2013/12/13 - 2013/12/15
56位(同エリア141件中)
ばねおさん
ナンシーの旅2日目の午前。ナンシー派美術館へ
フランスのアール・ヌーヴォーの二つの潮流、パリとナンシー
ナンシーのアール・ヌーヴォーすなわちナンシー派は、エミール・ガレを中心に活動した工芸職人、建築家、芸術家たちの商業的、美術的グループ
自らをナンシー派と名乗ったガレ以外の主だった作家を挙げれば、ルイ・マジョレル、ウジェーヌ・ヴァラン、ヴィクター・プルーヴェ、ドーム兄弟等々
彼らが日常の生活空間にも高い芸術性を求めた熱意ある活動の証左が、ここに集約されているはず
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
ここナンシー派美術館は、ナンシー派のパトロンだったウジェーヌ・ゴルバンの邸宅であったところ
今はぎっしりと濃縮されたアール・ヌヴォーの館 -
建物の装飾も当然ながらアール・ヌーヴォー
あらためてナンシー派装飾の特徴って何だろう
動植物にモチーフを求め、有機的な曲線が織りなす豊かな美術性とでも言えばよいのだろうか -
門を入ると「床がすべります 足元に注意!」と手書きの日本語が
日本人のスタッフが居るのだろうか
もともと日本との所縁が深いナンシー派ではあるが、
いずれにせよ、それだけ日本からの訪問者が多いということだろう -
たしかに滑りやすいウッドデッキが玄関まで続いていた
-
後世になって美術館として建てられたものとは違い
建物自体にも面白味が感じられる -
おや、看板ネコさんこんにちは
君の有機的な曲線美はアール・ヌーヴォー? -
何をバカ言っているか!
アッカンベーされてしまった -
入館してすぐにあるのが、ガレ、マジョレル、プルーヴェの作品で構成されている部屋
ピアノの絵「瀕死の白鳥」はプルーヴェの下絵をもとにマジョレルが作成したもの
こうしたコラボ作品は他にも多くみられた -
中央にある植木鉢は
ガレ、プルーヴェ、ルイ・エストーの共同作品 -
家具作家として名高いマジョレルは暗くて堅い木を選び
ガレは柔らかい木を好んだという
ナンシー派を主導した二人の父親はそれぞれロココ様式工芸の職人であった
アール・ヌーヴォーを標榜した彼ら自身も、そのスタートは伝統的なロココスタイルであった -
マジョレルのピアノ
演奏楽器というより鑑賞用の工芸品というべきか
彼の作品は家具にとどまらず室内装飾や金物工芸、ドームと組んだガラス製品など多岐に及んでいる -
こちらのピアノの側板はまったくの東洋風
強いて言えば、シノワズリーとジャポニズムを混合したような絵柄 -
こちらは食堂
テーブル、椅子、食器棚、暖炉、壁パネル全てが
ウジェーヌ・ヴァランとヴィクター・プルーヴェの手によるもの -
天井までもが
まさにアール・ヌーヴォー尽くしの部屋である
好きな人には堪らないだろうが
さすがにここまで来ると木の温もりより少々重さを感じてしまう -
2階の展示
部屋丸ごと式の展示が続く
個々の作品だけでなく、様式美を総体的にとらえてほしいということなのだろう -
ルイ・マジョレル製作の寝台
家具をはじめとして多くの優美な作品を創り出した彼の工芸品は
世界でも有数のアールヌーヴォー作品を収蔵するパリのオルセーにもある -
こちらも寝室
特に室内装飾において、家具調度、照明、壁から天井にいたるまで統一性を求めるナンシー派の試みが何例にも再現された形で目にすることができる。 -
サロン
奥の机上のランプはドームの作品 -
陽射しや角度によって微妙な変化がみられる
マジョレル作のステンドグラス -
初めて見るのに、なぜか郷愁めいたものがある
-
こちらはガレ
ガレの作品は再現された室内空間の中に置かれているだけでなく
個別の展示が多くある -
日本美術が大好きなガレと、日本人が大好きなガレの作品
その思うところは必ずしも同一ではない気がするが
相思相愛の仲であることは間違いない -
忘れてならないのは高島得三という明治期のひとりの日本人の存在
明治政府の命によりナンシーの林業学校に学んでいた彼は人生の後半になって画家に転じ、ナンシー時代も得意の絵筆で植物や昆虫を細密に表現した。
地質学や植物学の専門的知識に裏付けされた細密写生画を、親交のあったガレが驚きをもって見ただけでなく、彼を通して日本の文物や美術を吸収したことは良く知られている
ナンシー派の形成に高島得三の果たした役割は、もっと評価されるべきなのだろう。 -
日本美術に強い影響を受けた草花鳥虫,とりわけ植物文様をモティーフに使った自然主義的な表現は至る所に見出される。
-
左上の犬の表情が何ともユーモラスである
左下は煙草入れらしい -
こちらの作品にはガレ特有の濃厚さがない
とにかく繊細の一語 -
窓ガラスを活かした展示は
自然光による変化が楽しめる -
2階から眺めた庭園
日本の植物が多く栽植されているはずだが
残念ながらこの季節ではお目にかかれない -
アンリ・ベルジェ(1870-1937)作「女と黒猫」
入り口で出会った黒猫さんは
もしかして画中の猫の末裔かも?. -
いずれもケーニッヒとラフィットの共作とある
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絵画については各室内に掛けられている作品が多く、単独の展示は少ない
ナンシー美術館で観たエミール・フリアンとヴィクター・プールヴェ以外はほとんど初めてお目にかかるものばかり
そもそもナンシー派の絵画って何だろう?
装飾性の高い絵とも限らない -
ヴィクター・プルーヴェはナンシー美術館で大きなアール・ヌーヴォーの額に収められている絵を2点見てきたが、ここではまた別の印象を受ける
パステルで描かれている肖像画(1897) -
プルーヴェ
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プルーヴェ
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天井画
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ヴィクター・プルーヴェの装身具入れ
カミール・マルタンとのコラボである
木とブロンズで構成されている -
ルイ・エストー(1858-1919)
「トンボ」と題する作品
絵と連続性を持たせた額の意匠に工夫がある -
ルイ・エストー
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シャルル・ペカット(1870-1962)
作品名は「樺の木」 -
中の絵はさておき
やはり額装が凝っている -
庭園からの建物風景
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建物外壁には、いたずら天使のプレートが
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ウジェーヌ・ヴァラン製作のガレの工房の扉が保存されている。
材質はオーク材でマロニエの樹をデザインしたもの (1897年作) -
扉にはガレの「私のルーツは(木)森の奥にある」という意味合いの
言葉が刻まれている -
庭の一隅にある水族館
内部には魚を描いたステンドグラスがあるはずだが
残念ながら閉館中であった -
手前の池の畔には柳が植わっている
季節によって趣はずいぶん変わるのだろう -
庭の一隅にあるルイ・マジョレルの胸像
まだ入ったことはないが、いつか彼の手がけたパリのマキシムの内装を観る機会があればと思う。
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