ることをお約束します。幸い私の旅行記を読んでくださる方は絶滅危惧種に指定されるほど少ないので、たぶんこのコメントが人目に触れることはないと思います。
- ひでちゃんさん からの返信 2020/10/23 09:10:57
- Re: 下郡駅 綺麗になりました。
- 返信ありがとうございます。50歳~60歳迄CB1300でした。12万キロ乗りました。ご指摘の件ですが。Uターンなどトンでもありません。押して切り返しました。そんなテクニック持ち合わせてません。ホームから落ちたら事件でしょうね。懐かしい思い出です。ありがとうございます。
写真はどこかに在ります。
- ねんきん老人さん からの返信 2020/10/23 09:32:09
- お見それしました!
- CB1300とは!! そこまでいくと世間ではバイクと言いませんね。「マシーン」と呼ぶのではないでしょうか?
私は2500ccでも、倒れたときには起こせませんでした。(人が見ていると起こせるというのは我ながら不思議でしたが)
下郡駅のホームにCB1300に乗ったひでちゃんさんが現れたのを田んぼから見ていた人たちは、異星人が来たと思ったのではないでしょうか? 今も人々の語り草になっているかも知れません。 そうなると時効はまた遠のきますね。
- ひでちゃんさん からの返信 2020/10/23 10:10:13
- Re: 下郡駅 綺麗になりました。
- 記憶が甦ってきました。当時目の前にセブンイレブンが出来て。大型バイク4台で休憩中に私から皆を誘ったんです。ホームに乗り入れるか?1人賛同して2台で入りました。他の2人は見物人でしたね。馬鹿なことしてと笑ってました。300キロの巨体倒しても起こせますが、流石に60歳近くになると気合い入れないと起きないですね。その後250㏄2台。今は150㏄。110キロしか出ません。いいんですそれで。1000,1300の時はリミッター解除して240キロでカッ飛んでました。ETCで高速入りますが。料金が大型と同じには納得できないですね。
- ねんきん老人さん からの返信 2020/10/23 10:50:42
- やっぱり異星人ですね。
- 240キロというのは専用のサーキットでのことだと信じたいですが・・・。
私は高校時代にバイクで飛び回っていましたが、それは125ccで、スピードもたぶん130キロぐらいだったと思います。
バカ仲間が何人もいて、私も曲乗りを競ったりしていましたが、その中の一人(上級生)が転倒して死にました。その後しばらくは乗りませんでしたが、再開してからは単に移動手段としてしか使いませんでした。
バイクは250ccになりましたが、倒れた車体は気合を入れても起こせませんでした。
つまり、私とひでちゃんさんとは住んでいた星が違ったのです。
今は原チャリにも乗りません。
下郡駅前のセブンイレブン、私もときどき入ります。 今度行ったら、駐車場から駅ホームを見てみます。
- ひでちゃんさん からの返信 2020/10/23 13:20:45
- Re: 下郡駅 綺麗になりました。
- 異星人です。スピード狂でもありました。高速道路です。大型バイクの加速感は凄いんです。脳みそが頭蓋骨からはみ出るようです。でも、高速の方が安定感あります。
そうですか。私の仲間は誰も死んでません。だから乗り続けてます。
下郡のホームに上がる坂が見えますよ。
-
- しにあの旅人さん 2019/10/16 13:11:01
- ご無沙汰しております
- 台風はいかがでした。木更津あたりは大変だったと聞いております。外房の我が家は瓦が数枚動いた程度で、自分で直しました。
久留里線は10年くらい前一度乗ったことがあるような気がします。久留里駅は、高速代をケチるときに時々通ります。いすみ鉄道と似たようなモノですね。あんな田舎鉄道とは違うと怒られますかね。
全駅回ると言うのはすごい執念。いすみ鉄道でさえ、大原と上総なんとかをただ往復したと人に言ったら、変人呼ばわりされました。
- ねんきん老人さん からの返信 2019/10/16 21:22:07
- 瓦が動いた「程度」とは!
