2014/01/03 - 2014/01/03
110位(同エリア205件中)
滝山氏照さん
二俣城(ふたまたじょう、静岡県浜松市天竜区二俣町)は標高90mの蜷原台地(にらはらだいち)が北から南へせり出している舌状先端部に築城され、周辺西側には天竜川が大きく蛇行、東側には二俣川が流れ正に自然の要害として恵まれた城となっています。
今川義元(いまがわ・よしもと、1519~1560)が桶狭間で織田信長(おだ・のぶなが、1534~1582)の急襲を受けて落命、家督を継いだ嫡男氏真(うじざね、1538~1615)では遺領の駿河のみならず遠江の領地経営の低下は否めない状況が明らかになります。
他方信濃統治に自信を深めた武田信玄(たけだ・しんげん、1521~1573)は自ら甲相駿三国同盟を破り、永禄11年(1568)1万2千の軍勢を率いて駿河に侵攻し駿府今川館を焼き払います。
今川館から逃れた氏真一族は重臣朝比奈泰朝(あさひな・やすとも,1538~没年不詳)の掛川城に逃げ込み籠城を決め込みますが、義元殺害を契機に三河にて独立した徳川家康(とくがわ・いえやす、1543~1616)軍が掛川城包囲すると氏真は家康の計略を受け入れ、小田原に移り北条氏政(ほうじょう・うじまさ、1538~1590)の庇護を頼りとします。
上述の通り約230年の今川氏は滅亡、その後の切り取りについては織田信長の仲介もあって大井川を境とし駿河は武田信玄、遠江は徳川家康の領土のに編入されます。
然しながら胸に秘めた上洛という悲願を果たすべく信玄は更に南信濃から天竜川沿いに曳馬(ひくま、現浜松市)へ通じる経路を採ることは当然のことです。
他方家康は本貫地の三河経営を嫡男信康(のぶやす、1559~1579)に任せ、新領地遠江経営に傾注すべく自ら曳馬を拠点を移します。
信玄は上洛の経路である二俣をを是が非でも確保したい、家康は本拠の曳馬を護るためには二俣を死守したいとの決意がありました。
二俣城をめぐる攻防については本丸の説明板では次の通りです。
「(元亀3年の攻防)
元亀3年(1572)10月、武田信玄は大軍を率い、信濃を経て遠江に進入し二俣城を攻撃した。武田軍は力攻めの方法はとらず、城の水の手を断つ作戦を選んだ。徳川軍の城兵が崖に櫓を建て、釣瓶を天竜川からくみ上げているのを知り、上流から筏を流して井戸櫓の釣瓶を破壊した。こうして2ケ月ほどで二俣城は陥落した。
(天正3年の攻防)
天正3年(1575)5月、長篠の戦で勝利を得た徳川軍は、武田勢を一掃すべく二俣城の攻撃に着手した。鳥羽山に本陣を置き、毘沙門堂、蜷原、渡ケ島に砦を築き二俣城を包囲した。武田軍は7ケ月で兵糧が底をつき城を明け渡した。そして二俣城には大久保忠世(おおくぼただよ、1532?1594)が入城し、徳川が関八州へ移封する天正18年(1590)まで在城した。この間大規模な修築がなされ天守台を始めとする諸施設を構築したと考えられる。」
尚二俣城は天正7年(1579)7月、徳川家康の正妻築山殿と長男信康が武田氏に内通したとの嫌疑をかけられ、織田信長の命により二俣城に移された信康が自害した城でもあります。」
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
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大手門
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二俣城跡二の丸跡
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本丸跡土塁
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本丸跡敷地
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本丸跡石垣
本丸と二の丸との境目は石塁が施されています。 -
土塁
本丸跡を囲む土塁が確認されます。 -
二俣城跡説明板
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二俣城図
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二俣城歴代城主一覧
二俣城は徳川・武田の攻防の地であったことが記されています。尚天正3年以降の徳川領となってからは徳川重臣の大久保忠世が在城しています。
そして忠世在城中の天正7年(1579)に家康嫡男信康の自害事件が起ります。 -
二俣城周辺地図
標高90mの蜷原台地に蛇行した天竜川と二俣川に囲まれた要害堅個な城跡となっています。 -
本丸土塁
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本丸天守台遠景
本丸には高さ4.5mの天守台が残されています。 -
本丸天守台
野面積み石垣の本丸天守台が素朴さと逞しくさを感じさせます。 -
本丸跡
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本丸天守台跡
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天竜川
本丸天守台から天竜川を捉えます。 -
天竜川
西側に大きい流れの天竜川が自然の要害として二俣川を護ります。 -
本丸跡風景
本丸天守台から本丸跡を一望します。
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