熊谷旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 埼玉県熊谷市妻沼にある妻沼(めぬま)聖天山(しょうでんざん)は高野山真言宗の寺で、斎藤別当実盛が治承3年(1179年)に先祖伝来の大聖歓喜天(聖天さま)を本尊として祀ったことに始まる。実盛次男・六実長が出家して阿請房良応となり、建久8年(1197年)に歓喜院(かんぎいん)を開創した。<br /> 歓喜院聖天堂は埼玉県で唯一の国宝建築物がある寺として知られる。国宝指定は平成24年(2012年)7月9日である。建築年代は、奥殿が延享元年(1744年)、中殿が宝暦10年(1760年)、拝殿が宝暦6年(1756年)となっている。近世以前の神社建築であり、権現造の社殿で、本殿、幣殿(石の間)、拝殿に相当している。明治維新の神仏分離令で廃寺となり、寺院建築物が神社社殿となっているものは長崎と浦賀で見たが、寺院の本堂に権現造の社殿が建てられているのは初めて目にし、さすがに驚いた。特に、久能山東照宮と上野東照宮の後に訪れただけに驚きはしとしおだった。<br /> 国指定文化財等データベースの「詳細説明」には、<br /> 「歓喜院は高野山真言宗に属し、治承3年(1179)の創建と伝わる。現在の聖天堂は、享保5年(1720)に歓喜院院主海算(かいさん)が再建を発願、民衆の寄進を募り、地元の大工林兵庫正清(まさきよ)によって建設されたものである。<br /> 奥殿、中殿、拝殿よりなる権現造の形式で、延享元年(1744)に奥殿と中殿の一部が完成し、宝暦10年(1760)までに中殿と拝殿が完成した。とくに奥殿は多彩な彫刻技法が駆使され、さらに色漆塗や金箔押などによる極彩色を施してきらびやかに飾る。また、拝殿正面を開放として参詣の便をはかるなど庶民信仰の隆盛を物語る建物である。<br /> 聖天堂は、江戸時代に発展した多様な建築装飾技法がおしみなく注がれた華麗な建物であり、技術的な頂点の一つをなしている。このような建物が庶民信仰によって実現したことは、宗教建築における装飾文化の普及の過程を示しており、我が国の文化史上、高い価値を有している。」<br />とある。<br /> 参道には貴惣門・中門・仁王門が一直線に並んでいる。また、貴惣門と仁王門にはそれぞれ仁王像が安置されている。<br /> 貴惣門は幕末の嘉永4年(1851年)に建立され、国指定重要文化財である。長州吉川藩の作事方奉行・長谷川重右衛門が図面を手紙で送り、その図面を林家が代々引き継いで1世紀後にその図面を元に建てたものである。妻側から見ると、母屋と裳層(もこし)の破風が三つ鱗の形になった奇抜な意匠をしている<br /> 広い境内には多くの石碑が建てられており、信仰の寺としての面影を色濃く残している。<br />(表紙写真は聖天山観喜院貴惣門)

聖天山観喜院-貴惣門から仁王門

9いいね!

2014/01/29 - 2014/01/29

152位(同エリア274件中)

0

100

ドクターキムル

ドクターキムルさん

 埼玉県熊谷市妻沼にある妻沼(めぬま)聖天山(しょうでんざん)は高野山真言宗の寺で、斎藤別当実盛が治承3年(1179年)に先祖伝来の大聖歓喜天(聖天さま)を本尊として祀ったことに始まる。実盛次男・六実長が出家して阿請房良応となり、建久8年(1197年)に歓喜院(かんぎいん)を開創した。
 歓喜院聖天堂は埼玉県で唯一の国宝建築物がある寺として知られる。国宝指定は平成24年(2012年)7月9日である。建築年代は、奥殿が延享元年(1744年)、中殿が宝暦10年(1760年)、拝殿が宝暦6年(1756年)となっている。近世以前の神社建築であり、権現造の社殿で、本殿、幣殿(石の間)、拝殿に相当している。明治維新の神仏分離令で廃寺となり、寺院建築物が神社社殿となっているものは長崎と浦賀で見たが、寺院の本堂に権現造の社殿が建てられているのは初めて目にし、さすがに驚いた。特に、久能山東照宮と上野東照宮の後に訪れただけに驚きはしとしおだった。
 国指定文化財等データベースの「詳細説明」には、
 「歓喜院は高野山真言宗に属し、治承3年(1179)の創建と伝わる。現在の聖天堂は、享保5年(1720)に歓喜院院主海算(かいさん)が再建を発願、民衆の寄進を募り、地元の大工林兵庫正清(まさきよ)によって建設されたものである。
 奥殿、中殿、拝殿よりなる権現造の形式で、延享元年(1744)に奥殿と中殿の一部が完成し、宝暦10年(1760)までに中殿と拝殿が完成した。とくに奥殿は多彩な彫刻技法が駆使され、さらに色漆塗や金箔押などによる極彩色を施してきらびやかに飾る。また、拝殿正面を開放として参詣の便をはかるなど庶民信仰の隆盛を物語る建物である。
 聖天堂は、江戸時代に発展した多様な建築装飾技法がおしみなく注がれた華麗な建物であり、技術的な頂点の一つをなしている。このような建物が庶民信仰によって実現したことは、宗教建築における装飾文化の普及の過程を示しており、我が国の文化史上、高い価値を有している。」
とある。
 参道には貴惣門・中門・仁王門が一直線に並んでいる。また、貴惣門と仁王門にはそれぞれ仁王像が安置されている。
 貴惣門は幕末の嘉永4年(1851年)に建立され、国指定重要文化財である。長州吉川藩の作事方奉行・長谷川重右衛門が図面を手紙で送り、その図面を林家が代々引き継いで1世紀後にその図面を元に建てたものである。妻側から見ると、母屋と裳層(もこし)の破風が三つ鱗の形になった奇抜な意匠をしている
 広い境内には多くの石碑が建てられており、信仰の寺としての面影を色濃く残している。
(表紙写真は聖天山観喜院貴惣門)