- 古い、しかも物好きな探索にお付き合いくださり、ありがとうございました。
今回の台風は千葉県人にとって未曾有のものでしたが、幸か不幸か、我が家は予算が足りずに平屋建てにしたもので、隣接する5軒の二階屋が風よけとなってくれて、無事でした。その5軒は屋根その他の被害を受けていますので、申し訳ない気分です。
シニアの旅人様のお宅は「瓦が数枚動いた程度で、自分で直した」とのこと。
私の町内では瓦が飛んだりずれたりしたことは大騒ぎで、民生委員の私は大忙しです。
それを「・・・た程度」と表現して悠然としておられること、さらにご自分で直されたとのこと、ただただ驚きです。
私も町内の集会所の屋根に登って、落ちたりずれたりした瓦を直しましたが、翌日その部分が雨漏りして集会所内がびしょ濡れになっていました。直しが下手だっただけでなく、緩んだ瓦の上を歩いて、さらに悪化させてしまったのだと思ひます。
いすみ鉄道の往復で変人呼ばわりされたとのこと、思わず笑ってしまいました。実は、私も久留里線全駅を回ったとき、娘から「気が知れない」と笑われたのです。
娘は高校時代、久留里線に2区間乗って内房線に乗り換え通学していたもので、「パー線」のローカル性をいやというほど知っているからです。
「人間、好奇心がなくなったらおしまいだ」というのが、私が娘に言ったセリですが、娘からすれば、年甲斐もなく無駄な好奇心を抱えて行動している変人に見えたであろうと思います。
今回、お読みいただいたことで、自己満足をちょっと支えていただいた気分になりました。
どうもありがとうございました。
ねんきん老人
-
- olive kenjiさん 2016/07/09 14:52:35
- 変わった旅行記ですな〜
- ねんきん老人さま
この度はフォローして頂きありがとうございました。
私はあまりフォローされることもなく、またそんなこと気にしないで過ごしていますが、やはり頂くと嬉しい限りであります。本音出た。
それにしても、珍しい旅行記ですね。先輩は鉄ちゃんでもないし、よくぞこんなこと考えましたね。
私自身が無人駅を探ろうとか、旅行記を書こうかとか、これを機会に行ってみようかと思うこと全くなしです。
でも先輩のその地域や鉄道の知識が高いことには驚かされると共に、いつもの変わった視点とユーモアのセンスには脱帽です。
ホーム手前の注意書き 濁点なかったり支障しますの文言 やはり変ですよね。文章作った方もペンキ屋もチェッカーも気が付かなかったのでしょうかね。
つつじに埋もれた人生訓も、やはり刈込をするとか移転すとか。
おそらく両方とも今もそのままの状態だと思います。つまり注意書きも人生訓も乗客にも鉄道員にとっても関心ないもの、どうでもいいもんなんでしょうね。可哀想にどうでもいい物なんです。
でもそれが寂しいんだな。作った時の動機と初心は意気込んでいたはず。
初心を大事にしましょう。それにいいこと書いているじゃありませんか。
仕事はどうでもいいやと思ったたら、もう他の業務もだめになります。
特に安全第一の鉄道事業はとくに注意しなくちゃ。
本当に、先輩は変わった視線でユーモアたっぷり書いて下さいました。
私も旅の事を書くことばかりが旅行記じゃないない。こういう旅行記があってもいいんだとヒントを得ました。無人駅訪問などする気もありませんが、これからも好奇心を忘れず小さな発見に精進させて頂きます。
olive kenji
- ねんきん老人さん からの返信 2016/07/13 09:47:38
- 老人の暇つぶし・・・気が引けます
- olive kenji 様
無人駅巡り・・・老人の暇つぶし以外の何物でもなく、読んでくださった方の参考にもまるでならず、こんなものを載せていいのだろうかと自問しながらの投稿でした。
鉄ちゃんでも撮り鉄でもない私が駅のことを書いたのですから、底の浅さは隠しようがなく、マニアの方からのお叱りは覚悟の上でしたが、幸か不幸かどなたも一顧だにされなかったようで、今のところ「第三者の厳しい指摘」というのはありません。
> ホーム手前の注意書き 濁点なかったり支障しますの文言 やはり変ですよね。文章作った方もペンキ屋もチェッカーも気が付かなかったのでしょうかね。
> つつじに埋もれた人生訓も、やはり刈込をするとか移転すとか。
おっしゃるとおりで、名所旧跡に掲げられた説明板なども、てにをはが整っていなかったり、主体と客体が倒錯していたり、誤字脱字が多かったり、私のようなシロウトが見ても事実と違うことが書かれていたり、当事者の見識を疑うようなものが氾濫しています。
olive kenji 様のご指摘のとおり、どれも企画段階では張り切って作られたのでしょうが、業者に発注してしまえば急に熱が冷めるのでしょうか?