PR

  • 聖天山観喜院門前。

    聖天山観喜院門前。

  • 「四国成満聖地 高野山 総本山金剛峯寺奥之院」。

    「四国成満聖地 高野山 総本山金剛峯寺奥之院」。

  • 「石門碑」(昭和6年(1931年)銘)。寄附金200円から2円までの名を刻んでいる。

    「石門碑」(昭和6年(1931年)銘)。寄附金200円から2円までの名を刻んでいる。

  • 「聖天山」標石。

    「聖天山」標石。

  • 地蔵堂。

    地蔵堂。

  • お地蔵さま。

    お地蔵さま。

  • 石塔、庚申塔、「信心有志寄附連名」碑。

    石塔、庚申塔、「信心有志寄附連名」碑。

  • 山岳信仰碑。

    山岳信仰碑。

  • 「御嶽山大神・八海山大神・三笠山大神」。

    「御嶽山大神・八海山大神・三笠山大神」。

  • 「霊神」。

    「霊神」。

  • 「聖天山貴惣門」文化財看板。

    「聖天山貴惣門」文化財看板。

  • 「四国一番 霊山寺」。

    「四国一番 霊山寺」。

  • 「文化財区域 火気厳禁」看板。日立の重要文化財看板(火気厳禁ボード)ではなく、東京都が設置し始めている看板とも異なる埼玉県の火気厳禁看板だ。日立の重要文化財看板のようにニセ物が立てられることはなくなるだろう。

    「文化財区域 火気厳禁」看板。日立の重要文化財看板(火気厳禁ボード)ではなく、東京都が設置し始めている看板とも異なる埼玉県の火気厳禁看板だ。日立の重要文化財看板のようにニセ物が立てられることはなくなるだろう。