それにしても除幕式まではやらないにしても、設置完了のときには関係者の何人かは現場に行って確認ぐらいはするでしょうに・・・。
> おそらく両方とも今もそのままの状態だと思います。つまり注意書きも人生訓も乗客にも鉄道員にとっても関心ないもの、どうでもいいもんなんでしょうね。可哀想にどうでもいい物なんです。
olive kenji 様に書き込みを見て、また行ってみました。おっしゃるとおり両方ともそのままでした。
駄文を丁寧に読んでくださって、感想まで寄せてくださったことに重ねてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
ねんきん老人
-
- sanaboさん 2016/06/19 19:42:35
- パー線無人駅巡り
- ねんきん老人さん、こんばんは
面白いところに着眼されましたね。
このような無人駅は日本にたくさんあるのでしょうけれど、まだひとつも見たことがありませんでした。
地元の人しかわからないような駅への道や、地元の人しかそれとわからない駅舎、地元の人にしか通じない日本語「9時パーで帰る」などなど、なんともほのぼのとしたものを感じました。
「点」のないあの看板は、いったいどうしたのか気になって仕方ありません(笑)。 「支障する」も絶対に変ですし! そもそも、内容的にもわざわざあんな変な看板を立てておく必要もないような・・・
由緒ある地も通っているのですね。 それぞれの由来をお調べになられたり公民館までいらしたり、ねんきん老人さんならではと思いつつ拝読いたしました。
追記によると、時刻表により列車でも回れることをご確認なさったとのこと。 さりとて、「時は金なり」です。 誰も、車で周られたねんきん老人さんを責める者はいないはず。 それどころか、13もの駅を周られた労をねぎらい、興味深い旅行記に仕上げられましたことに感謝したいくらいです!
また楽しみにお邪魔させていただきますね。
sanabo
- ねんきん老人さん からの返信 2016/06/21 16:25:53
- 老人の暇つぶしでしかありませんのに。
- sanaboさん、こんにちは。
まるで公共性のない、ただの暇つぶしにお付き合いくださって、ありがたいやら申し訳ないやらで、恐縮しています。
久留里線は何度も廃線の噂が流れた赤字路線ですが、沿線の人が皆車で行動できるわけではないので、なくなったら困る人は大勢います。
だから私もなるべく利用しようとは思っているのですが、沿線に用事のあることは滅多にありませんし、仲間と行動するときはやはり車の方が効率もいいので、実際には年に1回か、せいぜい2回しか乗りません。
始発駅から終着駅まで乗っても650円ですから、私が年に1〜2回乗っても路線維持には何の足しにもならないのですが。
でも、sanaboさんが久留里線というローカル線の名をご記憶のどこかにとどめてくださったら、それはとても嬉しいことで、駄文を弄した甲斐がありました。
どうもありがとうございました。
ねんきん老人
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