  • 「四国二番 極楽寺」。

    「四国二番 極楽寺」。

  • 「千社・張り紙・落書き厳禁 無許可での火気の使用禁止」看板。

    「千社・張り紙・落書き厳禁 無許可での火気の使用禁止」看板。

  • 聖天山観喜院貴惣門(国指定重要文化財)。嘉永4年(1851年)建立。

    聖天山観喜院貴惣門(国指定重要文化財)。嘉永4年(1851年)建立。

  • 聖天山観喜院貴惣門。

    聖天山観喜院貴惣門。

  • 聖天山観喜院貴惣門の仁王さま。

    聖天山観喜院貴惣門の仁王さま。

  • 聖天山観喜院貴惣門の彫刻。

    聖天山観喜院貴惣門の彫刻。

  • 聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

    聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

  • 聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

    聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

  • 聖天山観喜院貴惣門の彫刻。

    聖天山観喜院貴惣門の彫刻。

  • 聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

    聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

  • 聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

    聖天山観喜院貴惣門の木鼻。

  • 聖天山観喜院貴惣門。

    聖天山観喜院貴惣門。

  • 聖天山観喜院貴惣門。

    聖天山観喜院貴惣門。

  • 聖天山観喜院貴惣門。

    聖天山観喜院貴惣門。

  • 聖天山観喜院貴惣門の彫刻。

    聖天山観喜院貴惣門の彫刻。

  • 聖天山観喜院の境内参道。

    聖天山観喜院の境内参道。

  • 「四国四番 大日寺」。

    「四国四番 大日寺」。

  • 「増田浦七郎翁之像」。

    「増田浦七郎翁之像」。

  • 「四国五番 地蔵寺」。

    「四国五番 地蔵寺」。

  • 「頌徳碑」(しょうとくひ)。

    「頌徳碑」(しょうとくひ)。

  • 「齋藤別當實盛公」銅像。

    「齋藤別當實盛公」銅像。

  • 「齋藤別當實盛公」銅像。

    「齋藤別當實盛公」銅像。

  • 「齋藤實盛 文部省小学唱歌」歌碑。

    「齋藤實盛 文部省小学唱歌」歌碑。

  • 「彩の国づくりめぬま歴史の道整備事業竣工・記念植樹けやき」標柱。

    「彩の国づくりめぬま歴史の道整備事業竣工・記念植樹けやき」標柱。

  • 「四国八番 熊谷寺」。

    「四国八番 熊谷寺」。

  • 「四国九番 法輪寺」。

    「四国九番 法輪寺」。

  • 掲示板。

    掲示板。

  • 「文化財区域 火気厳禁」看板。

    「文化財区域 火気厳禁」看板。

  • 南無観世音菩薩。

    南無観世音菩薩。

  • 観音さま。

    観音さま。

  • 護摩堂。

    護摩堂。

  • 「武州妻沼聖天山図」看板。

    「武州妻沼聖天山図」看板。

  • 「武州妻沼聖天山図」看板。

    「武州妻沼聖天山図」看板。

  • 「国宝聖天山本殿 観喜院聖天堂」。

    「国宝聖天山本殿 観喜院聖天堂」。

  • 「熊谷市指定文化財」看板。

    「熊谷市指定文化財」看板。

  • 中門。

    中門。

  • 中門に掛かる[弘法大師八十八ヶ所霊場 幡羅新四国第十三番札所」、「彩の国 武州路十二支霊場 午年の寺 聖天山 歓喜院」の看板。

    中門に掛かる[弘法大師八十八ヶ所霊場 幡羅新四国第十三番札所」、「彩の国 武州路十二支霊場 午年の寺 聖天山 歓喜院」の看板。

  • 「四国二十三番 薬王寺」。

    「四国二十三番 薬王寺」。

  • 「雷音亭」とある東屋。

    「雷音亭」とある東屋。

  • 割烹料理千代桝。

    割烹料理千代桝。

  • 境内参道脇の桜の木。

    境内参道脇の桜の木。

  • 境内参道脇の桜の木。

    境内参道脇の桜の木。

  • 中門と桜の木。

    中門と桜の木。

  • 仁王門。

    仁王門。

  • 「熊谷市めぬま観光案内」図看板。

    「熊谷市めぬま観光案内」図看板。

  • 御水屋。

    御水屋。

  • 仁王門。明治27年(1894年)に再建された。

    仁王門。明治27年(1894年)に再建された。

  • 仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

    仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

  • 仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

    仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

  • 仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

    仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

  • 仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

    仁王門の仁王さま(金剛力士像)。

  • 仁王門に掛かる「聖天山」の扁額。

    仁王門に掛かる「聖天山」の扁額。

  • 仁王門に掛かる六角燈篭。

    仁王門に掛かる六角燈篭。

  • 仁王門に掛かる鰐口。

    仁王門に掛かる鰐口。

  • 仁王門に掛かる鰐口。

    仁王門に掛かる鰐口。

  • 仁王門。側面に大きな絵馬が掛かる。

    仁王門。側面に大きな絵馬が掛かる。

  • 仁王門。

    仁王門。

  • 仁王門。

    仁王門。

  • 百度石。

    百度石。

  • お堂。

    お堂。

  • 寺務所。

    寺務所。

  • 寺務所。

    寺務所。

  • 大師堂。

    大師堂。

  • 大師堂の弘法大師像。

    大師堂の弘法大師像。

  • 神楽殿。

    神楽殿。

  • 「奉祝皇紀二千六百年記念」碑(昭和15年(1940年)銘)。

    「奉祝皇紀二千六百年記念」碑(昭和15年(1940年)銘)。

  • 石碑。

    石碑。

  • 「四国四十七番 八坂寺」。

    「四国四十七番 八坂寺」。

  • 「四国四十五番 岩屋寺」。

    「四国四十五番 岩屋寺」。

  • 欅の木。

    欅の木。

  • 西参道と赤子稲荷神社。

    西参道と赤子稲荷神社。

  • 西参道は「縁結び通り」と名付けられている。

    西参道は「縁結び通り」と名付けられている。

  • 「欣然庵座筆銘」(天保8年(1837年)銘)碑。庵(あん)は草冠。<br />

    「欣然庵座筆銘」(天保8年(1837年)銘)碑。庵(あん)は草冠。

  • 「四国第五十二番 太山寺」。<br />

    「四国第五十二番 太山寺」。

  • 「石道之碑」。<br />

    「石道之碑」。

  • 「馬頭観世音」(昭和2年(1927年)銘)。<br />

    「馬頭観世音」(昭和2年(1927年)銘)。

  • 赤子稲荷神社。

    赤子稲荷神社。

  • 「四国第五十一番 石出寺」。<br />

    「四国第五十一番 石出寺」。

  • 「四国第五十四番 延命寺」。<br />

    「四国第五十四番 延命寺」。

  • 西参道入口。

    西参道入口。

  • 「四国第五十三番 円明寺」。<br />

    「四国第五十三番 円明寺」。

  • 手水鉢。

    手水鉢。

  • 狛犬。

    狛犬。

  • 狛犬。

    狛犬。

  • 境内。

    境内。

  • 欅の木。

    欅の木。

  • 観喜院聖天堂(本殿)。

    観喜院聖天堂(本殿)。

この旅行記のタグ

関連タグ

9いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

タグから国内旅行記(ブログ)を探す

PAGE TOP